奇想天外な戦国時代が舞台
本作の舞台となるのは、戦国時代の日本。ただし、主人公の五右衛門(ゴエモン)や織田信長、羽柴秀吉といった実在人物だけではなく、かぐや姫や桃太郎といった架空の人物をモチーフにしたキャラクターも登場する。また、本作の鍵を握る存在である少女のかぐやは、異なる時代から物を呼び寄せる能力を持っており、約700のアイテムを呼び寄せている。それらは、オートバイやガソリン、回転式拳銃など、本来戦国時代にあってはいけないものであり、歴史を変異させることになった。その結果、本作に登場する戦国時代は、史実とファンタジーが入り混じる、奇想天外なパラレルワールドになっている。
五つの宝物を探す冒険
物語の発端は「月詠の箱」というお宝を、ゴエモンが奪い去ったこと。「月詠の箱」の中身は、1年に1度、望んだ物を呼び寄せることができる、かぐやという薄汚れた少女だった。とびっきりの馬を望んだゴエモンだったが、空から降ってきたのは、現代日本の大型バイクと時越速太(ワープくん)という高校生であった。その後、三人は大きなパンダを従えた怪力無双の田中金太郎を加え、ゴエモン一派を結成。旅の途中、半月の夜に現れた大人の姿をしたかぐやから、五つの宝物を集めれば大きな力を得ることができ、かぐやも月に帰れると告げられる。そこでゴエモンは「月を盗る」という大望を掲げ、かぐやを月に帰すため、五つの宝物を手に入れることにする。
魔王信長軍団との宝物争奪戦
五つの宝物を狙っているのは、ゴエモンだけではない。それは、明智光秀、滝川一益、柴田勝家、前田利家、秀吉という勇猛な五武将を従える、戦国の魔王、信長である。この世を破壊し、新しい秩序を創造することで天下を統治しようとする信長は、五つの宝物がもたらす魔力を欲していた。一度は、五つの宝物とかぐやを手に入れた信長だったが、儀式の途中でゴエモンにかぐやを奪い返され、五つの宝物は再びどこかに飛んでいってしまう。こうして、ゴエモン一派と信長軍団の宝物争奪戦の火蓋が切られた。なお、ゴエモンは秀吉によって釜茹でにされたというのが通説であり、本作でも二人の間に因縁が生じる。
登場人物・キャラクター
石川 五右衛門 (いしかわ ごえもん)
風の如き剣さばきと超人的な体術で、豪快な盗みを働く16歳の大盗賊。通称は「ゴエモン」。わがままで意地っ張りな性格の金髪の青年で、ピアス、赤い数珠、ブレスレットなど派手な身なりが特徴。岩石をも粉砕する「咆哮波動」という必殺技を持つ。お宝と聞くと両手が疼き、手に入れずにはいられないという。かぐやと出会ったことで、彼女と一緒に月へ行くという大望を抱くことになり、それを実現するための、五つの宝物を手に入れようとする。同名の実在人物をモチーフにしている。
かぐや
「月詠の箱」の中に閉じ込められていた少女。おかっぱ頭の小柄な女の子だが、実年齢は704歳。年に1度、満月の夜に持ち主が望む物を呼び寄せる力を持つ。五右衛門(ゴエモン)に救い出され、彼が望む「とびっきりの馬」として、現代日本から大型バイクと時越速太を呼び寄せた。また、半月の夜には覚醒し、大人のかぐやを出現させる。大人のかぐやは、五つの宝物を集めれば大きな力が得られることと、かぐやが月に帰れることをゴエモンに伝えた。『竹取物語』のかぐや姫がモチーフ。
時越 速太 (ときえつ そうた)
現代日本の高校に通う16歳の小柄な少年。時代劇が好きで歴史にも詳しい。強い者に憧れるがケンカに弱いヘタレ。中型二輪免許を持ち、バイク屋でアルバイトをしていた。かぐやの不思議な力で、大型バイクと一緒に戦国時代にタイムスリップした。あだ名は「ワープくん」。
田中 金太郎 (たなか きんたろう)
伝説の武人、坂田金時の末裔の男性。年齢は16歳。幼い頃から一緒に生きてきた、坂田さんという大きなパンダが相棒。ドレッドヘアが特徴の巨漢で、巨大なマサカリを武器に戦う怪力無双の男。母の遺言で、後世に残す宝を探して旅をしている途中、五右衛門(ゴエモン)と遭遇。坂田さんを奪うというゴエモンと対立するが、宝への執念と根性に惹かれ、ゴエモンと行動をともにする。昔話『金太郎』の金太郎がモチーフ。