風と海とサブ

風と海とサブ

船員を目指して故郷を旅立った少年と、その先輩である甲板士が、さまざまな人たちとの触れ合いによって成長していく様子を描いたヒューマンドラマ。「週刊少年チャンピオン」1980年18号から34号にかけて連載された作品。

正式名称
風と海とサブ
ふりがな
かぜとうみとさぶ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

早川三郎は船乗りを目指すべく、中学卒業と同時に故郷を離れ、高洋丸と呼ばれる船に乗り込むことを決意する。しかし、実際に三郎が目にした高洋丸は、フェリーと呼ぶにはあまりに不釣り合いなオンボロ船であった。先行きに不安を感じる三郎だったが、山本研二船長などの頼れる仲間たちに囲まれ、次第に船乗りとして成長していく。

登場人物・キャラクター

早川 三郎 (はやかわ さぶろう)

中学を卒業後、高洋丸の乗組員として働くことになった少年。母親想いの生真面目な性格で、着任当初は緊張のあまり固くなりすぎて、失敗することも多かった。しかし、山本研二の破天荒な振る舞いや、船長とその家族たちの暖かさに触れることによって、次第に年相応の振る舞いを見せるようになり、高洋丸そのものにも強い愛着を抱くようになっていく。

山本 研二 (やまもと けんじ)

高洋丸の停泊する桟橋で、早川三郎と出会った青年。どさくさに紛れて高洋丸に無賃乗船をしてしまう。船員免許を持っており、自ら働いてその対価にしたいと申し出て、甲板士として迎えられることとなった。ひょうきんな性格だが、船員としての腕は確かで、三郎からは時折呆れられながらも兄貴分として慕われる。また、時折高洋丸に対して、並ならぬ思い入れを抱いていると思わしき様子を見せる。

船長 (せんちょう)

高洋丸の船長を務める男性。初代船長であった父親の跡を継ぎ、舵を取っている。若い頃から船に乗っていたベテランで、家族や船員たちの信頼も厚く、早川三郎からも尊敬されている。山本研二に対しては、たがいに素直になれないため、普段は厄介者扱いしているものの、いざという時には頼りにしている。

機関長 (なんばん)

高洋丸の機関長を務める女性。船長の妻。夫同様船に精通しており、高洋丸にはなくてはならない存在として信頼されている。娘である早苗とは仲が良く、船長の家に下宿している早川三郎の面倒をよく見ている。また、山本研二を以前から知っていたような素振りも見せた。

早苗 (さなえ)

船長と機関長の娘。両親が舵を取る姿を幼い頃から見て育っているため、高洋丸には強い思い入れを抱いている。さばさばした性格で気が強く、目上の男性が相手であっても、臆さずに自分の意見を主張する。一方で機関長同様面倒見が良く、早川三郎が初めて大きな仕事に就く際には、あたらしい靴を用意すべく、テツヤの店に案内している。

順子 (じゅんこ)

高洋丸が停泊する島で生活をしている高校生の少女。不良グループの一員で、高洋丸の船員である早川三郎をからかうため、偽のラブレターを出すといったいたずらを仕掛けた。しかし、いたずらと知りつつ堂々と呼び出しに応じた三郎に、次第に好意を抱くようになり、高洋丸の船員たちとも交流するようになる。

テツヤ

高洋丸が停泊する島で靴屋を営んでいる青年。早川三郎が仕事に使う革靴を用意するよう早苗に頼まれる。その際に三郎が大きな足をしていることに関心を持ち、「手足が大きい人は大物になる」と激励した。なお、早苗とは互いに想い合っている仲で、彼女のためなら朝早くから店を開けることも厭わない。

駐在 (ちゅうざい)

高洋丸が停泊する島に勤めている警察官の男性。職務に対しては真面目な性格ながら、島が平和すぎるために暇を持て余すことも多々ある。早苗とは親しい間柄で、友人感覚で口喧嘩をすることもあれば、船の運航の手伝いを頼まれることもある。

チビ

発泡スチロールの箱に乗せられ、捨てられていた子犬。海に流されたところを高洋丸に発見され、救助された。その際に山本研二に懐くようになり、彼がどこへ行くにも後をついていく。やがて高洋丸に居つくようになり、研二や早川三郎の弟分として可愛がられるようになった。

オバサン

高洋丸の前に突如現れた女性。かつて山本研二と婚約していたと語っており、彼の消息を追って高洋丸へとやって来た。早川三郎からは「おばさん」と呼ばれ、最初こそ反論したものの、すぐに自分自身を「オバサン」と呼ぶようになる。男女関係で女ばかりが泣く現実をよしとせず、研二と一緒になるために高洋丸で働こうとするなど、逞しい性格をしている。

先生 (せんせい)

高洋丸の客の1人。眼鏡をかけた温厚な性格の男性。本土に病気の母親がいるため、定期的に高洋丸を利用している。船長や仲間内からは先生と呼ばれており、その呼び名に違わず博識な面を見せる。船長には時折水産学の本を提供しており、早川三郎が航海士を志していることを知ると、船長や山本研二の頼みを受け、数冊の本を譲り渡した。

アキコ

早川三郎と幼なじみの少女。三郎からはアキちゃんと呼ばれている。高洋丸で働く三郎に会いに来たところ、順子と鉢合わせ。会って早々に、順子が三郎に想いを寄せていることを見抜いた。のちにオバサンを交えた3人で意気投合し、三郎や山本研二にちょっかいをかけるようになる。

犯罪者 (はんざいしゃ)

本土で何らかの犯罪を起こし、警察たちに追われていた男性。逃走の際に、みなと祭りのどさくさに紛れて出航間際の高洋丸に乗り込んだ。警察から逃れるために外海に出るよう船長を脅すが、物理的に不可能であるうえ、船長なしでは船の運航もままならないため、観念してしまう。

子供たち (こどもたち)

みなと祭りを終えて本土から出航した高洋丸に、いつの間にか乗り込んでいた少年と少女。あたかも互に知り合いのように見られていた2人だが、実際は偶然居合わせただけである。アメリカに行きたいと公言しており、船長からはその際に、逃走したいだけという犯罪者とスケールが違うと言われた。

かあちゃん

早川三郎の母親。女手一つで三郎を育て上げた女性。出張先に高洋丸が停泊していると聞き、三郎に会いにやって来た。しっかりした性格だが調子がいい面もあり、船長と山本研二を目の前で「いい男」と評して、2人の鼻の下を伸ばした。

場所

高洋丸 (こうようまる)

早川三郎が乗り組む、島と本土を往復している船。島の住人たちにとっては唯一の連絡船でもあるため、愛着を持っている人は非常に多い。しかし、普通の連絡船と比較すると小さめで、見た目もややぼろいため、島の人からは親しみを込めて「ボロ船」と呼ばれることもある。

イベント・出来事

みなと祭り (みなとまつり)

本土の港で開催されるお祭り。連日多くの人でにぎわっている。オバサンは食堂で作られたお弁当を出店で売り出しており、山本研二も女装をしてこれを手伝った。また、仮装行列が道を練り歩くという催しがあるが、研二は途中で眠ってしまったため、参加することができなかった。

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