新条市を支配する闇の存在
1991年、E県新条市で周平は、お面をかぶった五人の男たちに襲撃される。周平が命を狙われたのは、新条市において敵に回してはいけない相手を怒らせてしまったためだと言われている。2006年には、野坂直幸という男性も、知らずにこの相手に逆らった結果、家族全員が殺害された。これらの事件には警察関係者や市長までが関与しており、殺人事件の全貌は歪められ、マスメディアに発表されている。そのため、周平の復讐は一筋縄ではいかず、予測不可能な展開を見せる。
復讐に燃える周平が背負わされた罪
周平を襲撃したお面をかぶった五人の男たちは、周平が仮出所して以来、次々と殺人事件を引き起こしていく。野坂一家殺人事件や竹本クリーニング爆破事件、白昼虐殺事件など、ほとんどの事件は周平とは無関係であるにもかかわらず、世間ではすべて周平の仕業だという噂が広まっている。彼らの目的は、五人が所属する麻薬カルテル「新条ニコニコ会」と対立する巨大企業「マサカドグループ」の目を、新条ニコニコ会から逸らすことだった。周平は復讐を第一の目的としながらも、新条ニコニコ会とマサカドグループの対立に巻き込まれ、凶悪な人物として仕立て上げられていく。
新条市の鬼伝説と将門家の影響
平安時代以降、新条市で語り継がれている鬼伝説は、すべて将門家に関連している。この事実に注目したある記者は、新条の鬼伝説が将門家を守るために仕組まれたものであり、周平もその影響を受けた被害者の一人ではないかと考えるようになる。物語は、飛行機の爆破や100人以上の人々の墜落死、さらには複数の組織が絡む血みどろの抗争など、ますます複雑な展開を見せる。しかし、随所に挿入されるジャーナリストの視点からの解説によって、その複雑な状況がわかりやすく提示されている。
登場人物・キャラクター
坂田 周平 (さかた しゅうへい)
ヤクザ顔負けの暴力行為を繰り広げ、E県新条市を手中に収める寸前だった男性。初登場時の年齢は33歳で、暴力団「河野組」とたった一人で対峙していた。昔話の金太郎のようにマサカリを担ぎ、新条市を闊歩していたことから「坂田金時」とも呼ばれていた。しかし、身に覚えのない殺人事件が周平の仕業だと噂され、妻のあおいは冤罪を証明するために事件の背後を探っていた。その結果、お面をかぶった五人衆によって妻は殺害され、周平自身も頭部を撃たれ植物状態となり、妻子殺害の汚名を着せられたまま15年間医療刑務所に収監されることになる。出所後、巻き込まれた事件をきっかけに意識を取り戻し、娘のりょうが生きていることを知る。役立たずを装っていた警察官の滝川と協力し、五人衆に復讐を果たそうとしている。
春原 龍 (すのはら りゅう)
E県新条市で市長を務める一方で、麻薬カルテル「新条ニコニコ会」の首領でもある男性。周平を襲撃した際には、般若の面をかぶっていた。鬼の伝承を受け継ぐ春原家の当主だが、元々は「マサカドグループ」を牽引する将門家の御曹司だった。しかし、幼い頃に父親から無能の烙印を押され、春原家の養子に出されたことから、将門家に対して強い恨みを抱いている。実弟の将門神とは良好な関係を築いており、彼からマサカドグループの内部情報を密かに入手している。「新条ニコニコ会」のメンバーからは「御前様」と呼ばれている。
書誌情報
鬼ゴロシ 全16巻 日本文芸社〈ニチブンコミックス〉
第1巻
(2020-12-19発行、978-4537143225)
第7巻
(2022-06-20発行、978-4537145175)
第8巻
(2022-09-20発行、978-4537145458)
第9巻
(2022-12-19発行、978-4537145816)
第10巻
(2023-03-29発行、978-4537146240)
第11巻
(2023-07-19発行、978-4537146707)
第12巻
(2023-10-27発行、978-4537147100)
第13巻
(2024-02-29発行、978-4537147773)
第14巻
(2024-07-09発行、978-4537148503)
第15巻
(2024-09-28発行、978-4537149012)
第16巻
(2025-02-28発行、978-4537149630)







