世界観
本作は昭和末期~平成初期の日本を舞台としているが、連載初期のギャグエピソードなどの例外を除けば、男塾内部と後述の驚邏大四凶殺、天挑五輪大武會といった限定空間内でのバトル描写に終始しており、一般社会とはほぼ完全に隔離された物語となっている(一応、社会悪的存在である黒幕との対決はあるが、その戦いが一般社会に影響を及ぼすような描写はない。後述の「魁!!男塾の特殊設定」も参照のこと)。
あらすじ
明日の日本を担う真の男を育て上げることを目的とした私塾・男塾。そこには、行き場の無くなった札付きの不良少年たちが集められ、理不尽かつ過激なスパルタ教育が施されていた。教官たちからの苛烈なシゴキ、上級生や外部の強敵たちとの戦いを乗り越えていく中で、主人公・剣桃太郎をはじめとする一号生の面々は友情を深め、男として成長を遂げていく。以下、本作のストーリーをおおまかに区切って紹介する。
男塾登場編
主人公・剣桃太郎をはじめとする一号生の男塾入塾、および男塾での日常を描く。一話完結式のギャグ調エピソードが中心だが、二号生との確執や米国海軍士官学校からの留学生との戦いなど、以降のバトル展開に繋がる要素も配置されている。
驚邏大四凶殺(きょうらだいよんきょうさつ)編
男塾を支配下に置こうとする関東豪学連との戦いを描く。霊峰富士に造られた四つの闘場を舞台に、男塾一号生と関東豪学連の双方が選出した4人の戦士が死力を尽くした戦いを演じた。
大威震八連制覇(だいいしんぱーれんせいは)編
大豪院邪鬼率いる男塾三号生と一号生との戦いを描く。双方が選んだ8人の戦士が、二人ずつ4回戦にわたる死闘を繰り広げた。舞台となったのは、信州八ヶ岳連峰に隠された武芸修行の総本山・八竜の長城。一号生側には、驚邏大四凶殺で死亡したと思われていた関東豪学連の4人が仲間として加わっている。
天挑五輪大武會(てんちょうごりんだいぶかい)編
男塾は、4年に一度開催され世界中の武道家たちが覇を競うという天挑五輪大武會に参加することになった。その主催者・藤堂兵衛は、第二次世界大戦時に日本軍の情報を米軍に売って生き永らえた男であり、男塾塾長である江田島平八にとっては戦友たちの仇でもあった。今や日本のフィクサーとなった藤堂兵衛を討つため、江田島は大威震八連制覇を戦った16人の塾生たちを、世界の強豪たちが待ち受ける武の祭典へと送り出す。
七牙冥界闘(バトルオブセブンタスクス)編
男塾塾長・江田島平八が何者かに誘拐されてしまう。江田島を救い出すため、塾生たちを中心とする16人の戦士たちは、世界中の裏の格闘家たちの戦いの場である七牙冥界闘への参加を余儀なくされる。
風雲羅漢塾(ふううんらかんじゅく)編
江田島の終生のライバルが設立したという風雲羅漢塾。それは、もうひとつの男塾ともいうべき強者たちの集団だった。30年前の約定に従い、男塾と風雲羅漢塾は雌雄を決すべく激突する。ただし、その対決方法にはマラソン勝負や知力勝負なども含まれており、それまでのバトル路線とは趣を異にしている。
登場する武術・格闘技
本作には、膨大な数の武術の流派や奇想天外な決闘法が登場するが、その大部分は架空のものである。現実の武術やスポーツをモデルに、極端に先鋭化・過激化したようなものが多く、さらに作中では作中で使用されるものこそが源流であり、これが一般化することで、読者が知る現実に存在する武術やスポーツに変化していった」という説明が頻繁に行われる。後述の民明書房や、仲間の武術家がその説明役を務めることが多い。
定型パターン
本作では、少年漫画やバトル漫画には非常にありがちなパターンが頻出する。中でも使用例が多いのが、以下に挙げる二つのパターンである。通常、こういった展開があまりにも多く繰り返されると、ストーリー自体が陳腐化してしまうため、多用は避けるべきとされているのだが、本作においてはその根本がギャグ漫画であるためなのか、同じパターンが何度も繰り返されることに対する批判的な評価は少ない。
昨日の敵は今日の友パターン
以前の戦いで敵として登場したキャラクターが、味方となるパターン。「あらすじ」の項からもわかるように、本作は複数人によるバトルの連続で物語が進行していくのだが、最初のバトル展開である驚邏大四凶殺で敵方として登場した4人の戦士は、次の大威震八制覇ではそのまま味方に編入されている。以後の天挑五輪大武會、七牙冥界闘でもこのパターンが繰り返される。
実は生きていたパターン
本作におけるバトルは、武道家同士の命を懸けた勝負であり、敗者が命を失うことで決着を迎えることが非常に多い。しかし、作中で死亡が明言されたキャラクターであっても、しばらく間を置くと「実はギリギリのところで生き延びていた」という旨の説明と共に平然と復活を遂げてしまう。驚邏大四凶殺では敵味方の戦士8人中7人が死亡宣告を受けたが、後にその7人全員が復活しているし、以後の戦いでも同様の死亡→復活劇が何度も描かれる。
ギャグ
連載開始当初に作中で展開するギャグは、世間の一般常識とはかけ離れた男塾の教育方針やシゴキをきっかけとした騒動が中心の、いわゆる古典的なドタバタギャグが大多数を占めていた。しかし、ストーリーがバトルを主軸に展開し始めると、作中のキャラクターたちが演じるギャグは極端に少なくなり、富樫源次や虎丸龍次などのギャグ担当キャラクターやバトルに参加しない塾生たちによるくすぐり程度のものとなっていった。その代わりに本作のギャグの中心となったのが、定型パターンの繰り返しや後述の民明書房である。前者は、バトル漫画における一般的な展開のパロディとして捉えることで、後者は明らかな嘘の解説を嘘として楽しむことで初めてギャグとして機能しうるという仕掛けになっており、熱血バトル漫画であると同時に、メタ視点ではギャグ漫画としても楽しめるという二重構造を成していた。
特殊設定
本作は一般社会とは隔離された集団によるドラマとなっている。それを端的に表しているのが、本作内における女性の不在で、レギュラーとなる女性キャラクターはただのひとりも存在せず、そのタイトル通りに徹頭徹尾「男」たちのみでストーリーが進められていく。これは、恋愛要素や魅力的な女性キャラクターの存在が重視されていた80年代末から現在に至る少年漫画シーンにおいては非常に異例なことである。また、作品の同時代性に関しても同様で、細かいギャグシーンなどで、流行歌やアイドルの名前が引用される例こそあるものの、ファッションや生活習慣などの時代を感じさせる描写はほぼ皆無であり、現代を舞台とする作品としてはやはり非常に異例な構造となっている。
民明書房
民明書房は本作に頻出する架空の出版社で、古代の武術やそれに関連する歴史書を得意分野としている。劇中に新たな武術や決闘方法などが登場するたびに、民明書房刊行の架空の出版物からの引用という体裁で、その解説が行われた。これは当初においては、現実には存在しない劇中の武術などに説得力を与えるためのギミックであったが、それなりの判断力がある者が読めば、その解説自体が架空のものであることがわかる記述が為されていた。しかし、このギミック自体が多くの読者から支持されると、歴史的事実との混同を避けるためか、記述内容が明らかに事実ではないものへとシフトするようになり、民明書房による解説のコマ自体がギャグとして楽しまれるようになった。なお、作中では民明書房以外にも英学館、太公望書林などの架空の出版社が登場している。
派生作品
宮下あきらによる漫画作品
曉!!男塾 青年よ、大死を抱け
剣桃太郎の息子剣獅子丸を主人公とする『魁!!男塾』の続編。全25巻。
天下無双 江田島平八伝
昭和初期から第二次世界大戦に至る歴史の中で活躍する若き日の江田島平八の姿を描いた作品。実在の人物が多数登場する。全10巻。なお、第10巻には、同じく『魁!!男塾』の登場人物である王大人を主人公と売る短編『拳食同源 特級厨房師 王大人』も収録されている。
私立極道高校2011
宮下あきらによる『私立極道高校』の続編だが、作中に初老となった男塾塾生たちが登場する。この作品の発表によって、極道高校と男塾が同一世界に存在することが明らかになった。ただし、これに続く『極!!男塾』も含めて各作品間には設定上の齟齬もあるため、一種のパラレルワールドになっていると見ることもできる。
極!!男塾
『私立極道高校2011』の設定や登場人物などを引き継ぐ形でスタートした続編的作品。歴代の男塾塾生や極道高校卒業生に加え、宮下あきらの過去の作品から多くのキャラクターが登場するクロスオーバー作品となっている。
天より高く
宮下あきらの作品としてはファンタジー色の強い異色作。江田島平八が重要なキャラクターとして登場し、卒業後の男塾塾生たちの姿も描かれている。
別作者による漫画作品
男塾外伝 伊達臣人
関東豪学連総長・伊達臣人を主人公としたスピンオフ作品。作画担当は尾松知和。
男塾外伝 紅!!女塾
第三次世界大戦後の世界を舞台に日本男児ならぬ日本女子を鍛え上げる女塾の塾生たちの姿を描くスピンオフ作品。Web連載作品である。作画担当はサイトウミチ。
男塾外伝 大豪院邪鬼
男塾三号生筆頭・大豪院邪鬼を主人公とするスピンオフ作品。作画担当は柳田東一郎。
漫画以外の魁!!男塾関連書籍
民明書房大全
宮下あきら漫画家生活25周年記念として出版されたムック。『魁!!男塾』およびその関連作品に登場した民明書房刊行の架空の書籍の紹介から、民明書房の社歌・社歴・関連人物などが詳細に記載されている。また、民明書房の創始者である大河内民明丸を主役とした実録風漫画『大河内民明丸評伝』も収録されている。
メディアミックス
本作品は、以下に挙げたように各種のメディア展開が図られている。ただし、2000年以降に発売されたゲームや実写映画などは、漫画本編およびTVアニメーションの終了後、10年以上の年月を挟んで制作されたものであるため、厳密にはメディアミックスとは異なる。
TVアニメーション
1988年2月よりフジテレビ系列にて放送。全34話。原作における大威震八制覇編までが映像化された。全体としては原作漫画に沿ったアニメ作品ではあるが、思想的・視覚的に過激な表現はオミットされている。
劇場版アニメーション
1988年東映系公開。世界格闘選手権に参加することになった男塾塾生たちの戦いを描いた71分のオリジナルストーリーである。同時上映は『聖闘士星矢 真紅の少年伝説』。
オーディオドラマ
TVアニメの放送終了後に、同キャストによるオーディオドラマが発売されている。アニメ化されなかった天挑五輪大武會編での八つの戦いが収録されている。
ゲーム
コンシューマーゲームとして、漫画連載中の1989年にはファミリーコンピュータ専用ソフト『魁!!男塾 疾風一号生』が、1990年にはゲームボーイ専用ソフト『魁!!男塾 冥凰島決戦』が発売された。さらに、連載終了後10余年を経て、2002年にはプレイステーション専用ソフト『魁!!男塾 THE 怒馳暴流(ドッチボール)』が、2005年にはプレイステーション2専用ソフト『魁!!男塾』が、2014年にはプレイステーション3専用ソフト『魁!!男塾 〜日本よ、これが男である!〜』が発売されている。
実写映画
2008年1月公開。前半は原作漫画序盤のギャグを中心に、後半では驚邏大四凶殺編をアレンジした「驚邏大三凶殺」の戦いが描かれている。監督・主演を各種の格闘技に通じたアクション俳優の坂口拓が務め、塾長江田島平八には怪優麿赤兒、民明書房を含むナレーションを千葉繁が担当している。
登場人物・キャラクター
剣 桃太郎 (つるぎ ももたろう)
男塾の一号生筆頭であり、飄々とした好青年だが頭脳明晰で義を重んじ、仲間の信頼も篤い。日本刀による剣技を得意とするが、複数の中国拳法流派における秘奥技を若くして体得しており、謎の多い人物とされている。後に大豪院邪鬼から男塾総代の地位を継承する。
江田島平八 (えだじまへいはち)
男塾創設者であり、筋骨逞しい巨体の壮年男性。普段、塾生へのシゴキは教官らに任せているが、しばしば自ら口を出し、塾生へ理不尽な試練を課す。仇敵藤堂兵衛を討つため塾生らを天挑五輪大武會に派遣した。自らも底知れぬ強さを備えた人物である。
富樫 源次 (とがし げんじ)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。一号生では剣桃太郎に次ぐ中心的人物で、「男塾の切り込み隊長」を自認する。拳法など専門的な格闘術は会得していないが、ドスを武器としたケンカ殺法で戦う。源吉という兄がいたが男塾で死亡しており、復讐のため入学したという過去がある。
虎丸 龍次 (とらまる りゅうじ)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。剣桃太郎らと共に入学した一号生だが、初日から二百キロの吊り天井を常時支える独房に送られていた。怪力と我流の拳法で戦う豪快な男で、富樫源次とコンビになる事が多い。
田沢 慎一郎 (たざわ しんいちろう)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。眼鏡をかけており、九九をほぼ暗唱できるというレベルで、一号生の中では博学の秀才とされている。「人間コンピューター」を自称し、桃たちをサポートするためしばしば珍案を発想する。
松尾 鯛雄 (まつお たいお)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。頭頂と後頭部にのみ髪を生やした独特のヘアスタイルが目立つ一号生。しばしば田沢慎一郎とコンビを組む。男塾名物の応援法「大鐘音」ではエールを切る役割を負う。
極小路 秀麻呂 (ごくこうじ ひでまろ)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。一号生に中途入学した小柄な少年。関東最強最悪と言われる暴力団の跡取り息子であり、その威勢を笠に着て男塾でも横暴に振舞うが、暴力団が壊滅して塾生一同の弟分的な存在となる。驚ラ大四凶殺の際、大塾旗を掲げることに成功した。
赤石 剛次 (あかし ごうじ)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。二号生筆頭。銃弾をも見切り、岩を断ち斬る一文字流斬岩剣という剣技を得意とする。停学明けに一号生に厳しい制裁を課していたが、桃との公開決闘「殺シアム」を経て和解する。
キング・バトラーJr (きんぐばとらーじゅにあ)
米国海軍士官学校生のボスとして男塾へ留学した。日米親善撲針愚大会で桃に敗れ、留学期間後も男塾に残留する。高度なボクシング技術を持ち、音速を超えるというマッハパンチなどの必殺技を身につけている。
伊達 臣人 (だて おみと)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。かつての一号生筆頭だったが、横暴な教官を殺害して逐電した。その際に受けた六忘面痕の傷が特徴。豪学連総長として男塾と敵対するも、後に復学する。蛇轍槍による槍術を得意とし、素手の戦いでも様々な武術を使いこなす。
雷電 (らいでん)
三面拳の束ね役とされ、冷静沈着にして信義を重んじる。驚ラ大四凶殺の後、男塾に入学。中国拳法最古の歴史を持つとされる大往生流の達人だが、他のあらゆる拳法や流派に精通しており、敵の技をいち早く看破して解説することが多い。
飛燕 (ひえん)
三面拳の一人であり、華麗な空中戦と鶴嘴千本で敵の神経節を突く技を得意とする。驚ラ大四凶殺の後、男塾に入学。容姿端麗であり、敵に優男と侮られることが多い。
月光 (げっこう)
三面拳最強の男とされ、三面拳を従える伊達臣人さえ、「戦えば自分も危ない」と認めている。強靭な意志と体力により数々の闘技を使いこなすが、特に棍術を多用する。驚ラ大四凶殺の後、男塾に入学。天挑五輪大武會の中で、生来、盲目であったことが判明する。
大豪院 邪鬼 (だいごういん じゃき)
『魁!!男塾』に登場する男塾塾生。三号生筆頭であり、男塾総代。男塾を十年にわたり支配し、特に三号生からは絶対的な畏怖と信頼を受けている。攻防に優れる氣功闘法と、必殺技真空殲風衝で戦う。かなりの巨体だが、発する闘気と威圧感により何メートルもの巨人に見えることがある。
卍丸 (まんじまる)
『魁!!男塾』に登場する男塾三号生。死天王の一人で、モヒカンヘアーと口マスクが特徴。中国拳法史上最強の暗黒拳と恐れられた魍魎拳を極めており、またモヒカンの中に仕込んだブーメラン状の刃を使うこともある。
センクウ
『魁!!男塾』に登場する男塾三号生。死天王の中で最も俊敏にして多彩な技を持つといわれ、目に見えないほど細い鋼線や刃つきコマ、脚に仕込んだ刃を用いて戦う。大威シン八連制覇では独眼鉄と組んで富樫・飛燕組と対戦、三年前には富樫の兄・源吉を倒した。富樫にとっては兄の仇だが、死闘を通じて和解に至っている。
羅刹 (らせつ)
『魁!!男塾』に登場する男塾三号生。死天王の一人。親指・人差し指・小指を立てた拳兜指愧破はあらゆる物を貫くとされ、また、高所での戦闘に有利な鼯樵橤拳を使う。絶体絶命の窮地からも死線を超越するほどの勝利への執念を、卍丸やセンクウに高く評価されている。
影慶 (えいけい)
『魁!!男塾』に登場する男塾三号生。死天王で最強とされ、大豪院邪鬼への忠誠心は特に高い。愾塵流という、刃つきヌンチャクや透明なブーメランを使う戦闘術を使う。大威シン八連制覇では決死の手段として猛毒をかけた掌で戦う毒手拳を使うが、毒手は後に常態化した。天挑五輪大武會では途中で戦死するがそれは塾長の密命による工作であり、後に覆面の助っ人翔霍として復帰した。
伊佐 武光 (いさ たけみつ)
太平洋戦争時に日本軍を裏切って米軍に情報を流し、三千近い同胞を犠牲にして生き延びた男。終戦時に藤堂兵衛と名を変え、戦後の混乱期に乗じて巨万の富を築き、政財界の黒幕となる。死闘の観戦を唯一の楽しみとして、武道大会天挑五輪大武會を主催。自らも高速移動の拳法奥義瞬キョウ刹駆を体得している。
宋 嶺厳 (そう れいげん)
狼髏館の第十五代館主として天挑五輪大武會に参加する。一見小柄な少年だが、指で弾いた礫で人体を操る必殺技翔穹操弾を駆使して戦うほか、見かけによらぬ怪力も備える。男塾チームの独眼鉄を倒し死に至らしめるが、翔穹操弾をより完全に体得していた桃に敗れる。大武會の後、男塾に入学。
聖紆塵 (ぜうす)
淤凛葡繻十六闘神を率いて天挑五輪大武會に参加した。大豪院邪鬼とは三年前に戦い引き分けた宿敵であり、天挑五輪大武會では邪鬼に死闘の末敗れた。
朱 鴻元 (しゅ こうげん)
史上最強拳法の総本山とされる巌娜亜羅の第五十七代大僧正であり、巌娜亜羅の拳を世に知らしめるため禁を破り厳娜亜羅十六僧を率いて天挑五輪大武會に参加した。桃との大将戦に敗れ、大武會の後に男塾へ入学した。
ファラオ
天挑五輪大武會に出場したP・Sの正統継承者であり、王家の出身を自称する。絶大なカリスマを備え、部下たちは彼を神とも崇め命も惜しまぬ忠誠を貫いている。桃との大将戦に敗れ、大武會の後に男塾へ入学したが、次第に性格と体型が変化しコメディリリーフの役割を担うようになった。
泊鳳 (はくほう)
天挑五輪大武會に出場した梁山泊十六傑の首領を務める、三兄弟の末弟。小柄で剽軽な少年だが、俊敏な動きと敵に対する洞察力を駆使して戦う。Jに敗れ、二人の兄はいずれも死亡する。大武會の後、部下の蒼傑と共に男塾へ入学した。
洪 (ほん)
冥凰島十六士を育成した師範役であり、自らも拳法の達人。冥凰島十六士がことごとく敗れ、自らも正体を隠して大武會に参戦した塾長に敗れたため、潔く責任を取ろうとする。藤堂豪毅により助命されたが、藤堂兵衛により斬首された。
藤堂 豪毅 (とうどう ごうき)
藤堂兵衛の養子であり、天挑五輪大武會では冥凰島十六士の大将を務める。藤堂兵衛の後継者争いで発揮した非情さと、命を賭して戦う者への情を併せ持つ。桃に敗れ、大武會の後に男塾へ入学。養父である藤堂兵衛には一切の情がないと言い、仇である桃とも即座に和解した。
東郷総司 (とうごうそうじ)
桃たちが二号生に進級した時期に新一号生として入学する。入学試験で男塾制覇の野望を掲げ、入学早々に桃へ総代の座を賭けて挑戦した。常に学帽、マント、ゲタという服装をしており、オートバイを自在に操り戦う。
拳皇 (けんのう)
神拳寺の第七十五代当主として拳法界の頂点に君臨する。妻を闇の牙に拉致され男塾と戦うが、修行僧時代からの友にしてライバルだった王大人と戦い、敗れる。
王大人 (わんたーれん)
大威シン八連制覇の司祭として登場し、進行役を果たす。しばしば負傷者を死亡と偽り、陰で完璧な治療を施していた。七牙冥界闘では不在の塾長の代理を務める。神拳寺では自ら拳法と幻術を揮い、拳皇に勝利した。
熊田 金造
塾長、江田島平八の宿命のライバルとされ、学生時代、軍隊時代に体力、頭脳、人物の器量など全ての面において互角だったと言われる。肥満した成金趣味の老人だが、塾生らの勝負判定において潔さも見せている。
伊集 院京介 (いじゅういん きょうすけ)
風雲羅漢塾の総代として桃と貫目を競う。熊田金造に「文武両道、心・技・体あらゆる面において男の頂点を極めた男」と評される好青年。
鄧 罦傑 (とう ふうけつ)
暗殺結社宝竜黒蓮珠の主頭として天挑五輪大武會に参加した。毒蛇を自在に操るショウ家蛇彊拳を使う。Jに敗れ、大武會の後に男塾へ入学した。
集団・組織
男塾 (おとこじゅく)
『魁!!男塾』に登場する私塾。落ちこぼれの不良学生らが、軍人の服装をした教官による時代錯誤なスパルタ教育や、「男塾名物」とされる、理不尽なシゴキや決闘の数々を強いられている。創始者江田島平八によれば、卒業生らは将来、文化・政治・経済のあらゆる分野で日本の舵を取っていく人物になるとされる。
米国海軍士官学校 (べいこくあなぽりす)
『魁!!男塾』に登場したアメリカ海軍の組織。日米安保条約を盾にした高度な政治レベルの要請により、Jをボスとする三十名が男塾へ留学した。一同は当初、男塾側を見下していたが、日米親善撲針愚大会を経て和解する。
関東豪学連 (かんとうごうがくれん)
『魁!!男塾』に登場した、不良学生の組織。関東の一都六県で98校を支配し構成員は千人。総長の伊達臣人に率いられ、男塾に侵攻した。伊達と三面拳が驚ラ大四凶殺で敗れた後、同組織がどうなったかは不明。
三面拳 (さんめんけん)
『魁!!男塾』に伊達臣人の部下として登場した、雷電飛燕月光ら三人組の通称。それぞれ異なる拳法を会得しているが、三人と伊達臣人は何年も生死を共にし、肉親以上の絆で結ばれているという。生死を誓い合った契りの証として三・面・拳の字を記したペンダントを各人が持っている。
死天王 (してんのう)
『魁!!男塾』の登場人物卍丸、センクウ、羅刹、影慶ら四名の通称。男塾三号生として大豪院邪鬼に次ぐ強者とされている。いずれも中国拳法の達人であり、邪鬼に強い忠誠心を抱いている。
鎮守直廊三人衆 (ちんじゅちょくろうさんにんしゅう)
『魁!!男塾』の登場人物独眼鉄、蝙翔鬼、男爵ディーノら三名の通称。いずれも男塾三号生であり、三号生の居棟天動宮の奥の院に至る直廊で番人の役に就く。鎮守直廊を桃たち一号生に突破されるが、汚名返上すべく大威シン八連制覇参加を邪鬼に直訴した。天挑五輪大武會参加の十六名にも加わる。
民明書房 (みんめいしょぼう)
『魁!!男塾』に社名が登場する出版社。『魁!!男塾』ではしばしば中国拳法の奥義や決闘法などが書籍からの引用という体裁で解説されるが、中でも民明書房の書籍が使用される頻度は極めて高い。代表的な書籍は『世界の怪拳・奇拳』。同様の出版社に時源出版、太公望書林、曙蓬莱新聞社などがある。
狼髏館 (ろうろうかん)
『魁!!男塾』に登場した中国拳法の流派。天挑五輪大武會で男塾チームと対戦する。大将は第十五代館主宋嶺厳。
淤凛葡繻十六闘神 (おりんぽすじゅうろくとうしん)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと対戦した組織。紀元前の古代ローマで発達した多種多様な拳法を源流とし、特に武術に秀でた十六名が時の皇帝直属の親衛隊になったと言われる。大将は聖紆塵。
厳娜亜羅十六僧 (がんだーらじゅうろくそう)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと対戦した組織。中国唐代、時の皇帝によりヒマラヤ山脈の奥深くに追放された拳法を起源とする。史上最強拳法の総本山と呼ばれ、アジア全域から選りすぐられた者たちが集められるが、修行を終え下山するのは千人に一人と言われる。大将は朱鴻元。
宝竜黒蓮珠 (ぽーろんこくれんじゅ)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと対戦したプロの暗殺結社。東アジアを発祥とし、現代では世界全域に勢力を持つとされる。構成員は黒色の、主頭と副頭は白色の拳法着に身を包む。大将は主頭・鄧罦傑。
王家の谷の守護者達 (ふぁらお・すふぃんくす)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと対戦した組織。その起源は古代エジプト王朝でピラミッド群を守る最強精鋭の兵士であり、中国拳法とは異質の特殊な格闘術を発達させたとされる。大将はファラオ。
梁山泊十六傑 (りょうざんぱくじゅうろっけつ)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと対戦した組織。大武會で過去三回連続優勝を遂げていた。その起源は中国宋代に豪傑・名将が集った要塞、梁山泊であり、独自の武術が完成されたとされる。メンバーは誇り高く、卑劣な者は自分たちで討つ潔さを備えている。首領は梁皇山艶泊鳳の三兄弟であり、合議制をとっている。
冥凰島十六士 (めいおうとうじゅうろくし)
『魁!!男塾』に登場し、天挑五輪大武會で男塾チームと決勝戦で対戦した組織。藤堂兵衛が財力で世界中から集めた者を、大武會本戦会場である冥凰島にて超近代的トレーニングを施した、最高の殺人格闘集団。大将は藤堂豪毅。
闇の牙 (やみのきば)
『魁!!男塾』に登場する組織。世界中の裏の格闘界を統轄し、格闘家の死闘によるギャンブルの胴元として男塾を七牙冥界闘に引き込む。その実態は藤堂兵衛が持つ組織の一つだった。
イベント・出来事
天挑五輪大武會 (てんちょうごりんだいぶかい)
『魁!!男塾』で開催された武道大会。四年に一度開催され、世界各国から武道家や拳法家が集い、命と名誉を賭けて戦う。1チーム十六人で参加し、一対一、一対複数、複数対複数の対戦も可能。武器は銃器のみ禁じられている。参加チームは予選リーグを勝ち抜き決勝トーナメントへ進み、優勝者は主催者藤堂兵衛直々の表彰を受ける。
七牙冥界闘 (ばとるおぶせぶんたすくす)
『魁!!男塾』で開催された武道大会。格闘家の死闘をギャンブルとする闇の牙が、男塾の塾生たちを世界各地七つの闘場に送り込む新企画として開催した。男塾側は塾長を人質に取られ、不本意ながら参戦する。
場所
魍魎塔 (もうりょうとう)
『魁!!男塾』で行われた武道大会七牙冥界闘の、第一の闘場。南極大陸に建つ五重塔である。闇の牙に金で雇われた戦士たちが塾生たちの相手となる。
王宮への道 (おうきゅうへのみち)
『魁!!男塾』で行われた武道大会七牙冥界闘の、第二の闘場。古代アフリカ伝説の国クロマティノスの、宮殿へ至る道と途中四つの関門を舞台とする。闇の牙に金で雇われた戦士たちが塾生たちの相手となる。最後の敵は闇の牙に洗脳された月光だったが、洗脳が解け男塾に復帰する。
アルカトラズ島刑務所 (あるかとらずとうけいむしょ)
『魁!!男塾』で行われた武道大会七牙冥界闘の、第三の闘場。アメリカでも特に凶暴な死刑囚や無期懲役囚を集めた、絶海の孤島に置かれた刑務所であり、中でもとりわけ凶暴で凶悪な五人が塾生たちの相手となった。
神拳寺 (しんけんじ)
『魁!!男塾』で行われた武道大会七牙冥界闘の、第四の闘場。中国拳法諸派全ての源流であり、聖域とされる寺。雷電ら中国拳法を修める者らはその名を聞くだけで強い畏敬の態度を示した。当主拳皇の妻を闇の牙に拉致され、要求されるまま男塾と戦う。
武幻城 (ぶげんじょう)
『魁!!男塾』で行われた武道大会七牙冥界闘の、第五の闘場。徳川家康が密かに築いたという隠れ城で、徳川幕府影の戦闘部隊としてあらゆる武術の粋が集められた、日本武術の総本山。現代でもその末裔が権力者の手足となっている。その全貌を明らかにする前に、帰還した塾長によって崩壊する。
風雲羅漢塾
『魁!!男塾』に登場する、「東の男塾に西の風雲羅漢塾」と称される私塾。創設者熊田金造と江田島平八の誓いにより、男塾との対抗戦が行われた。
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驚ラ大四凶殺 (きょうらだいしきょうさつ)
『魁!!男塾』に登場した決闘法。出場者四名ずつが鉄球を押しながら富士山を登り、三つの関門と山頂の火口にて、双方の代表一名ずつが死闘を繰り広げる。男塾最大名物にして門外不出、秘伝中の秘伝とされ、三百年の歴史で生還者は塾長のみとされていた。
大威シン八連制覇 (だいいしんぱーれんせいは)
『魁!!男塾』に登場した決闘法。出場者八名ずつが八ヶ岳連峰にある八竜の長城を進み、四つの闘場で双方の代表二名ずつが死闘を繰り広げる。伊達臣人、三面拳を加えた一号生八名と、大豪院邪鬼率いる三号生八名が闘い、剣桃太郎ら一号生が勝利した。