あらすじ
第1巻
太平洋戦争が終結してから数年後。日本軍人の一人として破竹の活躍を見せた江田島平八は、二度と戦争が起きないような世界の礎を築くべく、人材育成機関として男塾を設立する。江田島は、国や有力な政治家とのコネに頼らず、身一つで生徒および教官を探し歩く日々を送っていたが、その豪放磊落(らいらく)な性格と行動で鬼田軍吉(鬼ヒゲ)を教官として招き、さらに国会議事堂や神宮球場で大立ち回りを演じたことで、カクエイやD・トランプなど、のちに有力な政治家となる人材を男塾へと招くことに成功する。これにより、江田島および男塾は知名度を一気に押し上げ、入塾希望者が殺到したため、急きょ男塾入塾試験を開催することになる。第一試験となる「教養灼熱鉄板カルタ」で50人の希望者を選定するが、最終試験となる「東京タワーバンジージャンプ」のあまりに過酷な内容に、棄権者が続出。黒岩剛次、キツネ男、盛田篤の三人のみが挑戦する結果となった。さらに、黒岩は東京タワーから眺める絶景に恐怖して棄権。盛田もまた、計算上あまりに命の保証がないという理由で棄権を決め、キツネ男のみが挑戦し、ただ一人の合格者となった。一方、総理官邸では、江田島を敵視する総理大臣の岸田邦篤が、男塾を壊滅させるための機会を虎視眈々と狙っていた。岸田の側近である山岡はその意思を汲み、内閣公安調査室のメンバーをひそかに男塾に潜り込ませていた。その張本人こそが盛田で、彼は試験生として江田島に近づき、その調査を行うとともに、スキがあれば暗殺を決行しようともくろんでいたのである。さらに山岡は別動隊を男塾に差し向けており、塾舎と塾旗を焼却しようとするが、それを見つけた鬼ヒゲが、一人で校舎を守ろうと奮闘する。江田島は、暗殺者として近づいてきた盛田を返り討ちにし、男塾を守ろうとする鬼ヒゲを救出する。男塾の襲撃犯たちは山岡の運転する車で逃走するが、江田島はそれを追いすがるべく時速50キロもの速度で猛追し続ける。明らかに人間離れした脚力と持久力に、襲撃犯たちは啞然とするが、山岡にとってはそれすらも想定の範囲内で、獰猛(どうもう)な動物が多数放し飼いにされている日本サファリパークへと江田島を誘い込む。
第2巻
男塾の塾舎を破壊し、鬼田軍吉(鬼ヒゲ)を傷つけられたことで怒り心頭になった江田島平八は、襲撃犯の山岡一味を乗せた車を追い、日本サファリパークへと進入する。そしてその先で、サファリパークのサイに襲われるが、逆にサイを手懐けて乗り物として利用し、パークの奥に逃げ込んだ山岡を猛追する。さらに、「サファリの帝王」の異名を持つサファリパークのゴリラが待ち受けるが、彼が虫歯に苦しんでいたことを察すると顔面に一撃を食らわせ、虫歯を吹き飛ばして和解に至る。山岡は、江田島をサファリパークに置き去りにして逃走するが、江田島はすでに車の屋根に乗り込んでおり、結局は岸田邦篤と引き合わせてしまう。岸田にせまる江田島を前に、岸田と密談をしていた加護山が挑みかかるが、江田島は加護山の使う忖度衝波を難なく見破り、岸田から慰謝料として、多額の資金と校舎をゆずり受けることに成功するのだった。こうして男塾の危機は去るが、そんな中、内閣公安調査室を辞めた盛田篤から極等少年院の収容者たちの救出を依頼され、江田島たちは東京湾沖の孤島へと赴く。そして、収容されていた少年たちのまとめ役である枢斬暗屯子と、極等少年院名物「油風呂」の対決を経て意気投合し、力を合わせて極等少年院を解放するために動く。そこに極等少年院の院長である乱凶院光秀が現れ、得意とする先読みで江田島や少年たちを皆殺しにしようとするが、先の先を読んだ江田島に敗れ、その漢気に平服する。光秀から秘密の脱出口を聞いた江田島たちは、少年たちと共に脱出を果たし、かくして少年たちは男塾の塾生として再出発することが決まる。しかしそこに、江田島たちの活躍を聞きつけた関東豪学連の総裁補佐である鷹山邦男が現れ、左翼系学生運動の撃滅のため、男塾に傘下になるように要求する。江田島はこれを跳ねのけるが、さらに全学同盟の委員長である鳩野寿が現れ、とある会社が不正に獲得した3億円の強奪を提案される。窃盗をよしとしない江田島はこれも拒否しようとするが、男塾が資金難であることを理由にこれを引き受けるのだった。
第3巻
鳩野寿と共謀して3億円の強奪を行うことになった江田島平八は、発煙筒をダイナマイトと誤認させる作戦を実行するが、それを見抜いた陳王烈によって必殺技の白刃独摩を受ける。しかし、この攻撃をバイクを利用した攻撃で返り討ちにし、3億円が積まれた車を奪って逃げることに成功する。江田島と鳩野は山奥に逃走し、用意していた車に3億円を積み替えようとするが、そこに関東豪学連の総裁である波瀾万丈丸が現れ、3億円を渡すように要求してくる。蛇轍槍を自在にあやつる万丈丸に対して、江田島は団子の串にありったけの力を込めて立ち向かい、みごと蛇轍槍を破壊することに成功する。万丈丸はこの結果を素直に受け入れ、おのれの傲慢を恥じるとともに切腹をして果てようとするが、その漢気に感じ入った江田島自らの手で止められる。江田島と万丈丸の前で、鳩野は3億円が入ったとされるケースを開くが、そこにあったのは現金ではなく、有害な電磁波を放出するサン・オーケンだった。鳩野の真の狙いがサン・オーケンの破壊であることを察した江田島は、協力を申し出た関東豪学連を伴い、鳩野の本拠地である安田講堂へと向かう。刃すら通さないほどの、尋常ではない硬さを誇るサン・オーケンに江田島も苦戦を強いられるが、一晩かけて氣を練り上げた渾身の頭突きで、ついに破壊に成功する。江田島は電磁波の影響で頭髪をすべて失うものの、さらなる強力な力を手に入れ、サン・オーケンを奪還するために襲撃してきた王烈をパンチ一撃で撃退した。一方、江田島を恨む岸田邦篤は、極等少年院が爆破されたことで江田島たちが死亡したものと見なしていたが、極等少年院の院長の乱凶院光秀から、江田島たちが無事であったことを聞かされ、さらにかつて収容されていた少年たちの社会復帰のため、恩赦を与えるように要求される。激怒した岸田は一度は光秀を追い払おうとするが、担げずの神輿を屋敷まで担いでくれば恩赦を与えることを宣言する。これを受けた江田島は、少年たちを伴って担げずの神輿を運ぶが、そこに岸田が差し向けた春日井上等兵が立ちはだかる。
第4巻
極等少年院に収容されていた少年たちの恩赦を得るため、江田島平八と少年たち、そして真実を知って改心した春日井上等兵は、担げずの神輿を岸田邦篤の住む屋敷の目前まで運ぶことに成功する。しかしそこには、最強の力士と名高い魔神丸が待ち構えていた。仙人の進言により、春日井と魔神丸で相撲を取り、春日井が勝利した場合は、岸田が神輿の運搬が成功したと認めることが決まる。頭の皿が割れかけたことですでに力の大半を失っていた春日井は、魔神丸に苦戦を強いられる。しかし、男塾塾生たちの体を張った血闘援を受けることで奮起し、捨て身の大技で魔神丸に勝利する。岸田はなおも、江田島の父親である江田島國義にかつて恥をかかされたことへの恨み言を口にするが、実際は國義が岸田を思いやる故の行動だったと仙人から聞き、ついに江田島親子への恨みを捨てる。岸田の改心によって、極等少年院に収容されていた少年たちは恩赦を得て、正式に男塾の塾生として再起。さらに、かつて江田島に懲らしめられた飛行帽と鉄カブトを教官として招き、国城洋一から制服を、古賀彗星から塾歌を提供されるなど、さらに勢力を伸ばしていく。そんな中、訪れた岸田と光秀から、発見された新島の領有権を巡って、中国とソ連との格闘試合が行われることを告げられる。江田島を日本最強の格闘家と見込んだ二人は、試合に参加して新島の領有権を勝ち取ってほしいと懇願し、それを引き受けた江田島は単身で新島へ渡り、中国の代表である王炎連と、ソ連の代表であるイワノフと顔を合わせるのだった。そして、審判のフェルディナント伯爵によって、第一試合は日本対ソ連の組み合わせに決定する。
第5巻
新島の領土を懸けた格闘大会の第一試合。日本代表として選出された江田島平八は、ソ連有数の戦士であるイワノフと拳を交える。イワノフは、同志であるプーチャンから受け取っていたドリャペンコを使い、狼男へと変身する。そして、自慢の牙で江田島の頭を食い破ろうとするが、溶岩に浸すことで高熱化させた頭には狼の牙すら通じず、頭突きの一撃でイワノフを敗退させる。フェルディナント伯爵は、イワノフが戦闘不能になったことで日本と中国の代表で決勝戦を争うことを決めるが、これに不服を唱えるイワノフは、傷ついた体で中国代表の王炎連に攻撃を仕掛ける。しかし、神拳寺超奥義「重念力」によって手も足も出ず、負けを認める。炎連が旧友である王大人の息子であることを知った江田島は、炎連の力に敬意を払いつつ立ち向かい、炎連が使う最強の必殺技である神拳寺秘奥義「念豪傑」を打ち破る。フェルディナント伯爵は日本の勝利と、新島の領有権を認めるが、そこに三国の軍艦が現れ、新島の領有権を主張して砲撃戦を繰り広げようとする。江田島は、醜い争いの道具になるなら新島など必要ないと判断し、氣を込めた頭突きで新島を粉々に破壊する。さらに、イワノフと炎連が入塾を希望したことで、男塾はますますの盛況を見せる。一方、ソ連はイワノフが敗北したことを受けて、江田島こそが地球上で最もすぐれた格闘家であることを確信し、クローン兵団をつくるために彼の身柄を抑える作戦を決行する。その一環として、工作員のカメレネーゲフを江田島のかつての思い人であった森田幸子(サッコ)に化けさせ、モスクワに誘導しようともくろむ。しかし江田島は、最初からカメレネーゲフの能力を見破っており、サッコを利用された怒りをぶつけると、話をつけるためにモスクワに連れていくように要請する。モスクワの大統領府にたどり着いた江田島を待ち構えていたのは、かつてイワノフにドリャペンコを与えたプーチャンだった。彼は江田島に対して柔道の勝負を挑み、自分が負けた際には望みを一つ叶えると約束し、江田島はこれに対して北方領土の返還を要求する。江田島はモスクワまで駆け付けた男塾の塾生たちの応援で奮起するが、対するプーチャンも竜巻投げ改「死鳥の湖」を放ち、江田島を苦戦させる。
第6巻
江田島平八とプーチャンの柔道勝負は引き分けに終わる。江田島は、北方領土をいつの日かもらい受けると宣言すると、男塾の塾生と共にブレジネフが用意した船で日本に帰ろうとする。しかしブレジネフは、キューバに建設した基地を巡ってジョン・F・ケネディと暗闘しており、これに江田島と男塾を利用することを決めていた。核ミサイルの運搬を強制された江田島はブレジネフに憤るものの、塾生の安全を考えてひとまず従うことを決める。そして、アメリカ海軍の妨害を受けながらもキューバにたどり着くが、受取人であるイワンに先んじて、島の中に核ミサイルを隠す。そして、キューバの秘密基地を発見するが、イワンの襲撃を受ける。塾生をあらかじめ逃がしていた江田島は、イワンを退けるが、別行動を取っていた塾生たちはアメリカ海軍特殊部隊「シールズ」の襲撃を受け、セメントで固められた砂浜に首より下を埋められてしまう。さらに、ピラニアガニをけしかけられて拷問を受けるが、逆にピラニアガニを食らうことで耐えきる。これを見ていたチェ・ゲバラは、塾生たちの根性を認め、彼らを育て上げた江田島と核ミサイルを巡って決闘を行う。一進一退の攻防が続くが、そこにケネディが現れる。ケネディは江田島に核ミサイルの譲渡を求めるが、江田島はこれを拒否する。しかし、そこに核ミサイルのコントロールを奪ったイワンが現れ、塾生やケネディもろとも爆発させようとする。江田島はイワンを倒し、核ミサイルを誰にも被害が及ばない場所に運搬し、爆発させる。これがきっかけで、10年以上にわたって行方不明となった江田島は、死亡したと判断されて男塾も解散となった。しかし江田島は死んでおらず、爆発の衝撃によってなぜか未来の世界へと飛ばされていた。そこでは男塾は健在で、塾生の筆頭である剣桃太郎(桃)が、日本政府のトップに居座って暴虐の限りを尽くしている英愛が差し向けた軍と戦っていた。江田島は桃に加勢し、最強の兵士であるジャキを撃破する。そして、桃たちの生きざまにかつての仲間たちの姿を見た江田島は、男塾とそこで培われる精神は永遠に不滅であることを確信し、元の時代へと帰還するのだった。
関連作品
本作『真!!男塾』の関連作品として、『魁!!男塾』『暁!!男塾 青年よ、大死を抱け』『極!!男塾』がある。いずれも本作のあとの時代が舞台となっているが、本作の主人公である江田島平八も登場している。なお、本作終盤に登場する剣桃太郎や赤石剛次は『魁!!男塾』の登場人物だが、これらの関連作品では設定が異なっており、日本政府と戦いを繰り広げている。
登場人物・キャラクター
江田島 平八 (えだじま へいはち)
男塾の創設者であり、塾長を務めている男性。年齢は33歳。「俺が男塾塾長、江田島平八である!!」が口癖で、男塾の塾生や教官を助けに行くときや、悪党を成敗する際に叫ぶことが多い。豪放磊落(らいらく)な性格で、他者が漢気を見せたり、不思議なことが起こった場合などによく笑う。さらに、豪快ながらもつねに他者を思いやる優しさを持つことから、男塾の塾生たちからは例外なく慕われており、盛田篤や波瀾万丈丸、王炎連のように、当初は敵対しながらも、江田島平八の人柄に惚れこんで男塾に入塾する者も多い。車を追いかけて時速50キロ以上の速度で長い距離を走ったり、足を銃で撃たれても走れたりするなど、でたらめとすらいえる身体能力を誇る。また、親友である王大人に師事したことで、神拳寺と呼ばれる中国拳法を体得している。かつて軍人として太平洋戦争に参加した時も、各地で破竹の活躍を見せており、マッカーサー元帥はジョン・F・ケネディに対して「江田島平八が日本に三人いたら、連合軍は負けていた」と語った。しかし、原子爆弾や東京大空襲などで多くの被害を受けたことから、二度と戦争や大量破壊兵器の実用などが行われない世界を心から願っている。男塾を創設したのも、のちに日本や世界を背負って立つ人材を育成するのが狙いである。その狙いは功を奏し、実際にカクエイやD・トランプなど、政界に進出して成功をおさめた生徒を多く輩出する。サン・オーケンの破壊を依頼された際は、鋭利な刃ですら傷一つ付けられないことから苦戦していたが、一日かけて練り上げた氣を頭部に集中させ、渾身の頭突きを見舞うことで破壊に成功する。しかし、その際に生じた電磁波が肉体に作用し、頭髪がすべて抜け落ち、二度と生えなくなってしまう。その一方で、マグマの中に落ちても平気になるなど、身体能力はますます向上する。
鬼田 軍吉
男塾の教官を務めている男性。いかつい顔とあごに蓄えられたヒゲが特徴で、江田島平八などからは「鬼ヒゲ」と呼ばれている。太平洋戦争では軍人として活動していたが、日本が敗北してからは、戦場で拾った道具を細々と売りさばくなど、くすぶった日常を長きにわたって過ごしていた。そんな中、飛行帽や鉄カブトによるテロ行為に巻き込まれるが、通りがかった江田島によって助けられる。これをきっかけとして江田島に惚れこむとともに、彼が男塾の塾生や教官を募集していることを知り、鬼田軍吉自らも教官になりたいと願い出て、無事に採用された。こういった経緯から、男塾および江田島への思い入れは非常に強く、山岡とその部下に男塾を襲撃されて火を放たれた際には、全身が炎上するほどのやけどを負いながらも塾旗を守り抜き、一時は生死の境をさまよいながらも、江田島の雄たけびによって意識を取り戻す。また、塾歌の曲を作ってもらうために古賀彗星のもとを訪れた時も、すげなくあしらわれつつも数日にわたって待ち続けるなど、非常に高い忍耐力を誇る。
カクエイ
土木作業員として活動していた青年。ブルドーザーを使いこなすうえに、たくましい体軀を誇ることから「人間ブルドーザー」の異名で呼ばれている。山奥の豪雪地帯出身で、田舎と都会の格差の是正を志す。その方法として、日本全土を交通網で結ぶべく、政治家になりたいという夢を持つ。ある時、終戦のどさくさでブッキングしてしまった土地の権利書を巡り、江田島平八と直進行で争う。その際、国会議事堂に到達したことからカクエイ自身の夢を江田島に話す。さらに、江田島にあこがれていたことを明かし、彼からのスカウトを受ける形で男塾に入塾した。一期生の初期メンバーということもあって活躍の場が多く、極等少年院やモスクワなど、多くの場所で戦い抜き、江田島の勝利に貢献した。男塾の解散後は、当初の志どおりに政治家に転身し、数々の政策を打ち出して大物として名を挙げた。のちに、「男塾、それは松下村塾などとはまったく異質なものであった。だが、玉石混淆、集った男たちは皆熱い眼をしていた」との名言を残す。実在の人物、田中角栄がモデル。
D・トランプ
大物政治家である父親と共に来日した、アメリカ人の少年。弱冠12歳ながら、母国に対する愛情は非常に強い。江田島平八のことを父親から聞き及んでおり、一目置いている。しかし、男塾を創設した理由を、日本を再び軍国主義に戻すためだと誤解し、そのことから江田島に対して敵意を抱く。そして、後顧の憂いを絶つために彼を抹殺して男塾を潰そうと考え、日本とアメリカによる異種格闘技大会に呼び寄せる。当初は岩を斬るパフォーマンスの際に模造刀を渡して失敗に追い込もうとしたり、レディ・ジャイアントと戦わせるなどの手段で恥をかかせようとしたりするが、そのことごとくが失敗に終わる。この結果に業を煮やし、自らリングに上がってPOISON SHOT MATCHで決着をつけるように持ち掛けた。その際にイカサマが発覚したことで父親から叱られ、さらに精神を鍛え直すために男塾への入塾を余儀なくされる。入塾当初は不満を覚えていたが、共に戦い抜くうちに、塾生たちや江田島に強い信頼を感じるようになった。男塾の解散後はアメリカに帰国し、父親の跡を継いで政治家として活動する。その結果、第45代アメリカ合衆国大統領に選出される。就任式では江田島を主賓として招待し、開口一番「押忍!!」と叫んだ。実在の人物、ドナルド・トランプがモデル。
レディ・ジャイアント
神宮球場で行われた日本とアメリカの異種格闘技大会に参加した、アメリカ人の男性レスラー。D・トランプの策謀によって、江田島と対戦することになる。女性のような外見だが実際は男性で、江田島平八の二倍以上の体軀を誇る。女性に対して本気になれないという江田島に対して、「自分を女性と思う必要はない」と返すなど、女装に対してはあまりこだわりを持っていない。実力は非常に高く、江田島との戦いでは彼が乗り気でなかったということもあり、人間ハエタタキや巨乳プレスなどの必殺技で彼を追い込む。しかし、汗で化粧がはがれたことから女性としての特徴を失い、本気を出した江田島のジャイアントスイングを受けることで敗北した。
黒岩 剛次
男塾への入塾を志望し、男塾入塾試験を受けた青年の一人。筋骨隆々とした体つきで、博多弁を使う。一次試験を突破し、二次試験が東京タワーからのバンジージャンプであることを知らされた際も逃げ出すことなく、キツネ男や盛田篤と並んで、東京タワーの屋上へと足を運ぶ。しかし、タワーの屋上に到達すると、あまりの高さに恐怖心を抱いて気絶する。これによって棄権という扱いになり、入塾できずに終わった。
キツネ男
男塾への入塾を志望し、男塾入塾試験を受けた青年の一人。つねに狐の仮面をかぶっている。本名は不明だが、「キツネ男」の名を自称している。優れた知能と巧みな身のこなしが特徴で、男塾入塾試験の第一試験「教養 灼熱鉄板カルタ」では、最も難しいとされる問題を簡単に解き明かしたうえに、できるだけ鉄板に触れないように動いてカルタを取り、ほぼ無傷でクリアした。その様子はほかの試験生はもちろん、カクエイなどの塾生からも賞賛された。また、江田島平八からは「格闘系の動きではない」と称されるなど、とりわけ謎に満ちた存在としても話題となる。第二試験では、黒岩剛次、盛田篤と共にバンジージャンプに挑戦すべく東京タワーへと向かい、三人の中で唯一、実際に飛んで無事に成し遂げる。そして、心技体が優れていると江田島からも絶賛され、唯一の合格者となった。その正体は、歌舞伎の心得を持つ役者で、ゆくゆくは市川團十郎の名前を襲名することを志している。男塾への入塾を希望したのも、心身ともに鍛え上げて、優れた役者として大成するためである。
盛田 篤
男塾への入塾を志望し、男塾入塾試験を受けた青年の一人。小柄な体型で体力にも恵まれておらず、眼鏡を掛けていることもあり、ほかの試験生と比較すると強そうに見えない。つねにそろばんを持ち歩いており、事あるごとに独自の計算を行ってから物事に着手するという奇妙な癖を持つ。一次試験を突破し、第二次試験のバンジージャンプを行うべく、黒岩剛次やキツネ男と共に東京タワーの頂上へと赴く。しかし、いざ試験が開始されると、成功率が低いという理由であっさり棄権してしまう。その正体は、内閣公安調査室に所属する工作員。男塾を潰そうともくろむ岸田邦篤の命令によって入塾試験に潜入し、江田島平八の暗殺を遂行しようと企てている。試験が終了したタイミングを見計らって江田島を襲撃したが、彼には殺気を読まれており、返り討ちに遭う。さらに、避雷針にロープを巻き付けて東京タワーの頂上から男塾のある場所へと飛んでいくというとんでもない芸当を見せつけられ、これをきっかけに江田島に惹かれるようになる。のちに内閣公安調査室を辞職し、かつて入所していた極等少年院の解放を江田島に依頼する。さらに、男塾への入塾を認められ、塾生の一人として再起の道を歩んだ。
岸田 邦篤
戦後の日本で内閣総理大臣を務めている男性。風格があるが、性格は下劣で目的のためなら手段を選ばない。かつては日本海軍に所属しており、江田島國義とは同僚として懇意にしていた。しかしある時、軍のレクリエーションの一環として行われた相撲で國義に敗れ、その際に海に投げられたことで強い屈辱を覚える。それ以降は一転して國義を敵視するようになり、見返すチャンスを得るために努力を重ねて現在の地位を勝ち取った。しかし、國義に対する怒りは一向におさまらず、彼の死後も、その息子である江田島平八へと矛先が向けられる。平八が男塾を立ち上げると、それを潰したうえで平八自身も始末しようと画策し、山岡や盛田篤などの部下を差し向ける。しかし彼らの襲撃は失敗に終わったばかりか、平八自ら総理官邸に殴り込みをかけられる。さらに、岸田邦篤の息がかかった議員の加護山も敗れたことで、やむなく慰謝料を支払うことで手を打った。平八との敵対関係はその後も続き、加護山や息子である乱凶院光秀にも離反されたことで、ついに怒りが最高潮に達する。そして、極等少年院に収容されていた少年たちの恩赦をエサに、男塾の塾生たちに担げずの神輿を運ぶことを要求した。さらに、春日井や魔神丸に妨害を指示して、今度こそ江田島と男塾を潰そうともくろむ。しかしその中で、仙人から國義の真意を聞いたことで改心した。それ以降は男塾の協力者となり、その一方で中国やソ連との領土問題の解決を依頼するなど、持ちつ持たれつの関係となる。
山岡
内閣公安調査室の室長を務めている男性。岸田邦篤の部下で、彼の命令を忠実に遂行する。江田島平八と男塾を潰すことを依頼されると、工作員である盛田篤を男塾入塾試験に潜り込ませ、山岡自身は江田島のいなくなった男塾へと乗り込み、部下と共に塾舎を破壊しようとした。しかし、鬼田軍吉によって阻まれ、そのあいだに駆けつけてきた江田島から攻撃を受ける。敵わないと考えて即座に車に乗り込んで撤退するが、単に逃げるだけでなく、走って追いかけてくる江田島を日本サファリパークに誘い込んで翻弄した。さらに、サファリパークのサイやサファリパークのゴリラをけしかけ、そのスキを突いて銃撃し、負傷させることに成功する。その際に江田島の動物とすら心を通じ合わせるカリスマ性に畏敬の念を覚えつつも、そのまま置き去りにしようとするが、既に江田島は車の上に張り付いており、結果的に岸田の邸宅に招き寄せる羽目になってしまう。
サファリパークのサイ
日本サファリパークに生息している、性別不明の大型のサイ。日本サファリパークで、山岡におびき寄せられた江田島平八に、出会い頭に強烈な頭突きを食らわせようとするが、角をつかまれて巴投げを決められ、江田島に平服して彼の乗り物代わりにされる。そのまま山岡たちの乗り込む車を猛追し、それに気づいた山岡の部下に銃で撃たれそうになるが、江田島に身を挺してかばわれ、彼が足を負傷する結果となった。その後、江田島がサファリパークのゴリラに襲われて絶体絶命の危機に陥ると、かばってもらった恩を返すべく、サファリパークのゴリラに背後から体当たりを見舞い、江田島の勝機をつくる。
サファリパークのゴリラ
日本サファリパークに生息している、性別不明の巨大なゴリラ。山岡からは最強の動物と言われ、おびき寄せた江田島平八を始末するための切り札として利用される。サファリパークのサイを手懐けつつも足を負傷した江田島の前に現れ、圧倒的な腕力と体格を生かして彼を追い詰める。傷ついた江田島を防戦一方に追い込むほどのラッシュを繰り出すが、江田島に恩を感じていたサファリパークのサイの攻撃を背後から受けることでバランスを崩し、そのスキを突いた江田島の渾身のストレートを顔面に当てられた。しかし、実際は温厚な性格の持ち主で、江田島を襲った理由も虫歯による痛みで我を忘れたためだった。江田島の一撃は虫歯を抜くためのもので、これによって痛みから解放されたサファリパークのゴリラは江田島に対して、笑顔でサムズアップすることで感謝の意を示した。これを見ていた山岡は、江田島が動物すら魅了するカリスマ性を発揮したことにある種の敬意を見せた。
加護山
岸田邦篤内閣の議員として活動する、政治家の男性。合気道の達人で、武道を学ぶ学園を創設しようとしている。その手始めとして、加護山夫人と共に岸田に取り入り、その力を使って国有地を安く買い取った。岸田と密談している最中、男塾を襲撃されたことに激怒した江田島平八が乱入したため、岸田を守るべく江田島と対決する。合気道の技に加えて忖度衝波で江田島の動きを封じて優位に立つが、江田島に忖度衝波のカラクリを暴かれ、敗北した。さらに、江田島の手によって買い取った国有地を奪われ、男塾創設のための土地として利用されてしまう。それからも、江田島不在のスキをついて土地を取り返しに行くものの返り討ちに遭うなど、煮え湯を飲まされ続けるが、やがて江田島や男塾の塾生たちが見せる漢気に感化され、岸田に反旗を翻した。実在の人物、籠池泰典がモデル。
加護山夫人
加護山の妻。夫と同様に政治方面に精通しており、夫婦そろって内閣総理大臣の岸田邦篤と私的なつながりを持っている。吹き矢の名手でもあり、加護山の忖度衝波を陰ながら支援し、加護山と相対して江田島平八を苦しめたこともある。当初は加護山と同様に、男塾や江田島を敵視していたが、加護山が岸田に絶縁宣言をすると、共に離反した。実在の人物、籠池諄子がモデル。
枢斬 暗屯子 (すうざん あんとんこ)
極等少年院に収容されている少年たちを束ねている、性別不明の若者。非常に大柄で筋骨隆々としているが、女性らしき特徴もわずかに備えている。極等少年院に収容されていた仲間の数人が不審な死を遂げたことに疑心を抱き、それが院長である乱凶院光秀の差し金であると確信すると、残った大勢の仲間たちを率いて暴動を起こした。そこで、極等少年院を解放しようとする江田島平八と出会い、協力を申し出られる。当初は彼のことも信用していなかったが、極等少年院名物油風呂による対決を通じて彼の器を認め、乱凶院を倒すために共闘した。その結果、極等少年院の解放を成し遂げることに成功し、ほかの仲間たちと共に男塾に入塾する。優れた腕力とリーダーシップを持つため、他者に頼られることが多く、江田島からは男塾の初代生徒会長に任命される。しかし一方で、枢斬暗屯子自身は頼られるより頼りたいという性質を持っていることから、優しくされるとほぼ無条件で好意を抱く傾向にある。中でも、波瀾万丈丸に対しては、外見のよさもあって好意を寄せており、優しくされた理由が、昔飼っていたイグアナに似ていると明かされてからも、頼りにしていた。
乱凶院 光秀 (らんきょういん みつひで)
極等少年院の院長を務めている青年。岸田邦篤とその妾の子で、互いに一定の評価と信頼を向け合っている。逆らう者に対しては容赦なく制裁を下す冷徹な性格の持ち主。さらに、極等少年院の院生たちを拳法の練習台に使うことで殺害したこともあるなど、非道な一面がある。将棋が非常に強く、名人の一人を打ち負かしたどころか、それまでの道筋すら完全に読み当てるほどの先読みの才能を持つ。また、中国拳法の腕に秀でるほか、刀の扱いも傑出している。江田島平八と枢斬暗屯子が結託して極等少年院を解放した際にも、両者を始末することで戦意を奪い、暴動を鎮静化させようとする。平八から一対一の対決を挑まれ、十七手で始末をつけることを予告しつつ、刀を手に襲い掛かる。傷ついた暗屯子をかばわざるを得ない状況に追い込んだり、刀に油をぬって白羽取りを封じたりするなど、姑息ながらも有効な手段をもって江田島を苦しめる。しかし、暗屯子の奇策によって予測が大きく狂い、そのスキを江田島に突かれて敗北した。敗北後は潔く降参し、これまでの所業から殺されることを覚悟したが、江田島によって助けられる。このことをきっかけに改心し、恩返しとして、岸田に対して極等少年院に収容されていた少年たちに恩赦を求めるための行動を起こした。
鳩野 寿
全学同盟のリーダーを務めている青年。活動のために資金を欲しており、江田島平八に対して、共に大物政治家が不正な手段で獲得した3億円を奪い取る計画を持ちかける。そして、襲撃してきた陳王烈を江田島が退け、首尾よく強奪したトランクを持って、江田島と共に山に逃走する。しかし、3億円の強奪は建前でしかなく、トランクの中に入っていたサン・オーケンの破壊こそが真の目的だった。江田島の力を持ってすら、サン・オーケンを破壊するのは難しいとされていたが、鳩野寿自身は江田島を信じ続け、彼が実際に成し遂げたことを知った際は、無上の喜びを感じていた。なお、その過程で波瀾万丈丸との和解も成し遂げ、学生運動も完遂させた。万丈丸と異なり、男塾に入塾することはなかったが、江田島には最後まで深い感謝の念を抱き続けた。
鷹山 邦男
関東豪学連の総裁補佐を務めている青年。全学同盟との抗争に決着をつけるため、男塾の力を借りるべく江田島平八と話を付けようとした。右翼団体と左翼団体の争いにまったく興味のない江田島からは、すげなくあしらわれたため、やむなく銃で脅そうとする。しかし、逆に撃ってこいと挑発されたことで実際に発砲してしまうが、口で銃弾を受け止めるという離れ業を披露され、手に負えないと判断してあきらめた。
波瀾 万丈丸
関東豪学連の総裁を務めている青年。左翼系団体の筆頭である全学同盟の鳩野寿と因縁を持ち、決着をつける機会をうかがっている。男塾や江田島平八のことを高く評価しており、総裁補佐の鷹山邦男に対して彼らと話をつけるように命令する。しかし、江田島がほかの組織に服従するとは最初から考えておらず、鷹山から失敗の報告を受けても、想定の範囲内だったために冷静な様子を崩さなかった。だが、のちに鳩野が江田島と接触したことを聞くと、その目的を見極めるために部下を連れて二人を追跡する。そして、その目的が3億円の強奪らしいことを知り、そのもくろみが成功したことを確認すると、彼らの目的地に現れてトランクを奪おうとした。江田島との戦いでは蛇轍槍と呼ばれる槍を自在に振るい、変則的な攻撃で彼を追い詰めようとする。しかし、江田島が氣を込めた串による一撃で蛇轍槍を破壊され、敗北する。のちに鳩野の目的が3億円ではなく、サン・オーケンの破壊であることを知ると、右翼と左翼の争いとは関係ないと考え、協力の意思を示す。そして、江田島がサン・オーケンの破壊に成功すると、あらためて鳩野と和解して関東豪学連を解散させる。その後は一生徒として男塾に入塾し、仲間たちと共に戦い抜いた。卒業後は、全国各地に支部を持つ格闘道場の総帥として活動している。
陳 王烈
大手会社の警備を務めている、中国人の男性。かつて蒋介石の警護主任を務めていたこともあり、戦闘能力や状況判断にも長けている。会社の社長が不正に獲得した3億円を護衛し、それを奪おうと奇襲をかけた江田島平八と対決する。二刀を巧みにあやつる剣術の使い手で、必殺技の中国拳法奥義「白刃独摩」を使って江田島を仕留めようとする。しかし、上空からの攻撃に対応できないという弱点を見抜かれて敗北する。なお、表向きは3億円の護衛任務という形になっているが、実際はサン・オーケンの密輸を目的としている。そのため、奪われたサン・オーケン奪還のために男塾へと襲撃をかけるが、電磁波の影響で大幅にパワーアップした江田島の敵にはなりえず、二度目の敗北を喫した。
江田島 國義
江田島平八の父親。海軍に所属しており、岸田邦篤とは戦友の間柄だった。しかし、艦内レクリエーションの一環として開催された海上相撲大会で岸田を倒し、艦から海に落としたことで、恥をかかされたと恨まれるようになる。そして、結局関係を修復できないまま戦死し、さらに息子の平八に対しても敵意を抱かせる結果となってしまう。しかし実際は、敗北を糧に成長してほしいという友情から行ったもので、のちに岸田がそれを知ったことで、江田島親子への敵意を払拭させるに至る。
春日井 (河童壱号)
かつて日本海軍に所属していた青年。強い愛国心を持ち、自分の身を投げうってでも国の役に立ちたいと考えていた。そして、自分の体を改造するように申し出て、カッパの生体を移植したことで身体機能を強化し、「河童壱号」のコードネームを獲得するに至る。常人を軽々と弾き飛ばすほどの怪力を誇るうえに、水中を自在に移動できるなど優れた能力を数多く持つ。ただし、頭頂部の中心に備えられた皿を傷付けられると、身体能力が大幅に低下するうえに、その状態で放置しておくと死に至る危険もある。男塾の担げずの神輿の運搬を妨害するために岸田邦篤に雇われ、江田島平八と対決する。戦いの中で、江田島は戦争の再開を望んでいると思い込んでいることや、それが岸田から吹き込まれたウソであることが判明する。これによって戦いを中断し、真偽を問いただすために男塾の塾生と共に岸田の邸宅へと向かうが、その場であっさりと一蹴されたことで、春日井自身も岸田を見限り、男塾へ協力することを決める。さらに、担げずの神輿運搬の成否を相撲で決着させることが決まり、男塾代表として魔神丸と激しい戦いを繰り広げた。その中で皿が破損し、命にかかわる重体となるが、仙人の尽力によって一命を取り留めた。
魔神丸 (史上最強の横綱)
「史上最強の横綱」と恐れられている、力士の男性。実力は確かだが酒癖が非常に悪く、巡業先で傷害事件を起こし、岸田邦篤の力によって謹慎のみで済まされたことがある。その一件から岸田に恩義を抱くようになり、岸田もまた魔神丸を頼りにしている。男塾による、担げずの神輿の運搬を妨害すべく、護衛の一員として岸田の邸宅の前で江田島平八たちを待ち受けるが、仙人の進言から春日井と相撲を取り、彼が勝ったら運搬の成功を認める約束が交わされた。史上最強の横綱の異名は伊達ではなく、春日井の放った渾身の張り手すら通じず、逆に張り手で大きな打撃を与える。反撃のカッパ締めを受けるなど一進一退の攻防を繰り広げつつも、頭部の皿も負傷させて窮地に追い込む。しかし、男塾の塾生たちによる血闘援を見ることで奮起した春日井の上手投げを受け、敗れ去った。
仙人
担げずの神輿が奉納されている神社に、突如として現れた老年の男性。穏やかな雰囲気と物腰が特徴的な好々爺だが、瞬間的に姿を現したり消したりするなど、どこか得体の知れないところがある。一方で、岸田邦篤は仙人を知っているような素振りを見せる。神輿を担ごうとする男塾の塾生に対して、担げずの神輿は力任せに持ち上げることはできず、全員の心が一つになったとき、初めて持ち上げることができるという旨の発言を行い、江田島平八から感心される。しかしその発言を最後に、江田島すら気づかないうちに姿を消す。それからしばらくのあいだは姿を見せなかったが、担げずの神輿を運搬した塾生たちが岸田の邸宅にたどり着くと、再び姿を現す。そして、春日井と魔神丸の相撲対決を提案したり、岸田に対して江田島國義の真意を語るなど、男塾と内閣の融和に一役買った。
国城 寿一
江田島平八の、兵役時代の戦友。徴兵される前は腕のいい仕立屋職人だったが、太平洋戦争の末期に、江田島もろとも玉砕を前提にした守備隊に配属されてしまう。しかし、まもなく子供の国城洋一が生まれることを知る江田島が、洋一のために仕立てた子供服を本土まで届け、結果的に敵機の大群を引きつけたことから命拾いした。戦争が終わると、再び仕立屋に戻ることを宣言。さらに、江田島が男塾を創設する意思を語ると、その制服を仕立てる約束を交わした。それ以降、江田島と連絡を取り合うことはなかったが、男塾の運営が軌道に乗り始め、制服の必要が出てきたことから、江田島の方から国城寿一と会うべく、行方を捜される。その結果、衣料品の製作および販売を展開するメーカー「クニシロ」を立ち上げ、社長に就任したことが判明する。しかし、5年前に他界していることが発覚し、再会することはかなわなかった。
国城 洋一
国城寿一の息子。衣料品の製作および販売を展開するメーカー「クニシロ」の社長を務めている青年で、父親のことを尊敬しており、彼のあとを継いで会社をさらに盛り立てようと励んでいる。一方、アナクロな考え方を嫌っており、寿一の戦友であった江田島平八が訪ねてきた際は、彼のことを知っていながらも、自分には関係ないとそっけない態度で追い返す。しかし、そのすぐあとに寿一からの手紙を発見し、江田島は寿一のみならず、洋一にとってもかけがえのない存在であったこと、そしてデザインした製図を基に、洋一に男塾の制服を仕立ててほしがっていることを知り、自らの頑なさを改めるとともに、江田島へ敬意を抱く。さらに、後日開催されたファッションショーに江田島を招き、その場で男塾の制服をお披露目した。
飛行帽
相棒の鉄カブトと共に戦時中の兵器を悪用し、テロ行為を繰り返している男性。パイロット用の帽子をかぶっていることから「飛行帽」と呼ばれている。不発弾を使って路面電車とその乗客を人質に取り、1億円もの金銭を要求する。しかし、江田島平八の体を張った行動によって阻止され、警察に逮捕された。その後釈放されるものの、今度は戦車を使って男塾を襲撃するという暴挙に出る。しかし、これも江田島によって阻まれ、自らの死を望むそぶりを見せる。そして、死に急ぐ理由を尋ねる江田島に対し、戦前に教師を務めていたことと、教え子たちをむざむざ戦場に送り込んで死なせてしまい、その罪悪感から自暴自棄になってしまったことを明かした。その後は再び警察に逮捕されるが、江田島の尽力によって短期で出所することが決まり、さらに男塾の教官として迎え入れられた。それからは、江田島への恩義に報いるため、男塾の塾生たちを厳しくも情熱的に指導し続けた。
鉄カブト
相棒の飛行帽と共に戦時中の兵器を悪用し、テロ行為を繰り返している男性。鉄でできた兜を身につけていることから「鉄カブト」と呼ばれている。路面電車を人質に取った金銭目的のテロや、男塾への襲撃などの暴挙を繰り返すが、いずれも江田島に阻止され、警察に二度にわたって逮捕される。その理由は、戦前に教師を務めていたものの、教え子たちをむざむざ戦場に送り込んで死なせてしまい、その罪悪感から自暴自棄になってしまったためであった。しかし、江田島の尽力によって短期で出所し、さらに男塾の教官として迎え入れられた。
ケン・暮囲
かつて極等少年院に送られていた少年で、現在は男塾に所属している。在日米軍の父親と日本人の母親のあいだに生まれたハーフ。父親ゆずりの浅黒い肌とパンチパーマで、鋭い眼光が特徴。ボクシングの世界チャンピオンを目指しており、男塾で修業を積むことで、ボクサーとしての基礎体力を着実に高めている。江田島平八からは、技術面を評価されているものの、精神面においてまだ未熟であると評されている。父親はアメリカに帰国しており、母親とも連絡が取れず、寂しい思いをしている。世界チャンピオンを目指しているのも、母親に一目会いたいからという理由が大きい。1年前に極道組織の極羅句組から因縁を付けられるものの、逆に返り討ちにしたことから過剰防衛と見なされ、極等少年院に送られた。さらに恩赦で釈放された現在も、メンツをつぶされた極羅句組から敵視されており、ボクシングの試合で事故に見せかけて殺害するため、チャイを差し向けられる。しかし、母親から陰ながら応援されていたことに気づくと、精神面のもろさを克服し、チャイを返り討ちにした。男塾を卒業したあとは、本格的にプロボクサーとしての道を歩み始め、多くのタイトルを獲得した。
チャイ
国際的地下ボクシングのチャンピオンとして知られる、中国人の男性。35戦35KOという凄まじい対戦成績を残しており、対戦相手の全員を病院か墓場に送っている。超高速のパンチを得意としており、壺を割らずに穴をあけることも可能。極道組織の極羅句組に雇われ、ケン・暮囲を試合中の事故に見せかけて殺害しようともくろむ。試合開始直後は、得意のラッシュでケンを翻弄し、徐々に追い詰めていく。しかし、母親が応援していることを知り、迷いが消えたケンに次第に追い込まれていき、渾身のストレートでKOされた。
古賀 彗星 (日本のべーとーべん)
音楽家の男性。唱歌から軍歌まで幅広い歌曲を作曲し、大きな評価を受けたことから「日本のベートーベン」の異名を持つ。一方で気難しいところがあり、最近では作曲を請け負っておらず、すでに引退しているという噂も聞かれていた。鬼田軍吉によって男塾の塾歌を作ってほしいと依頼されるが、当初はまったく相手にすることなく追い払っていた。しかし、三日三晩寝食すら取らずに待ち続ける様子を見て、次第にその根性を認め始める。そして、作曲を拒む理由を、自分の歌を戦意高揚に使われた結果、多くの若者を戦場に導いてしまったことを悔いているためであることを告白した。その後、邸宅が土砂崩れに巻き込まれるが、男塾のメンバーによって助けられ、最も大切にしていたピアノも江田島平八の手によって瞬時に運び出される。このことから、男塾なら自分の曲を誤った方向に使わないと信じ、塾歌の作成を請け負った。
フェルディナント伯爵
新島を巡る日本と中国、ソ連の領土争奪戦の審判を務める男性。ステッキに燕尾服を身につけており、シルクハットから出した鳩を自在にあやつるなど、奇術師のような技術を持つ。溶岩が沸き立つ新島で平然としているなど、身体能力も常人を凌駕する。しかしあくまで審判に徹しており、戦闘に及ぶことはなかった。
イワノフ
新島を巡る領土争奪戦で、ソ連代表を務めた青年。プーチャンの忠実な部下で、彼からドリャペンコを託されている。争奪戦では初戦で日本代表の江田島平八と戦うことになり、試合開始早々にドリャペンコを自らに投与し、狼男に変貌する。優れたスピードで江田島を翻弄し、爪を振るって傷を負わせる。さらに、牙を使って江田島の頭部を砕こうとするが、ドリャペンコの効果が切れたことで不発に終わる。再度ドリャペンコを投与し、強化された体で襲い掛かるが、溶岩を浸したことで硬質化した頭による頭突きを食らい、牙を折られるほどの重傷を負った。これによってフェルディナント伯爵から江田島の勝利を宣言されるが、イワノフ自身はまだ戦えると主張し、王炎連に奇襲をかける。しかし、彼が神拳寺の念力で精製した岩石をぶつけられ、怯んだところを神拳寺超奥義「重念力」で持ち上げられる。そのまま溶岩に落とそうとしたところでついに降参を宣言し、代表の座から降りる羽目になった。領土争奪戦終結後は、炎連と共に江田島からスカウトを受け、男塾に入塾した。
王 炎連 (わん えんれん)
新島を巡る領土争奪戦で、中国代表を務めた青年。神拳寺と呼ばれる拳法を使いこなし、八竜の昇竜印を備える。その力を見込んだ周恩来から直々に要請を受け、領土争奪戦に参加した。争奪戦では、先に日本代表の江田島平八とソ連代表のイワノフが争い、その勝者に勝つことができれば領土を獲得できるという有利な立場を得る。しかし、その状況に甘んずることなく、敗北しつつも立ち上がって襲ってきたイワノフを神拳寺超奥義「重念力」で一蹴し、江田島と相対する。王大人の息子であることを見抜かれたことに動揺しつつも、念力を使った遠距離攻撃で着実に疲弊させていく。さらにダメ押しとして神拳寺秘奥義「重豪傑」を発動し、江田島の足場をことごとく破壊することで彼を溶岩へと沈めることに成功する。しかし、溶岩の中からほぼ無傷で生還した江田島に驚愕し、さらに彼がかつて王大人に教えを受けたことで神拳寺をおさめており、百竜の昇竜印を備えていたことを知る。そして、90もの昇竜印を消費して具現化した溶岩の刀で神拳寺秘奥義「重豪傑」を破壊されたことで念の力を使い切り、負けを認めた。領土争奪戦終結後は、イワノフと共に江田島からスカウトを受け、男塾に入塾する。さらに卒業後は実業家に転身し、大手中華レストランチェーンの会長にまでのぼり詰めた。
プーチャン
ソ連の安全保障会議議長を務めている男性。先読みの才能に優れており、十重二十重に策を巡らせる策謀家として重用されている。また柔術の達人でもあり、柔術の神といわれる嘉納惣五郎から直接指導を受け、外国人唯一の皆伝者として認められる ブレジネフからの信頼も厚く、将来は自身のあとを継いでほしいとすら言われるほど。新島を巡る領土争奪戦では、日本と中国の代表を完膚なきまでに潰そうと、イワノフに対して二本のドリャペンコを提供する。しかし、江田島平八の活躍で新島の奪取が失敗したことを知ると、今度は江田島の細胞を使ったクローン軍団の創設を提案し、工作員のカメレネーゲフに対して、江田島をモスクワへとおびき出すように指示した。カメレネーゲフの作戦は失敗したものの、話をつけるために自らモスクワへと向かった江田島を迎え撃ち、北方領土の所有権を賭けた柔道による勝負を仕掛ける。柔術にバレエを取り入れた戦術と、竜巻投げ改「死鳥の湖」によって江田島を大いに苦戦させるが、「モモクミ草」と呼ばれる植物の特性を体現したカウンターを受け、大きなダメージを受ける。それでもひるまず、互いに意地をぶつけ合った結果、引き分けに持ち込んだ。この一戦で互いに友情を育みつつも、ブレジネフが主導する新たな作戦に江田島を利用することには反対できず、心の中で彼と男塾の無事を祈った。実在の人物、ウラジーミル・プーチンがモデル。
王 大人 (わん たーれん)
王炎連の父親で、江田島平八の親友。動物を自在にあやつる能力を持ち、巨大な鷲を使役して乗り物代わりにできる。神拳寺の達人でもあり、かつて1か月にわたって江田島に修行を施して神拳寺を体得させ、百竜もの昇竜印を備えさせた。新島を巡る日本と中国、ソ連の領土争奪戦では、息子の王炎連を代表に任せるが、江田島が新たな世界大戦を回避するために新島を破壊した際に動き出し、炎連や男塾の塾生たちを救出した。そして、そのまま男塾の塾舎に江田島たちを運搬し、炎連に対して男塾で修業を積むように言い渡す。去り際に、江田島に対してプーチャンが新たな陰謀を企てていることを語り、注意するようにうながした。
ブレジネフ
ソ連の最高会議幹部会議長を務めている男性。計算高さと用心深さを併せ持ち、側近のプーチャンと共に先を見据えた戦略を多く実行している。当初はプーチャンほど江田島平八を重視していなかったが、新島を巡る領土争奪戦における破竹の活躍を見ると考えを改め、プーチャンの立案した江田島を利用する計画を認可した。さらに、モスクワにおける江田島とプーチャンの試合を目の当たりにすると、彼の漢気を認める様子も見せる。しかし、任務に私情を挟むことはせず、モスクワから日本に帰国するための船を用意するとうそぶき、キューバに核ミサイルを運搬するように仕向けた。実在の人物、レオニード・ブレジネフがモデル。
森田 幸子
江田島平八の幼なじみの女性で、江田島からは「サッコ」と呼ばれている。少年時代から懇意にしており、やがて江田島からプロポーズを受ける。しかし、太平洋戦争中に空襲を受けて、帰らぬ人となった。森田幸子の存在は現在も江田島の中に強い影響を与えており、カメレネーゲフがそれを利用した際は江田島を激しく怒らせた。
カメレネーゲフ
ソ連の工作員を務めている人物。徹底した秘密主義を貫いていることから、本名や年齢、性別などのあらゆる情報が謎に包まれており、プーチャンなどの高官すらその全貌を把握できていない。変装の名人という点のみ知られており、そのことから「カメレネーゲフ」というコードネームを持つ。プーチャンからの指令により、森田幸子を装って江田島平八に近づく。しかし、江田島からは最初から見破られており、逆に彼に翻弄されたうえに制裁を受け、モスクワへ連れて行くように強要されてしまう。
イワン
キューバ基地の将軍を務めている男性で、ソ連軍に所属している。優れた剣の腕と、残忍な性格を併せ持ち、太平洋戦争で100人以上のドイツ人を殺害したことから「殺戮将軍」と呼ばれている。ブレジネフの陰謀で運搬された核ミサイルを確保する任務を帯びており、それに反発する江田島平八や男塾の塾生たちと対立する。先んじて核ミサイルが隠されたことを知ると、江田島やD・トランプ、枢斬暗屯子を騙し討ちで捕えて拷問しようとするが、ホボ・マーレーの横やりによって失敗に終わり、彼らの逃亡を許してしまう。江田島がシールズやチェ・ゲバラと争っているあいだに核ミサイルを発見し、男塾の塾生やシールズ、そして江田島と会見していたジョン・F・ケネディもろとも自爆に巻き込もうとする。しかし、江田島によって核ミサイルから振り落とされ、そのもくろみは失敗に終わる。
ホボ・マーレー
チェ・ゲバラの同志として活動している、キューバ人の少年。天才的な技術を持つ音楽家で、レゲエで世界を救うことを志している。イワンから拷問を受けていた江田島平八やD・トランプ、枢斬暗屯子の前に現れ、音楽を奏でることでイワンの部下たちを無力化させ、江田島たちの危機を救う。さらに、核ミサイルを隠した男塾の塾生たちがシールズに襲撃されていることを伝えるなど、終始男塾の味方として行動し続けた。江田島の力量を高く評価しているものの、チェ・ゲバラには及ばないと考えている。
グレートママピラニアガニ
キューバの砂浜に生息している、甲殻類の一種。ピラニアガニの母親で、人間をはるかに超える体軀と力を誇り、江田島平八すら圧倒するほどの戦闘能力を持つ。男塾の塾生たちがピラニアガニを捕食したことに怒り、襲撃を仕掛ける。また、ピラニアガニを拷問に利用したシールズに対しても怒りを覚えており、巨大なハサミを振るってシールズのメンバーを全滅させる。そのまま身動きの取れない塾生たちも粛清しようとするが、すんでのところで江田島に阻止される。片方のハサミを受け止めているところを、もう片方のハサミで攻撃しようとするが、チェ・ゲバラによって阻まれ、二人の連携攻撃に敗れ去る。それでもなお立ち上がって向かってくるが、チェ・ゲバラのダイナマイトによる攻撃を受け、ハサミを残して粉々に吹き飛ばされた。
チェ・ゲバラ
ゲリラの頭目を務めている、キューバ人の男性。ホボ・マーレーとは同志の間柄で、彼からは江田島平八以上の実力を持つと目されている。ブレジネフの陰謀でキューバに核ミサイルが持ち込まれたことを知り、ソ連とアメリカの動きから、核ミサイルの在りかを探ろうとする。その中で男塾の塾生がシールズから拷問を受けているところを目の当たりにするが、まったく屈しない根性に驚き、彼らを育て上げた江田島に興味を抱く。江田島がグレートママピラニアガニから襲われた際は、ハサミによる攻撃から彼を守り、力を合わせて撃退した。そして、核ミサイルの在りかを巡り、地雷マッチを仕掛ける。優れた格闘能力に加えて、身の回りの状況を利用するゲリラ戦法で、江田島を大いに苦戦させる。しかし、ピラニアガニの子供たちからグレートママピラニアガニの復讐を仕掛けられたり、ジョン・F・ケネディの来訪と、イワンの暴走などの不確定要素が重なったりして、決着はつかずじまいだった。実在の人物、チェ・ゲバラがモデル。
マッカーサー元帥
太平洋戦争に敗れた日本の占領政策を担っていた男性。ジョン・F・ケネディとも面識がある。江田島平八のことを非常に高く評価しており、ケネディに対して「江田島が日本に三人いれば、アメリカは戦争に負けていた」と語る。実在の人物、ダグラス・マッカーサーがモデル。
ジョン・F・ケネディ
アメリカの大統領を務めている男性。かつてマッカーサー元帥と面談したことがあり、江田島平八について聞き及んでいる。現在はアメリカとソ連による、キューバを巡る問題の対応に苦心しており、ブレジネフの陰謀で持ち込まれた核ミサイルを先んじて確保しようと動く。核ミサイルを巡って争う江田島とチェ・ゲバラの前に現れ、核ミサイルを渡すように主張した。実在の人物、ジョン・F・ケネディがモデル。
剣 桃太郎
未来の世界の男塾に所属している青年。ひょうひょうとした性格ながら、頭脳明晰で義を重んじることから、仲間たちの信頼も厚い。日本刀による剣技を得意とするほか、複数の中国拳法を体得している。その力量と人望から、一号生の筆頭として選ばれた。男塾を壊滅させようとしている英愛が率いる兵士たちと争っており、その最中に核ミサイルの爆発によって未来世界に飛ばされた江田島平八と出会う。そして、男塾の現状を語り、江田島と共に男塾を守るために奮闘する。
赤石 剛次
未来の世界の男塾に所属している青年で、二号生の筆頭。銃弾をも見切り、岩を断ち斬る一文字流斬岩剣という剣技を得意とする。剣桃太郎や男塾の塾生たちと共に、英愛率いる軍勢と戦い続けていた。英愛の最高傑作であるジャキが現れた際も、その体格に臆さず挑みかかる。しかし剣を受け止められ、手痛い反撃を受けた。
英愛 (えいあい)
未来の世界で、内閣総理大臣を務めている男性。偏執的な性格で、幼少の頃いじめを受けたことから精神的にも肉体的にも劣等感の塊となり、男の強さや根性などを忌むべきものとして憎んでいる。とりわけ、男塾に対しては異常なまでの敵意を抱いており、軍の総力を挙げて潰そうともくろんでいる。さらに、最強の兵士として作り上げたジャキを差し向け、男塾を窮地に追い込む。しかし、江田島平八の手でジャキが倒されると、彼の途方もない力を恐れるようになり、男塾から手を引くことを決めた。
ジャキ
英愛が作り上げた、最強の兵士。英愛自らが研究したDNA理論で巨大化させ、AIで思考制御をするなど、サイボーグに近い存在。常人をはるかに上回る巨体を誇り、感情を持たずにプログラムされた戦闘技術を用いて立ちはだかるものを一方的に蹂躙する。その圧倒的な力で男塾の塾生を蹴散らしていくが、立ちはだかった江田島平八の放つオーラを感じると、彼が規格外の力を持つことを察して身動きが取れないほどの緊張を強いられる。それでも彼を倒すために、全力で拳を振り下ろしたが、それを上回る威力のパンチを受けて倒れた。その際に、男塾で修業をすればさらに強くなれるという言葉を受け、AI制御から解き放たれる。
集団・組織
男塾
江田島平八によって創設された私塾。文化、政治、経済のあらゆる分野で日本の舵を取っていく人物たちを育成し、日本の真のリーダーを育てることを目標にしている。塾生たちは、時代錯誤なスパルタ教育や「男塾名物」とされる、理不尽なシゴキや決闘の数々を強いられる。その結果、強靭な体と不屈の精神、そして固い絆を育て上げることができ、それは日本を背負って立つ志を支える礎として作用している。その反面、学習に関しては九九の暗唱が義務づけられているうえに、教師も生徒もまちがえることが多いなど、粗末にもほどがある。塾生の大半は、極等少年院に収容されていた少年たちで、当初は運営すら危ぶまれていた。しかし、男塾を敵視していた内閣総理大臣の岸田邦篤と和解してからは、安定するようになる。さらに、国城洋一から制服を、古賀彗星から塾歌を提供されるなど、塾としての箔も付いていった。キューバの事件によって江田島が行方不明になり、10年近くにわたって解散状態となる。そのあいだに、所属していた塾生はそれぞれ社会に進出し、カクエイは日本の総理大臣となり、D・トランプはアメリカの大統領候補になるなど、当初の理念どおりの成長を遂げる。さらに、未来の世界から江田島が戻ってきたことで、復活を果たした。
関東豪学連
およそ十万人の民族派学生によって結成された武闘派の団体。東日本最強の戦闘力を誇るといわれている。全学同盟とは対立しており、彼らが力を付けていることに危機感を抱いている。その打開策として、総裁補佐の鷹山邦男が男塾を傘下におさめようとするが、江田島平八にはとてもかなわず失敗する。さらに、全学同盟の鳩野寿も男塾に接触していることが発覚すると、総裁の波瀾万丈丸自らが江田島と鳩野の動きを監視し、彼らが奪った3億円が入ったと思しきトランクを横取りしようとする。しかし、万丈丸もまた江田島に敗北する。のちに、鳩野の目的がサン・オーケンの破壊であることを知ると、それに協力する姿勢を見せた。江田島がサン・オーケンを破壊したことで全学同盟と和解が成立し、万丈丸が男塾に入塾したため、関東豪学連と男塾も事実上の協力関係が結ばれた。
全学同盟
日本に革命を起こそうともくろんでいる、左翼系の学生団体。内閣総理大臣の岸田邦篤に反感を抱いており、議事堂の襲撃などの騒ぎを起こす。国の圧力に屈しない男塾に一目置いており、リーダーの鳩野寿自ら、江田島平八と直接対面したこともあった。関東豪学連とは対立関係にあったが、サン・オーケンを巡る問題で互いの思惑が一致し、協力関係となる。サン・オーケンの破壊に成功したあとに安田講堂の攻略を成し遂げ、その役割を終えた。
極羅句組
悪辣なやり口で知られている暴力団組織。メンツを重視しており、組員を傷つけた相手に対して手段を選ばない報復に出ることも少なくない。一年前に、組の人間がケン・暮囲とケンカになり、全員が彼にノックアウトされた。それ以来、ケンに対して報復を考えていたものの、極等少年院に送られた挙句、そのまま男塾に入ったことで手出しが難しくなっていた。そこで、地下プロボクサーのチャイを雇い、試合中の事故に見せかけて殺害するという作戦を立てる。しかし、江田島との修行で一皮むけたケンによってチャイが倒されたことにより、この計画も頓挫した。
ピラニアガニ
キューバの砂浜に生息している、甲殻類の一種。シールズの手によって、核ミサイルの在りかを聞き出すための拷問に利用され、身動きが取れない男塾の塾生たちを危機に陥れる。しかし、江田島平八の檄によって奮起した塾生たちに甲羅ごと嚙み砕かれ、大半が死滅する。のちに生き残りが母親であるグレートママピラニアガニの仇を取るべく、彼女が残したハサミを使ってチェ・ゲバラに襲い掛かる。しかし、母親を失った悲しみを知るチェ・ゲバラが無抵抗を貫いたことを目の当たりにすると彼を許すと決め、そのまま海の中に帰って行った。
シールズ
キューバを根城にしている、アメリカ海軍の特殊部隊。ソ連と水面下で争っており、ブレジネフの陰謀で核ミサイルが持ち込まれたことを知り、ソ連軍より先に確保するべく行動を開始する。そして、核ミサイルを隠した男塾の塾生たちを発見すると、砂浜にセメントを混ぜたトラップを仕掛けて身動きを封じ、顔以外を動かせない状態に追い込んだ挙句、ピラニアガニをけしかけて拷問を行った。しかし、駆けつけてきた江田島平八から檄を飛ばされた塾生たちが、あろうことかピラニアガニを嚙み砕いたことで拷問は失敗に終わる。さらに、子供たちを殺されて怒ったグレートママピラニアガニに襲われて、鋭利なハサミによる攻撃で一人残らず死亡した。
場所
日本サファリパーク
日本に存在する唯一のサファリパーク。ライオン、チーター、ワニなど、獰猛(どうもう)な動物たちが多数生息しており、中には容赦なく人間に牙を剥く者もいる。江田島平八は、男塾の壊滅を命じられた山岡の手によって日本サファリパークに誘い込まれ、サファリパークのサイやサファリパークのゴリラなど、強力な動物たちに襲われる。しかし、サファリパークのサイは江田島の手によって返り討ちに遭い、山岡たちの乗った車を追うための乗り物として利用される。サファリパークのゴリラも虫歯が痛いという理由で暴れていただけで、江田島によって虫歯を取り除かれると途端におとなしくなり、動物の力をもってしても江田島を止められないことが証明される結果となった。
極等少年院
東京湾沖の孤島にある少年院。極羅句組とのケンカに巻き込まれたことで過剰防衛の判決を受けたケン・暮囲など、全国から凶悪な少年たちが集められている。また、現在は内閣公安調査室の一員として活動している盛田篤も、かつてはここに収容されていた。札付きの不良ばかりがそろっているため、秩序はないに等しい。一方、院長である乱凶院光秀が、格闘技の実験のために収容されている人間を殺害することもあるなど、運営側にも大いに問題がある。そのため、収容されている少年たちを束ねていた枢斬暗屯子が、仲間を率いて暴動を起こし、院内が大混乱に陥る。さらに、そのことを盛田から聞きつけた江田島平八が、少年たちを救出するために乱入する。そして、光秀が江田島に倒されて改心したことで、捕われていた少年たちを脱獄させることに成功した。少年たちは男塾の塾生として迎えられるが、世間的には脱獄犯の扱いを受ける。しかし、担げずの神輿を運搬したことで岸田邦篤から恩赦を受け、晴れて自由の身となった。
安田講堂
全学同盟によって占拠され、アジトとして使われている講堂。多くの学生によってにぎわっており、つねに戦意高揚のための演説が行われている。江田島平八と鳩野寿が強奪したサン・オーケンが運び込まれ、破壊するための施設として利用された。江田島がサン・オーケンを破壊したすぐあとに、陳王烈の襲撃を受けるが、サン・オーケンから放たれた放射線でパワーアップした江田島が一蹴したことで被害を出さずに済んだ。1969年の1月19日に、役目を終えたことで陥落する。それは、学生運動と激動の時代の終焉を意味していた。
新島
海底火山の噴火に伴い、日本海に突如として出現した島。火山活動が続いているため、島の大半がマグマで覆われている。海洋法に関する「島」の条件がそろっているが、位置の関係上、日本、中国、ソ連の三国によって領有権が主張されている。この問題を解決するため、日本の内閣総理大臣である岸田邦篤と、中国の首相である周恩来、ソ連の最高会議幹部会議長であるブレジネフがホットラインによる会談を行い、三国からそれぞれ代表者一名を選出し、格闘戦で勝ち抜いた国が領有権を得られることが決められる。そして、中国から王炎連、ソ連からイワノフ、日本から江田島平八が代表となり、三者による熾烈な戦いが繰り広げられた。その結果、江田島が勝利し、審判のフェルディナント伯爵から、日本が領有権を獲得したことを認められる。しかしその直後、三国の海軍がこの結果を無視して、武力で無理やり領有権を奪おうとする。一触即発の状況の中、戦争を回避するために放たれた江田島の頭突きによって大きな衝撃を受け、島そのものがバラバラに砕け散った。
その他キーワード
蛇轍槍
波瀾万丈丸が武器として使用している槍。見た目は通常のものより長いこと以外にさしたる特徴はないが、柄の部分を蛇腹状に分割することが可能で、万丈丸の技術によって変幻自在な動きを実現し、さながら生きた蛇のように、執念深くしなやかに敵を追うことができる。万丈丸はこの武器に絶対の自信を持っているとともに、自身の命のように大切にしており、仮に破壊された場合は自らの命を絶つことすら辞さないと語るほど。優れた誘導性能で江田島平八を追い込むが、彼の氣が込められた串をぶつけられたことで、粉々に砕け散った。その後は修復されることもなく、万丈丸が男塾に入塾した際は、徒手空拳による戦闘スタイルに変更している。
サン・オーケン
江田島平八と鳩野寿が、とある会社から強奪したトランクの中に入っていた、石のような物体。太陽の破片という説もあるが、その正体は未だに解明されていない。つねに超電磁波を放っており、浴び続けた場合は命にかかわるほどの後遺症が残るといわれる。非常に硬質で、爆破や衝撃などを含めたあらゆる手段を用いても破壊することはかなわない。ベトナム戦争の対処に追われるアメリカの兵器業者が、軍事利用するために狙っている。しかし、アメリカには超電磁波を解析できる技術がなく、電磁波研究の第一人者である鳩野の父親に解析させるため、日本へと運び込まれていた。鳩野は、サン・オーケンが軍事利用された場合、戦争とは無関係の市民までもが多数殺害される可能性を危惧しており、江田島の力をもってすれば破壊できるのではないかという望みを抱き、彼に処理を依頼し、快諾される。そして、一晩かけて氣を練り上げた頭突きをぶつけることで、ついに破壊された。
担げずの神輿 (かつげずのみこし)
金魂神社と呼ばれる神社に奉られている、巨大な神輿。江戸幕府の三代将軍である徳川家光によって建造されたが、50トンもの重量を誇るために誰にも担げず、やがて「担げずの神輿」と呼ばれるようになった。担げずの神輿となんらかの関係があるという仙人は、力だけで担ぐことは決して不可能で、担ぎ手全員の心意気が一つになった際に持ち上がると語っている。岸田邦篤から、極等少年院を脱獄した少年たちに恩赦を与える条件として担げずの神輿を岸田の住む邸宅まで担いで運ぶように求められる。そして、江田島の指導で心身ともに鍛えられた男塾の塾生によって担ぎ上げられ、岸田の要求に応えることに成功した。
ドリャペンコ
ソ連の総力を挙げて開発されたドーピング用の薬品で、「ソ連の奇蹟」の異名を持つ。大陸最強といわれるシベリアオオカミの遺伝子が取り入れられており、投与することで鋭い爪と牙を備えた狼男に変貌できる。新島を巡る領土争奪戦に臨むにあたり、プーチャンの手によって二本のドリャペンコがイワノフに渡される。そして、試合が始まるとすぐに自ら投与し、優れたスピードとパワーを得ることで江田島を大いに苦戦させた。
昇竜印
神拳寺をおさめた人間が、念力を使う際に頭に浮かび上がる印。使用者の力量に応じた数字が記されており、その数が多ければ多いほど優れた使い手であるとされる。また、念力を使うことで数字の数が減っていき、「零」になると念力そのものが使用不能になる。王炎連は八竜の昇竜印を持ち、神拳寺秘奥義「念豪傑」すら使いこなす。しかし、江田島平八は実に百竜もの昇竜印を持ち合わせており、炎連を圧倒する実力差を見せつけた。さらに、新島を破壊するために頭突きを放った際は、「男」という特殊な昇竜印が発動し、かつてないほどの破壊力を生み出した。
人間ハエタタキ
レディ・ジャイアントが使用する必殺技の一つ。相手の足首をつかんで持ち上げ、複数回にわたって地面に叩きつける。アメリカと日本の異種格闘戦における江田島平八との戦いで使用され、彼の全身に大きなダメージを与えた。
巨乳プレス
レディ・ジャイアントが使用する必殺技の一つ。巨大な乳房に見せかけた球体の谷間に相手を押し込み、強く力を込めて万力のように押しつぶす。アメリカと日本の異種格闘戦における江田島平八との戦いで使用され、人間ハエタタキでダメージを受けた江田島の上半身を圧迫し続け、客席にいる誰もがレディ・ジャイアントの勝利を確信した。
忖度衝波
加護山が使用する必殺技の一つ。独特の構えを取ることで、触らずにして相手の動きを封じる。江田島平八との戦いで使用され、触らずして全身の自由を奪うことに成功する。そして、この技の原理を強力な精神の波動を送り込み、その力で自由を奪うものであると説明する。しかし、実際は精神波による攻撃ではなく、ポーズを取ることで加護山夫人に合図を送り、彼女が麻酔針を吹き矢で飛ばしているだけである。
中国拳法奥義「白刃独摩」 (ちゅうごくけんぽうおうぎびゃくじんごま)
陳王烈が使用する必殺技の一つ。両手に中国刀を持ったまま回転させたコマに乗り、高速で回りながら進行先にあるものを切り刻む。回転は王烈自身が止めない限り続けられるため、側面からの攻撃をまったく受けつけない。ただし、上空からの攻撃に対応できないという弱点を持ち、それを見抜いた江田島平八によって破られる。
カッパ絞め
春日井が使用する必殺技の一つ。両手と両足を相手に巻き付けて、首と胴を同時に締める。強化改造された腕力と脚力が発揮されており、抜け出すのは容易ではない。魔神丸との相撲対決で使用され、数倍の体軀を誇る彼が手も足も出ないほどの威力を発揮し、憎々しげに「カッパ巻き」と呼ばれた。しかし、春日井の力の源である頭部の皿が破損したことで、不発に終わってしまう。
神拳寺
中国で伝えられている拳法の一つ。念力で物体をあやつったり、重力を発生させたりするなど、幅広い効果を発揮する。遠距離から攻撃を仕掛けられるという長所を持ち、自分より優れた体格の相手に対しても有利に立ち回ることが可能。神拳寺をおさめた者は、力を使用する際に額に昇竜印が浮かび上がり、印に刻まれた数が多いほど優れた使い手と認識される。また、強力な技を使うほど多くの数値が減らされるという仕組みになっており、ゼロになるといっさいの技が使用不能になる。王炎連は、奥義皆伝の試験をクリアし、八竜もの昇竜印を獲得した。また、江田島平八も王大人から神拳寺を学んでおり、実に百竜もの昇竜院を得るに至っている。
神拳寺超奥義「重念力」
王炎連が使用する必殺技の一つ。念の力によって重力をあやつり、動きを封じたり、自在に移動させたりすることができる。対象は有機物、無機物問わずに敵の動きを拘束して攻撃を防ぐほか、足場から岩をくり抜いて弾丸のように飛ばすことも可能。イワノフの自由を奪って溶岩の上に落とそうとして降参をせまったり、溶岩を固めて江田島平八に向けて飛ばしたりするなど、さまざまな用途に用いられた。
神拳寺秘奥義「念豪傑」
王炎連が使用する必殺技の一つ。複数の岩を融合させることで像を作り出し、意のままにあやつる。神拳寺超奥義「重念力」と異なり、一度使用すれば像が破壊されるまで自動的に攻撃できるという強みがあるが、七竜もの昇竜印を消費するため、像を破壊されるとたちまち窮地に陥る。炎連は、新島を巡る領土争奪戦の江田島平八との試合で、『三國志』最強の武将である呂布奉先を象った像を作り上げている。
竜巻投げ改「死鳥の湖」
プーチャンが使用する必殺技の一つ。かつて師匠である嘉納惣五郎から会得した「竜巻投げ」にバレエの要素を加えてアレンジしたもので、破壊力や命中精度が飛躍的に上昇している。北方領土の所有権を賭けた江田島平八との戦いで二度にわたって使用され、一度目は天井を破壊するほど空高くに放り投げて大きなダメージを与えるが、男塾の塾生の機転によって落下による衝撃を回避される。さらに二度目は寝そべることで上昇を避ける作戦を取られ、足首に負担がかかったスキを突かれて、逆に投げ飛ばされてしまう。
直進行
カクエイが、土地の所有権を争う際に用いるという勝負方法。ルールは単純で、ただひたすら真っすぐに歩き、より長い距離を移動できた方が勝ちとなる。ただし、目前に障害物があった場合も迂回してはならず、仮に建造物が立ちふさがっている場合は、よじのぼって踏破する必要がある。江田島平八とカクエイが対決した時は、互いに煙突やビルなどの難所を踏破していき、ついには国会議事堂にまでたどり着く。そして、警察の妨害をものともせずに突き進むが、カクエイのつかんでいた石柱が崩れ落ちたことで、江田島の勝利が決まる。のちに男塾の決闘方法である「男塾名物」の一つとして取り入れられた。
POISON SHOT MATCH (ぽいずんしょっとまっち)
日本とアメリカの異種格闘技大会に勝ち残った江田島平八に対して、D・トランプが仕掛けた勝負。ポーカーを行い、負けた方は毒を薄めた酒を飲まされるというルールとなっている。勝負は開始直後からトランプにとって有利に動き、江田島は実に4杯もの毒酒をあおる羽目になる。それでも昏倒すらせず、さらにはトランプがイカサマをしていることを見破る。トランプ自身はイカサマを認めようとしなかったが、彼の父親から一喝されたことによって負けを認める。
男塾入塾試験
男塾に入るための過酷な試験。国会議事堂や神宮球場での江田島平八の活躍に魅了された青年たちが集い、こぞって男塾への入塾を希望したため、急きょ開催された。第一試験の「教養 灼熱鉄板カルタ」と、第二試験の「東京タワーバンジージャンプ」の二つが課せられ、その両方を成し遂げた者だけが男塾への入塾を認められる。教養灼熱鉄板カルタは、教官が問題を読み上げ、試験生が熱された鉄板の上にあるカルタを取り、その内容が正しければ合格となる。また、第二試験では東京タワーの屋上から、命綱代わりの大繩を手に持って飛び降りることが求められる。第一試験では50人近くの合格者を出したが、第二試験はそのあまりに危険な内容に棄権者が続出する。かろうじて黒岩剛次とキツネ男、盛田篤の三人が参加の意を表明して東京タワーの屋上へと向かうが、黒岩はその絶景に気絶してしまい、盛田も分析の結果不可能であると参加を辞退する。キツネ男のみが第二試験に挑戦し、みごと合格を果たす。なお、盛田は内閣公安調査室より放たれた密偵で、男塾入塾試験に潜入することで江田島を監視し、あわよくば暗殺しようと考えていた。
極等少年院名物油風呂
極等少年院で行われる根性試し。頭の上に蠟燭を乗せて油に満ちた鍋の中に入り、油を熱していく。その熱さに耐えかねて動いた場合、頭の上の蠟燭が油に落ちて引火し、大きなやけどを負ってしまう。江田島平八の根性を確かめようとした枢斬暗屯子によって執り行われ、互いに一歩も引かない接戦を繰り広げた。のちに男塾の決闘方法である「男塾名物」の一つとして取り入れられる。
地雷マッチ
チェ・ゲバラが好んで行う決闘方法で、自身と対戦相手の体に地雷を巻き付けて殴り合うというもの。仮にダウンを取られた場合、巻き付けられた地雷が地面に接触することで爆発を起こすため、即座に死亡、あるいはそれに近い状況に追いやられる。互いに興味を向け合う江田島平八とチェ・ゲバラのあいだで行われ、両者の思惑どおりの激戦が繰り広げられる。しかし、ピラニアガニの襲来やジョン・F・ケネディの来訪などの要素が重なり、決着はつかずじまいとなる。