魔王がずっと見ている

魔王がずっと見ている

ふくしま正保の代表作。『異世界失格』や『恋は世界征服のあとで』を手掛けた野田宏が原作を担当している。人間と魔族が相争うファンタジー世界が舞台。魔王としての資質に疑問を抱いているレイノルズ・ドラクロスが、魔王を倒すという夢に向かってひたむきに励む勇者・エリーを応援する、推し活ファンタジーコメディ。魔王として気丈に振る舞いつつも、勇敢で前向きなエリーの一挙手一投足に一喜一憂するレイノルズの姿に思わず笑みがこぼれる。また、ファンタジーにありがちな現象を揶揄するような描写や、勇者を利用しようとする人間たちのセコい悪巧みも見どころとなっている。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」2022年12号から2023年45号にかけて掲載の作品。

正式名称
魔王がずっと見ている
ふりがな
まおうがずっとみている
原作者
野田 宏
作画
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
ファンタジー
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊5巻
関連商品
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勇者を推すためにすべてを懸ける魔王

幼い頃から知力と魔力に秀でていたレイノルズ・ドラクロスは、ある日母親から半ば強制的に魔王に指名される。しかし、魔王としての仕事はレイノルズにとって望ましいものではなく、鬱屈した日々を余儀なくされている。そんなストレスを抱える中、魔王打倒を目指す勇者・エリーがレイノルズの前に現れる。これまでレイノルズは、富や名誉のために自らに挑んできた勇者を返り討ちにしてきたが、エリーはそんな勇者たちとは違い、最後まであきらめない信念と他者を思いやる優しさを持っていた。レイノルズはエリーの真っすぐな気持ちに尊さを感じ、やがて彼女を全力で応援するようになる。

勇者の名声を利用する悪徳プロデューサー

人間界には、勇者の名声を利用して金儲けを企む小悪党が存在する。中でも敏腕プロデューサーを自称するスペクター・ノウルズは、人類最強の戦士・ゴズリングや、勇者のみで結成されたパーティー「Y4(勇者4)」、演技力だけは一流のダメ勇者・アヤーシーなど、さまざまな勇者ビジネスを展開しており、自らもその恩恵にあずかってきた。そんなスペクターが新たに目を付けたのは、奇しくもレイノルズが応援しているエリーだった。エリーに無限の可能性を見いだしたスペクターは、彼女をアイドルにしようと画策する。そんな中、エリーの行動を陰から見守っていたレイノルズは、スペクターがエリーに悪影響を与えないように注視し、事実上のライバルとなる。一方のスペクターも、かつてエリーがあこがれていた勇者・レベッカと親密な関係で、現在も大切に思っていることが明かされるなど、ただの悪人ではないことがのちに判明する。

勇者の師匠となった魔王

勇者・エリーの推し活に励んでいたレイノルズは、スペクターが売り出したエリーのファングッズを入手するため、魔法で変装して人間界を訪れる。そして誰よりも早く限定Tシャツを購入したことで、ほかのファンから注目されるようになる。スペクターのプロモーションによってアイドルとしてスターダムを駆け上がろうとしているエリーだったが、自らの存在意義を見いだすことができずにいた。さらに勇者・スカーレットの活躍を目の当たりにして、自分は勇者にふさわしくないのではないかと思い悩む。彼女の苦悩を察したレイノルズは、人間の「マオ」としてエリーの前に現れ、自分に正直に生きるようにうながす。この言葉で、エリーは当初の目的だった魔王討伐を再度決意し、レイノルズのことを人間に変装した魔王だと知らないまま、彼に弟子入りを志願する。そして、レイノルズとエリーは1週間のあいだ師弟関係を結び、彼女が劇的に成長するきっかけとなる。

登場人物・キャラクター

レイノルズ・ドラクロス

ドラクロスの三男で、魔王としての役割を課せられた青年。魔法の達人で、強力な闇の波動を発射する「暗黒大魔法(マルゴト・ケシトバース)」や、遠い場所に瞬時に扉を召喚する「地獄門(ア・ラ・ワール)」、遠くにある物を近くに転送する「転送魔法(ココニ・ハコーブ)」といった移動呪文を使いこなす。また、額にある「魔眼」と呼ばれる眼を使うことで、人間界の様子を見ることができる。穏やかな優しい性格で、部下に対しても気配りを欠かさない。また、魔王でありながら争い事を嫌悪し、次々に自分の命を狙って現れる勇者に辟易している。母親から人間を滅ぼせ、結婚して繁殖しろと口うるさく言われ続けているため、魔王という仕事が自分に向いていないと感じており、ストレスを抱えている。そんな中、自分に挑んできた勇者・エリーのひたむきな態度に惹かれ、やがて彼女の推し活を始める。それからはエリーを応援したい気持ちと、部下を思いやる気持ちの板挟みに苦しんでいるが、結局彼女に対する情熱を止められず、やがて「マオ」という偽名を使ってエリーのファンクラブに加入する。

エリー

魔王討伐を志す勇者の少女。戦士のモルンガ、魔法使いのポポスとパーティーを組んでいる。何事も一生懸命に取り組む生真面目な性格で、仲間たちにも頼りにされている。一方で自己肯定感が低く、勇者としての自分に自信が持てずにいる。魔王として君臨するレイノルズ・ドラクロスを倒すべき敵と認識しており、レイノルズから思いを寄せられていることは知らない。レイノルズに何度も挑み続けたことが評価され、マール王国から「ファルナーク」と呼ばれる聖剣を授かり、勇者としての名声を着実に高めていく。しかし、その純粋な心と前向きな姿勢が勇者ビジネスを企むスペクター・ノウルズの目に留まり、彼の悪巧みに巻き込まれてしまう。

クレジット

原作

書誌情報

魔王がずっと見ている 5巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2022-07-12発行、 978-4098613137)

第2巻

(2022-11-10発行、 978-4098614523)

第3巻

(2023-03-10発行、 978-4098615797)

第4巻

(2023-07-12発行、 978-4098617357)

第5巻

(2023-11-10発行、 978-4098625925)

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