魔王 JUVENILE REMIX

魔王 JUVENILE REMIX

街のヒーローである犬養舜二の裏の顔を知ってしまった安藤は、自分の能力を駆使して舜二の思惑を阻止すべく立ち上がる。1章「安藤」と2章「潤也」の2部構成で描かれる物語で、伊坂幸太郎の小説「魔王」と「グラスホッパー」を原作としている。「月刊少年サンデー」2007年第27号から2009年第30号にかけて連載された。

正式名称
魔王 JUVENILE REMIX
ふりがな
まおう じゅゔないる りみっくす
原作者
伊坂幸太郎
作者
ジャンル
バトル
関連商品
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概要・あらすじ

高校生の安藤は自分に、自分の考えていることを他者に話させる能力「腹話術」があることを知る。同じ時、安藤は街の自警団の長で、住民からのカリスマ的人気を誇る犬養舜二が、実は街を乗っ取ろうとしている魔王なのではないかという疑念に駆られる。民衆を煽り立て、世界を変えようと企む犬養の思惑を止めるため、安藤は「腹話術」の力で対決することを決意する。

登場人物・キャラクター

安藤 (あんどう)

猫田東高校の2年生の男子。第1章「安藤」の主人公。高校では新聞部に所属している。自分の考えている言葉を他者にしゃべらせる「腹話術」の能力を持っている。その効果範囲は本人調べによると30歩以内。幼少期に憧れていた「冒険野郎マクガイバー」という海外ドラマの影響を受けており、何事にも熟考するクセがついている。周囲に流されやすく、あまり自己主張はしないが、犬養舜二との出会いを経て、そんな自分の在り方に疑問を感じるようになる。

安藤 潤也 (あんどう じゅんや)

猫田東高校の1年生の男子で、安藤の1歳年下の弟。第2章「潤也」の主人公。兄思いだが少々ブラコン気味。くじ引きで連続して賞品を当てるほどの強運の持ち主だったが、のちにそれが能力として開花する。その能力とは、10分の1以上の確率であれば、必ず当てることができるというもの。この能力を使えばジャンケンなら負けることはないし、コインの裏表もかならず当てることができる。 この能力を駆使してギャンブルで金を稼ぎ、金の力で犬養舜二を倒すことを決意する。

詩織 (しおり)

猫田東高校に通う高校1年生の女子で、安藤潤也のガールフレンド。非常にそそっかしく、制服のボタンの掛け違いや寝癖などは日常茶飯事。しかし料理は上手で、安藤や潤也に晩ご飯を振る舞うこともある。本人は大食女で、スイカ半分をぺろりと平らげてしまう。献身的な性格の持ち主で、たとえ潤也からしばらく連絡がないような場合でも、しつこく追及することはしない。

(しま)

猫田東高校の2年生の男子で、安藤のクラスメイト。犬養舜二に一目で心酔し、自警団「グラスホッパー」に入る。流されやすい性格なのだが、決して悪人というワケではない。Mr.アンダーソンの息子であるという理由から、アンダーソンへのいじめに加担する。

(かなめ)

猫田東高校の2年生で安藤のクラスメイトの男子。不良グループに虐められており、傍観してばかりのクラスメイトたちにも嫌気が差している。オタク気質で、教室ではいつも「メイドリーナ」というCDを聞いて一人で過ごしている。自警団「グラスホッパー」に入り、犬養舜二を神様のように信奉している。

満智子 (まちこ)

猫田東高校の3年生の女生徒。新聞部の副部長を務めている。新聞部の部長は平田という男子生徒なのだが、実権はほとんど満智子が握っている。新聞部という名目ながら、学内外問わず事件性やスクープ性のあるものであれば取りあえず取材に向かう行動派。その行動力が裏目に出て、トラブルに捲き込まれてしまうこともある。

アンダーソン

安藤の通う猫田東高校に転入してきた留学生。アメリカ人の父親と日本人の母親の間で生まれ、アメリカのロサンゼルスで育つ。日本文化に詳しく、特に「男はつらいよ」の「寅さん」が大好き。同じく「寅さん」がきっかけで安藤と仲良くなる。Mr.アンダーソンの息子ではあるが、父親の仕事に対して抵抗を持っている。

山本 みゆき (やまもと みゆき)

猫田市の市議会議員を務める男性。猫田市を未来型国際都市にするため「猫田新都心」という計画を推し進めている。我が強く、自己主張の激しい性格をしている。そのプライドの高さから敵を作ってしまうことが多い。犬養舜二を調子に乗った若造と見なし、敵視している。

犬養 舜二 (いぬかい しゅんじ)

自警団「グラスホッパー」の代表取締役をしている男性。「この世界を変える」という信念に基づいて行動しており、「未来は神様のレシピで決まる」と信じている。理想のためならば手段は選ばず、特に不良など悪人に対しては非情で、暴走族をトレーラーに突っこませ半殺しにしたり、暴走族を使いガソリンスタンドを爆破させようとしたりする。 第2章「潤也」では世界を変えるという目的のため、政治家として活動している。

マスター

喫茶店「ドゥーチェ」のマスターを務める男性で本名は不明。犬養舜二の信奉者であり、彼を守り育てることが自分に与えられた使命であり運命だと確信している。半径50歩以内の空気を触手のように操る「空気の手」と、特定の相手に意思を伝える「テレパシー」の能力を持っている。その能力とマスター自身の有能さから、犬養の片腕と目されている。 寡黙に見えるが、犬養に危害が加えられた場合は激情的になる。

(せみ)

殺し屋を生業とする男性。現在は1ヵ月に10回、3日に1回のペースで殺しを行っている。殺しは岩西からの指示に従って行い、卓越したナイフさばきで瞬く間に敵を切り裂く。しかし人形のように自分を扱う岩西には嫌気が差しており、殺しの最中に私情を挟んでしまうという悪癖を持っている。

スズメバチ

殺し屋を生業とする少女。ゴシックロリータ調の服に身を包んでいる。足技が得意で、爪先に仕込んだ毒針で敵をじわじわとなぶり殺しにする。両腿の内側にスズメバチの刺青を入れている。現在は「アンダーソングループ」に雇われ、自警団「グラスホッパー」のメンバーを狩っている。子供っぽく、非情に冷酷な性格の持ち主。

岩西 (いわにし)

蝉の上司の男性で、蝉への殺しの依頼などは主に岩西が受け持っている。「ジャック・クリスピン」というアーティストを敬愛しており、ジャックの歌詞の一部を会話の最中、頻繁に引用する。蝉を道具のように扱っているが、蝉からの連絡が途絶えると恋人が音信不通になったかような慌て方をする。

(くじら)

殺し屋を生業にする男性。標的になった者を自殺に追い込んで殺すことから「自殺屋」と呼ばれている。鯨の両目を見ると罪悪感や無力感が増大し、生きていることが辛くなり、果ては自殺に至るという力を持っている。そのため、普段は左目に眼帯をして過ごしている。殺しに関しては感情を介さない仕事人。

Mr.アンダーソン

「アンダーソングループ」の社長を務める男性。猫田市の開発事業に協力している。事業のためなら強引な手段も辞さず、不要になった人間は殺し屋を使って処分することもある。日本人を侮蔑するような発言が多く見られる他、いつもスティックキャンディーを舐めているといった特徴を持つ。

(もも)

アダルトショップ「桃」という店を経営する、恰幅が良く、面倒見のいい女性。アダルトショップは表の肩書きであり、裏稼業として情報屋を営んでいる。蝉や岩西と面識があり、何かと蝉の面倒を見ている。

槿 (あさがお)

殺し屋を生業にする男性。背中を押して相手を殺すことから「押し屋」という通称で呼ばれている。その殺害方法からは意外ではあるが、岩西は「押し屋」こそが業界最高峰の殺し屋であると考えている。また「劇団」という組織の子供たちの父親でもある。

比与子 (ひよこ)

令嬢に所属している女性。極度の拝金主義者で、優しさも人の命もすべて金で買うことができると安藤潤也に言い放つ。がさつで他者を平気で傷付け、あざわらう冷酷な性格で、悪役の鏡のような人物。

集団・組織

令嬢 (ふろいらいん)

マスターと業務提携契約を結んでいた会社で、おもに非合法な方法でお金を稼いでいる。マスターは令嬢を水面下で働く私兵団として使うつもりだった。目的のためなら手段を選ばず、爪剥ぎなどの拷問も淡々と行う。また依存性のある栄養ドリンクやビタミン剤を販売しているという噂がたっている。

グラスホッパー

猫田市の「正義の死者」を自称する自警団。ジャケットの腕に黒いバッタの腕章をつけている。犬養舜二を筆頭に、猫田市に出没する不良やギャングなどを狩っている。犬養のカリスマ性によって「グラスホッパー」の人数は激増傾向にある。しかし殺し一歩手前の過激なやり方から警察に目をつけられている。

アンダーソングループ

石油、銀行、建築、自動車にホテル業などまでこなす何でも屋。現在のおもな仕事は猫田市の開発事業。利益のためなら手段を選ばず、猫田市の中小企業をいくつも買収、倒産させてきた。そうした経緯から、猫田市の住民たちはアンダーソングループに恨みを持っている。

場所

猫田市 (ねこたし)

関東地方の一都市。総人口約14万人、総面積約16万平方キロ。古くは漁業と農業に依存する典型的な地方都市でしかなかったが、1980年代を境に大規模な開発事業「新都心計画」がスタートし、未来的な大都市として産まれ変わり始めた。しかし1990年代の不況の煽りを受けて計画は停滞し、一部に治安の悪化、町の衰退などの現象を引き起こしている。

クレジット

原作

伊坂幸太郎

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