禍という厄災に襲われる極楽街
物語の舞台は、人間と獣人が入り混じる華やかな繁華街「極楽街」。失踪や怪死事件が頻発する街で、その原因の一端と思われるのが「禍(マガ)」という存在である。禍は何者かにより、人間や動物の死体から造られた化物。そのため、かんたんな言葉を話したり、多少の知能を持っていたりする個体も存在する。通常は、突如出現する「門」から姿を現し、人の血を飲み、肉を食う。大きさや形状はまちまちだが、目鼻がなく、ぱっくり裂けた口と無数の牙が特徴である。禍の力の根源は「血」であり、普通の武器では倒せないが、禍の血を持つ半禍(はんか)の亜瑠馬(アルマ)は、「繫縛の杭(けばくのくい)」を抜いて力を解放することで、禍を倒すことができる。一方、早乙女道(タオ)はアルマの血を詰めた銃弾を武器に禍を撃退する。
対禍機関・蛇穴(サラギ)という組織
タオとアルマは、表向きは対人の問題解決屋だが、裏の仕事は禍専門の殺し屋である。彼らが所属するのが対禍機関・蛇穴(サラギ)で、とある路地裏からエレベーターで降りた地下に本部がある。ここでアルマは、定期的な検査を受け、タオが使う銃弾を作るために採血をしている。二人以外のメンバーに、武器製造のほか事務的な仕事や任務の采配を行う犬の獣人・鐡与喜(ヨキ)と、人間の女性・鐡ダ羅、禍を誘発する血の持ち主であり二本の刀で禍を瞬殺するすご腕の美少女・寶井寧(ネイ)などがいる。また、技を鍛える修練場もあり、アルマはここで妹尾劉という中年男性の指導を受け、タオの許可がなくても「繫縛の杭」を抜けるようになった。
黄泉という謎の人物と彼の家族
人間を食べなければ生きられない悲しき食人鬼の少女・三角叶多(カナタ)の事件がきっかけで、黄泉という謎の男がアルマの前に現れる。黄泉は、カナタのほか、特殊な力を持つメンバーを6人ほど抱えており、彼らを「家族」と呼んでいる。黄泉はアルマが生まれた時から知っているらしく、アルマを家族に迎え入れようとしたこともあったという。しかし、アルマにはまったく身に覚えがないため、タオやネイと一緒に黄泉を攻撃するが、まったく通じなかった。その後、「黄泉とは、この世の命が帰る場所。そしてこの世の命が生まれる場所」と言い残して黄泉は姿を消す。彼の目的や正体は不明だが、禍の根源に関わる存在だということが明らかになった。また、アルマやタオとの関係も示唆され、物語は徐々に核心に向かっていく。
登場人物・キャラクター
亜瑠馬 (あるま)
極楽街解決事務所で働く15歳の殺し屋の少年。身長は170センチメートル弱で、成長中。誕生日は1月16日。通称は「アルマ、もしくはアル」。表向きは極楽街解決事務所のスタッフだが、人間や動物の死体を蘇らせて造った怪物「禍(マガ)」を退治する組織・対禍機関「蛇穴(サラギ)」に所属している。ツンツンの赤髪、青い目、八重歯が特徴。大食らいで身体能力に優れる。また特殊な嗅覚を持ち、匂いで人の嘘を見抜くことができる。禍と人の間に生まれた「半禍(はんか)の子」。胸にある繋縛の杭(けばくのくい)を抜くと、禍の血で作った巨大な鉈(なた)を手にした鬼のような姿に変身する。心まで禍になりかけていたところをタオに拾われ、人として生きるようになる。
早乙女 道 (さおとめ たお)
極楽街解決事務所を営む25歳の女性。身長は178センチメートル。誕生日は12月6日。通称は「タオ」。人間や動物の死体を蘇らせて造った怪物「禍(マガ)」を退治する組織・対禍機関「蛇穴(サラギ)」に所属する。丸いサングラスと銀髪が特徴の超美人で、スタイルも抜群によい。愛煙家。性格はドライでお金には厳しい。心まで禍になりかけていたアルマを拾い、人として生きるように諭す。アルマの血で造られた銃弾を込めた拳銃が武器。
書誌情報
極楽街 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-11-04発行、 978-4088827407)
第2巻
(2023-04-04発行、 978-4088834627)
第3巻
(2023-12-04発行、 978-4088837253)
第4巻
(2024-09-04発行、 978-4088840420)