まったく最近の探偵ときたら

まったく最近の探偵ときたら

五十嵐正邦の代表作の一つ。本作の約半年後には他誌で『川柳少女』の連載をスタートしており、並行連載となった。現代日本を舞台に、かつては名声をほしいままにした名探偵の名雲桂一郎と、元気いっぱいの押しかけ助手、真白が繰り広げる波瀾(はらん)万丈な日々を描く探偵ドタバタコメディ。圧倒的な画力で女性たちが魅力的に描かれる一方で、濃い変顔をはじめとした強烈なインパクトを放つ画風も特徴となっている。KADOKAWA「電撃マオウ」2016年6月号より連載の作品。2024年8月にテレビアニメ化が発表され、名雲桂一郎を諏訪部順一、真白を花澤香菜が演じる。

正式名称
まったく最近の探偵ときたら
ふりがな
まったくさいきんのたんていときたら
作者
ジャンル
探偵
 
ギャグ・コメディ
レーベル
電撃コミックスNEXT(KADOKAWA)
巻数
既刊15巻
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探偵ものの皮をかぶったハイテンションギャグ

本作は探偵の名雲と、その助手である怪力少女の真白が、さまざまな事件に挑む姿を描いた探偵コメディ。ただしミステリー要素はあるものの、変人たちによるハイテンションギャグがメインとなっている。本作の作者である五十嵐正邦は『川柳少女』も手がけており、かわいらしい女性キャラクターの描写には定評がある。ヒロインの真白は設定上は美少女ながら、やたらと表情豊かでシュールな変顔をするため、作中では美少女扱いされないのがお約束となっている。また、『川柳少女』とのセルフコラボとして、とあるエピソードでは真白が『川柳少女』で着用した制服で登場する。真白はこの制服を「友人」から借りてきたと語り、おまけ漫画では制服の持ち主が『川柳少女』のヒロイン、雪白七々子であることが明かされる。

元名探偵おじさん×ゴリラ系女子高生

主人公の名雲は、かつて高校生探偵として一世を風靡(ふうび)し、数々の難事件を解決してきた。それから20年後、かつての名探偵はすっかり落ちぶれ、冴(さ)えない中年探偵と化していた。名雲は寄る年波に勝てず、身体に数々の不調を抱えており、仕事どころかまともに生活すらままならない状態だった。また、探偵としての才能も枯れ果て、過去の栄光にすがっていると陰口をたたかれていた。そんな名雲のもとに、女子高校生の真白が押し掛け助手としてやってくる。当初は真白を相手にしていなかったが、意外にも優秀な真白に心を許すようになり、彼女の奇想天外な行動に名雲はドン引きしながらも、ポンコツ中年探偵と人外怪力少女の凸凹コンビがさまざまな事件に挑むこととなる。

すべての始まりである「ハーメルン事件」

ふだんの名雲と真白は、浮気調査をはじめとした、難事件とは程遠い仕事ばかりに追われているが、名雲には忘れられない事件があった。かつて優秀だった頃の名雲がかかわった、子供が大量に誘拐された「ハーメルン事件」は、彼が落ちこぼれるきっかけとなった事件である。この事件は解決したものの、事件の残滓(ざんし)は未(いま)だに社会に深く残っており、名雲は再び因縁の事件に向き合うことになる。本作はギャグ漫画ながら、ハーメルン事件に関してはシリアスな展開になることが多い。また、真白も実はハーメルン事件に深くかかわっており、彼女が苗字を名乗らないのも、この事件に関与しているからとされている。

登場人物・キャラクター

名雲 桂一郎 (なぐも けいいちろう)

名雲探偵事務所の所長を務める男性。年齢は35歳。ボサボサの髪に無精ひげを生やした冴えない中年で、いつもトレンチコートを羽織っている。かつては一世を風靡した高校生探偵だったが、現在はすっかり落ちぶれている。寄る年波には勝てず、老眼、副鼻腔炎、乾燥肌、腰痛に加えて運動能力が大幅に低下し、もはや中年というより介護必須の老人並みに全身にガタがきている。頭のキレも相応に低下しており、探偵としては「才能が枯れた」といわれている。また流行にも疎く、スマホやJK、ホームページの存在すら知らない。ただし、稀(まれ)に体の調子がいい時は往年の冴えを見せることもある。かつてはメディア出演もしていたほどの有名人で、未だに高校生探偵だった名雲を慕う者は少なくない。以前は星野カグヤとバディを組み、子供の大量誘拐事件「ハーメルン事件」を一応の解決に導いた過去を持つ。ハーメルン事件とは因縁深く、未だに事件の残滓と遭遇することがある。

真白 (ましろ)

名雲探偵事務所で助手を務める女子高校生。長く伸ばした髪を大きなリボンで一つ結びにした美少女。しかしゴリラ並みの身体能力と、よく変顔をするため美少女扱いされることはほとんどない。明朗快活な性格で、かつての名探偵だった頃の名雲にあこがれを抱いていた。名雲を「おじさん」と呼んで慕っている。だが努力の方向性が間違っており、「コーチ」と呼ばれる謎の外国人に弟子入りして格闘能力をひたすら磨いてきた。その結果、ヤクザの事務所を一人で潰し、トラックに轢(ひ)かれてもびくともしない人外じみた戦闘能力を手に入れる。ちなみにコーチは探偵がどういう職業か知らなかった。オバケが苦手な年頃の乙女のような一面を持つが、オバケを返り討ちにしたことで弱点を克服した。また、謎の収納術を習得しており、体中に無限ともいえる収納力を持つ。火炎放射器を自作して携帯しているが、傍目(はため)からは突然手に出現したようにしか見えない。ただし、あくまで収納しているだけなので重さは無視できず、大量の道具を力技で運んでいる。奇行ばかりが目立つため隠れがちだが、実は真白には謎が多く、名雲探偵事務所に押しかけてきたのも、過去に大きな因縁があることが理由である。名雲には「真白」としか名乗っていないが、本名は「中西真白」。また中西は母方の旧姓で、かつては「朝倉真白」という名前だった。

書誌情報

まったく最近の探偵ときたら 15巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉

第1巻

(2016-07-27発行、 978-4048922531)

第2巻

(2017-02-27発行、 978-4048926829)

第3巻

(2017-09-27発行、 978-4048933667)

第4巻

(2018-03-26発行、 978-4048937108)

第8巻

(2020-11-27発行、 978-4049135961)

第9巻

(2021-04-26発行、 978-4049138047)

第10巻

(2021-09-27発行、 978-4049139204)

第12巻

(2022-07-27発行、 978-4049144871)

第13巻

(2022-12-26発行、 978-4049147872)

第14巻

(2023-07-27発行、 978-4049150216)

第15巻

(2024-08-27発行、 978-4049154290)

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