概要・あらすじ
学園都市、アルカザムに建設されたソルミナティ学園は、剣と魔法、気術を競い合う完全な実力主義の学び舎である。2年前、ノゾム・バウンティスは、無二の親友、ケン・ノーティスと恋人のリサ・ハウンズの二人と一緒にこの学園に入学した。ノゾムは、農家の一人息子であり、本来は家業を継ぐべきであった。しかし彼は、親の反対を押し切り、恋人の夢を支える道を選んだのだ。優れた才能を持つリサは、入学後すぐに頭角を現し、あっという間にトップである「一階級」に駆け上がった。一方、才能も経験もないノゾムの成績は振るわなかった。そしてある日、「能力抑制」というアビリティがノゾムに発現してしまう。極めてまれなアビリティだが、本人への恩恵は全くない。ノゾムは、身体能力・魔力量・気量の三つを抑圧され、大きなハンデを背負うことになった。その結果、成績は一気に落ち込み、最下級である「十階級」に転落した。さらにその年の夏、ノゾムはリサから突然別れを告げられる。「原因はノゾムの浮気」という、あらぬ噂(うわさ)が学園中に広まり、ノゾムの評価は急落。友人はひとり残らずいなくなり、周囲から罵りやいじめを受けるようになってしまう。ノゾムはそんな現実から逃避するように、ただひたすら体を鍛え続けた。スパシムの森での鍛錬中、魔獣ワイルドドッグに襲われたノゾムは、シノという老婆に助けられる。スパシムの森に居を構えるシノは、東の異国出身の剣士で、Sランク級の腕前を持つ達人であった。ノゾムはシノの弟子となり、厳しい修行に耐え抜いた。そして1年半後、ノゾムは「能力抑制」さえなければ、シノに匹敵するほどの気術の技量を身に付けたのである。それでもやはり、能力抑制の影響は大きく、学園での成績は伸びなかった。気量は制限を受け、魔力にいたっては初級魔法さえ使えなかった。ある日ノゾムは、スパシムの森の奥深くで、ティアマットという伝説の龍に遭遇する。ティアマットに襲われ、ボロギレの雑巾のようになってしまうノゾム。濃密な死の気配がノゾムを包んだとき、生への渇望、強烈な生きる意志が閃光(せんこう)のように発露した。そして、ノゾムの集中力が極限まで高まり、彼の体感時間を何倍にも引き延ばした。その結果、ノゾムは自分の動きの遅さに気がついた。体を見ると、自らを重く縛り付ける鎖が巻き付いている。これが自分の枷(かせ)だと直感したノゾムは、その鎖を引きちぎった。次の瞬間、ノゾムの力はすべて解放され、彼の体はかつてないほどの気力に満ち溢(あふ)れたのだった。
登場人物・キャラクター
ノゾム・バウンティス
ソルミナティ学園2学年の少年。最下級である十階級に所属する。オイレ村という地方で生まれ育った農家の一人息子で、子供の頃、村に引っ越してきたリサ・ハウンズと出会い、一目惚れする。第二次性徴を迎えた頃、村を出てソルミナティ学園に入学するというリサに告白。恋人となった二人は、一緒にソルミナティ学園に通うことになる。1学年のとき、「能力抑制」というアビリティが発現。身体能力・魔力量・気量の三つを抑圧され、成績が急落。さらに理由もわからず、リサに別れを告げられる。「ノゾムの浮気が原因でリサと別れた」という噂が学園中に流れ、周囲から蔑まれるようになる。スパシムの森で出会ったシノという老婆を師と仰ぎ、刀術に磨きをかける。使用武器は「刀」と呼ばれる極東の島国特有の剣。
リサ・ハウンズ
ソルミナティ学園2学年の少女。成績トップの一階級に所属する。ノゾム・バウンティスとは幼馴染で元恋人で、赤みがかったロングヘアーのポニーテールが特徴。容姿端麗、成績優秀な才女で「紅髪姫」の二つ名で知られる。冒険者の両親を持ち、父の死をきっかけに、オイレ村に移住。そこでノゾムと出会い、第二次性徴を迎えた頃、彼の恋人となる。世界を広げるために、ソルミナティ学園に入学。ある日突然、一方的にノゾムに別れを告げる。以来、ノゾムとは口をきかず冷たい視線のみを返す。ノゾムと破局後は、同じく幼馴染(なじみ)のケン・ノーティスと交際する。使用武器は片手剣と短刀。二刀流の剣術と高度な魔法を使う。
ケン・ノーティス
ソルミナティ学園2学年の少年。成績トップの一階級に所属する。ノゾム・バウンティスとは幼馴染で親友。ハンサムな好青年で、成績も優秀。ノゾムがリサ・ハウンズと別れた後、彼女と交際する。
シノ
ノゾム・バウンティスの刀術の師匠の女性。老婆だがSランク級の腕前を持つ達人。ミカグラ流という流派の剣士。東の異国出身で、諸事情によりスパシムの森に居を構え、隠居している。スパシムの森で魔獣に襲われていたノゾムを助ける。現実逃避で自暴自棄になり、過剰な鍛錬をしていたノゾムを見かねて弟子に取る。
アイリスディーナ・フランシルト
ソルミナティ学園2学年一階級の少女。学年総合トップの才媛。長い黒髪が特徴の美少女で「黒髪姫」の二つ名で知られる。アルカザム建設に携わった大国の一つ、フォルスィーナ王国の重鎮を父に持つ。魔法を即座に発動できる「即時展開」のアビリティを持つ。使用武器は、ミスリルを素材とする「宵星の銀翼」と銘うたれた剣。ノゾムの刀術に一目置いており、彼が学園で噂されているような悪い人間ではないことを感じ取っている。
場所
アルカザム
ソルミナティ学園設立のため、10年ほど前に作られた学園都市。学園を中心に、北部には行政庁などの政治機関があり、機関をまとめる各国貴族など富裕層が暮らす。東部は市民街で、一般市民が暮らすほか生徒たちの寮がある。南部は各国から商人や物品が集まる商業区で、都市経済の中心。また冒険者ギルドがあり、学生でも有するランクによっては仕事を受けることができる。西部は職人区で、鍛冶(かじ)屋、細工職人、裁縫職人などがいる。
ソルミナティ学園 (そるみなてぃがくえん)
20年前、アークミル大陸で起きた「大侵攻」と呼ばれる魔獣の大移動がきっかけで建設された学園。魔獣の大規模侵攻に対抗できる人材を育成するため、大陸各国の融資で建設された。出自は関係なく、完全な実力主義が特徴。最高学年は4学年で、各学年は能力に応じて一から十階級のクラスに分けられている。
クレジット
- 原作
-
cadet
- キャラクターデザイン
-
sime