あらすじ
志乃と真雪の交際が始まる
30歳を過ぎた森山志乃は、仕事も恋愛も一通り経験し、そろそろ落ち着いて同年代の男性と結婚したいと考えるようになっていた。そんなある日、志乃は会社に出入りしている造園業者の佐藤真雪から告白を受ける。志乃は真雪が10歳年下であることから、結婚相手としては若すぎると、一度は断ろうとする。しかし、志乃は気まぐれで、自分に結婚相手が見つかるまでという期限付きで交際を受け入れ、二人は付き合うこととなる。最初は結婚相手と出会うまでと割り切って交際をスタートした志乃だったが、次第に不器用ながらもまっすぐな愛情をぶつけてくる真雪を、愛おしいと感じるようになっていく。
志乃と健人のお見合い
森山志乃は実家の母親から、お見合いを勧められる。結婚願望が強い志乃は、断る理由はないとその話を承諾することにする。一方の佐藤真雪は、志乃に結婚相手が見つかるまでという期限付きで交際していることから、内心ショックを受けつつも、嫌だとは言えずにお見合いへと送り出す。志乃とお見合い相手の河合健人は意気投合し、結婚を前提とした交際を開始するが、志乃の頭の中からは真雪の存在が消えないでいた。何度目かのデートの際、志乃は健人に自分には結婚相手が見つかるまでの限定ながら交際している年下の男性がいると、正直に打ち明ける。すると健人も結婚願望のない彼女、逢坂美鶴と交際していると告げ、このまま付き合いを続けて、結婚したくなったらお互いの相手と別れようと提案する。志乃はその提案を受け入れ、真雪だけでなく、健人とも結婚前提の交際をスタートさせる。
健人からのプロポーズ
森山志乃と河合健人はデートを重ね、ついに健人は志乃にプロポーズをする。志乃は誠実で社会的なステータスも高い健人は、自分にとって理想の結婚相手だと感じ、プロポーズを受けることを決意する。しかし、志乃は佐藤真雪からもプロポーズを受け、健人との結婚の決意が揺らいでいた。健人と真雪のあいだで心が揺れ動く志乃の前に逢坂美鶴が現れ、もっと自分の気持ちに正直になるべきだと発破をかけられる。健人の方が周囲からも認められる結婚相手だと理解しつつも、志乃は真雪を選ぶことを決めるのだった。
志乃と真雪の結婚
森山志乃は佐藤真雪を結婚相手に選び、河合健人との結婚を前提にした交際を終了させる。これで真雪は志乃との結婚願望が増々強くなるが、志乃はまだ若い真雪を自分が適齢期だからという理由だけで縛りたくないと、とりあえず同棲をしようと提案する。しかし真雪は早く結婚がしたいと、何度も志乃にプロポーズする。周囲からまだ若い真雪との結婚に反対されながらも、彼の熱い気持ちに応えたくなった志乃は、ついに真雪との結婚を決意し、両家に挨拶に行くことにする。
志乃の転勤と新婚生活
森山志乃と佐藤真雪は結婚し、幸せな新婚生活を送っていた。そんなある日、志乃に本社から名古屋支店への転勤が命じられる。3年間の期限付きながら、志乃は結婚して早々単身赴任となってしまう。名古屋支店に異動した志乃は、どうせ本社の人間は3年で東京に戻ると思われており、同僚から冷遇を受けていた。そんな中、名古屋支店の雰囲気に馴染めない志乃の前に、同期の有川が現れる。有川の手助けや唯一優しくしてくれる小田の存在、そして真摯に仕事に取り組む志乃の姿勢もあり、次第に名古屋支店の同僚とも打ち解けていく。そんな志乃の奮闘ぶりを見ていた有川は、以前から彼女が気になっていたこともあり、既婚者だと知りつつも好意を寄せるようになる。有川はなんとか志乃への思いを断ち切ろうとするが、なかなかうまくいかず、告白された取引先の女性と誘われるがままに交際を開始する。一方の志乃と真雪は、結婚指輪の紛失事件などを経て、遠距離にもかかわらず順調に愛を育んでいく。
志乃への思いを募らせる有川
森山志乃は平日は名古屋で仕事をこなし、金曜日の夜に新幹線で佐藤真雪と暮らす自宅に帰る生活を送っていた。一方有川は、名古屋支店で志乃と過ごす時間が長くなるにつれ、彼女への恋心を募らせていた。そして有川は、偶然顔を合わせた真雪に悪態をついたり、年を取れば捨てられるだろうと暴言を吐いたりと、感情がコントロールできなくなっていく。そんな中、有川は志乃のことを忘れるために交際した女性からも、本当は別に好きな人がいるのだろうと別れを告げられ、自暴自棄になってしまう。そして有川は、10年以上前に勢いで志乃と体の関係を持った過去を真雪に暴露し、自分が志乃を奪うことができないと理解しつつも、二人を引き離そうとする気持ちを制御できなくなる。そんな有川を小田が励ましたことで、二人の関係は急接近する。
メディアミックス
ネット配信ドラマ
2021年1月から、本作『30禁』の実写ドラマ『30禁 それは30歳未満お断りの恋。』がフジテレビオンデマンドで配信された。キャストは、森山志乃を松井玲奈、佐藤真雪を鈴木仁、河合健人を福士誠治、逢坂美鶴を太田莉菜が演じている。
登場人物・キャラクター
森山 志乃 (もりやま しの)
会社員の独身女性。年齢は31歳。本社の広報部に所属しており、課長を務めている。仕事も恋愛も大抵のことは一通り経験してきたため、そろそろ同年代の落ち着いた男性と結婚したいと考えている。何事も要領よくこなすことをモットーに、無駄なことを極端に嫌う。会社に出入りしている造園業者で10歳年下の佐藤真雪から告白を受け、一時は年齢を理由に断ろうとするものの、結婚相手が見つかるまでという期限付きで交際をスタートさせる。あくまで結婚相手が見つかるまでの軽い気持ちで交際を受け入れたが、不器用ながらもまっすぐな愛情を向けてくれる真雪に徐々に心惹かれていき、のちに結婚する。
佐藤 真雪 (さとう まゆき)
森山志乃が勤務している会社に、造園業者として出入りしている独身男性。年齢は21歳。仕事中に脱水症状を起こしかけていた際、心配して声をかけてくれた志乃に好意を抱く。その後、志乃の結婚相手が見つかるまでという期限付きで交際をスタートさせる。何事も要領よくこなす志乃とは正反対で、不器用な性格の持ち主。しかし何に対しても一生懸命で、志乃に対してもまっすぐな愛情をぶつけていく。家事全般は得意ではなく、料理の腕も今一つ。のちに志乃への一途な愛が実り、結婚する。
河合 健人 (かわい けんと)
有名企業に勤務している独身男性。年齢は35歳。森山志乃とお見合いで知り合い、彼女と結婚前提の交際をスタートさせる。子供が大好きで早く結婚して家庭を築きたいという思いが強いが、交際中だった逢坂美鶴に結婚願望がないことから、彼女の了承を受けたうえで志乃とも付き合っている。志乃が、結婚相手が見つかるまでという期限付きで佐藤真雪と交際していることを知り、自分たちが惹かれ合っているなら、互いに付き合っている相手とは別れて結婚しようと持ちかける。さわやかなルックスで、性格も温厚ながら、つかみどころがないところがある。特技は料理で、外食先で出されたメニューを再現できるほどの腕前を持つ。
逢坂 美鶴 (おうさか みつる)
新進気鋭の美人女優。森山志乃が勤務する会社の商品のPRモデルに抜擢されたことで、彼女と知り合う。大学生の頃から河合健人と交際していた。しかし芸能界で成功したいという気持ちが強く、結婚すると活動の幅が狭くなることから、結婚願望はまったくない。そのため、家庭を築きたい思いの強い健人がお見合いをすることも反対することなく、志乃との結婚前提の交際も受け入れている。ただし、本心では健人のことを愛しており、別れることは望んでいない。
恵菜 (えな)
佐藤真雪が勤務している造園会社の親方の娘。自らも家業を手伝っている。真雪に思いを寄せており、結婚相手が見つかるまでという期限付きで交際している森山志乃に敵意を抱いている。志乃から真雪を奪いたい気持ちは強いものの、真雪には志乃しか見えていないことも理解しており、恵菜自身の思いを伝えるつもりはない。
金子 (かねこ)
森山志乃が勤務している会社の女性。志乃と同期にあたる。志乃とプライベートでも親しくしており、個人的な悩みを打ち明けられるなど、彼女から信頼を寄せられている。志乃と佐藤真雪の結婚については、最初は10歳の年の差から反対していたものの、最終的には応援するようになるが、二人ののろけ話を聞くことが多い。既婚者で、現在は産休中。長男の海里(みさと)と夫の三人で暮らしている。
有川 (ありかわ)
森山志乃が勤務している会社の男性。志乃と同期にあたる。名古屋支店に在籍しており、志乃が本社から転勤になったことで再会する。以前から志乃のことが気になっていたものの、職場が離れていたこともあり、特に行動を起こさずにいた。しかし、再会してからは佐藤真雪と結婚していると理解しつつも、志乃のことを異性として意識するようになる。10年前に一度だけ、勢いで志乃と体の関係を持ったことがある。何事も率なくこなすタイプであるが、熱が入りすぎるとふだんよりも毒舌になるため、周囲からは冷たい人物だと誤解されることも多い。部下の小田から好意を寄せられているが、まったく気づいていない。
小田 (おだ)
森山志乃が勤務している会社の20代前半の若い女性。志乃の部下にあたる。名古屋支店に在籍しており、志乃が本社から転勤して来たことで知り合う。本社から来た志乃は3年で本社のある東京に戻ることから、会社の同僚たちから冷遇されているが、唯一小田だけは親切に接している。ひそかに先輩の有川にあこがれているが、年の差もあってなかなかアプローチできずにいる。志乃だけには、有川への恋心を打ち明けている。
書誌情報
30禁 7巻 小学館〈フラワーコミックス〉
5.5
(2020-08-07発行、 978-4098711192)
第1巻
(2017-06-09発行、 978-4091392879)
第2巻
(2017-12-08発行、 978-4091396785)
第3巻
(2018-08-09発行、 978-4098701674)
第4巻
(2019-06-10発行、 978-4098705146)
第5巻
(2020-02-10発行、 978-4098707843)
第6巻
(2020-10-09発行、 978-4098711888)
第7巻
(2021-06-10発行、 978-4098713530)