概要・あらすじ
長島茂雄は、往年の名野球選手とほぼ同姓同名であることから、港南高校野球部で過度の期待をかけられる高校球児。だが成績は振るわず、落ち込んでいる時に見つけた名園運動器具店で神様のバットを手に入れることになる。ベーブ・ルースの力を秘めたそのバットで長島は次々と豪打を放ち、港南高校野球部を甲子園に導き、さらには優勝を目指す。
だが、決勝戦の相手投手・稲尾一久の手には、沢村栄治の力を秘めたグローブがあった。
登場人物・キャラクター
長島 茂雄 (ながしま しげお)
野球好きな普通の高校2年生だが、長嶋茂雄とほぼ同姓同名なことから周囲に期待され、港南高校野球部では4番サード、背番号は3を与えられている。努力はしているが成績は振るわず、50打席ノーヒットで落ち込んでいる時に名園運動器具店を発見。神様のバットを手に入れ、豪打を飛ばすようになる。 神様のバットの力を使うには金銭が必要なため常に金欠で、野球部の練習と並行して喫茶店でのバイトも始めている。その名前と、タイムリーな豪打を飛ばすことから、甲子園で三回戦を迎えた頃にはアイドル視されていた。
江夏 豊 (えなつ ゆたか)
長島茂雄と同じ港南高校の女生徒で、喫茶店「景虎」の看板娘。阪神タイガースの熱狂的ファンである父によって、かつての大投手の名をつけられた事を不満に思っている。「景虎」へバイトに来た長島と親しくなり、彼にお守りを渡して、自分を甲子園に連れていくという約束を交わす。
名園運動具店店主 (なぞのうんどうぐてんてんしゅ)
名園運動具店で長島茂雄を迎えた、白髪白髭の老人。背番号14の男を介して長島に神様のバットを与え、使用法を説明した。神出鬼没で、神様のバットと沢村栄治のグローブによる対決を画策している事などから、普通の人間ではない神のような存在と思われるが、正体は不明。
景虎の店主 (かげとらのてんしゅ)
阪神タイガースの熱狂的ファンと思われる中年男性で、経営する喫茶店「景虎」はタイガースのグッズだらけ。かつての大投手にあやかり、女の子であるにもかかわらず我が子を豊(フルネームは江夏豊となる)と命名した。「景虎」へバイト志願に来た長島茂雄を、その名やポジションから毛嫌いするが、「たっぷりこき使ってやる」と言って採用する。 長島に対してよく憎まれ口を叩くが、バイトでの働きは認めており、野球の試合でも次第に応援し始める。
有藤 (ありとう)
長島茂雄が所属する港南高校野球部のキャプテンで投手。ヒットを打てなくても練習熱心な長島を認めており、4番打者に一番相応しいと言って励ました。甲子園でも強豪校を相手に、多くの試合を低得点に抑えている。
柳田 (やなぎだ)
長島茂雄が所属する港南高校野球部の3年生部員で、5番打者を務める大柄なムードメーカー。しかしミスが続くと弱気になる脆さもあり、甲子園の一回戦では自信を失いかけるも、長島の励ましで復調した。準決勝戦では、YK学院のラフプレーで右腕を骨折する。
野村 勝哉 (のむら かつや)
港南高校野球部が甲子園の三回戦で対戦した、愛出高校の捕手を務める。緻密な計算による「頭脳野球」を標榜し、甲子園のアイドルとなった長島茂雄を倒して世間に認められようとする。長島が神様のバットを使うためポケットにお金を入れる行為をジンクスと解釈し、ポケットをこっそりはぎ取ることで長島の力を封じようとした。
稲尾 一久 (いなお かずひさ)
港南高校野球部が甲子園の決勝戦で対戦した、大金高校の2年生エース。長島茂雄が持つ神様のバットと対になる、沢村栄治のグローブを持つ。長島が神様のバットを持っている事を知っており、試合前から強いライバル意識を募らせていた。財閥の御曹子で、決勝戦には沢村栄治のグローブに5千万円の入ったキャッシュカードを仕込んで臨む。 剛球や変化球を使いこなし、準決勝戦では完全試合を達成するが、その尊大さゆえチーム内での折り合いは悪かった。
背番号14の男 (せばんごうじゅうよんのおとこ)
神様のバットを受け取るため名園運動用具店を訪れた長島茂雄へ、不在の名園運動用具店店主に代わってバットを渡した、野球選手と思われる青年。ジャイアンツのユニフォームを着ており背番号が14であったこと、ベーブ・ルースのバットを持っていたことなどから、沢村栄治の霊のような存在と思われるが、詳細は不明。
集団・組織
港南高校 (こうなんこうこう)
『4番サード』に登場する学校。長島茂雄、江夏豊らが在籍しており、野球部は長島の活躍で甲子園に進出する。
YK学院 (やんきーがくいん)
『4番サード』に登場する学校。野球部はラフプレーを得意とし、港南高校野球部と甲子園の準決勝で対戦した。事故を装って港南高校の選手たちを次々と負傷させるが、長島茂雄へのビーンボールを打たれ、サヨナラ負けした。
場所
名園運動具店 (なぞのうんどうぐてん)
『4番サード』の舞台のひとつ。長島茂雄が雨の日に発見したスポーツ用品店で、白髪と白髭をたくわえた老人が店主を務める。スポーツ用品店らしからぬ古い洋館のような建物で、以前からそこに建っていたか、長島にも覚えがなかったという、不思議な雰囲気をたたえている。
その他キーワード
神様のバット (かみさまのばっと)
名園運動器具店店主によれば、かつての大打者ベーブ・ルースが所持していたという木製のバット。それを持つ野球選手に豪打を飛ばす力を与えるが、その威力は一打ごとに費やすお金の額に比例する。お金は選手のユニフォームのポケットに入れておくと、バットの力が発動した時に消え、名園運動器具店店主が持つ瓶へと瞬間移動する。 右打者の時はズボン後ろの左ポケット、左打者の時は右ポケットのお金が使用されるというルールがある。
沢村栄治のグローブ (さわむらえいじのぐろーぶ)
『4番サード』に登場する野球グローブ。名園運動器具店店主や稲尾一久によれば、かつての名投手・沢村栄治の力を宿したグローブで、使用者に超人的な剛球や変化球を投げる力を与える。神様のバットとは違い、内蔵したキャッシュカードで自動的に金が引き落とされるシステムが構築されている。