特殊能力を持つ「アルタード」
本作では人間でありながら超常的な力を持った者を、「変異体」の意味を持つ「アルタード」と呼称している。アルタードは基本的に一人につき一つの特殊能力を持ち、そのほとんどがふつうの人間を圧倒するほどの強さを誇る。そのため人類からは脅威とみなされ、忌避される傾向にある。アルタードは12年前の夏、さそり座の最輝星アンタレスが超新星爆発した光が目撃された夜以降に発生したとされているが、発生のメカニズムについては現在も解明されていない。また、2年前に発生したレンゲ事件の影響でアルタードに対する弾圧がさらに激化し、現在はアルタードであるという理由だけで監獄島「AREA D」に収監されている。
異能者たちが集う「AREA D」
「AREA D」は、アルタードを危険視した人類によって設立された監獄島で、「アイランドD」とも呼ばれている。その存在は社会から完全に隠匿されており、アルタードに対抗するための兵器が多数配備されているほか、独自の法律が施行され、これを3回破ると問答無用で射殺される。ただし、法律に従っていれば自由に暮らすことが可能で、独自のグループを作って収監前と同じか、それ以上の暮らしを楽しんでいるアルタードも多い。一方、弱者を守る法律も存在しないため、事実上は半ば弱肉強食の世界となっている。なお、AREA Dにはアルタードと判断された人間が強制的に連行されることがほとんどだが、カザラギ・ジンやハザマ・リョウのように、自分の意思でAREA Dへの潜入を試みるアルタードもいる。
謎の惨劇「レンゲ事件」
主に「ノーマル」と呼ばれるふつうの人間が、アルタードを嫌悪するようになった背景には、2年前に発生した「レンゲ事件」が大きくかかわっている。レンゲ事件は、本作が始まる2年前に「蓮華市」と呼ばれる都市で発生した爆発事故で、アルタードによるテロ行為だとみなされている。死亡者は推定2万人で、重軽傷者は3万7千人にものぼり、その1割はアルタードだったとされている。「AREA D」主任看守であるジガーは、ジンこそがこの事件の主犯だと吹聴しており、ジンも彼女の主張を否定せずにいる。また、リョウやイソベ・シュンなど、レンゲ事件で肉親を亡くしたアルタードも多く、ジンが憎まれている大きな原因となっている。
登場人物・キャラクター
カザラギ・ジン
S級囚人として「AREA D」に護送されてきた青年。雪のような白髪のロングヘアが特徴で、触れた相手の能力をコピーして使用することができる。ただし、能力を使えるのは一度のみで、再使用するには再び能力の持ち主に触れる必要がある。2年前に発生したレンゲ事件の主犯とされており、一部の人間からは最凶の存在として恐れられたり、疎まれたりしている。しかし、すべてのアルタードは人間と変わらないと公言し、能力の暴走に悩むアルタードを、危険を顧みずに体を張って守ろうとするなど、凶悪という印象とはかけ離れている。そのため、イイダ・サトルやミカなど、監獄で出会った多数のアルタードたちに慕われている。表向きは凶悪犯として収監されたが、のちに実の兄であるカザラギ・レイを探すため、自らの意思でAREA Dに潜入していたことが判明する。
ハザマ・リョウ
カザラギ・ジンを暗殺するため「AREA D」に派遣された特殊工作員の少年。巨大な鳥型のエネルギーを具現化する能力「光輝の鷲獅子(シャイニング・グリフォン)」を使うアルタードだが、AREA Dに潜入した直後は能力が未成熟で、自らの意思で発動させることができなかった。義理人情に厚く、弱者を食い物にしている人間やアルタードを嫌悪している。2年前に発生したレンゲ事件で母親を亡くし、その主犯とされるジンを憎んでいる。そのため、暗殺任務を命じられた時はなんの抵抗もなく受け入れ、相棒のイブキ・マリと共に任務を遂行するために奔走する。そんな中、ジンの仲間であるイイダ・サトルやユウキ・カイトに助けられ、彼らからジンの人柄を聞き、彼が本当に悪人なのか疑問に思うようになる。
クレジット
- 原作
書誌情報
AREA D 異能領域 全14巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2012-08-17発行、 978-4091238573)
第14巻
(2016-02-18発行、 978-4091270177)