繰り返される惨劇の謎にせまる学園ホラーミステリー
本作は、2006年に発表された綾辻行人のホラー小説『Another』を原作としたコミカライズ作品。コミカライズに加え、アニメや実写映画など、さまざまなメディアミックス展開が行われている。物語は、田舎の中学校に転校してきた恒一が、クラスの奇妙な因習「いないもの」を目撃するところから始まり、凄惨で謎に包まれた事件に巻き込まれていくホラーミステリー。
クラスの異様な雰囲気と見崎鳴との出会い
恒一は持病の発作で入院していたため、1998年のゴールデンウィーク明けという微妙なタイミングで、夜見山北中学校の3年3組に転入する。登校初日、クラスメイトたちは一見平穏そのものに見えたが、どこか怯えているような雰囲気が漂っており、恒一は違和感を覚える。そして、クラスの中で特に目を引く眼帯姿の少女、鳴と出会う。彼女の不思議な存在感に惹かれ、接触を試みようとする恒一だったが、クラスメイトたちはなぜか彼女をまるで「いないもの」のように扱っていた。その様子を見て、恒一は違和感を確信へと変えていく。そして、「ミサキ」と呼ばれた少女が4月に亡くなっていること、さらに26年前にも同じく「ミサキ」と呼ばれた少女が亡くなっていたことを知る。
呪われた3年3組の真実
恒一が「ミサキ」についての調査を始めた矢先、3年3組のクラスメイトが凄惨な事故で命を落とす。恒一は、3年3組が「呪われた3年3組」と呼ばれ、数年ごとに「現象」と呼ばれる怪異によってクラスメイトやその関係者が次々と命を奪われるという噂を耳にする。この現象について、当事者たちは恐れを抱きながらも多くを語らず、恒一は中途半端なタイミングで転校してきたため、詳細を知らされていなかった。そして、最初の現象を契機に被害者が増えていく中、恒一は変わりゆく日常に否応なく巻き込まれ、現象の謎にせまっていく。
登場人物・キャラクター
榊原 恒一 (さかきばら こういち)
夜見山北中学校の3年3組に転入してきた男子。年齢は15歳。「自然気胸」という病を抱えており、肺の一部が傷ついているため、自然に空気が漏れ出してしまう。母親は恒一を出産した際に亡くなり、父親は春から仕事の関係でインドに出張中である。そのため、恒一は東京から母方の祖父母に預けられ、母親の故郷である夜見山市に引っ越してきた。本来は4月の新学期に合わせて転入する予定だったが、持病の発作で入院し、ゴールデンウィーク明けに転入することになった。クラスメイトともすぐに打ち解け、穏やかな新生活をスタートさせたが、「ミサキ」の謎に触れ、最初の犠牲者が現れたことで事態は一変する。クラスメイトの態度や周囲の状況が急激に変化する中で、自分たちのクラスに「現象」と呼ばれる怪異が存在することを知ることになる。趣味はホラー小説を読むこと。
見崎 鳴 (みさき めい)
夜見山北中学校に通う女子。3年3組に在籍している。恒一が通院している病院のエレベーターで出会った少女。幼い頃に病気で左目を失い、母親が作った碧い義眼をつねに装着し、その上から眼帯をつけている。ミステリアスでクールな雰囲気を漂わせ、どこか現実離れした印象を与える。実家は「夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。」という名の人形店を営んでいる。3年3組ではクラスメイトから完全に無視され、「いないもの」として扱われている。恒一が何度も接触を試みる中、鳴は意味深な忠告とも取れる言葉を残しつつも、彼との距離を保っている。「いないもの」とされることは単なるいじめではないと感じており、恒一からは謎めいた少女として認識されている。
クレジット
- 原作
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綾辻 行人
書誌情報
Another 全4巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第1巻
(2010-10-04発行、978-4047155343)
第2巻
(2011-03-04発行、978-4047156289)
第3巻
(2011-09-02発行、978-4047157729)
第4巻
(2011-12-28発行、978-4041200445)







