冴えない少年と背後霊美少女の恋愛ホラーコメディ
本作は、冴えない少年、望と、背後霊に取り憑かれた転校生の美少女、京子の出会いから始まるホラーラブコメディ。恋愛とホラーという二つの「ドキドキ」を同時に楽しめる点が大きな特徴となっている。本作のプロトタイプ版は、2019年8月に講談社が運営する漫画・小説投稿サイト「コミックDAYS NEO」に投稿され、編集者のI崎の目に留まり、正式連載が決定した。担当編集者との打ち合わせを経て内容がブラッシュアップされ、その結果、第1話のストーリーはプロトタイプ版を踏襲しつつも、キャラクターデザインは全面的に刷新されている。
怨霊は恋のキューピッド
転校生の京子に取り憑いているのは、怨霊そのものの恐ろしい姿をした幽霊で、その姿は主人公の望しか見ることができない。ふだんは望を驚かせたり、京子にセクハラをしたりと自由気ままに振る舞っているが、実は少女漫画のような甘酸っぱいシチュエーションが大好きという意外な一面を持っている。そのため、望と京子の関係がいい雰囲気になると途端に機嫌がよくなり、時には恋に奥手な望を後押しすることもある。この奇妙な恋のキューピッドのおかげで、望と京子の関係は少しずつ進展していく。
京子との出会いが変えた少年の成長物語
望は、気が弱く特に目立った取り柄もない少年だが、京子との出会いをきっかけに、彼の日常は一変する。当初は京子に取り憑いた幽霊に振り回される日々が続いていたが、数々の騒動を乗り越えるうちに、次第に京子との距離が縮まっていく。しかし、自分に自信が持てない望は、「自分なんて京子に釣り合わない」と卑屈になるが、そのネガティブな心も、京子への恋を通じて徐々に前向きなものへと変わっていく。要所で見せる幽霊の活躍にも後押しされ、望は好きな京子を守るために奮起し、一人の男性としてたくましく成長していく。
登場人物・キャラクター
鳥居 望 (とりい のぞむ)
静台高校に通う2年生の男子。地味な外見でいつもおどおどしており、自他共に認める“陰キャ”。しかし、自分の短所を改善しようと努力する前向きで真面目な一面を持っている。転校生の京子と出会ったことで霊感が覚醒し、彼女に取り憑く幽霊たちが見えるようになってしまう。となりの席になった京子と急速に親しくなるが、お互いを意識する恋のドキドキと、幽霊が引き起こす心霊的なドキドキで、心休まらない日々を送ることになる。当初は幽霊に振り回されていたが、やがて二人の恋を応援してくれる幽霊と奇妙な友情を育んでいく。また、望が活躍した際には、幽霊から京子の着替えなどのサービスショットがスマホに送られてくるほど打ち解けている。見た目とは裏腹に手芸が趣味で、編みぐるみはプロ級の腕前を誇る。最初は帰宅部だったが、その腕前をきっかけに家庭科部とも交流を持つようになった。
霧島 京子 (きりしま きょうこ)
静台高校に転校してきた2年生の女子。艶やかな黒髪が印象的で、清楚でまじめな美少女。そのおしとやかな雰囲気に反して、誰もが羨む抜群のプロポーションを誇る。幽霊に取り憑かれているが、京子自身はそのことにまったく気づいていない。また、オカルトに関する話もまったく信じていない。幽霊に取り憑かれているため疲れやすいが、「お腹が空きやすい」とカンちがいしており、男子顔負けの大食いであることがコンプレックスとなっている。霊感がまったくないため、日々幽霊からセクハラまがいのことをされても気づいていない。転校初日、となりの席の望が幽霊を見て戸惑う様子を、「心細い自分を心配してくれる優しい人」だとカンちがいし、彼と友人となった。その後、盗撮犯騒ぎで望が勇気を出して助けてくれたことをきっかけに、彼を異性として意識するようになる。
幽霊 (ゆうれい)
京子に取り憑いている、年齢や名前が不明な幽霊。ギョロリとした目と長い黒髪を持つ不気味な女性の姿をしており、その姿は霊感の強い望にしか見えない。京子の転校初日、望に自分の姿が見えていることに気づき、何かと彼にちょっかいをかけるようになる。ふだんは、ドリンクを飲む感覚で京子にストローのようなものを突き刺し、エネルギーを吸い取っている。また、姿が見えないことをいいことに京子にセクハラを繰り返している。しかし、その見た目とは裏腹に、実は甘酸っぱい少女漫画が大好き。望と京子の関係を誰よりも応援しており、二人がいい雰囲気になると、「ケタケタ」と不気味な笑い声をあげて喜ぶ。逆に、二人の仲を邪魔する者には怨念を剥き出しにし、さらに恐ろしい姿に変貌する。京子に害を及ぼす一方で、ほかの人間が彼女にセクハラをすることは許せないらしく、京子が盗撮された際には盗撮犯に報復するなど、その正体が怨霊なのか守護霊なのかはわからない謎の行動を取っている。
書誌情報
それは霊のしわざです 7巻 講談社〈イブニングKC〉
第1巻
(2020-08-11発行、978-4065204894)
第2巻
(2021-01-13発行、978-4065221846)
第3巻
(2021-06-09発行、978-4065235485)
第4巻
(2021-11-10発行、978-4065250747)
第5巻
(2022-04-13発行、978-4065270158)
第6巻
(2022-10-12発行、978-4065298367)
第7巻
(2023-01-11発行、978-4065304631)







