BIRDMEN

BIRDMEN

黒い翼で空を飛び、強力な力を持つ「鳥男」の能力を、偶然から得てしまった中学生たちが、日常生活を送りながらも、不可解なこの能力の解明につとめるうちに、謎の組織と関わるようになってゆく、SF青春ストーリー。小学館「週刊少年サンデー」にて、2013年第33号より連載。7話目以降は月に1回のペースで、2020年10号まで連載。

正式名称
BIRDMEN
ふりがな
ばーどめん
作者
ジャンル
スーパーヒーロー
関連商品
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世界観

鳥男」という特殊能力以外は、現実と同じ現代日本が舞台となっている。変身能力を得て謎の敵と闘うというSF要素と、思春期である主人公たちの、繊細な心の悩みや成長を描く青春ストーリー的要素が共存しているのが特徴的。

あらすじ

中学3年生の男子・烏丸英司は、内心に不満を抱えながら、無気力で平凡な学生生活を送っていた。ある日、幼なじみの鴨田樹真、クラスメイトの鷺沢怜、その女友達の海野つばめとともに、バス事故に遭ってしまう。朦朧とした意識の中、英司は黒い翼を生やした鳥のような人間を見たような気がした。大量出血して瀕死だったはずの彼らは、何故か大したケガもなく命を取り留めたが、背中から翼が生える謎の能力が身に着いてしまっていた。「鳥男」としての能力を意図せず得てしまった英司たちの日常は、大きく劇的に動き始める。

作品誕生のいきさつ

作者が日本のロックバンド・THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「バードメン」という曲を聴いたときに「赤い空を黒い翼が生えた男たちが飛んでいるようなイメージ」が浮かんだ。

登場人物・キャラクター

烏丸 英司 (からすま えいし)

区立天空台中学校3年B組の男子生徒。15歳。小柄で目立たない外見。頭の回転は速いがネガティブ思考で、対人コミュニケーションが苦手。そのため鳥男の能力を授かるまでは、鴨田樹真くらいしか友達がいなかった。バス事故で瀕死の際に鷹山崇から能力を伝授され、鳥男となった。メガネをかけていたが、鳥男になって視力が良くなり、以後は外した。 知力は高いが、過保護な母親に反抗して中学受験をボイコットし、公立中学に進んだ。現在も過干渉な母親との関係はぎくしゃくしたまま。パイロットの父親は家に寄りつかない。外からはクールで冷静に見られがちだが、一度熱中するとトコトンまで物事を追及する。鳥男になった後も、能力の把握や研究に一番熱心である。

鴨田 樹真 (かもだ みきさだ)

区立天空台中学校3年D組の男子生徒。14歳。巨体にスキンヘッドという、中学生らしからぬ威圧感のある外見。ケンカも強いため周囲から恐れられているが、性格は裏表なく素直。実家はお寺。バス事故で瀕死の際に鷹山崇から能力を伝授され、鳥男となった。小学3年生の時に転校してきた烏丸英司をいじめるグループにいたが、英司による戦略的な逆襲に遭って彼の知力に感服し、以後は友達となった。 猫が好き。女の子に惚れっぽい。

鷺沢 怜 (さぎさわ れい)

区立天空台中学校3年A組の男子生徒。15歳。くせっ毛でかなりの美形。親はかなりの資産家らしく、高級タワーマンションに暮らしている。上流家庭出身らしい優雅な物腰で、人当たりもやわらかい。バス事故で瀕死の際に鷹山崇から能力を伝授され、鳥男となった。一見社交的だが、本心はあまり表に出さない。崇拝していた兄が自殺したことが心の深い傷となっている。

海野 つばめ (うみの つばめ)

横浜の市立中学に通う女子生徒。小学生の時に塾が同じだった鷺沢怜と親しい。バス事故で瀕死の際に鷹山崇から能力を伝授され、鳥男の能力を得た。鳥部の中での紅一点。天真爛漫で明るい性格。小学生の弟がいる。

鷹山 崇 (たかやま そう)

区立天空台中学校3年B組の生徒。14歳。中2の終わりごろという中途半端な時期に転校してきた。無口で授業もサボりがち、友達づきあいもしない謎めいた存在。バス事故で死にかけていた烏丸英司、鴨田樹真、鷺沢怜、海野つばめの4人に鳥男の能力を授けた張本人。自分自身も小学3年生の時に、両親との旅行中に乗っていた飛行機が墜落。 瀕死の際に謎の女性から能力を授かり、鳥男となった。現在は祖父と二人で暮らしている。

龍目 直之 (たつめ なおゆき)

東都大学理工学部生物学科准教授の進化生物学者。42歳。メガネにオールバックの中年男性。以前に鷹山崇によって命を救われたことがあり、連絡先を交換していた。烏丸英司たちは、鳥男となってしまった自分たちを、専門家の立場からサポートする大人を必要だと感じ、龍目直之に鳥部のハカセ役としての協力を申し出た。 有能な学者だがしつこい性格で、初めて出会った鳥男である鷹山に、ストーカー行為をはたらいたこともある。しかし大人の良識も持っており、英司たちが中学生であることを心配し、保護しようとしている。自らも鳥男になりたいと考え、鷹山の血を飲んだが変身できなかった。すでに中年の人間は鳥男にはなれないようである。

鞠林 虎次郎 (まりばやし とらじろう)

外見は金髪巻き毛のナイスバディの女性だが、実は男性。龍目直之の優秀な助手だったが、本当の夢はマリリン・モンローになることだと突然宣言し、研究者を辞めた。現在は新宿で店を開いている。龍目に好意を抱いており、つきまとっている。ハッカー技術に長けており、EDENの極秘資料を入手したりして、烏丸英司たちをサポートしてくれる。

エヴァ・オウル (えゔぁおうる)

レッドアイ生命科学研究所第7研究室主任。24歳の女性。現在存在する鳥男=セラフのオリジナルのうち唯一の生き残り。5年前に研究所を脱走しており、その時に鷹山崇に能力を授けた。世界中にセラフを増やす計画を密かに練っているようである。

FOX (ふぉっくす)

レッドアイ生命科学研究所のエージェント。22歳の男性。外見やふだんの言動は明るくややチャラいが、EDEN内部でも最上位の天才的ドクター。EDEN管轄外のセラフである烏丸英司たちの正体を探るため来日した。心の中は冷徹で、EDENの指令に従うだけではない。現状維持を嫌い、セラフたちの能力を目覚めさせて、未知なる世界に到達することを目指している。 その目的のためには手段を選ばず、英司たちに接触を図り、彼らの通う天空台中学校に英語指導助手として潜り込んだ。

FAIRY (ふぇありー)

レッドアイ生命科学研究所のエージェント。ゴスロリファッションに身を包んだ13歳の少女。本名はフィオナ。セラフであり、「探索者」の能力を持つ。母親の悲惨な死を最初に発見したことがトラウマとなっている。東京に突如発生したEDEN管轄外のセラフである英司たちを探るため派遣されてきた。

WOLF (うるふ)

レッドアイ生命科学研究所のエージェント。長髪にあごひげをたくわえた男性。一流の狙撃の腕を持つスナイパー。

ヴィクトル・イヴァーノヴィチ・バラーノフ (ゔぃくとるいゔぁーのゔぃちばらーのふ)

EDEN統括長長官・レッドアイ生命科学研究所所長。81歳の老人。EDEN創立メンバーの一人。先天性白皮症で色素が欠乏しており、血の色が透けるため瞳の色が赤い。セラフの覚醒と増殖により世界が変化することは、生物の進化上の必然だと考えており、人類ができることは時間稼ぎだけだと達観している。

アーサー・C・フェニックス (あーさー しー ふぇにっくす)

アメリカ人の15歳の少年。レッドアイ生命科学研究所のエージェント。エージェントネームは「KING(キング)」。セラフであり、「先導者」の能力を持つ。やんちゃで子供っぽく、施設を脱走して鳥男の姿でテレビの前に姿を現わした。ただ、あまりに突飛すぎるので、世の中からは作り物と判断され、大事にはならなかった。 両親は他界しており、EDENの監視の下に育ったため世の中を知らない。自分の能力の危険性についても無自覚。

CAT (きゃっと)

レッドアイ生命科学研究所のエージェント。16歳の女子。本名はアイリーン・グリフ。EDENの研究による強化人間。薬物の力で超人的な力を発揮できる。FOXの作戦により烏丸英司たちを人目にさらすため、東京で騒ぎを起こした。「ボルト」という名の巨大なネコ科の強化生物を従えている。

スカイ

アーサー・C・フェニックスに暗号化された特別な電話で接触してきた謎の人物。経歴など一切不明。エゴまみれで、争いの絶えない人類が支配する今の世界に絶望。君がヒーローとなって世界を変えるべきだと、アーサーを煽り、彼を先導者としてアメリカ中のセラフたちを施設から脱走させようとする。

ロビン・ハワード (ろびんはわーど)

16歳の女子。アーサー・C・フェニックスと同じ施設で育ったセラフ。顔のソバカスがコンプレックス。アーサーとお互いに好意を寄せあっている。アーサーの先導により、仲間といっしょに施設から脱走した。

ナイル

秘密結社エクソダスの主宰。EDENが初期に開発していた改造人間のうちの一人。全身の皮膚がウロコのようになっており、身体を渇かすわけにいかず、常に水辺にいる。研究所を脱走し、自分と同じように半端に改造された失敗作である者たちを組織。裏稼業に手を染めて隠遁生活を続けている。

柴 京子 (しば きょうこ)

黒髪長髪の女性。EDEN日本支部の者。現在のボスはFOX。鷺沢怜のマンションに住民を装って出没するなど、烏丸英司たちの周辺をさぐっていた。

野原さん (のばらさん)

鷺沢怜の家の家政婦である老女。仕事の関係で両親は常に家にいないため、彼女が鷺沢の日常生活の面倒を見ている。鷺沢を「怜坊ちゃん」と呼ぶ。鷺沢が最近烏丸英司たちを自宅に呼ぶため、家に呼ぶような友達ができたのだと嬉しく思っている。

鮫洲 あやめ (さめず あやめ)

区立天空台中学校3年B組の女子生徒。地味なメガネ女子。修学旅行で烏丸英司と同じ班だった。小学生のときに書道を習っていたので字が綺麗。

集団・組織

EDEN (えでん)

世界最大の国際遺伝子銀行(ジーンバンク)を併設する学術都市の名称。場所は北極圏に位置する。1970年代の遺伝子工学の発展に伴い、世界中の富豪が出資して誕生した。総人口約15万人、巨大な地下都市の中で、生命科学を中心とした各種研究所や最先端の医療施設などを持つ。世界主要各国と連携し、自治機構と豊富な人材を持つ、いわば史上最強の科学国家である。 他国では倫理の面から実現できないクローン人間なども成功させているらしい。「天使を作っている」という噂までささやかれている。

その他キーワード

鳥男 (とりおとこ)

特定の人間が持つ能力のこと。背中から黒い翼を生やし、飛ぶことができる。翼の余りを使って、全身をスーツのように包む着衣や頭部を守るヘルメット、ナイフのような武器を生み出すこともできる。変身時には人間離れした回復力と攻撃力も持つ。この能力を持つものは、ふだんも背中に黒い翼のような刻印が印されている。大きな翼を発現させると衣服を破ることになってしまうため、変身する時には全裸になる必要がある。 適性のある人間は、鳥男の血を飲むと同じ能力を得ることができる。鳥男同士は言葉を交わさずに、テレパシーで意思疎通が可能。現在何人ほどの鳥男が存在するのかは謎に包まれているが、一般人による目撃談は、都市伝説としてネットなどで語られている。EDENの人間たちは鳥男を、最高位の天使の名である「セラフ」と呼んでいる。 覚醒すると様々な能力が発現するようだが、その全貌は未だ不明。

ブラックアウト

鳥男が遭遇する現象。任意の場所に現われる謎の黒い穴から怪物が出現し、鳥男を狙って攻撃を仕掛けてくる。10日に1度ほどの頻度で起こる。怪物は様々な姿形をしており、その目的は不明。鳥男が一定量のダメージを与えると、はじけて消え失せる。怪物の形態は、対峙する鳥男の精神面や人格を反映したものとなっているらしい。怪物は一般人から見ることができず、記録媒体にも映らないため、実在する存在ではなく、鳥男の意識下のみで起こる現象らしい。 だが、対峙する鳥男にとってはリアルな存在そのものであり、攻撃が致死量を超えると死に至る。

鳥部 (とりぶ)

烏丸英司・鴨田樹真・鷺沢怜・海野つばめ・鷹山崇の5人からなる集団の通称。定期活動日は火・木・土曜の深夜2時~4時。集合場所は鷺沢の住むマンションの屋上。鳥男となったメンバー全員で協力し、今後の困難を乗り越えることが目的。発案者の鷺沢が部長となり、副部長には英司が任命された。本名を呼び合うと素性がバレるので、戦隊ヒーローのように、お互いをコードネームで呼び合うことにした。 英司はブラック、鴨田はグリーン、鷺沢はホワイト、つばめはブルー、鷹山はレッド。

探索者 (しーかー)

特定のセラフが覚醒すると持つ能力。離れた場所から他のセラフのいる位置や能力を、気づかれずに捕捉することができる。心の中にまで入り込むこともできるが、そうすると相手に自分の存在を知らせてしまうリスクもある。

繋ぐ者 (りんかー)

特定のセラフが覚醒すると持つ能力。人間の今際の際の、生きたい念を感じ取ることができる。また、人間の意識に強制介入することも可能。人類とセラフを繋ぐことができるので、リンカーを仲介すれば、セラフ間のみで使える能力を人間相手にも適用できる。鷹山崇はリンカーの能力を持つが、FOXの仮説によると彼はまだ覚醒前であり、他のセラフとも別次元の存在「超越者(トランセンダー)」になる可能性がある。 海野つばめも父親が危篤になったため覚醒し、この能力を得た。

先導者 (べるうぇざー)

特定のセラフが覚醒すると持つ能力。強い精神力で他のセラフにテレパシーで思念を送り、相手を支配する力を持つ。覚醒した烏丸英司はこの能力を得た。セラフの中でも発現する確率は低く、この能力を持つ者が自然とその集団のリーダーとなる。

詐欺師 (とりっくすたー)

特定のセラフが覚醒すると持つ能力。研ぎ澄まされた観察力で、相手が嘘をついていることがわかる。また、本人も芸術的に噓をつくのがうまい。覚醒した鷺沢怜はこの能力を得た。

不死者 (らいふすてぃーらー)

特定のセラフが覚醒すると持つ能力。周囲のセラフから力を分けてもらうことにより、自分自身のダメージを回復することができる。CATとの戦闘時に覚醒した鴨田樹真はこの能力を得た。

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