風都探偵

風都探偵

桐山漣、菅田将暉がW主演した2009年放送の特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』のコミカライズ。作画は『超無気力戦隊ジャパファイブ』などで知られる佐藤まさき、脚本はドラマ版でもメインライターを務めた三条陸が担当。ドラマ版の最終回から数年後を舞台に、風都で起こる怪事件に挑む二人の探偵を描いたアクション作品。小学館「ビッグコミックスピリッツ」2017年36・37合併号から連載。2022年8月テレビアニメ化。2024年11月劇場アニメ化。

正式名称
風都探偵
ふりがな
ふうとたんてい
原作者
石ノ森 章太郎
作画
ジャンル
スーパーヒーロー
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊17巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

あらすじ

tに気をつけろ

風都に事務所を構える鳴海探偵事務所に、「T字路の魔女」と呼ばれる女性を捜してほしいという依頼が舞い込む。依頼者の坪崎忠太から話を聞いた左翔太郎は、依頼者が出会った魔女というのが翔太郎自身も遭遇した謎の女性・ときめであることを知り、その捜索に尽力する。しかしその調査中、ときめの目撃証言が多発する地域でバラバラ死体が発見され、事態が思いも寄らない状況に進んでいることを知った翔太郎は、警察よりも早くときめの足取りをつかみ、ついに接触に成功する。しかし、事情聴取を試みるもののときめに逃走され、追跡した翔太郎は風都に似ているがまったく見知らぬ街・裏風都へと迷い込み、そこで正体不明のドーパントによる攻撃を受ける。なんとか風都に帰り着いた翔太郎はフィリップと情報を共有し、相手がロード・ドーパントであることや人間を捕食しているだろうこと、そしてその容疑者がときめであることを突き止める。だが翔太郎は調査を進める中で、その結論に疑問を抱くようになる。

最悪のm

記憶喪失だと判明したときめは、鳴海亜樹子の勧めで鳴海探偵事務所の探偵助手として雇われることになった。しかし、ときめとフィリップは折り合いが悪く、顔を合わせれば衝突を繰り返していた。そんな中、左翔太郎はゲームソフト会社「マックスソフト」の真島伸太郎から、格闘ゲーム「モンスターエルドラド」のキャンペーンキャラクターでコスプレアイドルの「風祭メグ」こと森口もな子に殺害予告が届いた件で、護衛と調査を依頼される。ファンイベントにて、メグに扮したもな子がメガネウラ・ドーパントに襲撃された際、ときめの失態によって翔太郎が重傷を負うが、幸いにもその際の言葉がきっかけで、犯人がもな子に恨みを持つゲームライターの美原睦夫であることが判明する。翔太郎が安静状態になってもなお、ギスギスとした関係を続けるときめとフィリップだったが、それぞれ翔太郎、そして亜樹子の言葉で自分を見つめ直し、依頼者に誠実であろうと行動を改め始める。

cは何処に

フィリップときめの関係が改善された鳴海探偵事務所に、ネコ捜しの依頼が来た。捜索対象のチャオは依頼者である中条朱美の父親の飼い猫で、チャオ自身が父親の思い出そのものだと涙ながらに訴える朱美に、鳴海亜樹子は深く共感し、二つ返事で依頼を引き受ける。しかしネコ捜しにかけては、風都どころか世界一と噂される左翔太郎をもってしてもその動向がつかめない中で、やがてときめが風都中のネコが姿を消していることに気づく。八方塞がりかと思われた矢先、鳴海探偵事務所にミックが帰還し、ミックの案内によって無事、風都から消えていたネコたちと共にチャオを発見する。しかしフィリップは、依頼者である朱美に何か裏があるのではないかと、照井竜に調査を依頼する。

閉ざされたk

風吹山に生えるキノコ・カバイロツルタケの採取のためにやって来た左翔太郎フィリップは、異常気象による激しい吹雪の中で遭難してしまう。そんな二人を助けたのは、錐通村の鏡野家に招かれている女性・久保倉環奈だった。鏡野家の当主・鏡野空也の花嫁を決めるための奇妙な宴に食客として同席することを認められた翔太郎とフィリップだったが、フィリップはこの宴に事件の匂いを感じ、警戒を強めていく。そんな中、空也の花嫁候補の一人である財前暦が、アルコール・ドーパントに殺害される事件が起こる。さらにもう一人、有藤蛍も殺害されたことで、翔太郎とフィリップは早急な事件解決へと推理を始める。そんな二人の動向を、「金森大介」を名乗る怪しい男が笑顔で見つめていた。

pは悪魔だ

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の漫画家・菅生伝一郎は、ある日、自殺未遂をした際に謎の腕に引き止められ、右腕の代わりに1億円を受け取る契約を交わしたという。しかし現在、伝一郎はその契約を後悔しており、なんとかこの謎の腕を捜してほしいと依頼する。その熱意に左翔太郎は、風都イレギュラーズの力を借りて腕の目撃情報集めと、伝一郎の周辺人物の調査を始める。風都イレギュラーズの力もあり、伝一郎のほかに右腕の取り引きをした人物を探し出した翔太郎たちは、全員が世話になったことがあるという整体師・ポール東城ドーパントだと突き止めるが、その直後、鏡野家で「金森大介」と名乗っていた万灯雪侍が現れ、東城を逃がしてしまう。東城は姿をバラバラにして逃げることのできるパズル・ドーパントであり、その追跡に苦戦する翔太郎たちだったが、被害者の一人である奏利津子が、ポール東城の潜伏先に心当たりがあると話し始める。

超人r

その日、鳴海探偵事務所を訪れたのは女子小学生の蘭堂りつかだった。怪しい男から依頼された品の試作品を受け渡しに出かけたまま行方不明となった祖父、蘭堂廉太郎の捜索をしてほしいと依頼された左翔太郎フィリップは、りつかの証言からその男が裏風都に関係する人間ではないかと目星をつける。しかし調査の最中、ときめ万灯雪侍の策略により、裏風都に迷い込んでしまう。なんとか裏風都から直接鳴海探偵事務所に帰還したときめだったが、廉太郎が危険であることを知らせるや否や、再びブラキオサウルス・ドーパントによって裏風都へと連れ戻されてしまう。ときめを追って翔太郎やフィリップ、そして照井竜も裏風都へと踏み込むが、裏風都の番人を自称するリアクター・ドーパントこと二階堂守によって風都へと押し返されてしまう。

sの肖像

左翔太郎フィリップ仮面ライダーWとして戦い始めることになったきっかけや、ガイアメモリが生まれた理由をときめから尋ねられた翔太郎は、ときめと二人、夜の波止場で話し始める。それは鳴海亜樹子の父親であり、翔太郎の師匠でもある鳴海荘吉との出会いから始まる物語だった。ドーパントにも怯まず立ち向かう荘吉の姿に感動した幼少期の翔太郎は、邪険にされながらも荘吉に弟子入りを志願し続けた結果、高校生になってようやく探偵助手として認められたと話す。その数年後、荘吉が一人で危険な案件に挑んでいることを察した翔太郎は、探偵助手として培った調査技術を用いて荘吉の居場所に辿り着く。そこはかつて風都で暗躍し、ガイアメモリを生み出した秘密結社「ミュージアム」の施設であり、フィリップが監禁されていた施設だった。

巣はoの中

照井竜は、ガイアメモリの密売組織「ORIGIN」の捜査が難航していることに苛立っていた。そんな中で鳴海探偵事務所に、行方不明になった親友の沖田舞を捜してほしいという女子高校生・逢瀬奈々がやって来る。その様子に違和感を覚えた左翔太郎は、まず舞の周辺の情報から調査を開始し、やがて奈々が舞に勧めたという学習塾「王道学習塾」に目をつける。王道学習塾は、塾長の鳥羽音吉に気に入られればガイアメモリを買うことができるという噂が立っている、いわく付きの塾だった。音吉がドーパントであること、そして舞を監禁していることを突き止めた面々は一度は舞の救出に成功するが、音吉の持つ二つのガイアメモリによって、舞の体は「オウル・ドーパント」の巣に変貌してしまう。

bたちの宝物

ときめが空間の歪みを感じたという情報から、左翔太郎風都の湾岸地域を調査していた。その頃、鳴海探偵事務所にはカメラマンの弁才天源十郎から「夕陽泥棒を捕まえて欲しい」という依頼が舞い込んでいた。理解しがたい依頼に源十郎が住んでいるという湾岸特別廃棄場に足を運んだ面々は、そこで異様な色をした夕陽を目の当たりにする。そのうえ、フィリップが源十郎の自宅を拠点とする市民集団「ベイサイド・バッド・ボーイズ」に加入し、事件解決まで鳴海探偵事務所には帰らないと言い始めた。フィリップの初外泊を心配する翔太郎と鳴海亜樹子だったが、フィリップが人間らしい感情を持ち始めていることに安心もしていた。しかしフィリップはその夜、廃棄場で職員二人を殺害したトラッシュ・ドーパントを目撃し、その犯人がベイサイド・バッド・ボーイズのメンバー内にいるのではないかと苦悩することになる。

fに感謝を

風都の湾岸特別廃棄場で起こった事件の最中、ときめは崩壊する風都タワーと、そこで戦う仮面ライダーW、そして見知らぬ白い仮面ライダーの姿を思い出した。左翔太郎は記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないと風都タワーの案内を買って出るが、その際、富士見ナオ双見光に暴行される現場に出くわす。風都一の人気を誇るゆるキャラ「ふうとくん」のスーツアクターを務めるナオの代理に指名されたときめは、不慣れながらも懸命にその役目を果たそうと練習に励むことになる。一方、翔太郎は照井竜から事件を起こしたのは、風都史上最悪の犯罪者として知られる大道克己にあこがれたカルト集団「蒼炎群」だと知らされる。ふうとくんとしてステージに立ったときめは、光が変身したクラブ・ドーパントから命を狙われ、その妨害にと対峙した仮面ライダーWだったが、クラブ・ドーパントは仮面ライダーWから受けたダメージを即座に回復する能力を持っていた。

死神はlの顔

鳴海探偵事務所に、かつて事件で知り合った轟響子が依頼に訪れる。フィリップの父親・園咲琉兵衛が結成した有識者集団「L・A・S・T」のメンバー、東堂幸三が怪死した事件を仮面ライダーWとして調査してほしいと依頼された左翔太郎は、その深刻さを受け止めて調査を開始する。幸三は死の直前、L・A・S・Tの仲間であるルーク・ランカスターに「琉兵衛から死仮面が届けられた」とメッセージを送っていた。さらにルークまでもがオンライン会議中にラーフ・ドーパントによって殺害され、翔太郎たちは死仮面とL・A・S・Tにまつわる因縁から、次に狙われるのは吾妻仁咲夜栄介と目星をつける。その中で翔太郎は仁から、L・A・S・Tがガイアメモリ開発にかかわっていたという事実を知らされる。

異端児d

左翔太郎死仮面の事件に専念している中で、ときめ出紋大騎によって見知らぬ海岸に拉致されていた。必死の捜索を続ける翔太郎たちのもとに、思いがけず万灯雪侍がときめ救出の依頼を持ち込んでくる。雪侍が提供したの造反者、大騎と「ディープ・ドーパント」の情報を基に、ときめが拉致されたのが風都の地下であることを知った翔太郎たちは、その捜索方法と救出法に苦悩する。そんな中、大騎が翔太郎に接触し、雪侍たちに対抗するための仲間にならないかと持ちかけてくる。仲間になればときめとも再会できると話した大騎だが、大騎がこれまで出会ったどの悪党よりも醜悪な人物であることを理解した翔太郎は、はっきりとその誘いを断った。そんな翔太郎に対してフィリップは、地下深くに身を潜めている大騎の居場所に辿り着く方法を発見したと知らせる。

関連作品

特撮テレビドラマ

本作『風都探偵』は、2009年9月からテレビ朝日系列で放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』を原作としており、特撮テレビドラマでの最終回後の世界を描いている。平成仮面ライダーシリーズの第11作目で、湾岸都市の風都を舞台に、ガイアメモリに内包された地球の記憶に飲み込まれた人間が変貌した怪人・ドーパントと、ガイアメモリでの犯罪を誘発する秘密結社「ミュージアム」、ひいては財団Xとの戦いを描いたアクション作品。監督は田﨑竜太、諸田敏、黒沢直輔、柴﨑貴行、石田秀範、坂本浩一、メインライターは三条陸が務めている。キャストは、左翔太郎を桐山漣、フィリップを菅田将暉、照井竜を木ノ本嶺浩が演じている。

小説

本作『風都探偵』の原作となった特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』のノベライズ作品『小説 仮面ライダーW ~Zを継ぐ者~』が、特撮テレビドラマの脚本も務めた三条陸によって講談社キャラクター文庫から刊行されている。本来、安楽椅子探偵役を演じているフィリップが、左翔太郎の風邪をきっかけに積極的に調査に出向き、風都で巻き起こる事件を仮面ライダーサイクロンとして解決していく姿を描いている。

劇場版

2010年8月から、本作『風都探偵』の原作となった特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の劇場版『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』が全国で公開された。財団Xの投資による研究で生み出された、蘇生された死者の兵士集団「NEVER」。彼らが次世代型・ガイアメモリを運搬していた財団Xのヘリコプターを撃墜し、飛散したガイアメモリによって風都の住人たちが次々とドーパントになってしまうという事件を収拾するため、左翔太郎フィリップらが奮闘する。テレビドラマ版の44話と45話のあいだに起こった事件として、劇場公開終了後も本編に事件の描写が盛り込まれるなど、エピソードに深くかかわっている。監督は坂本浩一、脚本は三条陸が務めている。キャストは、左翔太郎を桐山漣、フィリップを菅田将暉、大道克己を松岡充が演じている。

メディア化

テレビアニメ

2021年4月、本作『風都探偵』を原作としたテレビアニメ化が発表され、2021年10月に行われたニューヨーク・コミコンにおいてティザービジュアルが公開された。2022年8月1日、U-NEXTで独占先行配信、同年8月8日よりTOKYO MXほかにて放送開始。監督を椛島洋介、総作画監督を小松原聖、蛯名秀和が務める。アニメーション制作はスタジオKAI。キャストは左翔太郎を細谷佳正、フィリップを内山昂輝が演じる。

劇場版アニメ

『劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」』のタイトルで2024年11月8日公開。テレビアニメ版と同様、監督は椛島洋介、アニメーション制作はスタジオKAIが担当。主要キャストも続投し、劇場版アニメオリジナルキャラクターの大嶋凪は福山潤が演じる。

登場人物・キャラクター

左 翔太郎 (ひだり しょうたろう)

鳴海探偵事務所に所属している私立探偵の青年で、ソフトハットにベストスーツを身につけている。ハードボイルドな探偵を目指しているが、シリアスになりきれずナルシスト気味であることから、鳴海亜樹子やフィリップからは「ハーフボイルド」と揶揄されている。風都を心から愛しているため、風都のことなら知らないことはないと自負している。フィリップと同時に変身ベルトを装着することで「仮面ライダーW」に変身し、「二人で一人」を自認しており、情報収集役を担っている。風都イレギュラーズや刃野幹夫をはじめとして広く人間関係を築き、風都の住人たちから信頼されている。ときめに好意を抱いているが、左翔太郎自身が悪女に魅力を感じ、恋愛の結末が悲劇に終わる傾向があることを理解しているため、深く踏み込めないでいる。また、ネコ捜しにかけては風都どころか世界一だと噂されており、フィリップや亜樹子からもその点は認められている。

フィリップ

鳴海探偵事務所に所属している私立探偵の青年。緑色の髪の一部を事務用品のクリップなどで留めている。地球の本棚にアクセスすることのできる特殊能力の持ち主。実はミュージアムの幹部一族「園咲家」の長男「園咲来人」だが、来人としては一度死んでいる。死んだ際、脳が「地球の記憶」そのものを宿したことが判明している。一度記憶を消され、ガイアメモリを生み出す生体パーツとして扱われていたが、ビギンズナイトの際、鳴海荘吉と左翔太郎によってミュージアムの研究施設から救出された。翔太郎と同時に変身ベルトを装着することで「仮面ライダーW」に変身し、ガイアメモリにフィリップの魂が入ることで、翔太郎と合体状態となる。また、現在は肉体を持っているが、一度は地球の本棚の力によって再構成されたデータの塊となり、エクストリームメモリにはフィリップの肉体構成式が残されているため、現在も肉体そのものをデータ化、収納することができる。これを利用して、空を飛んで移動することもできる。翔太郎とは「二人で一人」を自認しており、翔太郎が集めてきた情報を基に推理する安楽椅子探偵役を担っている。ときめとは似た者同士であるため、出会った当初は折り合いが悪かったが、共に事件を解決することで仲間として認識し合うようになった。

ときめ

風都に突然現れた、正体不明の女性。ワンレングスの茶髪に、シースルー素材のキャミソール、スキニージーンズとハイヒールの編み上げブーツを身につけている。また、下着に挟み込むようにして、壊れた「ジョーカー」のガイアメモリを携帯している。出会った当初は「T字路の魔女」と呼ばれ、ロード・ドーパントの正体であると考えられていたが、ガイアメモリが壊れていることから別人だと判断された。ときめに関する記憶がまったくなく、探偵助手として鳴海探偵事務所に身を寄せながら、その素性を探ることになった。風都と裏風都を自由に行き来するだけでなく、それぞれに存在する左表軸のズレを利用して空中に浮かんでいるように見せることもできる。現在は左翔太郎と淡い恋愛感情を抱き合っているが、かつては万灯雪侍と親密な関係にあったことが匂わされている。フィリップとは似た者同士であるため、出会った当初は折り合いが悪かったが、共に事件を解決することで仲間として認識し合うようになった。

坪崎 忠太 (つぼざき ちゅうた)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の男性。朴訥とした雰囲気を漂わせている。年齢は32歳。実家の農家の不作を支えるため、北海道から風都に出稼ぎにやって来た。ある日、新居の家具をそろえるための資金を持って帰路に就いた際に、ときめと遭遇して有り金を奪われる。この時にときめに一目惚れしてしまい、左翔太郎に「ときめに追い剥ぎのような真似はやめるよう説得したい」と申し出た。

鳴海 亜樹子 (なるみ あきこ)

鳴海探偵事務所の所長を務める女性で、照井竜の妻。黒髪のポニーテールで、つねに緑色のスリッパを携帯している。「私、聞いてない!」が口グセ。通名として旧姓の「鳴海亜樹子」を名乗っているが、本名は「照井亜樹子」。怒りを感じたり突っ込みどころを察知したりした際は、左翔太郎をはじめとするさまざまな相手にスリッパで突っ込む癖がある。ときめが竜の配慮によって保護観察処分となり、探偵助手として雇うことを決めた。竜からは結婚したあとも「所長」と呼ばれている。

ロード・ドーパント (ろーどどーぱんと)

風都の夕凪町にあるT字路付近に現れた怪人。近辺で殺人を犯している。「ロード」の記憶を持つガイアメモリによって変身したドーパントであり、超高速と超高熱で空間を切り裂き、異次元空間を作り出す能力を持つ。能力を使う際に、自分の血液を消費する必要があり、失ったエネルギーを補うために、人間を襲って捕食している。

仮面ライダーW (かめんらいだーだぶる)

左翔太郎とフィリップが同時に変身ベルトを装着することで合体変身した仮面ライダー。W字の触覚に複眼状の赤い大きな目、体を中央で左右に分離した銀色のラインが入った強化皮膚に似たスーツに、銀色のマフラーを身につけている。基本的には翔太郎がメインボディーで、右側に風の「サイクロン」、炎の「ヒート」、神秘の「ルナ」、左側には肉弾戦に特化した「ジョーカー」、剛力と硬度が特徴の「メタル」、射撃を得意とする「トリガー」のガイアメモリを装填することができ、計九つのフォームで戦うことが可能。また、フィリップをメインボディーとした場合のみ、右側に「ファング」を装填したフォームに変身する。もともとは左側に「ジョーカー」を装填した「ファングジョーカー」にしかなれなかったが、日々進化を続け、「ファングトリガー」「ファングメタル」など新たなフォームへの変身が可能となる。変身ベルトを装着して翔太郎とフィリップの意識が融合しているあいだは、二人の居場所が離れていても脳内での会話ができる。変身時の決め台詞(ぜりふ)は「さあ、お前の罪を数えろ」。

照井 竜 (てるい りゅう)

風都署の超常犯罪捜査課に所属している刑事の男性。鳴海亜樹子の夫で、つねに赤いライダースジャケットを身につけている。「俺に質問をするな」が口グセで、他人に詮索されることを極端に嫌っている。ドーパントに家族を皆殺しにされた過去があり、かつてはガイアメモリを用いた犯罪者を憎むあまり、事件に無関係な人間を巻き込むことも厭(いと)わない強引な捜査を行っていた。しかし、左翔太郎やフィリップと衝突を繰り返すうち、復讐(ふくしゅう)に囚われることの空しさを知り、現在は容疑者に対しても極めて冷静に対応している。シュラウドによって変身用ドライバーとガイアメモリを与えられ、「仮面ライダーアクセル」に変身することができる。

仮面ライダーアクセル (かめんらいだーあくせる)

照井竜が変身する仮面ライダー。顔全体に「A」の字を模した模様が入っており、頂点部がそのまま触覚となっている。複眼状の青い大きなモノアイと赤いスーツで、仮面ライダーWよりも肩や胸部が分厚い装甲で覆われている。またバイクフォームに変形することができるため、人を乗せて走ることができる。強化フォーム「アクセルトライアル」になるとスーツの色が青くなり、頭部もモトクロスのヘルメットをかぶったような形に変化する。高速移動に特化したフォームのためパワーは下がるが、音よりも速く移動することが可能になる。さらに、フィリップによって強化パーツを提供されたことで、速さと力を備えた金色のフォーム「アクセルブースター」では空も飛ぶことができる。変身時の決め台詞は「さあ、振り切るぜ!」。

鳴海 荘吉 (なるみ そうきち)

鳴海亜樹子の父親。鳴海探偵事務所の創業者でもある。故人。白の上下スーツに同色のボルサリーノを身につけている。ハードボイルドを体現したような人物で、現在も左翔太郎のあこがれの存在。ドーパントとなった相棒を自ら殺害したことをきっかけに、探偵業を辞めようとしていたが、幼少期の翔太郎の言葉に胸を打たれて復帰した。やがて翔太郎を助手として扱うようになるが、危険な仕事には同行させず、静かに見守っていた。翔太郎とフィリップが初めて仮面ライダーWに変身したビギンズナイトの際、ミュージアムの研究施設内で死亡している。「仮面ライダースカル」に変身できるが、翔太郎にはビギンズナイトに至るまでその事実を伏せていた。翔太郎からは「おやっさん」と呼ばれている。

シュラウド

鳴海荘吉を支援していた女性。長い茶髪にコートを身につけ、顔全体に包帯を巻いている。仮面ライダースカルや仮面ライダーW、仮面ライダーアクセルに関連する装備の開発者であり、左翔太郎とフィリップが初めて仮面ライダーに変身したビギンズナイトでは荘吉にフィリップの救出を依頼し、仮面ライダーWに変身するためのドライバーも託していた。本名は「園咲文音」で、フィリップの生前の姿「園咲来人」の母親でもある。

刃野 幹夫 (じんの みきお)

風都署の超常犯罪捜査課に所属している刑事の男性。黒髪をオールバックにしており、垂れ眉が特徴。つねに「J」字型のツボ押し器を携帯している。左翔太郎と幼少期からの付き合いで、翔太郎の生い立ちなども理解し、非常に温かく見守っている。また、翔太郎に事件の情報を渡す代わりに、犯人逮捕などの手柄を刃野幹夫自身のものとする取引を交わすなど、抜け目ない一面もある。翔太郎からは「ジンさん」と呼ばれている。

真倉 俊 (まくら しゅん)

風都署の超常犯罪捜査課に所属している刑事の男性。黒髪を角刈りにしている。刃野幹夫の部下として行動を共にしているため、左翔太郎とはよく顔を合わせている。あまり快くは思っていない様子でよく突っかかっているが、決して仲が悪いわけではない。翔太郎からは「マッキー」と呼ばれている。

ミック

鳴海探偵事務所で飼われている灰色のネコ。ブリティッシュ・ショートヘアのオスで、フィリップが生前「園咲来人」だった頃から飼っていた。ドーパントの被検体でもあり、あまりに強力すぎて使用者が死亡することもあるガイアメモリ、ゴールドメモリの適合者でもある。そのためか通常のネコより知能が高く、人間に近い意思性を示すことがある。非常に気難しく、あまり鳴海探偵事務所に帰って来ない。

フランク白銀 (ふらんくしろがね)

SNACK&COFFEE白銀のマスターと務める老齢の男性。風都イレギュラーズの一人でもある。白髪をオールバックにしている。かつてスターマジシャンとして人気を博しており、孫娘であるリリー白銀がガイアメモリの過剰適合者としてドーパントとなったが、左翔太郎や照井竜の活躍によってふつうの人間に戻れたことに、強い恩を感じている。また、翔太郎とフィリップが仮面ライダーWであることや、竜が仮面ライダーアクセルであることを知っているが、口外していない。

リリー白銀 (りりーしろがね)

フランク白銀の孫娘。SNACK&COFFEE白銀のウェイトレスを務める女性。風都イレギュラーズの一人でもある。かつてガイアメモリの過剰適合者としてドーパントとなった過去があるが、左翔太郎や照井竜の活躍によってふつうの人間に戻ることができたため、現在も恩を感じている。また、翔太郎とフィリップが仮面ライダーWであることや、竜が仮面ライダーアクセルであることを知っているが、口外していない。

ウォッチャマン

ブロガーの男性。風都イレギュラーズの一人で、細かいパーマを充てた黒髪を、キノコの傘のようにセットしている。B級グルメや美女を撮影してインターネット上に投稿しており、さらにSNSから街の噂(うわさ)話にまで精通していることから、情報屋としてもっとも優秀な働きを見せている。ときめに関する情報を、最初に左翔太郎に提供したのもウォッチャマンである。

青山 晶 (あおやま あきら)

中学生の少年。風都イレギュラーズの一人で、少々長めの黒髪で、後ろ髪が左右に跳ねている。小学6年生の頃、姉がとある事件に巻き込まれた際に鳴海探偵事務所に駆け込み、左翔太郎に姉の捜索を依頼した。当時は自分の無力感の言い訳に「自分一人ではなにもできない」と話していたが、現在は他人の力を借りて物事に対処することを学び、その能力が翔太郎の助けにもなっている。風都イレギュラーズの中では最年少で、学校関連の噂話にはいつも聞き耳を立てている。また、翔太郎とフィリップが仮面ライダーWであることや、竜が仮面ライダーアクセルであることを知っているが、口外していない。

店長 (てんちょう)

ペットショップを営んでいる男性。風都イレギュラーズの一人で、スキンヘッドに紫色のサングラスをかけている。商店街で働く人々や主婦層で噂されている情報に明るい。特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』ではおもちゃ屋の宣伝マンをしており、年中サンタクロースの格好をしていたことから「サンタちゃん」と呼ばれていた。

クイーン

エリザベスと共にアイドルユニットとしても活躍している女子大生。ワンレングスの長い茶髪を毛先だけ巻いている。女子学生たちのあいだで圧倒的人気を誇っており、カリスマとして扱われているため、そのルートでの情報力に秀でている。ただしタレントとして多忙なため、学校に通っているかは不明。

エリザベス

クイーンと共にアイドルユニットとしても活躍している女性。女子大生で、ウェーブがかった赤毛を、ボリュームを盛ったポニーテールにしている。女子学生たちのあいだで圧倒的人気を誇るカリスマということもあって、そのルートでの情報力に秀でている。ただしタレントとして多忙なため、学校に通っているかは怪しい。

楠原 みやび (くすはら みやび)

エコロジー研究所に勤めている女性。風都の元市議会議員で、かつてミュージアムの末端を担うドーパントに娘ともども命を狙われていたが、左翔太郎たちによって救われた。翔太郎とフィリップが仮面ライダーWであることを知っているが、口外していない。

轟 響子 (とどろき きょうこ)

風都にある博物館の館長を務める女性。肩までの黒髪を前下がりボブヘアにしており、オールバックにしている。園咲琉兵衛にあこがれていた経緯から、琉兵衛の死後はフィリップを保護者のように気にかけている様子がある。年に一度は鳴海探偵事務所を訪れて無茶な依頼をするため、左翔太郎からは少々苦手意識を持たれている。翔太郎とフィリップが仮面ライダーWであることを知っているが、口外していない。

園咲 琉兵衛 (そのざき りゅうべえ)

ミュージアムの首領だった男性。フィリップの生前の姿「園咲来人」の父親で、ロマンスグレーの髪をオールバックにし、サングラスをかけている。風都にある博物館の前館長も務めており、外部ブレーンとしてL・A・S・Tを結成した。仮面ライダーWとの戦いの末に死亡している。

大道 克己 (だいどう かつみ)

風都で史上最悪の犯罪者として名を残した男性。外ハネした短い茶髪に青のメッシュを入れている。「仮面ライダーエターナル」に変身すると白を基調にしたスーツに、両腕に青い炎がデザインされた姿になる。死体を蘇生(そせい)された兵士部隊「NEVER」のリーダーを務め、かつて風都に混乱を巻き起こした。決め台詞は「さあ、地獄を楽しみな」。

森口 もな子 (もりぐち もなこ)

マックスソフトに勤務するプログラマーの女性。化粧っ気がまったくなく、寝癖だらけの黒髪にビン底眼鏡をかけている。しかし実はスタイル抜群で、化粧をすると美女に変身する。格闘ゲーム「モンスターエルドラド」のメインプログラマー兼開発リーダーを務め、キャンペーンキャラクター兼コスプレアイドルの「風祭メグ」としても活動している。しかし、コスプレアイドルとしての活動を嫌がっており、ステージに上がる直前はいつも泣き言ばかり漏らしている。

真島 伸太郎 (まじま しんたろう)

マックスソフトに勤務するエグゼクティブプロデューサーの男性。毛先の跳ねた短い黒髪をしている。格闘ゲーム「モンスターエルドラド」のキャンペーンキャラクターで、コスプレアイドル「風祭メグ」に殺人予告が送付されたのをきっかけに、鳴海探偵事務所に護衛を依頼した。森口もな子からは「マジP」と呼ばれている。

小泉 みどり (こいずみ みどり)

マックスソフトに勤務する女性。眼鏡をかけ、長い茶髪を低い位置でシニヨンにまとめている。森口もな子を「風祭メグ」にメイクアップする「チーム・メグたん」に所属しており、もな子がメグとしての活動に後ろ向きな様子を見せているが、根気強く応援する姿勢を取っている。

美原 睦夫 (みはら むつお)

ゲームライターの男性。年齢は23歳。肩までの金髪にニット帽をかぶり、吊(つ)り目の三白眼で顎ひげを蓄えている。ハンドルネームで「マーダー」を名乗っており、さまざまなゲームで優秀な成績を収めていることから神ゲーマーとして知られるが、勝利のためならデータ改造も厭わないため、ダーティーゲーマーとして嫌われている。格闘ゲーム「モンスターエルドラド」のアーケード版公式イベントにおいて、森口もな子扮する「風祭メグ」と対戦し大敗したことで、メグとしてのもな子に対して強い恨みを持っている。トンボの古代種であるメガネウラに酷似した「メガネウラ・ドーパント」に変身する。

中条 朱美 (なかじょう あけみ)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の女性。年齢は46歳。ふくよかな体型で、ミディアムボブヘアにしている。亡くなった資産家の娘で、父親の葬儀の最中に姿を消した飼い猫のチャオを探して欲しいと依頼した。しかしフィリップはこの捜索依頼に、なにか裏があるのではないかと考えている。

チャオ

中条朱美が探している、資産家だった男性の飼い猫。ラグドールのメスで、年齢は6歳。眉間に大きなハートの模様があり、首輪にも大きなハートの飾りが付いている。「カラカル・ドーパント」となった蝶野麻友の苦しむ声を聞きつけ、下水道でずっとカラカル・ドーパントの体を舐(な)め続けていた。

蝶野 麻友 (ちょうの まゆ)

「カラカル・ドーパント」になっていた女性。年齢は32歳。黒髪をショートボブヘアにしている。結婚詐欺師に騙(だま)され、自暴自棄に陥ってガイアメモリを使用したものの、ガイアメモリが不良品だったために体に不調をきたし、下水道で苦しみ続けていた。その助けを求める呻(うめ)き声によって、風都中のネコたちが怯(おび)えて逃げるか、心配して下水道に集まるかに二分され、風都からネコが消えるという怪現象を引き起こした。

鏡野 空也 (かがみの くうや)

錐通村にある洋館に住んでいる男性。金髪をオールバックにしており、筋肉質な体型をしている。錐通村に残っている鏡野家の現当主であり、先祖の資産を食い潰しながら生きている。祖母である鏡野キクを親同然に考えているため、結婚を決めた際にも、キクの意思を尊重して錐通村の奇習を踏襲することを望んだ。

鏡野 キク (かがみの きく)

錐通村にある洋館に住んでいる老齢な女性。背中の曲がった小柄な体型をしている。長い白髪をオールバックにし、2本のおさげにまとめている。孫の鏡野空也を心から大切にしており、空也を幸せにするためならなんでもする覚悟を持っている。

久保倉 環奈 (くぼくら かんな)

鏡野空也の花嫁候補の一人。年齢は26歳で、長い黒髪をしている。空也の花嫁となるため、4日間仮面を外さずに錐通村で過ごさなければならないが、左翔太郎とフィリップが遭難しているのを屋敷から発見し、仮面を外して救出にやって来た。屋敷に着いてからは、翔太郎とフィリップに「自分が仮面を外していたことは他言しないでくれ」と頼んでいる。

アルコール・ドーパント

錐通村の鏡野空也の屋敷に現れたドーパント。全身が水太りした肥満体で、頭部には半透明の液体が透けて見え、液の中には目玉が一つ浮かんだケースが入っている。表皮からアルコールが染み出しており、非常に燃えやすくなっている。ただしアルコール・ドーパントと化した使用者は痛覚が麻痺(まひ)しているため、痛みを感じない。アルコール・ドーパントが目撃されてから、空也の花嫁候補が2名殺害されている。使用者はミュージアムが準幹部用に使用させていた、シルバーのガイアメモリを使用している。

菅生 伝一郎 (すごう でんいちろう)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の男性。年齢は29歳。売れない漫画家で、ほとんどアシスタントをすることで生計を立てている。画力は高いもののストーリーがうまく作れず、担当編集者からこき下ろされたのをきっかけに自殺しようとした。だが、「パズル・ドーパント」となったポール東城から自殺を引き止められ、さらに1億円で右腕を売る契約を交わした。しかし、契約後に自分がただ漫画を描くことが好きだったことに気づいて後悔し、パズル・ドーパントから腕を取り戻して欲しいと依頼した。

ポール東城 (ぽーるとうじょう)

整骨院を営んでいる男性。丸眼鏡をかけ、長い黒髪をオールバックにして、うなじでまとめている。名医として知られており、院内は年齢問わず患者で賑(にぎ)わっている。しかし非常に貪欲で、欲しいものはなんとしてでも手に入れるタイプ。「パズル・ドーパント」になると複数の多角形ブロックで構成された頭部に、4本の腕が付いた姿になる。

蘭堂 りつか (らんどう りつか)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の少女。長い黒髪をツインテールにしている。年齢は12歳。おじいちゃんっ子で、祖父の蘭堂廉太郎が行方不明になったため、捜索を依頼した。二階堂守を得体の知れない人物だと訝(いぶか)しんでおり、廉太郎の疾走に関係しているのではないかと推測している。

蘭堂 廉太郎 (らんどう れんたろう)

蘭堂りつかの祖父。蘭堂機械製作所の創業者でもある。二階堂守が依頼した特注バルブの試作品を作り上げ、受け渡しに出かけたまま行方不明となった。特注バルブの試作品が小型原子炉の制御バルブであることを見抜き、他人を傷つける目的で使用されるのではないかと考えて守を尾行した結果、裏風都に迷い込んでしまう。

二階堂 守 (にかいどう まもる)

街の準幹部の男性。角刈りの黒髪にサングラスをかけ、口まわりにひげを蓄えている。「リアクター・ドーパント」に変身すると全身が原子炉となり、体全体が超高熱に包まれる。また、一度変身すると人間に戻っても超高熱エネルギーが体内に残り続けるため、急速冷却用のバルブが必要となる。裏風都のエネルギー管理と番人を任され、大量のロード・ドーパントを部下にし、裏風都の街を整備および拡張させている。万灯雪侍を敬愛しており、雪侍の理想とする世界を実現させるため、人間の犠牲はやむを得ないと考えている。ハイドープで、人間の姿の時にも目から熱線を放つことができる。

アントライオン・ドーパント

アリジゴクのドーパント。かつて幼少期の左翔太郎を襲った。いつでもどこでも砂地獄を発生させることができ、人間を狩る餌場を作ることもできる。砂地獄に転落した人間の血を吸い尽くし、干からびた死体にしてしまう。血の味は女の子、女性、男の子、男性の順に美味と語っており、男性の血は特にディナーには合わないと話した。

園崎 冴子 (そのざき さえこ)

ミュージアムの幹部だった女性。長い茶髪を高い位置でボリュームを盛ったお団子ヘアにしている。左翔太郎とフィリップが初めて仮面ライダーWに変身したビギンズナイトにおいて、鳴海荘吉と翔太郎が潜入した際に研究施設に立ち寄っており、「タブー・ドーパント」となって二人を出迎えた。タブー・ドーパントに変身すると両足を1枚の布で包むように拘束された女性の姿となり、つねに浮遊している。

逢瀬 奈々 (おうせ なな)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の女子高校生。年齢は18歳。長い金髪をポニーテールにしており、くるぶし丈のセーラー服にスタジアムジャンパーを羽織っている。沖田舞とは幼稚園からの親友で、行方不明になった舞の捜索を依頼した。舞の勉強の邪魔にならないようにと、舞に近づく学友たちを蹴散らしていた。しかし、その行いを舞に咎(とが)められたことで裏切られたと感じ、舞の受検の邪魔をするつもりでガイアメモリを買えるという噂(うわさ)と共に王道学習塾を教えた。

沖田 舞 (おきた まい)

逢瀬奈々の親友の女子高校生。黒髪のショートボブヘアで、眼鏡をかけている。頭脳明晰(めいせき)で家が金持ちなため、一見すると奈々と仲がいいようには見えない。勉強一筋で誰の誘いにも応じなかったが、奈々の誘いにだけは乗っていた。実は両親が不仲で離婚寸前であり、家庭環境も劣悪だった。そのため自分を変えたいと考えており、ガイアメモリを目的に王道学習塾に通うようになったが、その直後に行方不明となった。鳥羽音吉によって「オウル・ドーパント」の巣として利用されていた。奈々からは「マイマイ」と呼ばれている。

鳥羽 音吉 (とば おときち)

王道学習塾の塾長を務める老齢な男性。口ひげを蓄えて眼鏡をかけている。肥満体型で白髪をオールバックにしている。五条一葉のドーパントとしての才能を見出した人物でもあり、一葉からも一目を置かれる存在。「オウル・ドーパント」に変身すると白いフクロウの姿になり、巣となった沖田舞と合体して行動することもできる。ハイドープで人間を見るだけで、その人間が合致しやすいガイアメモリの種類を識別することができる。

弁才天 源十郎 (べんざいてん げんじゅうろう)

鳴海探偵事務所を訪れた依頼者の男性。年齢は48歳。口まわりにひげを蓄え、ニット帽と破れたマントを身につけている。世界的な評価を得ているカメラマンで、風都の湾岸特別廃棄場から見える夕陽に惚(ほ)れ込んでおり、そのすぐとなりにログハウスを建てて住んでいる。しかし、数日前からその夕陽が、廃棄場付近からのみ色が変わって見えることから、夕陽の奪還を依頼した。ベイサイド・バッド・ボーイズのメンバーの一人で、メンバーと過ごす時間を大切にしている。

ビリー 佛田 (びりー ぶつだ)

ベイサイド・バッド・ボーイズのメンバーの男性。旧車マニアで、細い吊(つ)り目で長い黒髪をうなじでまとめ、キャップ帽をかぶっている。スクラップ車の中からパーツを集め、1台丸ごと復元することを目標にしている。

馬場 凡太 (ばば ぼんた)

ベイサイド・バッド・ボーイズのメンバーの男性。清涼飲料水「風都サイダー」のコレクターで、肥満体型に坊主頭、オーバーオールを身につけている。ペットボトルではなく瓶ボトルの王冠コレクターで、全546種類ある中で最後の一つを探し求めている。

暮雨川 しおれ (ぼうがわ しおれ)

ベイサイド・バッド・ボーイズのメンバーの女性。アリの研究者で、長い金髪を2本のおさげにしており、アリを模したフード付きマントを身につけている。湾岸特別廃棄場近くの港に貿易船経由でやって来る外来種のアリを大量に捕獲し、弁才天源十郎の自宅に保管している。

トラッシュ・ドーパント

風都の湾岸特別廃棄場を拠点にしているドーパント。筋肉質な半身を持ち、ゴミを食べることで黒い粘体に覆われ、全身が完成する。この黒い粘体は溶解液でもあり、これが物に付着すると溶解してしまう。トラッシュ・ドーパント自身もまたこの世界に捨てられた廃棄物と同じだと語っており、廃棄物を足蹴にした処理場職員を溶解させ殺害している。しかし、フィリップを発見した際には非常に動揺し、フィリップが仮面ライダーWに変身してからも全力で戦おうとしていなかったことから、フィリップや左翔太郎はトラッシュ・ドーパントの正体が、ベイサイド・バッド・ボーイズのメンバーの誰かではないかと考えている。

富士見 ナオ (ふじみ なお)

スーツアクターの女性。長い黒髪をオールバックのポニーテールにしている。風都で一番人気のゆるキャラ「ふうとくん」の中に入っている人物で、風都タワーの事務局長からは「ふうとくんを演じきれるのはナオだけ」と評されている。しかし風都タワー感謝祭の4日前に、双見光の暴行を受けて足を骨折し、ふうとくんのスーツアクターの代役としてときめを指名した。

鷹岩 降雄 (たかいわ ふりお)

スーツアクターの男性。黒髪を少し長めに整えている。富士見ナオの後輩で、格闘技では世界レベルの実力を誇る。再生能力を持つドーパントとの戦いに悩んだ左翔太郎が、打開策を生み出すために鷹岩降雄の使っている練習場を貸し出し、翔太郎が望む攻撃ができるようアドバイスを送った。

双見 光 (ふたみ ひかる)

蒼炎群のメンバーの男性。赤と黒のツートンカラーの外ハネした髪で、右サイドだけを長く伸ばしている。風吹鉄男の指示で、富士見ナオからゆるキャラ「ふうとくん」の着ぐるみを奪おうとしたが、ときめによって阻止された。鉄男が仕入れてきたさまざまなガイアメモリを試用する役目をさせられており、不満を募らせていた。しかし「クラブ・ドーパント」となった際に、ハイドープの素質を見せたところ、万灯雪侍によって街に勧誘され、2代目の「リアクター・ドーパント」となり、正式に幹部となった。また、リアクター・ドーパントとしての能力は先代の二階堂守を上回っており、炎の色が青く、さらに変身解除後の放熱も問題なく行っている。

風吹 鉄男 (ふぶき てつお)

蒼炎群のリーダーを務める男性。毛先だけを金髪に染め、鉤爪(かぎづめ)のような形のリーゼントヘアにしている。大道克己を敬愛しており、NEVERのような組織を目指して蒼炎群を結成した。しかし、部下は全員消耗品だと考える冷血漢であり、仲間として扱う気は毛頭ない。特に双見光を踏み台として扱い、さまざまなガイアメモリを仕入れてはすべて光に試用させ、問題がないことを確かめてから風吹鉄男自身も使用していた。仲間からは「テツさん」と呼ばれている。

ルーク・ランカスター

L・A・S・Tのメンバーの男性。金髪の前髪をポンパドールにしている。電子工学と生物学の権威で、古代生物にも造詣が深い天才科学者として知られている。轟響子と共に博物館の維持に尽力してきた人物で、響子に好意を抱いている。東堂幸三の死後、左翔太郎立ち会いのもとで響子、吾妻仁、咲夜栄介とオンライン会議をしていた際にラーフ・ドーパントが現れ、その場で殺害される姿が目撃された。

吾妻 仁 (あづま ひとし)

L・A・S・Tのメンバーの男性。内巻き癖のある茶髪を肩まで伸ばし、鼻が大きくたれ目が特徴。天才的な発掘能力と復元技術を持ち、アマチュア時代に調査技師として園咲琉兵衛に見出された。しかし琉兵衛がミュージアムの首領であり、ガイアメモリによって悪事を働いていたと知ってからはL・A・S・Tとのかかわりを避けており、轟響子にも現在の居場所を知らせていない。

咲夜 栄介 (さくや えいすけ)

L・A・S・Tのメンバーの男性。ストレートの黒髪をワンレングスにし、まゆ毛がない。しかし琉兵衛がミュージアムの首領であり、ガイアメモリによって悪事を働いていたと知ってからはL・A・S・Tとのかかわりを避けており、轟響子にも現在の居場所を知らせていない。

東堂 幸三 (とうどう こうぞう)

L・A・S・Tのメンバーの男性。短く刈り込んだ黒髪で、口まわりにひげを蓄えている。古代民俗文化の第一人者であり、園咲琉兵衛からの信頼も厚かったとされている。死仮面と同じ表情で死亡しているのが発見されたが、その死の直前、ルーク・ランカスターに「園咲琉兵衛から荷物が届いた」とメッセージを送っている。

ラーフ・ドーパント

L・A・S・Tの構成メンバーの命を狙っているドーパント。頭の先が尖(とが)った頭巾にマントを羽織り、だまし絵のような仮面の中央に一つ目が付いている。力がみなぎっている時は筋肉隆々だが、力を消費すると腹の膨らんだ子供のような姿になる。自分の皮膚を引きちぎって外見を変え、自在にあやつることができる。L・A・S・Tメンバーに園咲琉兵衛の名で死仮面を送りつけ、届けた順に殺害している。左翔太郎とフィリップは、L・A・S・Tメンバーの中にラーフ・ドーパントが隠れていると考えている。

出紋 大騎 (でもん だいき)

街の造反者として狙われている高齢な男性。年齢は61歳。肩までの白髪をオールバックにして毛先だけ巻いており、口まわりにひげを蓄えている。「ディープ・ドーパント」に変身すると、頭部が巨大なクラゲになった男性の姿になり、クラゲの中に酸素マスクを付けた顔が浮かんでいる。かつては万灯雪侍がCEOを務めた「カイ・オペレーションズ」の古株社員で、重い持病を抱えていたため待遇に恵まれていなかったが、雪侍によって秘書に抜擢されてからはガイアメモリにも精通し、雪侍が裏風都に居を移してからも行動を共にしていた。しかしディープ・ドーパントになり、ハイドープとなってからは持病も完治したことで、急遽(きゅうきょ)雪侍に反旗を翻した。地面やコンクリートなどあらゆる無機物を泳ぐようにすり抜けることができ、さらに体の表面を超高速で振動させることであらゆる物を削り取ることができる。この能力を使い、現在は風都の地下55メートルの場所に人工的なビーチを作って籠城している。また自称芸術家であり、気に入った女性を見つけては、この人工ビーチに誘拐してドーパントにして絵に残している。

万灯 雪侍 (ばんどう ゆきじ)

街のリーダーを務める男性。腰まである長い金髪の左サイドをグラデーションの布で巻いている。また後頭部中央を三つ編みにして、それぞれの毛先に大きなリングを装着している。現在は裏風都に住んでいるが、以前は財団Xの母体の一つだった「カイ・オペレーションズ」という企業のCEOを務めていた。しかし会社を離れてからの記録は、ほとんど地球の本棚に記録されていない。記憶をなくす前のときめと親密な関係にあったことを匂わせており、ドーパントがときめを傷つけることが起こると必ずかばっている。蒼炎群を支援している最中には万灯雪侍自身も、大道克己とNEVERに影響を受けたという趣旨の発言を漏らしている。「オーロラ・ドーパント」に変身すると、マネキンのような黒い体に一房だけ後頭部から長い髪が生えており、腰にオーロラ色のパレオのような物を巻いた姿になる。また、両手の手首から先に実体がなく、半透明になっている。鏡野空也が花嫁選びのために仮面を使用したパーティーを開いた際には、鏡野キクの友人で古物商の「金森大介」の名を騙(かた)っていた。

五条 一葉 (ごじょう かずは)

街の幹部を務める女性。長い黒髪で左目を隠しており、黒のゴシックロリータ服を身につけている。また「スクリーム・ドーパント」に変身すると、大きく開いた口の中に一つ目があり、複数の皮膚が縫い合わされた女性の姿になる。かつて王道学習塾に通ったOGで、鳥羽音吉にドーパントとしての才能を見出された。音吉からは「特別な方向に頭がよすぎるため、ふつうのことができない人間」と評されている。殺す相手の悲鳴を絞りとるように、苦しみを与え続けて殺害する手口を取り、最後にはその遺体と写真を撮る趣味がある。また好きになった相手を、無残に殺さなければ気がすまない性癖の持ち主で、ターゲットとして照井竜を狙っている。

千葉 秀夫 (ちば ひでお)

街の幹部を務める少年。金髪をマッシュルームボブヘアにしている。「ブラキオサウルス・ドーパント」に変身すると、実際のブラキオサウルスのように巨大な体軀になるが、顔は頭部ではなく、首の骨の下に付いている。基本的に無表情で感情を表に出さず、つねに万灯雪侍や街に有利になることだけを考えて動いている。そのため、雪侍の指示に背いて私情で動く五条一葉を面倒に思っており、よく衝突している。

集団・組織

風都イレギュラーズ (ふうといれぎゅらーず)

左翔太郎がつながっている情報屋たちの総称。ウォッチャマンや青山晶、フランク白銀などが風都イレギュラーズに含まれている。風都の住民たちの中でも変わり者として扱われているが、それぞれ翔太郎と仲がいい。基本的には情報屋たち個々人のつながりがなく、守備範囲が重なっていないため、それぞれの情報を総合すると広い範囲の情報を得ることができ、翔太郎たちには重宝されている。

(まち)

裏風都を拠点とした組織。万灯雪侍がリーダーを務め、五条一葉や千葉秀夫、双見光が幹部を務めている。ハイドープのドーパントたちで構成されており、メンバーは全員ビゼルを所持している。幹部たちはときめを特別視しているが、末端にはその存在の重要性が知らされておらず、誤ってときめを攻撃してしまうことがある。

ベイサイド・バッド・ボーイズ

風都の湾岸特別廃棄場を拠点とした市民集団。略して「bbb」とも称されている。弁才天源十郎、ビリー佛田、馬場凡太、暮雨川しおれがメンバーで、廃棄場を庭のように扱っている。源十郎は、ベイサイド・バッド・ボーイズの特徴を「いらない知識の怪物ばかり」と評しており、フィリップがベイサイド・バッド・ボーイズに興味を持つきっかけとなった。いつも源十郎の自宅を溜まり場にしている。

NEVER (ねばー)

死体から蘇生された兵士部隊。大道克己をリーダーを務めている。財団Xの投資による研究で生み出された集団だが、財団Xを憎んでおり、かつては次世代型のガイアメモリを運搬していた財団Xのヘリコプターを撃墜し、飛散したガイアメモリによって風都の住人たちが次々とドーパントになってしまうという事件を巻き起こした。

蒼炎群 (せいえんぐん)

風都で活動しているカルト集団。現在の風都を汚れきった街だと考えており、大道克己やNEVERにあこがれているため、風都を滅ぼそうとしている。一見すると風吹鉄男をリーダーとした半グレ集団のように見える。街および万灯雪侍とつながりを持ち、ガイアメモリも雪侍から提供されている。

L・A・S・T (らすと)

風都の博物館館長を務めていた園咲琉兵衛が結成した外部ブレーン。ルーク・ランカスター、吾妻仁、咲夜栄介、東堂幸三のイニシャルを使ったうえで、琉兵衛にとっての「最後の知恵袋」としての意味で命名された。地中海の孤島「ロンドバレル島」での遺跡発掘において死仮面を発掘した。

ミュージアム

かつて風都を実験都市として作り上げ、ガイアメモリをバラ撒(ま)いていた秘密結社。「地球に選ばれた家族」と称する富豪一族「園咲家」の裏の顔であり、財団Xからの支援を受けてドーパントによる事件を誘発させていた。現在は壊滅している。

財団X (ざいだんえっくす)

ミュージアムのスポンサーで、その活動を支援していた謎の組織。世界の軍事バランスを変えるような、あらゆるテクノロジーに着目し、出資するとされている「死の商人」としても知られている。その実態は明らかになっていないが、関係者はつねに白い衣装を身にまとっている。超能力兵士や蘇生した死者の兵士部隊「NEVER」を生み出している。

場所

風都 (ふうと)

東京都と隣接した湾岸都市。風都タワーがシンボルとなっている。つねに風が吹いている土地であることを利用して、至るところにさまざまな形状の風車が設置されて風力発電が行なわれている。ただし、かつて風都を支配していたミュージアムによってバラ撒かれたガイアメモリが高額で闇取引されており、ドーパントと化した人間が出没することから治安は悪い。

風都タワー (ふうとたわー)

全高210メートルの巨大な風車。風都のシンボルで、電波塔と風力発電機能を兼ね備えている。風都内のあらゆる場所からその姿を確認することができ、風都の住人たちも風都タワーに対して強い思い入れを持っている。かつてNEVERによって上部が倒壊したが、翌年2月10日に新しい風車が接続され、再稼働した。また、その日は風都タワー感謝祭として、さまざまなイベントが開かれるようになっている。風都タワーに現れるゆるキャラ「ふうとくん」が風都で一番人気となっており、左翔太郎や鳴海亜樹子もふうとくんにあこがれている。

裏風都 (うらふうと)

風都とよく似た別次元の風都。風が吹いておらず、看板や標識に書かれている文字も現実世界に存在していない謎の言語になっている。風都とは空間の座標軸が数メートルずれており、出会った当初のときめや万灯雪侍は、そのズレを利用して風都で空中に浮かんだり、左翔太郎たちの前から姿を消したりしている。街の本拠地であり、貨幣価値が現実世界と異なっているとされ、ポール東城からは「缶ジュースを買うような感覚で億単位の金銭を動かせる場所」と評されている。大量のロード・ドーパントを使役することで裏風都の敷地を整備および拡張しており、地下が存在しない。

鳴海探偵事務所 (なるみたんていじむしょ)

風都にある私立探偵事務所。鳴海亜樹子が所長を務めており、左翔太郎とフィリップが所属している。かもめビリヤード場の2階に事務所があり、行方不明になったペットの捜索から要人警護まで請け負っているが、特にドーパントに関連する事件の駆け込み寺として知られている。また、坪崎忠太など風都以外の都市からやって来た人間にとっても、「鳴海探偵事務所は不思議な事件を専門に扱っている」と認識されている。また、猫探しにかけては世界一とも噂(うわさ)されている。

SNACK&COFFEE白銀 (すなっくあんどかふぇしろがね)

フランク白銀がマスターを務めている飲食店。リリー白銀もウェイトレスとして働いている。左翔太郎が風都イレギュラーズのメンバーから情報提供を受けるための場所として使われているほか、翔太郎や鳴海亜樹子が鳴海探偵事務所以外で依頼者と会う際に使用されている。

マックスソフト

風都にオフィスを持つゲームソフト会社。格闘ゲーム「モンスターエルドラド」の開発および運営をしている。キャンペーンキャラクター兼コスプレアイドルの「風祭メグ」の人気に火がついたため、風祭メグのイメージソングの発売も行っている。

錐通村 (きりとおしむら)

風都の風吹山の中心にある盆地に存在している小さな村。かつて金鉱があり、温泉も豊富だったため風都の中でも人気の観光地だったが、現在は廃村同然となっている。しかし鏡野空也が現当主を務める鏡野家だけは、現在でも屋敷に莫大な資産を残しており、財産目当の女性が取り入ろうとしている。そのため鏡野家では通例として、女性の外見に惑わされずに内面だけで花嫁を決めるため、4日間、土地に伝わる魔除けの仮面をつけたまま複数の女性が当主にアピールするという奇習を持っている。この4日間で当主の心を一番つかんだ女性が花嫁に迎えられるが、一度でも素顔や名前が他人に知られれば、その時点で失格となる。

王道学習塾 (おうどうがくしゅうじゅく)

風都にある学習塾。王冠をかぶったフクロウがPRキャラクターで、あまり成績が奮わない学生の学力開発を謳(うた)っている。かつて逢瀬奈々が在籍しており、沖田舞も行方不明になる直前、王道学習塾に通っていた。塾長である鳥羽音吉に気に入られれば、ガイアメモリを買うことができるらしいと、学生のあいだでひそかに噂になっている。

イベント・出来事

ビギンズナイト

ミュージアムの研究施設で、左翔太郎とフィリップが初めて仮面ライダーWに変身した夜のこと。シュラウドからの依頼を受け、当時は研究材料としか見なされていなかったフィリップを救出するため、鳴海荘吉と翔太郎がミュージアムの研究施設に潜入した一連の事件を指す。

風都タワー感謝祭 (ふうとたわーかんしゃさい)

風都タワーの感謝祭。毎年2月10日の風都の日に行われる。かつてNEVERによって上部が倒壊した風都タワーに新しい風車が接続され、再稼働した日をさまざまなイベントで祝っている。ゆるキャラ「ふうとくん」の一番の見せ場であり、風都の住人が一番盛り上がる日だとされている。

その他キーワード

ガイアメモリ

USBメモリ型の生体感応端末で、単純に「メモリ」と称されることもある。地球の本棚に所蔵されているものと同じ「地球の記憶」の一部が内包されている。使用者は体表面のどこかに専用の生体コネクタを設置しており、ガイアメモリを起動させることでコネクタが発現し、そこにガイアメモリを挿入する。こうすることで使用者は中に詰められた膨大なデータを取り込んで超人になることができるが、その際に暴走して怪人・ドーパントになってしまうことが多い。またガイアメモリにも、一般に流通しているのは化石のような見た目をしたプロダクションモデルだが、左翔太郎やフィリップ、照井竜が変身する際に使用する宝石のような光沢のある次世代型メモリなど、複数の種類が存在している。かつてミュージアムが風都にバラ撒いたため、現在も風都内部で高額取引され、超常的事件を引き起こしている。

地球の本棚 (ほしのほんだな)

地球上で起こったすべての出来事「地球の記憶」が所蔵されているアカシックレコード。フィリップがアクセスすることのできる脳内空間でもある。「地球の記憶」が書籍の形態をとって収められており、広大な白い空間に無数の本棚が並んでいるように見える。ただし膨大な情報量が収められているため、目的の情報を探すためには地球の本棚にアクセス中、絞り込める検索ワードを口に出す必要がある。また、記録されているのは風都のある地球での出来事だけであり、裏風都での出来事は記録されていない。地球の本棚にアクセスしているあいだ、フィリップは一種のトランス状態にあるため、会話はできるものの、体を動かすことはできない。また、仮面ライダーWがエクストリームメモリを使用して「サイクロンジョーカーエクストリーム」フォームになった際には、左翔太郎とフィリップの意識が直接地球の本棚とつながっており、敵のドーパントが使用しているガイアメモリの知識を一瞬で得ることができる。

ドーパント

怪人の総称。人間がガイアメモリ内に入った「地球の記憶」をドーピングすることでその記憶と、特殊な能力を宿した姿となっている。身体能力が増強されていることが多いが、一度ドーパントになると何度もドーパント化したくなる。また、何度もドーパントになることで、使用者が次第に感情の制御ができなくなっていくなど、薬物中毒者を彷彿(ほうふつ)とさせるような症状も見られる。

ハイドープ

ガイアメモリを使用し続けて一種の超能力に覚醒した者。ふつうのドーパントを超えた能力を持つドーパントの総称。人間の姿の時にも魔法のような能力を使用することができ、ハイドープがドーパント化すると、メモリの限界を超えた能力を発揮することができる。

エクストリームメモリ

ガイアメモリの一つ。鳥のような形で、自立稼働している。左翔太郎とフィリップが使用するガイアメモリの中で一番強く、仮面ライダーWがサイクロンジョーカーエクストリームに強化される際に使用される。エクストリームメモリには、一度肉体そのものがデータの塊となっていたフィリップの肉体構成式が残されているため、フィリップの肉体をデータ化して収納することができる。また、エクストリームメモリに収納されることで、フィリップの肉体ダメージを回復させることもできる。

メモリガジェット

左翔太郎、フィリップ、照井竜をサポートするアイテム。ふだんは携帯電話や腕時計、デジタルカメラなどの形態をしているが、ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を挿入することで小動物型のメカに変形し、自立稼働することが可能になる。

スタッグフォン

折りたたみ式携帯電話のメモリガジェット。赤いラインの入った黒いボディーで、左翔太郎とフィリップが所持している。ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、クワガタ虫の小型ロボットに変形する。ロボット形態では大顎を武器にターゲットの周囲を飛び回り、ドーパントを牽制(けんせい)したり、小型の敵を相手にすることもできる。また、フィリップによってときめ用にピンク色のスタッグフォンが製作された。メスのクワガタ虫をモチーフとしているため顎は小さいが、ときめの大きな戦力となっている。

バットショット

デジタルカメラのメモリガジェット。黒いボディーに青いアクセントカラーが入っており、左翔太郎が所持している。ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、コウモリの小型ロボットに変形する。ロボット形態では、左翔太郎やフィリップが直接入り込めない敵地の視察や高所からの撮影を行い、スタッグフォンにデータ転送することで役に立つほか、ドーパントに対してもフラッシュを使った目くらましや、体当たりで戦闘にも参加する。

スパイダーショック

電子式腕時計のメモリガジェット。ベルト部分は黒、文字盤まわりが黄色く配色されており、左翔太郎が所持している。ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、クモの小型ロボットに変形する。翔太郎たちが発信器をつけた相手の居場所をモニターすることができるほか、あらゆる電波や高周波の類を感知することができ、振幅数値さえわかればそれを追跡することもできる。また、強靱(きょうじん)な糸を打ち出すことができるため、ドーパントの拘束用や翔太郎たちの命綱としても活用されている。

フロッグポッド

小型スピーカーのメモリガジェット。緑色のボディーにクリーム色のラインが入っている。また、ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、カエルの小型ロボットに変形する。目的地に侵入して音声を録音する以外に、事前にサンプリングしておいた音声を使用し、録音内容を別人の声で再生することもできる。

デンデンセンサー

特殊ゴーグルのメモリガジェット。オレンジ色と灰色の配色がされている。また、ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、カタツムリの小型ロボットに変形する。壁や天井などに張り付いての移動が可能であり、鳴海探偵事務所の監視センサーとして利用されるほか、隠されている物やエネルギーの出力状態などを感知する高性能センサーとしても使用されている。

ビートルフォン

折りたたみ式携帯電話のメモリガジェット。空色のボディーで、照井竜が所持している。ガイアメモリを模した「ギジメモリ」を差し込むことで、カブト虫の小型ロボットに変形する。静止画や動画の撮影機能のほか、テレビ番組の視聴機能も備わっている。

ビゼル

万灯雪侍たちが持っているカード。ありとあらゆる偽造防止テクノロジーが詰まっており、フィリップによる解析の結果、裏風都で使用されているプリペイドカード兼パスポートのようなものではないかと考えられている。任意で風都と裏風都をつなぐゲートを出現させることができるが、一度機能を停止されてから一定時間が経過すると、中枢部分の装置が崩壊するようになっている。

死仮面 (しかめん)

不気味な笑顔を浮かべた金属製の仮面。かつて園咲琉兵衛とL・A・S・Tが、地中海の孤島、ロンドバレル島にて発掘した。紀元前1500年前の墓地と目される場所から発掘されたため、弔いの意味で作られた物ではないかと考えられている。しかしその加工の精巧さから、時代的には奇跡の産物とも評されていた。

モンスターエルドラド

マックスソフトが開発した格闘ゲーム。風都を舞台としており、各地に出没する魔界のモンスターを倒して能力を取り込み、その能力を使ってプレイヤー同士が戦い合うストーリーになっている。もともとは大型のアーケード筐体(きょうたい)だったが、現在は家庭用ソフトやモバイルゲームなど幅広く展開されている。ヒロインの「メグ」に扮(ふん)したコスプレアイドル「風祭メグ」がSNS上で人気となり、現在はイベントの司会進行やイメージソングも発売されている。

クレジット

原作

脚本

監修

塚田 英明

キャラクターデザイン

書誌情報

風都探偵 17巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2018-03-30発行、 978-4091898494)

第2巻

(2018-03-30発行、 978-4091898500)

第3巻

(2018-06-29発行、 978-4091898906)

第4巻

(2018-10-30発行、 978-4098600755)

第5巻

(2019-02-28発行、 978-4098602254)

第6巻

(2019-06-28発行、 978-4098603183)

第7巻

(2019-11-29発行、 978-4098604883)

第8巻

(2020-03-30発行、 978-4098605675)

第9巻

(2020-10-30発行、 978-4098607143)

第10巻

(2021-03-30発行、 978-4098608706)

第11巻

(2021-08-30発行、 978-4098611287)

第12巻

(2022-02-28発行、 978-4098612529)

第13巻

(2022-08-30発行、 978-4098613977)

第14巻

(2023-04-28発行、 978-4098616923)

第15巻

(2023-11-30発行、 978-4098626458)

第16巻

(2024-04-30発行、 978-4098627622)

第17巻

(2024-10-30発行、 978-4098630691)

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