あらすじ
第1巻
34歳の小学校教師・深田柚季は、生徒とのあいだに起きたトラブルがきっかけで、教師としての自分に限界を感じ、退職して結婚する事を決意する。そこで結婚相談所に入会した柚季だったが、勢いで入会したために自分の理想の男性像が定まっておらず、デートをしても失敗続きになってしまう。そんなある日、柚季は近所の「原文具店」が、文房具だけではなく、パンも扱っている事を知る。そこで「原文具店」の店長であり、パンを焼いている原洋一と知り合った柚季は、洋一こそが自分の理想の男性なのではと感じる。その結果、会ってまだ日が浅いにもかかわらず洋一にプロポーズし、二人は婚約する事になる。こうして柚季は、まずは自分の家族に洋一を紹介するが、妹の深田真子はあまりにも謎の多い洋一を快く思わず、柚季の父もまた、柚季が無理をしているのではと心配していた。そんなある日、柚季の母が、「原文具店」にメロンパンを買いに来る。元々メロンパンは扱っていないため洋一は戸惑うが、リクエストに応えるため柚季と洋一はいっしょにメロンパンを作り、その過程で二人の絆は深まる。また柚季は、メロンパンに秘められた、両親の恋の思い出について知るのであった。
第2巻
深田柚季が教師をやめるきっかけになった生徒・赤沢すみれが「原文具店」にやって来た。すみれは複雑な家庭環境にあり、母親がお米のとぎ方も知らず、朝食もまともに与えられない状態で暮らしていた。しかし、なにも知らない当時の柚季は、それをすみれの知識不足やわがままが原因であると捉え、知らず知らずのうちにすみれを傷つけていたのである。結果、腹を立てたすみれは次第に柚季を陥れるような嘘をつくようになり、最終的に柚季は退職に追い込まれたのだ。柚季はそんなすみれが、自分の新しい職場だからという理由で「原文具店」を訪れた事を疑問に思うが、原洋一は、すみれを家まで送った事ですみれの現状に気づく。これによって柚季もまたすみれの家庭環境を知り、柚季とすみれは、店のパンを通じて少しずつ関係を修復していく。こうして柚季とすみれの件は解決するが「原文具店」は、まだ大きな問題を抱えていた。店は、かつて洋一が漫画家として稼いだお金で維持して来たが、採算度外視でパンを作っている事により、資金繰りが厳しくなっていた。そこで洋一は、漫画家時代に仲間の高名一と共同出資して作った法人の口座からお金を引き出すため、柚季といっしょに一に相談に行く事にする。
第3巻
深田柚季の元交際相手・笹本信也が「原文具店」にやって来た。信也は昔から温かい家庭へのあこがれが強く、専業主婦になってくれる女性・笹本詩織と結婚した。しかし、そのために多くのものを犠牲にしすぎたせいで幸せを感じられず、詩織との関係も冷え切っているのだという。柚季は信也の勝手な言い分に疑問を抱くが、客である信也を追い出す事はできず、信也は次第に娘の笹本すずまで連れて入り浸るようになっていく。そんなある日、「原文具店」に詩織が現れる。詩織は信也の携帯電話の履歴から柚季の存在を知り、柚季を信也の不倫相手だと思い込んでいたのである。柚季と原洋一が事情を伝えた事で誤解は解けるが、そこで二人は、詩織もまた信也との関係に疲れており、もし信也と柚季が不倫をしていれば、離婚理由ができると考えていた事を知ってしまう。そこで二人は高名一の勧めもあり、信也と詩織が仲直りできそうなパンを作るがうまくいかず、両親がケンカする姿を見たすずは、とうとう家出してしまう。しかし、そんな彼女に声をかけたのは赤沢すみれであった。すみれはすずの気が済むまで家出に付き合い、最終的に二人は埼玉県のパン店で保護される。これがきっかけで信也と詩織はしっかり話し合い、同時に柚季と赤沢すみれの母親の関係まで改善されるのだった。
第4巻
川原純からの連絡がきっかけで、原洋一の絶縁状態の父親・原芳雄の居場所が発覚した。信用金庫を定年退職した芳雄は、現在は千葉県の田舎で畑を作って暮らしているのだという。それでも芳雄と話す事などないという洋一に対し、どうしても芳雄に会ってみたい深田柚季は、洋一を招いて行った深田家の食事会で、思わぬチャンスを得る。「ガレット・デ・ロワ」という複数人で切り分けて食べるパンには、中に「フェーブ」という小さなおもちゃを入れ「フェーブ」が当たったものは、いっしょに食べた人に何でも命令できる権利が与えられる、という遊び方があった。これによって見事命令権を得た柚季は、洋一に自分を芳雄に会わせてほしいと頼む。こうしていっしょに芳雄の家へ行く事になった柚季と洋一は、芳雄の頑固すぎる性格に困らされるが、農作業を通じて、芳雄の態度は少しずつ軟化していく。そんなある日、柚季は芳雄から、本当に洋一と結婚するのかとたずねられる。そして柚季は、自分はぜひそうしたいが、洋一には結婚相手が自分でなくてはならないという明確な理由がない。なので、自分はそれを作りたくて今回芳雄に会いに来たのだと、秘めていた悩みを打ち明けるのであった。
第5巻
原洋一が、一度「原文具店」をやめたいと言い出した。洋一は、採算度外視で美味しいパンを売るという現在のやり方に限界を感じ、深田柚季との将来を真剣に考えるという意味でも、今の店を閉めて土地を売り、もっと立地のいい場所で新たに店を借りる方がいいのではと考えたのである。これを聞いた奈保は、それは洋一が結婚に向けて準備している証ではないかと柚季を励ます。しかし柚季は未だに洋一から、柚季の事が必要だから結婚するという思いが感じられず、このまま移転の話を進めていいのか悩むのであった。そんなある日、偶然洋一と高名一の会話を聞いてしまった柚季は、やはり洋一が義務感とまではいかなくとも、柚季との関係に責任を感じるがゆえに結婚の話を進めようとしている事を知ってしまう。このままではいけないと考えた柚季は洋一に相談し、一度婚約を解消。同時に「原文具店」を移転する件についても考え直してもらい、今度は店主と従業員として、今の状態のまま店を続けていく方法を模索する事になる。
第6巻
深田柚季は原洋一と共に「原文具店」を続けていくため、従業員として、より真剣にパン作りと店舗経営について勉強するようになっていた。そんなある日、柚季は赤沢すみれから、洋一の代表作「ラプラス7」を読むよう勧められる。すみれはこれが洋一の作品とは知らないのだが、いい機会だと考えた柚季は「ラプラス7」を読んでみる事にする。すると作品には、洋一の神経質で我が強く、もの作りに対していっさいの妥協を許さない真剣な生き方がにじんでいた。これはパン作りをしている時と同じだと考えた柚季は、自分は洋一のそう言ったところが好きだと、改めて愛情を伝えるのであった。しかし、洋一はこのように職人気質である分経営は苦手なため、柚季は自分が支えなくては「原文具店」は立ち行かないと実感。店の売り上げをデータ化したり、人気商品の新たなバリエーションを考えたりと、さらに努力を重ねていく。そんな柚季を見た洋一は柚季に強い信頼を感じるが、長期間漫画家を休業していた高名一が活動を再開した事で、自分もまた漫画を描きたいという気持ちが芽生え始めていた。
第7巻
深田柚季は、マフィン専門店の店主・角田沙奈と親しくなり、彼女から経営について学ぶようになっていた。沙奈は昔からお菓子作りとパン作りが好きで、専門学校で出会ったパン店「カクタパン」の息子・角田と結婚した。しかし、結婚後に自分が本当に作りたいのは大衆向けの手に取りやすいパンではなく、こだわり抜いた高級感のあるパンである事に気づき、角田と相談したうえで「カクタパン」で働くのはやめ、一人で店を出す事になった。そんなエネルギッシュな沙奈に刺激を受けた柚季は「原文具店」をリフォームする計画を進めていくが、計画が決まりかけたある日、柚季は原洋一が捨てた漫画の原稿を発見してしまう。洋一にはまだ漫画への情熱が残っていると知った柚季は、これを応援する事を決意。リフォームは中止となり「原文具店」は閉店。洋一は「ラプラス7」の連載を再開させ、柚季はパン職人を目指し、就職活動を始めるのであった。そしてすぐさま洋一は多忙となり、柚季はそんな洋一の仕事場に差し入れをする日々を送るが、ある夜、先日面接を受けた店から電話がかかって来る。それは、面接を受けた東京の店舗ではなく、元箱根にある支店でなら採用できるというものだった。
第8巻
深田柚季は、パン職人になるため、元箱根にあるパン店「Sel et Sucre(セル エ シュクル)」で働く事になり、原洋一とは遠距離恋愛になってしまった。幸いにも職場はいい雰囲気で、柚季は重労働でふらふらになりながらも、少しずつ技術を上げていく。中でも一歳年下の先輩・五十嵐は柚季のあこがれであったが、五十嵐には以前独立して自分の店を持ったものの、たった2年で潰してしまったという過去があった。そんなある日、同僚達から五十嵐がかつて店で出していたパンの話を聞いた柚季は、五十嵐に頼み込んで同じパンを作ってもらう。同時に、五十嵐の職人としては素晴らしいが、経営者としては頼りなさそうな姿に洋一と同じものを感じた柚季は、当時の帳簿を見せてもらったり、もともと五十嵐は夫のサポート前提で店を始めたが、五十嵐の夫は口先だけで結局頼りにならなかったという話を聞いたりして、理解を深めていく。そして、五十嵐の失敗を残念に思いつつも、もう一度彼女に店を開いてほしいと願ってしまうのであった。その直後、洋一が元箱根まで遊びにやって来る。多忙を極め思い悩んでいた洋一は、柚季に東京に戻ってほしいという弱気な気持ちから、プロポーズしに来たのである。しかし洋一は、自分との将来のために前向きに頑張っている柚季を見て考えを改める。そして、落ち着いたらもう一度話をしに来るので、しばらく待っていてほしいと告げるのだった。
登場人物・キャラクター
深田 柚季 (ふかだ ゆずき)
かつて小学校教師を務めていた女性。年齢は34歳。教師を辞めたことをきっかけに婚活を開始したが、うまくいかずにいる。料理が好きで、人と楽しく食事をすることが好き。偶然見つけた原文具店でパンを売っている原洋一と出会い、「この人とおいしいご飯が食べたい」と、思わず結婚を申し出てしまう。これが受け入れられ、その後は婚約者として、洋一の原文具店を手伝うようになる。 子供の頃から妹に遠慮していたためか、我慢してしまうところがあり、母親や洋一に「受け取り下手」だと言われている。
原 洋一 (はら よういち)
深田柚季に結婚を申し込まれ、婚約者となった男性。年齢は39歳。元漫画家で、「ラプラス7」という人気作品を描いていた。現在は、世話になっていた森のおじさん夫婦が営んでいた森文具店を買い取り、原文具店として新たに開店。店主となって店の隅でパンを売っている。凝り性なところがあり、パン作りにもかなりこだわっている。 ちなみにパン作りは、漫画家時代に貯めた金を使って半ば道楽でやっているため、採算が取れていない。かつて大学時代から15年付き合い、同棲していた川原純という恋人がいたが、漫画家の仕事が忙しすぎてすれ違い、破局に至った過去がある。
川原 純 (かわはら じゅん)
原洋一と大学時代から15年にわたって付き合っていた女性。同棲して主婦のような生活をしながら、洋一の漫画家活動を支えていたが、洋一の多忙によるすれ違いで、別れることとなった。仕事で忙しい洋一の役に立とうと料理ばかり作っていたため、料理の腕は相当なもの。公園でやっていたフリーマケットで遠藤久行と出会い、その後は時々公園で会ったり、LINEをするような仲になる。
桜井 (さくらい)
原洋一の10年来の友人。税理士の男性。借金があるにも関わらず、高い時計や車を持っていて金使いが荒い。洋一にも金を貸して欲しいと、よく頼みに来ている。実は川原純に好意を寄せており、洋一と別れた彼女を不憫に思っている。そのため突然、洋一の婚約者として現れた深田柚季のことを快く思っていない。洋一のもとを訪れるたびに、売れ残りのパンをもらって行く。
高名 一 (たかな はじめ)
原洋一の漫画家仲間の男性。漫画家時代の洋一と共同出資して法人成りしている。「高名イチ」というペンネームで漫画を描いていたが、右手を骨折してから漫画を描くのをやめ、女の家に転がり込んでフラフラとしていた。女の家を追い出されてからは、洋一の家に勝手に上がり込んで寝泊まりしている。酒好きだが、膵臓を悪くしているため禁酒を余儀なくされている。 プレッツェルが好き。
赤沢 すみれ (あかざわ すみれ)
深田柚季の元生徒の女の子。よく噓をついては柚季を困らせており、赤沢すみれの存在が、柚季が教師を辞めるきっかけとなった。父親は広島に単身赴任している。母親も働いているうえに家事が苦手なため、家が散らかっており、あまり構ってもらえないので、性格がねじ曲がってしまった。ずる賢くて生意気だが、実際はピュアで優しいところもある。 柚季がパン屋で働いているという噂を聞いて、原文具店を訪れる。将来は住宅の建築士になりたいと考えている。
笹本 信也 (ささもと しんや)
かつて深田柚季と付き合っていた男性。年齢は35歳で、現在は妻と娘がいる。真面目だが、繊細な性格で神経質なところがある。妻の笹本詩織とは、夫婦仲があまりうまくいっておらず、ストレスを感じている。友人の朋美の結婚式二次会の幹事を頼まれ、打ち合わせの際に柚季と再会。それ以来、娘の笹本すずを連れて原文具店をよく訪れるようになる。
笹本 詩織 (ささもと しおり)
笹本信也の妻。嫌なことがあると甘い物を食べてしまう癖があり、高校時代は太っていた。幸せな時だけ、ごほうびに甘い物を食べると決め、ダイエットを開始。それ以降、甘い物を一切食べなくなってしまった。専業主婦として家庭第一のいい妻になろうとするあまり、食事に気を遣い過ぎる傾向がある。クロワッサン・ダマンドが好き。
笹本 すず (ささもと すず)
笹本信也と笹本詩織の娘。信也に連れられ、よく原文具店を訪れている。家ではあまり甘い物を食べさせてくれないので、原文具店では甘いパンばかり好んで食べている。両親が喧嘩ばかりしているのを見て、家出をしようと決意する。「リトルチョロ」というアニメが好き。
森のおばさん (もりのおばさん)
夫である森のおじさんとともに森文具店を営んでいた女性。原洋一が使っているパンのルセット(レシピ)を書いた人物でもある。子供の頃からパン屋か花屋になるのが夢だったが、嫁いだ先は文具店。そのため金を貯めて器具を買い、文具店の片隅にパン屋の厨房を作って、趣味で焼いたパンを、文具を買った客にあげていた。その経緯で洋一や、当時彼と付き合っていた川原純と仲良くなり、自分の子供のように思っていた。 認知症になってしまったため店を洋一に譲り、現在は田舎で夫と暮らしている。
森のおじさん (もりのおじさん)
森文具店を営んでいた男性。妻の森のおばさんが認知症になってしまったため、文具店を閉めて田舎に移住した。その際、原洋一に頼まれて店を譲っている。妻の認知症については、「もともと脳内が花畑みたいな人だから」とあまり深刻になってはいない。洋一が婚約者として紹介した深田柚季のことも快く受け入れた。誕生日に、洋一にもらったチェス盤でチェスをするのが趣味。
美奈子 (みなこ)
原文具店の常連で、近所のおしゃべりな中年女性。モチモチふわふわのパンが好きで、原洋一の作るパンに色々と口を出している。自分のリクエストで出来上がったバゲットを「美奈子スペシャル」と呼んでいる。孫も一緒に暮らしており、洋一のパンでサンドウィッチを作り、孫に食べさせたりしている。
深田 真子 (ふかだ まこ)
深田柚季の妹。年齢は30歳。姉と同じく独身で、実家暮らしをしながら派遣社員として働いている。いきなり原洋一を連れて来た柚季を、騙されたと思って心配している。道楽でパン屋をやっている洋一のことを信用していないが、洋一のパンを食べた時は、その美味しさに少し感心していた。徐々に洋一のことを受け入れている。
柚季の母 (ゆずきのはは)
深田柚季と深田真子の母親。料理上手で、明るい性格をしている。かつて柚季の父と同じ会社で働いていて、熱烈なアプローチを受けていた。当時失恋した際に、女子社員の間で話題になっていたメロンパンを、柚季の父親にもらったことがきっかけで、付き合い始めることとなった。原洋一に、その思い出のメロンパンを作ってほしいと依頼する。
柚季の父 (ゆずきのちち)
深田柚季と深田真子の父親。かつて柚季の母と同じ会社で働いていた。柚季の母親に想いを寄せ、当時女子社員の間で話題になっていた、厚木にあるパン屋までメロンパンを買いに行っては、柚季の母親にプレゼントしていた。のちにパン屋が厚木から伊東に移転してからも、彼女のために伊東まで買いに行っていた。急に原洋一を連れて来た柚季を心配している。
原 芳雄 (はら よしお)
原洋一の父親。妻と離婚して以来、洋一と2人で暮らしていた。ぶっきらぼうで乱暴なところがあるため洋一と折り合いが悪く、大げんかしてからは、一度も会っていなかった。定年退職をした後、実家を売り払って千葉に移住し、農業をやっている。凝り性で、栽培キットで米を作ってみてから、自分の作った米をもっとたくさん食べたいと思い、農業を始めた。 頑固で人の言うことを聞かず、近所の人ともあまり仲が良くない。
朋美 (ともみ)
深田柚季の高校時代からの友人の女性。昔から結婚願望が強く、ようやく結婚式を迎えるにあたり、式で出すパン・サプライズを作ってほしいと柚季に依頼する。柚季から原洋一の話を聞いた時には、相手が金持ちであることも含め、祝福していた。結婚を機に仕事を辞めることになったが、もともと会社が好きだったため、一時マリッジ・ブルーになってしまう。
奈保 (なほ)
深田柚季や朋美の友人で、バツイチの女性。高校時代は夢見がちなところもあったが、離婚してからは非常にシビアな考え方をするようになった。そのため、柚季から原洋一の話を聞いた際にも、「うさん臭い」と一刀両断していた。バツイチのため結婚に厳しく、つい離婚を前提に話をしてしまう癖がある。
三浦 (みうら)
かつて原洋一を担当していた編集者の男性。定年後、4年ぶりに洋一のもとを訪ねて来た。子供がいなかったため、飼い犬のクロを子供のように思って大事にしていた。ところが、近所に散髪に行っている間にクロが亡くなり、死に際に会えなかったことを悔やんでいる。喫茶店「トロイカ」のモーニングセットが好き。
遠藤 久行 (えんどう ひさゆき)
川原純と公園のフリーマーケットで知り合った男性。バツイチで、離れて暮らしている一人娘がいる。純が住んでいる付近のマンションに住んでおり、毎朝ランニングをしている。純とLINEでやりとりをしているが、仕事ばかりしていて元妻に愛想を尽かされた経験があるため、恋愛に対して自信をなくしている。
場所
原文具店 (はらぶんぐてん)
原洋一が経営する文具店。森のおじさん夫妻が経営していた森文具店が閉店となった際、原洋一が買い取って新たに開店した。文房具も売っているが、店の隅でパンを売っており、ほとんどの客がパンを目当てに来店する。ハード系のパンが多いが、客のリクエストに応えて惣菜パンや菓子パンなど、バラエティ豊かなパンを作っている。 イートインスペースもあり、パンと一緒に酒を飲むこともできる。
森文具店 (もりぶんぐてん)
森のおじさん夫妻が経営していた店。漫画家時代の原洋一がよく通っていた。森のおばさんが趣味で作ったクリームパンやあんパン、ジャムパンを作っており、文具を買った客にサービスでプレゼントしていた。森のおばさんが認知症になってしまったため店を閉めることとなり、以降は常連客だった洋一が店を買い取り、原文具店として経営している。