世界観
不倫の恋愛と、仕事が題材。勤勉で仕事熱心、恋愛よりも仕事を大切に生きてきた女性、栗原未亜が道ならぬ恋に苦しみながらも、化粧品会社の広報として懸命に働く姿が描かれる。並行して友人たちの三角関係が描かれ、登場人物が織りなす濃密な人間関係も魅力の一つ。
作品構成
本作『せいせいするほど、愛してる』は、大きく分けて2部で構成されている。栗原未亜と三好海里が友人を介して出会い、ロワール化粧品広報部で共に働きながら絆を深めていく姿が描かれるのが第1部。未亜と海里の関係が疑われたことがきっかけで海里がロワール化粧品大阪支社へ転勤し、遠距離恋愛となる24話からが第2部となっている。
あらすじ
ロワール化粧品に勤める栗原未亜は、ある日突然恋人の山下からプロポーズされる。結婚と引き換えに退職を迫られたことで別れを選んだ未亜だったが、納得しない山下はストーカーと化してしまう。悩む未亜を救ったのは、意地悪な雰囲気の謎の男性、三好海里だった。
スピンオフ
主人公の過去や、サブキャラクターたちに焦点を当てたスピンオフが多数存在する。宮沢綾が栗原未亜に関心を持つきっかけを描いた『せいせいするほど、愛してんねん』、真咲あかり、美山千明、久野淳志のその後を描いた『せいせいするほど、大嫌い』など。
メディアミックス
登場人物・キャラクター
栗原 未亜 (くりはら みあ)
業界4位の化粧品会社、ロワール化粧品に勤める25歳の女性。明るく可愛らしい雰囲気の人物。非常に仕事熱心で、広報部で順調に実績を重ねている。結婚に意欲がないわけではなかったが、恋人の山下との価値観の違いに気づき別れることを決意する。山下とのトラブルに見舞われていたところを三好海里に助けられたのがきっかけで彼と親しくなり、既婚者であると知りながらも強く惹かれ、思い悩むようになる。 仕事に夢中になるあまり自分を犠牲にしがちなところがあり、体調を崩しやすい。
三好 海里 (みよし かいり)
ロワール化粧品の副社長を務める27歳の男性。ロワール化粧品の社長とは元々伯父と甥の関係にあたるが、妻の入院費用と引き換えに彼の養子となり副社長に就任した。スマートで仕事のできる優秀な人物。栗原未亜とは通勤中に偶然知り合い、その後真咲あかりと久野淳志を通じて再会し互いに惹かれ合うようになる。意地の悪い言動も多いが、未亜を常に気にかけており、些細な変化も敏感に察する。 以前は国際マーケティング部に所属していたが、副社長就任を機に研修を開始。それに伴って広報部を訪れたのがきっかけで、未亜と共に仕事をするようになる。かつてはカリフォルニアの大学で建築を学んでおり、本当は化粧品会社勤務ではなく、建築家を志していた。
宮沢 綾 (みやざわ りょう)
ロワール化粧品のライバル企業、株式会社ボーテ・ド・ドラジェの営業部長代理を務める若い男性。強引な自信家で、関西弁で話すのが特徴。栗原未亜の活躍を知り、未亜を業界2位である自社へ引き抜こうと声をかけてくる。また、未亜の見合い相手でもある。目的のためには手段を選ばない性格で、これまで気に入ったものは必ず手に入れてきたと自負している。 特に未亜のことは女性としても気に入っており、やがて彼女に心から想いを寄せるようになる。ある理由から、魚類は食べられない。
久野 淳志 (くの あつし)
商社に勤める傍ら、小説家としても活動する27歳の男性。三好海里の友人で、真咲あかりの担当作家。眼鏡をかけた、柔和で落ち着いた雰囲気だが、どこか食えない印象のある人物。栗原未亜と美山千明とはあかりの紹介で出会い、友人である海里も含めて、5人で会うようになる。ある目的から千明とあかりの両者と親しくなろうとしており、千明と肉体関係を持つ。 小説家としては新人で、第15回小説原石新人賞を受賞し、小説家デビューを果たした。海里とは大学時代からの付き合い。
真咲 あかり (まさき あかり)
栗原未亜の友人で、出版社雀楽館(しょうがくかん)に勤める25歳の女性。生真面目で厳しい雰囲気の人物。未亜とは小学校以来の付き合いで、美山千明と3人で仲が良い。久野淳志のことはアマチュア時代から目をかけており、編集長に熱心に頼み込んで担当作家になった。また、作家と編集者としてのみならず男性としても彼に惹かれているが、臆病な性格と、彼と話が合いすぎるのが原因で深い関係になれずにいる。 千明とは同居しており、彼女には「家と外でのギャップが激しい」と評されている。仕事上では妥協を許さず、淳志にも徹底的な指導を行う。男性経験がないことを気にしている。
美山 千明 (みやま ちあき)
栗原未亜と真咲あかりの友人で、モデルを務める25歳の女性。ショートカットで、大きな胸が自慢。派手な雰囲気の積極的な人物。男性の前では猫をかぶっているが、実際は豪胆な性格。モデルとしてはあまり芳しくない状態にあり、将来に悩んでいたところ、久野淳志と関係を持ち、あかりと三角関係となってしまう。想いを寄せる人物がいるが、相手のことを考えて打ち明けずにいる。 偏食気味で、高校生の頃は太っていた。
三好 優香 (みよし ゆか)
三好海里の妻。交通事故に遭い、昏睡状態で入院している。海里とは離婚予定であったが、離婚届の提出直前に事故に遭って意識を失ったため、婚姻関係が結ばれたままとなっている。海里は優香の入院費用と引き換えにロワール化粧品を継ぐ決意をし、建築家になる道を諦めた。
藤枝 志穂 (ふじえだ しほ)
宮沢綾の恋人。看護師として大阪中央病院に勤めている若い女性。三好優香が大阪中央病院に転院したのをきっかけに、三好海里と知り合う。自分から綾を奪った栗原未亜のことを快く思っておらず「どろぼう」呼ばわりしたり、攻撃的に振る舞う。
山下 (やました)
栗原未亜の元恋人。ジムのインストラクターを務める若い男性。筋肉質な身体に爽やかな雰囲気の人物。両親には地元に戻って家業を継ぐように言われており、未亜にプロポーズする。しかし断られ、彼女のストーカーと化す。未亜がプロポーズを断った理由は、仕事を続けたいからではなく、自分の他にも恋人がいるのではないかと疑っていたためであった。 すばらしい背筋を持つことから「背筋くん」のあだ名が付いている。
森 丈一 (もり じょういち)
メイクアップアーティストを務める若い男性。カリスマ的な人気を誇り、彼の一言で化粧品の売り上げを左右するほどの影響力を持つ。栗原未亜とは親しいが、未亜が誕生日を誤認していたことでトラブルが起きてしまう。仕事を通じて知り合った三好海里を非常に気に入っている。自らはゲイで、仲の良い恋人がいる。
ジョージ・タイラー (じょーじたいらー)
三好海里の大学時代の恩師。海里がカリフォルニアで建築を学んでいた際に知り合い、共に新設博物館の設計チームに参加していた。海里がチームを抜けて帰国した後も彼に目をかけており、再度プロジェクトに誘うため日本を訪れる。
ウォン・リー (うぉんりー)
ロワール化粧品のメンズラインで専属モデルを務める若い男性。英語でしゃべる。以前キャンペーンで日本を訪れた際に栗原未亜を気に入り、プライベート旅行でも彼女をガイドに指名する。ゲイであると公表しているがこれはカムフラージュであり、実際は未亜のことを狙っている。
栗原未亜の母親 (くりはらみあのははおや)
栗原未亜の母親。小太りの身体と、厚い唇が特徴。未亜と宮沢綾の見合いをセッティングした人物でもある。未亜が結婚する気配がないのを心配しているが、彼女の頑張りは認めて応援している。未亜から三好海里と宮沢綾の双方を紹介されるが、未亜がどちらに惹かれているか察している雰囲気がある。
hiro (ひろ)
中高生に圧倒的人気を誇る、携帯電話小説作家の女性。栗原未亜がhiroとロワール化粧品のタイアップ小説を企画したことをきっかけに知り合う。作家に転身する前は企業に勤めていたため、仕事上のマナーやミスには厳しい。
神田 明 (かんだ あきら)
真咲あかりの中学時代の想い人。実際は両想いだったが、あかりの友人も明に想いを寄せていたために交際はしなかった。太っていた頃の美山千明のことを知っており、千明が現在のように美しくなったのは整形手術したからだと思っている。
書誌情報
せいせいするほど、愛してる(新装版) 7巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2016-06-24発行、 978-4091386502)
第2巻
(2016-06-24発行、 978-4091386571)
第3巻
(2016-06-24発行、 978-4091386588)
第4巻
(2016-06-24発行、 978-4091386595)
第5巻
(2016-06-24発行、 978-4091386601)
第6巻
(2016-06-24発行、 978-4091386656)
第7巻
(2016-06-24発行、 978-4091386663)