あらすじ
第1巻
妖精の少女フランファッファッフルリンクルスは人間の町「ウイザードシティ」に来たが、ギャングに捕まってしまう。そして、傷つけられた少年・小雪丸を回復魔法で癒やすという謎の仕事を強制させられる。小雪丸が拷問されていることを知ったフランファッファッフルリンクルスは、機転をきかせて見張りをだまし、彼と共に脱出する。その際、忍者を名乗る小雪丸はギャングを次々と倒し、二人は追っ手の魔の手から逃れることに成功。そして小雪丸が、町に蔓延する人を悪魔化する悪魔調律に立ち向かうことを知ったフランファッファッフルリンクルスは、彼と共に行動することを決意する。一方の小雪丸は、天災の巻物を届けるために父親の雪丸と共にウイザードシティを訪れたが、ブギーマンの襲撃を受けて離れ離れになってしまったことをフランファッファッフルリンクルスに語る。そして二人は雪丸と再会するため、彼が待ち合わせ場所に指定していた時計塔を目指す。そんな中、ブギーマンの放った追っ手の悪魔調律師を倒しながら進む二人は、謎の二人組シンカ=ブリンカとアレクシス=レインと出会う。
第2巻
シンカ=ブリンカとアレクシス=レインは、ウイザードシティの治安を守るMBIの協力者だった。ブギーマンを追う二人は、小雪丸の保護と天災の巻物の確保を目的としていた。小雪丸は彼らの正体を聞き、さらに彼らが保護した父親・雪丸の変わり果てた姿を目撃する。父親を助けるため、シンカたちの上司であるゼス=アンダーソンと交渉した小雪丸は、魔動アンクレットを装着し、MBIに協力するのと引き換えに捜査に加わるのだった。そして小雪丸とフランファッファッフルリンクルスは、シンカたちに合流。ブギーマンの捜査の中、浮かび上がったビリー=ミラーの調査に乗り出す。ビリーを倒そうとする小雪丸だったが、それに躍起になったためビリーの罠にはまり孤立してしまう。ビリーは突如現れたヴィンセントによって倒されたものの、小雪丸はブギーマンの罠にはまり、隠していた天災の巻物の隠し場所がバレるのだった。一方、意識不明のままキース=アンダーソンに治療を受けていた雪丸は、意識を取り戻し始める。
第3巻
天災の巻物の隠し場所がヴィンセントにバレたため、小雪丸たちは回収のため隠し場所に急行する。MBIの力を借り、かろうじて回収に成功するも、現れたブギーマンの自爆で一行は負傷。天災の巻物もブギーマンの仲間であるマネージャーに奪われてしまうのだった。さらに新たに現れたブギーマンの次なる自爆を前に窮地に陥る一行だったが、生死の瀬戸際で小雪丸が瞬間移動の忍法を目覚めさせ、九死に一生を得る。そして小雪丸は新たに目覚めた忍法で、巻物を追う。マネージャーのもとにたどり着いた小雪丸は、彼といっしょにいたグレッド・F・バターソンと戦う。小雪丸はフランファッファッフルリンクルスの力を借りることでグレッドを倒すが、マネージャーに逃げられてしまうのだった。一方その頃、MBIでは雪丸の目覚めに伴って、キース=アンダーソンが錯乱し始めていた。実はブギーマンをあやつる黒幕だったキースは、口封じのため雪丸を治療に見せかけて殺そうとしていたのだ。しかし忍者である雪丸が、予想外の生命力を持っていたため失敗。正体がバレるのを恐れたキースは、制止したサハラを負傷させて逃走し、マネージャーに合流する。
第4巻
マネージャーと合流したキース=アンダーソンは、天災の巻物を手に入れたものの正体がバレてしまう。追い詰められたキースは人であることを捨てる覚悟を固め、天災の巻物を使って巨大な怪物の姿となる。一方、ブギーマンを追っていたMBIは、ブギーマンの最後の自爆によって壊滅。巨大な力を手にし、邪魔者のいなくなった町をキースは蹂躙する。襲った人間を悪魔化する能力に目覚めたキースは、あっという間に町に悪魔をあふれさせ壊滅的な被害をもたらす。その惨状を止めるため、小雪丸、アレクシス=レインは懸命に戦う。さらに義弟を止める決意を抱くゼス=アンダーソン、ブギーマンが倒れたことで全快した雪丸も応援に駆けつける。小雪丸は町で出会った人々の思いと、フランファッファッフルリンクルスと育んだ友情を刃に乗せ、キースと最後の戦いを繰り広げる。
登場人物・キャラクター
小雪丸 (こゆきまる)
忍者の少年で、白みがかった灰色の髪を短く切りそろえて目は三白眼。父親の雪丸と共に天災の巻物をMBIに届けるため、ウイザードシティにやって来た。しかしブギーマンたちの襲撃に遭い、父親とはぐれる。父親から託された巻物を隠すも、ギャングのヴィンセントに捕まり、拷問を受ける。幼いながら忍者として訓練を受けてきたため拷問を耐えきり、偶然出会ったフランファッファッフルリンクルスの機転に助けられ脱出することに成功する。以降はフランファッファッフルリンクルスと行動を共にする。まじめな性格で任務を忠実にこなす。下忍だが同年代の中ではトップクラスの実力を持つ。だが、優秀な雪丸の子供ということで周囲からやっかみを受けることも多い。また忍法が未だに使えないことへのコンプレックスから周囲に壁を作って孤立することも多く、友人と呼べる存在がいなかった。フランファッファッフルリンクルスと行動を共にする内に、次第に彼女を親友と思うようになり、心身を成長させていく。匂いで悪魔調律師をかぎ分けることができるため、人間に紛れた違法悪魔調律師を捜査する際に大きな力となる。ブギーマンと対峙した際には、仲間を助けるため遂に忍法に目覚め、瞬間移動の力を身につける。
フランファッファッフルリンクルス
妖精の少女で、大人の手のひらに乗る程度の大きさ。容姿は金色の髪に瞳の色は薄緑で、背中から蝶のような羽が生えている。名前が長いため、親しい者には「フラン」の愛称で呼ばれている。好奇心旺盛なおしゃれ好きで、人間の町でおしゃれなお店を開こうとウイザードシティにやって来たが、ギャングのヴィンセントに捕まってしまう。妖精は回復魔法を得意とするため、そこで拷問されていた小雪丸の回復を担当することとなる。回復魔法は1日に三度まで使え、大概の外傷を治療できるが、手足の切断などを修復することは不可能。無理矢理、小雪丸の治療の手伝いをさせられていたが、機転を利かせて小雪丸の脱出を手伝い、以降は彼と行動を共にする。当初は人間に興味がなく、成り行き任せで小雪丸と行動を共にしていたが、次第に巨悪に立ち向かう小雪丸を見届けたいと気持ちを新たにする。回復魔法のほか、空を飛べるため、戦闘では小柄な体と機動力を活かして小雪丸のサポートをする。小雪丸と行動を共にするうちに友情を育み、次第に言葉がなくても気持ちを通じ合わせるようになる。
シンカ=ブリンカ
MBIに協力する青年。黒髪のツンツン頭で、口元にはつねに笑みを浮かべている。ウィザード級の悪魔調律師で本業は魔法道具(マジックアイテム)屋だが、わけあってMBIに協力する。アレクシス=レインとは同じ境遇だが、うさんくさい性格をしており、命令を逸脱した行動をよく取るため、アレクシスやゼス=アンダーソンからの扱いは非常に悪い。足に装着した魔動アンクレットによって行動をつねに制限されており、独断での行動を咎められてゼスから懲らしめを受けることもしばしば。「超巨大商店」という魔法を編み出しており、いつも超巨大商店を使うために必要なトランクケースを持ち歩いている。ブギーマン追跡の任務を請け負っており、その背後に天災の巻物がかかわっていることを独自につき止める。小雪丸の保護を行ったが、天才の巻物への興味から独断で小雪丸を捜査に巻き込む。好奇心から、確保した天災の巻物の中身を勝手に確認したが、白紙だったことで巻物には別の秘密があると考えるなど、勘の鋭いところがある。
アレクシス=レイン
MBIに協力する女性。スタイル抜群で、黒い髪をショートカットに整えている。ウィザード級の悪魔調律師で本業は賞金稼ぎだが、訳あってMBIに協力する。足に装着した魔動アンクレットによって行動をつねに制限されているが、シンカ=ブリンカに比べて仕事をまじめにこなすため、懲らしめを受けることはほとんどない。またシンカがふざけている場合は、連帯責任で懲らしめを受けるため、彼に注意を促している。冷静沈着な性格から問題はほとんど起こさないが、ゼス=アンダーソンのやり方には思うところがあるらしく、携帯電話のゼスの着信名を「ひとでなし」の名で登録している。願いの弾丸を撃つ魔法の弾丸「感情射入弾」を使うことができ、その能力は汎用性が高い。魔法に使う専用の銃のほかに実弾入りのふつうの拳銃も所持しているため、悪魔調律師との戦いではこの二つの銃を使い分けて戦う。
雪丸 (ゆきまる)
小雪丸の父親で、忍者の中でも特別優秀な上忍の一人。小雪丸と共にウイザードシティに天災の巻物を届けに来たが、天災の巻物を欲したブギーマンに襲われる。小雪丸に天災の巻物を託して逃がすも、ブギーマンに呪いを受けてしまう。その後、MBIに保護されたが、呪いによって意識不明の重体となっており、キース=アンダーソンに治療を受けていた。常人ならとっくに死んでいる状態となっていたが、少しずつ力を回復させ、遂に意識を取り戻す。その後、キースが正体を現してブギーマンが消失したことで完全復活する。かつて「天災」と呼ばれた妖怪を倒した四人の忍者の一人で、MBIの悪魔調律師のランク分けでは「ウィザード」級を超える「ジャガーノート」級と認定されている。小雪丸を超える忍者の能力に、百戦錬磨の経験が合わさりその実力は忍者の中でも屈指のもの。また先祖伝来取り込んできた魔物や妖怪の魂を呼び出す忍法「百鬼夜行」を使うことができる。百鬼夜行で呼び出した妖怪は強力だが、完全には制御できないため、周囲に味方がいる場合は味方にも襲い掛かる危険が存在する。
ゼス=アンダーソン
MBIで司令官を務める壮年の男性で、精悍な雰囲気を漂わせている。シンカ=ブリンカたちの上司で、MBI所属の悪魔調律師たちのまとめ役を担っている。ゼス=アンダーソン自身は悪魔調律師ではないが、魔動アンクレットをシンカたちに装着させ、それによって手綱を握っている。また「魔動ガントレット」と呼ばれる特殊な装置を両腕に装備しており、生身の人間にもかかわらず悪魔調律師に匹敵する戦闘能力を持つ。ふだんは司令として部下たちの指揮を担当するが、必要があれば前線に出ることもあり、長年、悪魔調律師と戦ってきただけにその実力は折り紙つき。キース=アンダーソンは義弟で、彼から立派な人物として尊敬されている。しかし、同時にゼスの存在がキースの心を乱す原因にもなっており、のちにキースの心の闇と対峙することとなる。
キース=アンダーソン
MBIに所属する医師を務める男性で、ゼス=アンダーソンの義弟でもある。眼鏡をかけた気弱な青年で、雪丸の治療をしていた。実はブギーマンの製作者であり、すべての事件の黒幕。幼い頃、爆発事故に遭った中、生き残って自分を救出したログ=アンダーソンの養子となる。その後、ログやゼスのような立派な人物になりたいと思いつつ、同時に自分と同じ境遇の仲間を欲する心が生まれる。幼心に自分以外の人間も爆発事故に遭えばいいという思いが悪だと気づき、それを封じて生きてきたが、マネージャーに心の闇を暴かれてしまう。そして通り魔に義父を殺されたことで心の支えを失い、自分の心の闇の代弁者といえるブギーマンを生み出した。マネージャーとブギーマンの裏にいる黒幕だが、マネージャー曰くどうしようもなく「弱い人間」。彼らの非道に心を痛め、おびえながらも弱いゆえに反抗することも止めることもできず、ただ悪い方向に流されていく。そして天災の巻物を手にした彼は、マネージャーに言われるまま身も心も本物の悪魔へと変貌する。
サハラ
MBIに所属する女性で、ゼス=アンダーソンの部下。髪をミディアムヘアに整え、優し気な風貌をしている。MBI所属の悪魔調律師で、ランクはウィザード級。「色取取鳥(イロトリドリトリ)」という鳥を生み出す魔法を使える。魔法で生み出す鳥は種類も数も自在で、リモート型の魔法なため広範囲での活動も可能とする。攻撃力は高くないが、生み出した鳥の居場所は術者が把握することができるため、偵察や尾行では重宝される。小雪丸がMBIに協力した際、小雪丸が子供であるため気にかけていた。小雪丸の父親である雪丸の様子も窺っていたが、偶然、雪丸が意識を取り戻した現場に居合わせたため取り乱したキース=アンダーソンに刺される。喉もとを負傷したが幸い悪魔調律師であったため軽症で済み、すぐに復帰する。キースとの戦いでは色取取鳥を限界を超えて酷使し、フランファッファッフルリンクルスを援護した。
ヴィンセント
ギャングのボスの息子。ブギーマンから天災の巻物を手に入れるように依頼されており、ブギーマンを出し抜いて天災の巻物を手に入れようと目論む。小雪丸を捕まえて情報を引き出そうとするも失敗。失敗を帳消しにするため、ブギーマンを殺そうとするも、逆に父親もろとも、ブギーマンの自爆に巻き込まれてしまう。爆発の中、ただ一人生き残ってブギーマンから「悪魔細胞」を渡され悪魔調律師となる。それ以降はブギーマンに復讐するため、独自に天災の巻物を欲して暗躍する。ブギーマンへの復讐心からウィザード級の悪魔調律師となり、影をあやつる魔法を手にする。アイス=ガイから情報を買い、ビリー=ミラーを奇襲して殺害。巻物の情報をつかむが、ゼス=アンダーソンに妨害されて失敗し、その後は消息を絶った。事件解決後も逃げ延びており、自らの力を成長させ、新たな犯罪を企む。
ブギーマン
奇妙なマスクをかぶった謎の男。悪魔調律に使う「悪魔細胞」をウイザードシティに違法に流し、悪魔調律師を続々と生み出している。天災の巻物を求めており、小雪丸と雪丸を襲う。自らを「実態のない悪魔」「恐怖そのもの」だと言い、実際その言葉に見合った謎の不死身性を持つ。ウィザード級の悪魔調律師で、使う魔法は「自爆」。自分の好きなタイミングで自分を巻き込む大爆発を引き起こす能力で、ブギーマン自身も跡形もなく爆発するにもかかわらず、その後、平然と再び姿を現す。また自爆する前に攻撃を加え、たとえ頭をつぶせたとしても行動不能に陥らせることは不可能で、ヴィンセントの一味に襲われた際には頭部を破壊された状態でもふつうにしゃべり、自爆する異様なさまを見せつけた。自爆に巻き込まれても生き残った人間に悪魔細胞を与え、悪魔調律師にするのをポリシーにしており、自分に敵対する相手にもそれを貫き通している。その正体はキース=アンダーソンによって作られた魔動AI。ウイザードシティで最もありふれた175センチ前後の中肉中背の男の死体にAIを複製してインストールしているのが不死身のからくりで、死体を「ストック」している限り何度でも復活する。
グレッド・F・バターソン
美食家の青年で、つねに微笑を浮かべ気品にあふれている。ウイザードシティではグルメなVIPとして人気で、その仕事でひと財産築いている億万長者。しかしその正体は悪魔調律師の一人で、ブギーマンの協力者。人間を食材として確保するため、ブギーマンの犯罪を利用するという条件で彼に力を貸す。ウィザード級の悪魔調律師で、使う魔法は何でも食べて、飲み込んで、消化できる「魔法の胃袋」。グレッド・F・バターソンはこの能力を使って、人知れず人間を食らっていた。本気を出すと「食欲王政(トップ・オブ・グルメ)」という魔法を使い、悪魔の姿に変身する。その姿は人型のカメレオンともいうべきもので、目は有鱗目のものとなり、尻尾も生える。手足も人間からかけ離れた形となり、足を切断されてもすぐに生え変わる再生能力を発揮する。戦闘ではテーブルフォークとナイフを武器にするが、その切れ味はたやすく人体を切断するほど鋭い。雪丸を襲うが食い損ねたため、食材として忍者に執着している。そのため小雪丸を見つけた際に、彼に強く執心した。圧倒的な力で小雪丸を翻弄し苦しめたが、一つの食材に執着するあまり、周囲がおろそかになる弱点を突かれ敗北した。
マネージャー
ブギーマンのマネージャーを名乗る謎の人物。本名は不明。黒いコートを羽織り、ガスマスクを付けた幼児のような小柄な人物で、外見からは年齢も性別も判別はできない。不気味なカンテラのような物を持ち、その灯りには人の心の闇を映し出す力が存在する。義父が死んで失意のどん底だったキース=アンダーソンの前に現れ、彼の中の心の闇を解放する。その後はキースが生み出したブギーマンと行動し、悪魔細胞を使い悪魔調律師を増やして、ウイザードシティを混乱に陥れた。その正体は獣のような姿をした魔物で、ウイザードシティに魔物たちを呼び込むことが目的。悪魔調律師が増えたことでMBIの魔物たちへの監視が緩み、目的はほぼ達成していたが、天災の巻物を手に入れるため奔走したことで多くの悪魔調律師を失ってしまう。そのため、キースに天災の巻物を使わせることで、町そのものを魔物の入り込める場所へと作り変えることを望む。キースに天災の巻物を渡すが、悪魔となり正気を失ったキースに襲われ、命を落とした。
ビリー=ミラー
ブギーマンの仲間。バンダナを着けた青年で、BARで働いていた。バスケットボールのアマチュア選手で、プロになるため日夜練習し、選手の選抜テストが開催されるたびに受けていた。しかしプロテストの会場近くで、ブギーマンの自爆に巻き込まれる。爆発によって手足がバラバラの重体になるが生き残り、彼に悪魔細胞を渡され悪魔化する。バスケットボールをやっていた経験によって悪魔調律師の能力に適応し、ブギーマンの協力者となる。ブギーマンの協力者の中でも珍しく、力を与えてくれたブギーマンに純粋に感謝し、心酔している人間で、マネージャーからも貴重な戦力扱いされていた。ウィザード級の悪魔調律師で、使う魔法は「反則行為(ダブルドリブル)」。バスケットボールでドリブルしている時に限り、ビリー=ミラー自身の複製を生み出す魔法で、最大30体の複製を生み出すことが可能。複製は本体が倒されない限り再び作り出すことが可能で、複製を使った人海戦術を得意とする。小雪丸を手玉に取るが、ヴィンセントに不意打ちを受けて死亡した。
アイス=ガイ
ブギーマンの仲間。パーカーを着たそばかす顔の青年。ウィザード級の悪魔調律師で、氷の魔法をあやつる。金のためなら何でもするのをモットーにしており、ブギーマンに雇われ、雪丸の襲撃に手を貸す。ただし雪丸が手ごわいと見ると「割に合わない」と早々に手を引いた。その後はブギーマンの依頼をこなしつつ、ブギーマンの内情をヴィンセントに売りつけるコウモリのような振る舞いをしていた。ブギーマンにストックとなる死体を渡したが、だまされて毒殺される。死後、その遺体は解体され、グレッド・F・バターソンに食材として売られた。
スキニー=ゲート
ブギーマンの仲間。眼鏡をかけた中年男性で、年齢は33歳。フーリガン級の悪魔調律師で、自身の体の体積がコロコロ変わる。太っている時と痩せている時で精神性が大きく違い、痩せている時は残虐性が強く出る。幼い頃、親に捨てられた過去があり、そのせいで、前途ある子供から未来を奪うことで、スキニー=ゲート自身の感じた絶望を周囲に振りまくようになる。100件以上の子供の誘拐事件にかかわる誘拐のプロで、ブギーマンに依頼され小雪丸の前に姿を現わした。「肉圧部屋(ゲストルーム)」と呼ばれる魔法で、自身の肉体を変形させて小雪丸を閉じ込めるが、内側から破られ敗北。最後は力を使い過ぎたことで悪魔と化すも、アレクシス=レインに頭を撃ち抜かれて死亡した。
集団・組織
MBI (えむびーあい)
魔法の規制を行う国際機関。人々の安全を守るため、危険な魔法を発見、調査し、取り締まることを主な目的としている。また危険な魔物や犯罪者に対抗するため、魔動や悪魔調律の研究も行い、資格を持つ人間を悪魔調律師として所属させるなど幅広い活動をしている。忍者とは国が違えど、業務が似通っているため、お互いに取引しながら一定の交流を続けている。近年はブギーマンの行う数々の犯罪行動に頭を悩ませており、MBIの一部の職員は内部にブギーマンの協力者がいるのではないかと疑っている。
場所
ウイザードシティ
来る者を拒まないが、歓迎もしない町。人間以外にも妖精などをはじめ魔法を使う種族が一定数暮らしている。唯一、悪意ある「魔物」だけは拒絶しており、MBIが侵入を試みる魔物を倒し、町の平和を守っている。
その他キーワード
超巨大商店 (ぼるくすまーと)
シンカ=ブリンカの魔法。持ち運び可能なトランクケースに、明らかにトランクケースより大きな人や物をしまいこむことが可能な能力。トランクケースの中は家具が一通り揃った部屋となっており、しゃべるティーポットが客人をもてなす。緊急時には避難場所として使うことも可能だが、基本的に内側から脱出することは不可能で、術者のシンカであっても外側からトランクを開けてもらわなければ出られない。ただし、小雪丸は瞬間移動の力でトランクの中から抜け出した。
感情射入弾 (こーるあんどれすぽんす)
アレクシス=レインの魔法。願望を弾丸にして撃ち出し、その願望を撃ち抜いた対象に作用させる効果がある。「気持ち」の弾丸ともいうべきもので、鍵を開けたいと思いながら扉に弾丸を撃ち込めば鍵が開き、眠れと思いながら敵を撃てば対象を眠らせることができる非常に汎用性の高い能力となっている。ただし強い気持ちが必要なため、銃弾を打ち込む対象をしっかり確認しなければならないなど制限も存在する。
魔動アンクレット (まどうあんくれっと)
魔動によって作られたアンクレット型の装置。MBIに協力する悪魔調律師たちを制御するため、首輪代わりに彼らに装着させている。魔動アンクレットはつねに位置情報を発信しているため、MBIはアンクレットを付けた悪魔調律師の居場所をつねに把握することができる。また自力で取り外すことも不可能で、命令に背いたり、無理に取り外そうとしたりすると悪魔調律師に電気が流れてダメージを与える仕組みとなっている。電気によるダメージは何段階か存在し、一番弱い出力でも体がしびれる程度の威力がある。
魔動ガントレット (まどうがんとれっと)
ゼス=アンダーソンの使うガントレット型の魔動装置で、ゼスは両腕に装着している。悪魔調律にも使われる悪魔細胞を機械的に制御しており、着用者の筋肉の動きを感知して、それに見合った出力で稼動する。全力で殴ればコンクリートの壁もあっさり破壊するほどの威力を持ち、悪魔調律師とも互角に戦える非常に強力な武器となっている。また、悪魔調律師の魔法に干渉することも可能で、サハラやヴィンセントの使うリモート型の魔法なら魔動ガントレットをかざすことで相殺することもできる。
天災の巻物 (てんさいのまきもの)
小雪丸が雪丸から託された巻物。ブギーマンがその存在を狙っており、巻物を巡って多くの陰謀が渦巻くこととなる。忍者の上層部がMBIと取引を行い、MBIから科学技術を提供してもらうのと引き換えに、MBIに天災の巻物を手渡すこととなる。天災の巻物の内容は極秘で、巻物を届ける役目を請け負った雪丸はおろか、雪丸に任務の説明を行った忍者ですら詳細は知らない。シンカ=ブリンカは好奇心から独自に調査をし、任務の最中、どさくさに紛れて内容をこっそり確認したが、巻物の中身は何も記されていない白紙だった。実は巻物の部分はブラフで、その真価は巻物の軸にある。軸の中には、東の国に現れ「天災」と呼ばれた最強の妖怪の血液が入っている。「天災」は人の心に感応して、感応した数だけ変化する怪物で、感応する人間の数が多ければ多いほどその力を増大する。大きな都市に現れれば文字通り天災規模の災厄となるが、その前に雪丸ら四人の忍者に討伐された。天災の巻物を手にしたキース=アンダーソンは、天災の血液を取り込むことで、巨大な悪魔へとその姿を変えた。
忍者 (にんじゃ)
魔物と戦う力を持った東の国の戦士。忍者は自分たちの国を魔物の脅威から守るため、先祖代々魔物、妖怪の血肉を取り込んだ者たちで、その子孫である現在の忍者は生まれながらにして悪魔の遺伝子を持つ先天的な悪魔調律師ともいうべき存在となっている。悪魔調律師と同じく魔法をあやつるが、忍者はその力を「忍法」と名付けている。「忍者」の名の由来は、彼らは超常の力を手にしたが、人でありながら人を捨てた者たちであるため人間社会になじめず、正体を隠して世を忍ぶように生きるようになる。そのため彼らはいつしか、世を忍ぶ者を意味する「忍者」と呼ばれるようになった。忍者の世界は完全な実力社会で、強い力を持つ上忍を中心にして構成されている。
悪魔調律 (でーもんちゅーん)
人間を悪魔化する技術。「悪魔細胞」と呼ばれる化学物質を人体に注入することで行われる。悪魔細胞が適合することで悪魔調律師になるが、適合しない場合は悪魔細胞が人間の体を侵食し、正気を失った化物のような姿となる。もともとはMBIが悪魔に対抗するため生み出した技術だが、ブギーマンによってMBIが研究していた悪魔細胞が奪われ、それをもとにしてMBIが認可していない違法悪魔調律師が続々と生まれている。人の願いと悪魔の力が合わさることで「魔法」が生まれるとされる。魔法は人の願いから生まれるため、その能力は個々によって違い、どのような魔法が発現するかも未知数となっている。
悪魔調律師 (でーもんちゅーなー)
悪魔調律によって人外の力を手にした者たちの総称。悪魔調律師は本来、MBIが悪魔に対抗するため生み出した存在で、MBIに認可され、資格を持った者のみがなることができる。しかし、ブギーマンは自爆で生き残った者を無差別に悪魔調律師にするという行いをしており、ウイザードシティにはMBIが認可をしていない違法悪魔調律師が続々と生まれている。悪魔調律師は悪魔の力をどれだけ引き出せるかによってカテゴリーランク分けされており、弱い方からただ傷の治りが早いだけの「ジャンキー」、悪魔の姿となり身体能力を底上げする「フーリガン」、そして悪魔の魔法を自在にあやつれる「ウィザード」とされている。雪丸はウィザードのさらに上の「ジャガーノート」のランクとされ、さらに忍法を身につけた小雪丸は管理不可能で降参を意味する「ホワイトフラッグ」のランクに認定された。
魔動 (まどう)
魔法と機械の融合物。魔法の使えない人間が危険な魔法をあやつる存在に対抗するために生み出した装置で、人間に魔法の力を与える技術というコンセプトで開発されている。原動力に使われている「悪魔細胞」と呼ばれる化学物質は悪魔調律のアンプルと同じ物で、ブギーマンが使っている悪魔調律は魔動の研究中に彼によって盗まれた物が元になっている。魔動に使われる悪魔細胞は機械によって制御されているため、安定して力を引き出すことが可能。また携帯電話のように民間用に使用されている魔動端末も存在する。民間用の魔動端末にもわずかながら悪魔細胞が使われているため、悪魔調律師のジャンキーの中には魔動端末から悪魔細胞を取り出して摂取している者もいる。