荒野の少年イサム

荒野の少年イサム

西部開拓時代のアメリカを舞台に、日本人の血を引く少年渡イサムの活躍を描いた日本発の西部劇。原作・山川惣治。

正式名称
荒野の少年イサム
作画
原作
ジャンル
アクション
レーベル
復刻版コミックス(集英社)
巻数
全5巻
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概要・あらすじ

舞台は西部開拓時代のアメリカ。日本人の血を引く赤ん坊渡イサムは、父親と生き別れになり、荒くれ者たちの集落ロッテン・キャンプに拾われて、そこに住む男たちに可愛がられながら純真に育っていた。しかし、イサムはロッテン・キャンプを襲ったアウトローウインゲート一家に攫われ、手下になるべく銃や馬の扱いを叩きこまれた。

数年後、イサムはアウトローとして一流の技術を身につけながらもロッテンキャンプで身につけた正義の心を失なっていなかった。そのため悪事に手を染めることができず、育ての親であるウインゲート一家に逆らうこともできないという苦悩の日々を過ごしていた。そんな中、ウインゲート一家はエルパソの銀行を襲う。

しかし、計画はすでに見破られており、エルパソの保安官たちによって、ウインゲート一家は退けられてしまう。逃げ遅れたイサムは、強盗には加担していなかったにもかかわらずウインゲート一家の罪を被せられ、保安官に捕まってしまう。イサムは裁判にかけられるが、かつてアウトローに襲われていたところをイサムに救われたことのある少女クララが証言台に立ち、イサムは死刑判決を免れる。

イサムは、このことをきっかけにクララの父が経営する牧場のカウボーイとなる。しかし、ウインゲート一家は、まだイサムの能力を利用しようとしていた。イサムはウインゲート一家を拒絶するが、それを逆恨みしたウインゲート一家はイサムクララをも狙うようになる。

こうしてイサムはウインゲート一家との戦いを余儀なくされるのだった。

登場人物・キャラクター

渡 イサム

漢字表記は「勇」。日本人の父とインディアンの母を持つが、産まれてまもなく母親を亡くしている。赤ん坊の頃に父渡勝之進と生き別れになり、荒くれ者の集まるロッテン・キャンプに拾わる。幸いにもそこでは可愛がられ、純真に育てられるが、7年後アウトローのウインゲート一家にさらわれ、手下として働かされる。 しかし、悪事を働くことを嫌い、で捕まったことをきっかけにウインゲート一家と決別する。その後はクララの父が経営する牧場でカウボーイとして働き始め、クララに好意を抱き始めるが、その後もウインゲート一家やビッグ・ストーンたちアウトローとの確執が続いていく。気の優しい性格だが、ウインゲート一家から馬や銃の扱いを叩きこまれたため、アウトローとして一流の技術を持っている。 また、偶然再会した渡勝之進が、自分の父親と気づかないまま柔道の手ほどきを受けたこともあり、素手での格闘も得意。

渡 勝之進

渡イサムの父親で、日本人の侍。明治維新後に学問をしようと渡米し、資金稼ぎのため金鉱探しをしていたシエラ・ネバダでインディアンの女サクラと知り合い、息子渡イサムをもうける。しかし、砂金を溜めてサン・フランシスコへ向かう途中、妻サクラを亡くしてしまい、立ち寄ったブーツ・ヒルという田舎町でアウトローたちの諍いに巻き込まれ、イサムと生き別れになる。 さらに、その際に頭を打ったことでそれまでの記憶を失ってしまう。数年後、ふとした弾みで記憶が蘇り、イサムを探す旅に出る。その後、ウインゲート一家に養われていたイサムと偶然出会い、親しくなるが親子であることにはお互いに気づけず、またしても離れ離れになってしまう。

サクラ

インディアンの女性で渡イサムの母親。シエラ・ネバダで金鉱を探していた渡勝之進が、インディアンに襲われているところを介抱したことがきっかけで勝之進と知り合い、イサムを出産する。その後、勝之進とともにサン・フランシスコに向かうが、旅の途中で病気にかかり、息を引き取ってしまう。 遺体はブーツ・ヒルの墓場に埋葬されている。

ビッグ・ストーン

黒人のアウトロー。自分の母親を殺害したウインゲート一家に深い恨みを持ち、ウインゲート一家に復讐することを生きがいにしている。また、有色人種を差別する白人たちに対しても深い恨みを抱いている。シエラ・ネバダで、まだ赤ん坊だった渡イサムやその父親渡勝之進と知り合い。 後年では成長したイサムの銃の腕を認めて、互いに尊重し合う間柄になるが、時にウインゲート一家への復讐を巡って対立することになる。サンセットキャニオン駅馬車中継所で傷を負ってからオクラホマの農場に身を寄せ、駅馬車中継所で知り合ったメアリーと愛情を育むが、ウインゲート一家への復讐の思いを捨てられず、オクラホマを去り、再びアウトローとして旅に出る。 そして何度目かの決闘を経てイサムに敗北。かつて出会ったイサムの両親のことをイサムに話したのち死亡する。

ハート・ウインゲート

ウインゲート一家のリーダーで、レットー・ウインゲートとネッド・ウインゲートの父親。アウトローで強盗や殺人など、あらゆる悪事を働いている人物。その首には多額の懸賞金がかけられている。長年アウトローとして過ごした経験から奸智に長けている。アウトローなりの仁義を持ち、息子たちに比べれば義理堅い部分もある。 ロッテンキャンプを襲った際に渡イサムを身代金目当てで誘拐するが、洪水でロッテンキャンプが崩壊したことを知り、イサムを手下として育てることにする。イサムの優しさをアウトローには不向きと見抜いてはいたが、結局は離反され、敵対することになる。

レットー・ウインゲート

ハート・ウインゲートの息子で、ネッド・ウインゲートの兄。家族のふたりと共にアウトローをして過ごしている。退屈しのぎのゲーム代わりに他人を撃つような残忍な性格。弟のネッドよりも銃の扱いに長け、幼い渡イサムにスパルタ方式で早撃ちや曲打ちの技術を叩き込む。イサムがウインゲート一家と離れた後にもモリソン牧場の給金を奪う計画を立て、イサムの前に姿を現すが、イサムがそれを阻止したことではっきりとイサムと敵対関係になる。

ネッド・ウインゲート

ハート・ウインゲートの息子で、レットー・ウインゲートの弟。家族でアウトローとして暮らしている。大きく活躍することもないが、重大なミスを犯すこともない。銃の腕は立つものの、他のふたりには劣る。しかし、父や兄ともそれなりに対等な立場で振る舞っている。偵察やちょっとした泥棒といった役割を果たすことが多い。

ワイアット・アープ

西部史上最強と称される保安官。通りかかっただけでウインゲート一家を恐れさせた。実在の保安官ワイアット・アープがモデル。ダッジシティでは渡イサムと拳銃を交えることになる。

ドク・ホリデイ

ワイアット・アープの親友。アープと並んで凄腕のガンマンとして知られており、OK牧場の決闘などで西部に名を馳せている。アープとふたりで近くを通りかかっただけでウインゲート一家を引き上げさせた。実在のガンマンドク・ホリデイがモデル。

プリル

砂金採りの荒くれ者たちが集うロッテンキャンプという村に住む老人。渡勝之進とはぐれた赤ん坊の渡イサムの親代わりになり、ロッテンキャンプの住人たちと共にイサムを大切に育てていた。しかし、イサムが6歳の時、ロッテンキャンプが洪水に巻き込まれたことで村は崩壊し、イサムとも離ればなれになる。 その後、ロッテンキャンプから住人がいなくなっても、ひとりでイサムを待ち続けた。

サンダー・ボルド

『荒野の少年イサム』に登場する馬。並外れた身体能力を持つ名馬だが、気性が激しく、めったに人に懐かない。コロラドの牧場に飼われていたが、「コロラド一の名手」と言われた牧場主の息子ビリー・ホークですら扱いに困っていた。通りかかった渡イサムに拾われ、それ以降イサムの愛馬となる。

ビリー・ホーク

コロラドに住む青年。「馬と拳銃の扱いはコロラド一」ともてはやされた実力の持ち主。父の経営する牧場でカウボーイを行っていた。渡イサムとの腕試しに敗れ、気前よくサンダー・ボルトを譲るが、それがきっかけでウインゲート一家に襲われ、馬を強奪されてしまう。その際イサムに腕を撃たれるが、それがネッド・ウインゲートから撃たれないようかばったためと見抜き、改めてイサムの腕前に感心する。

バット・マスターソン

保安官でワイアット・アープの友人。アープと共に赴任していたダッジ・シティでウインゲート一家と出会い、アープとふたりでウインゲート一家三人の拳銃を撃ち落とし無力化する腕前を持つ。しかし、一緒にいた渡イサムを見逃していたことで、イサムに拳銃を撃ち落とされ、ウインゲート一家を取り逃がしてしまう。

クララ

渡イサムと同年代の少女。エルパソの近くで弟のロバートとふたりで乗っていた馬車が暴走していたところを渡イサムに助けられる。その後、エルパソで裁判にかけられているイサムを見かけ、イサムを助けるために証言台に立つ。その後、モリソン牧場で働き始めたイサムとは親しくなるが、その後現れた幼なじみのジョーカー・ジュニアとイサムの間で心が揺れ動く。 ウインゲート一家にイサムをおびき寄せるための人質として捕まり、ジョーカーの死を目の当たりにしたことで、イサムがジョーカーを見殺しにしたのではないかと疑う心を持ってしまう。

ロバート

クララの弟。クララとともに暴走している馬車に乗っていたところを渡イサムに救われた。その後、モリソン牧場で働くことになったイサムのことは、実の兄のように慕っている。おっちょこちょいな性格でコメディリリーフ的な役割。

モーリス

エルパソの保安官。銀行強盗に現れたウインゲート一家と戦いウインゲート一家は取り逃がしたものの、渡イサムを逮捕する。遵法意識が強く、イサムには同僚を殺した一味の仲間ということで恨みの感情を抱きながらも、裁判にかけられる前のイサムが住人からリンチを受けそうになるのを止めるなどの姿勢を見せる。

死神

メキシコ出身のアウトロー。二丁拳銃を操り、人殺しを好む。訪れた町は全て廃墟になると恐れられており、銃の腕前はメキシコ随一と言われている。エルパソに現れて保安官のモーリスに怪我を負わせるが、渡イサムと対決して敗れる。

モリソン

エルパソの郊外に広い牧場を持つ牧場主。寛大な人柄で慕われている。クララの父親であり、刑期を終えて出所したものの働き口のない渡イサムを、子供たちの命の恩人ということでカウボーイとして雇った。

インディアンの保安官

インディアンでありながら保安官をしている男。各地を転々としながらアウトローを倒している。銃や馬の扱いはもちろん、動物のような身のこなしでビッグ・ストーンをも恐れさせる不気味な実力の持ち主。夜中に銃の練習をしていた渡イサムに興味を持ち、イサムを調べているうちにモリソン牧場に拾われていたサンダー・ボルドを手に入れたくなる。

ジム

モリソン牧場でカウボーイを務めている男。牧場ではリーダー格で、厳しい性格。初めはどこか周囲と馴染もうとしない渡イサムに厳しくあたったり、疑いの目を向けることも多かった。銃や動物の扱いはイサムには一歩劣らない部分もあるが、経験と気配りからカウボーイとして評価が高く、モリソンからの信頼がもっとも厚い。

駅馬車中継所のおやじ

サンセットキャニオン駅馬車中継所に住んでいる男。ジョージという息子がひとりいる。渡イサム、ウインゲート一家、ビッグ・ストーンが中継所に介してしまった上、中継所がインディアンの襲撃にあうという悲運に見舞われる。

黒人の妊婦

サンセットキャニオン駅馬車中継所に居合わせた女性。臨月の妊婦でありながら、インディアンに襲撃された際には自ら銃を取り果敢に戦った。インディアンの襲撃中に出産し、幸運にも親子そろって生き残る。その後、メアリーの親が経営する農場に召使として雇われる。駅馬車中継所で知り合ったビッグ・ストーンからは親しみをこめて「オフクロさん」と呼ばれている。

メアリー

駅馬車中継所に居合わせた白人女性。お嬢様育ちで黒人に対する差別意識を持っていたが、居合わせた黒人の妊婦に命を助けられたことで、人種を越えた人間愛に目覚める。騎兵隊に所属するウイリアムという婚約者がいたが、自分たちを助けに現れた騎兵隊がインディアンを虐殺していることにショックを受け、ウイリアムとの婚約を解消。 オクラホマにある実家の農場に戻り、ビッグ・ストーンと共に暮らすようになる。

旗師

サンセットキャニオン駅馬車中継所に居合わせた旗職人の男。自分の作る旗に誇りを持っている。アメリカ合衆国の国旗を第十三砦騎兵隊に届けることが目的だったが、インディアンの襲撃により足止めを食らう。助けを呼び、旗を届けるために命がけでインディアンの集団の中を突破しようとするが、総攻撃を受けて非業の死を遂げる。

老保安官

インディアンに襲われているサンセットキャニオン駅馬車中継所にたどり着いた駅馬車の乗客。定年間近の保安官で、ニュー・メキシコまで囚人の男を護送している途中だった。状況からウインゲート一家やビッグ・ストーンたちは見逃しているが、最後の仕事ということもあり、連れてきた囚人の男には厳しく接している。 命をかけて井戸に飛び出した囚人の男に感動し、彼のことを見直すが、自分もその直後に矢を受けて死亡する。

囚人

インディアンに襲われているサンセットキャニオン駅馬車中継所にたどり着いた駅馬車の乗客。老保安官に護送されている途中だった。母親の治療費を得るため、無我夢中で強盗を行って逮捕された。中継所内で、けが人の治療と出産のために必要な水を汲むために、危険を顧みず外の井戸に向かい、インディアンから矢を受けて死亡する。

ウイリアム

第十三砦騎兵隊の中尉でメアリーの婚約者。駅馬車中継所を襲っているインディアンたちを退け、メアリーたちを助けだすが、そのことで婚約を解消されてしまう。その後、騎兵隊を辞め、オクラホマを訪れて、メアリーの気持ちがビッグ・ストーンにあることを知りながらもビッグ・ストーンに決闘を申し込む。 腕を撃たれたことで決闘に敗れ、ウインゲート一家との決着をつけるためにメアリーの元を去ったビッグ・ストーンを見送った。

占い師の老婆

駅馬車中継所からモリソン牧場に帰る途中の渡イサムとクララを呼び止め、ふたりの運命に、何人もの死人が出るような災いが待ち受けていることを示唆した。「ジョーカー」のカードが重要な意味を持つと言い残すが、ふたりが去った直後に、落雷によって死亡する。

ドン・ブレッド

アウトローの男。リトル・タウンの酒場で、ジョーカー・ジュニアと知り合い、ジョーカーの馬を盗んだ。その後、馬の鞍に入っていたジョーカーの名前から、偶然出会った渡イサムたちにジョーカーと勘違いされたことから、成り行きにまかせてジョーカーを名乗り、モリソン牧場を訪れてクララをさらおうとした。 しかし、モリソンに銃を突きつけて脅しているところに渡イサムと本物のジョーカーが現れ、ふたりに殴り倒されてしまう。

ジョーカー・ジュニア

クララと幼なじみの青年。親がモリソンと知り合いで、親同士でクララの婚約者として決められている。しかし、それを快く思わず、自分を試すつもりでモリソン牧場でカウボーイとして働き始めた。気さくだが実直な性格の好青年で、当初は警戒していた渡イサムもすぐに打ち解け、恋のライバルであると同時に親友といった関係になる。 銃や動物の扱いはイサムに負けずとも劣らない。ウインゲート一家にさらわれたクララを助けるため、イサムとふたりでウインゲート一家を追った。ウインゲート一家から騙しうち同然に殺されそうになったイサムを救うために、みずからイサムに変装して身代わりとなり、射殺されてしまう。

書誌情報

荒野の少年イサム =ISAM GO INTO THE WILD WEST 全5巻 集英社〈復刻版コミックス〉 完結

第1巻

(2013年9月発行、 978-4087806946)

第2巻

(2013年9月発行、 978-4087806953)

第3巻

(2013年10月発行、 978-4087806960)

第4巻

(2013年11月発行、 978-4087806977)

第5巻

(2013年12月発行、 978-4087806984)

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