あらすじ
『CORNICE1 長靴』
少年期に両親の離婚によりと離れて暮らしていたピッポは、ある日、実父・イーヴォの運営する葡萄畑の手伝いに訪れる。
『CORNICE2 湖の記憶』
実父マーティンと離れて暮らすラルフは、父が休暇の時に家に戻る。そこに自分の孫を名乗る「おじさん」が訪ねて来て家に招き入れる。
『CORNICE3 箱庭』
箱庭作りが趣味で日本で暮らす「お父さん」は、国際結婚した娘の婿・ホルとうまく接することができない。一方、ホルは自分の住んでいるニューヨークへ招待しようとする。
CORNICE4 ジェラテリーアとカラビニエーリ
イタリア軍警察の若き警察官は、道行く人々が口にするジェラートを見て自分の子どものころを思い出す。
CORNICE5 煙
資産家の長男・ピエートロは、友人に招待された古城での誕生パーティーに弟・アルドを連れて行く。その最中に地震が発生し崩落した古城内に、二人きりで閉じ込められてしまう。
CORNICE6 パートナー
ニューヨーク市警の新米刑事・ヴァルは、ベテランのキースとコンビを組む。キースをパートナーとして気に入っているが、市警内部の情報を犯罪組織に漏らしているのではないかとの噂を耳にする。
登場人物・キャラクター
ピッポ
人当たりのいい善良な青年。少年期に両親が離婚し、母親や義父と暮らしていたが、実父のイーヴォとの関係を修復しようと1年前から葡萄の収穫期にイタリアの田舎町を訪れている。
ラルフ
父のマーティンが多忙なため、普段は伯母の家で暮らす少年。物分かりがよく大人びた態度で他人に接する。マーティンが休暇を取ったため家に戻るが、そこで「おじさん」に会い、家に迎え入れる。
お父さん (おとうさん)
日本で妻と暮らす初老の男性で、趣味は箱庭作り。娘がアメリカで結婚したホルへの接し方に悩み、ぎこちない関係を続けていた。日本文化を愛し、外国へ行くことには頑固なまでに拒絶する。
軍警察官 (ぐんけいさつかん)
イタリア軍警察の若き警察官。夏場に街角で立哨しているが、道行く人々が口にするジェラートが目に入り、欲求不満が募っている。子どもの頃は、立哨している軍警察官の前に立って見せびらかすようにジェラートを食べることを日々の楽しみとしていた。上司である准尉を苦手としている。
アルド
資産家の次男坊の青年で、兄のピエートロにコンプレックスを抱き、憎んでいた。友人から強引に誘われて古城での誕生パーティーに参加するが、その最中に地震が発生。崩落した古城内に、ピエートロと二人きりで閉じ込められてしまう。
ヴァル
ニューヨーク市警の新米刑事で、ベテランのキースとコンビを組まされる。時間にルーズでキースに再三注意されるも改めようとしない。キースをパートナーとして気に入っているが、プライベートの事を話さないなど打ち解けようとしない態度には不満を感じている。市警の情報を外部に漏らしている人物がキースではないかとの噂を聞きつけ、思い悩む。 同じ作者の『COPPERS』にも登場する。
イーヴォ
ピッポの父だが離婚して以来別々に暮らしていた。イタリアの田舎町で友人と共に葡萄畑を運営していたが、その友人が死んでからは一人で畑を維持していた。手伝いに訪れたピッポに冷淡な態度をとる。
マーティン
多忙な科学者で、息子のラルフを姉に預けている。息子には詳細を語っていないが、タイムトラベル理論を研究しており、死亡を装って亡命する計画を進めていた。自分の孫を名乗る「おじさん」に会い、最初は疑うが後に信用して話を聞く。
おじさん
父のマーティンに会うために帰宅するラルフに会い、家に入れてもらう。自分をタイムトラベラーと自称し、ラルフの息子でマーティンの孫だと語る。
ホル
ニューヨーク市警の警官で、ドイツ系アメリカ人。日本人である妻の実家を訪れるが、義理の父である「お父さん」とは距離を感じていた。非常に大柄で、日本家屋では鴨居に頭をぶつけかねないほど。まだ日本語はたどたどしく、生魚を食べると下痢をするため寿司は苦手。お父さんと打ち解け、ニューヨークに招待することを望んでいる。 作者が過去に出版した、ニューヨーク市警を題材にした同人誌にも登場している。
准尉 (じゅんい)
イタリア軍警察の、初老の警察官。若い軍警察官の愚痴を聞き、意味ありげな笑い声を漏らす。
ピエートロ
資産家の長男で、家督を継ぐことを約束された青年。良くできた跡取り息子として周囲から好かれ、弟のアルドからはコンプレックスを持たれていた。友人に招待された古城での誕生パーティーで地震に遭い、崩落した古城内にアルドと二人きりで閉じ込められてしまう。
キース
ニューヨーク市警のベテラン刑事で、新米のヴァルとコンビを組まされる。几帳面な性格の模範警官だが、市警内部の情報を犯罪組織に漏らしているのではないかとの噂を立てられる。同じ作者の『COPPERS』にも登場する。