私の少年

私の少年

アラサーの社会人の女性と18歳年下の少年が、年齢差や立場の違いを超えて、互いに心を通わせ合っていく姿を描くラブストーリー。「月刊アクション」2016年2月号から2017年12月号にかけて掲載されたのち、「週刊ヤングマガジン」2018年第26号から掲載された作品。「俺マン2016」第1位のほか、「このマンガがすごい!2017」オトコ編第2位、第3回「次にくるマンガ大賞」のコミックス部門3位を受賞している。

正式名称
私の少年
ふりがな
わたしのしょうねん
作者
ジャンル
恋愛
 
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

スポーツメーカーに勤める30歳のOL、多和田聡子は、ある夜、公園でリフティングの練習をしていた12歳の少年、早見真修と出会う。真修との会話から、彼が複雑な家庭環境にある事を察した聡子は、放っておけないと感じ、真修の夜のサッカー練習に付き合い始める。そんな時、聡子は元恋人で上司の椎川文貴に飲みに誘われ、しぶしぶ応じるが、その席で椎川に婚約者を紹介され、彼の心ない仕打ちに傷つく。孤独感に苛まれる聡子は、真修の前で思わず涙を流してしまうが、そんな聡子を見た真修は彼女を引き寄せ、優しく抱きしめる。真修もまた孤独感を抱えており、そんな彼にとって聡子との交流はかけがえのないものになっていた。二人で回転寿司に行った際、真修は聡子の事を初めて名前で呼び、今日のお礼にと、お店のガチャガチャで手に入れたマグロのストラップをプレゼントする。真修の思わぬ行動に聡子は驚いてしまう。

第2巻

多和田聡子は、早見真修からもらったマグロのストラップを携帯に付けて出社する。彼女がノーストラップ派だった事を知っている椎川文貴は訝しむ。週末、聡子は真修の勉強を見てあげる事になり、彼を自宅に招く。聡子にとっても真修と過ごす時間は、特別なものになりつつあった。ところが、勉強が終わって帰ったはずの真修が戻って来て、弟の早見遼一が家にいないと訴える。実は真修の家は父子家庭で、父親が仕事に出ているあいだは真修が弟の面倒を見ていたのだ。弟が無事家に戻って来た事で、その夜は事なきを得るが、彼の厳しい現実を知った聡子は、他人である自分ができる事には限界があると悟る。ならば、せめて真修の傍にいてやりたいと聡子は思うが、真修は弟を放って外出していた事を父親の早見元樹に咎められ、サッカークラブを辞める事になってしまう。弟がいなくなった際に、真修は聡子の家に行っていた事を隠すため、サッカーの練習をしていたと噓をついたのだった。自分が真修に噓をつかせてしまった事を知り、聡子は彼と離れる決心をする。しかし、サッカーの練習を続けていたのは聡子に会いたかったからだと言って泣きじゃくる真修を見て、思わず彼を抱きしめてしまう。

第3巻

ついに多和田聡子早見真修の交流が真修の父親、早見元樹の知るところとなった。聡子は自身の身分や勤め先を明かし、どうにか元樹の理解を得る。そしてこれまで通り会える事になり、聡子は真修といっしょに花火をした夜、ラムネの玉をプレゼントする。ところが、ひょんな事から真修と回転寿司に行った事を元樹に知られてしまう。聡子は回転寿司の件や自宅で勉強を教えている事を元樹に説明していなかったのだ。聡子に不信を持った元樹は彼女が勤務する会社に抗議。上司である椎川文貴の計らいで解雇は免れたものの、聡子は仙台支社に異動となり、真修になにも言わずに姿を消してしまう。それから2年の月日が流れた。聡子は仙台の実家で暮らしながら忙しく働く日々を過ごしていたが、ある時、高校時代の同級生の八島と再会し、いっしょに食事をしたりするようになる。そして迎えた33歳の誕生日、八島はフラッシュモブで求婚しようとするが、聡子はその場の空気に耐え切れず、思わず逃げ出してしまう。彼女が欲するのはそうした非日常ではなく、真修との日常の日々であった。真修の事が忘れられず聡子は涙を流すが、そんな彼女の前に一人の少年が姿を現す。それは中学生になった真修だった。

第4巻

突然の別れから2年、多和田聡子早見真修は偶然の再会を果たす。真修は中学の修学旅行で、たまたま仙台を訪れていたのである。別れ際に聡子は真修から携帯の番号とLINEのIDを渡される。真修は聡子から連絡が来ない事にやきもきするが、聡子は彼に連絡を取っていいのか迷っていた。しかし、もらったIDで友達検索をした際に出て来た画像が、かつて真修に贈ったラムネの玉だった事から、ついに思いがあふれてしまい、彼にメッセージを送る。聡子からのメッセージを見て、真修は喜びをかみしめるが、話したい事がいっぱいあるのに、うまく話す事ができずに、やがてもどかしさを覚えるようになる。どうしたらいいのか悩む真修は、同級生の小片菜緒に相談する。もう一度会って話せばいいと、菜緒に背中を押された真修は、思い切って聡子に電話する。聡子と直接話す事ができて喜ぶ真修だったが、聡子は逆に積極的ではない様子であった。ついには、もう連絡できないと聡子に拒絶されるが、そんな彼女に真修はもう一度会いに行くと告げるのだった。

第5巻

多和田聡子は仙台に行くという早見真修を押し留めるため、仕事で東京に出た時に自分が会いに行く事を約束する。以前から聡子は元上司の椎川文貴から本社復帰を勧められていたが、聡子はこの話を断り、真修にも別れを告げるつもりでいた。しかし、再会した真修の顔を見て、聡子は思わず東京に戻って来ると言ってしまう。数日後、真修は部屋探しのため東京に来ていた聡子と彼女の妹の多和田真友子を偶然見かける。真友子は姉と真修の様子を見て、二人が特別な関係である事に気づくのだった。真友子は姉の助けになろうと、自分も聡子といっしょに東京に行くと宣言。かくして聡子は真友子と東京で二人暮らしを始める事になる。再び聡子と会えるようになり、浮かれる真修だったが、聡子の自分への接し方はどこか距離を感じさせるものだった。聡子は真修のためにも、いい大人でいようと思うあまり、彼に対して以前以上に自制的になっていたのだ。会えるようになればすべてが元通りになると思っていたが、そうでない事に気づいた真修は聡子への思いがあふれ、ついに彼女に好きだと言ってしまう。

登場人物・キャラクター

多和田 聡子 (たわだ さとこ)

スポーツメーカーのヨネサスに勤務する30代の独身OL。大学時代はフットサルサークルに所属しており、夜の公園で出会った少年の早見真修にサッカーを教える事になる。上司の椎川文貴は大学時代のサークル仲間で、彼と付き合ってわずか1年で破局したという過去がある。文貴に対して未練はないが、一方で都会での一人の生活に深い孤独感を感じており、同じような孤独感を抱える真修に癒しを覚える。そして同時に、真修の複雑な家庭環境を知り、大人としてどうにかしてあげたいと思うようになる。真修に特別な感情を持つが、30代の大人が18歳年下の少年といっしょにいる事を世間がどう思うかは十分に自覚しており、自制しようと努めていた。しかし、真修との関係を彼の父親の早見元樹に知られた際、説明不足もあり、不信を抱いた元樹が会社に直接抗議したため、会社から処分を受けて仙台支社に異動。真修になにも言わずに東京を去った。その後は仙台]の実家で暮らしていたが、中学生となって修学旅行で仙台を訪れていた真修と再会。東京本社への復帰を機に、再び真修と交流を持つようになる。

早見 真修 (はやみ ましゅう)

多和田聡子を慕う少年。聡子と出会った時は12歳で、まだ小学6年生だった。母親とは死別しており、父子家庭ゆえに父親の早見元樹から弟の早見遼一の世話を一任されるなど、長男として過剰な責任を負わされている。そのため、孤独感を抱えながらも一人夜の公園でサッカーの練習をしていたが、そんな時に同じような孤独感を持つ聡子と出会い、やがて彼女の事を強く慕うようになる。しかし聡子との事を元樹に知られ、一度は容認されるものの聡子の説明が不足していた事もあり、彼女は元樹の怒りを買って仙台支社に異動させられる事となった。この一件はすべて自分のせいだと考えており、深く傷ついている。その後、父親が単身赴任中となり、14歳となった現在は弟といっしょに母方の祖母に面倒を見てもらっている。聡子と会えなくなってからも彼女の事をずっと忘れられず、修学旅行先の仙台で聡子と偶然再会してからは再び連絡し合えるようになり、心を躍らせる。同時に聡子を異性として意識している事を自覚するようになる。

椎川 文貴 (しいかわ ふみたか)

スポーツメーカーのヨネサスに勤務する男性社員。多和田聡子の直属の上司。大学時代、聡子と同じフットサルサークルに所属しており、彼女と1年間交際していた。現在は夏海という婚約者がいるが、気分屋でなにかと聡子に絡み、彼女を閉口させている。しかし聡子の事はなにかと気にかけているようで、彼女が早見元樹の怒りを買い、処分を受ける事になった時も、実家のある仙台支社に異動になるよう取り計らった。その後もヨネサスの東京本社に勤務しており、ほとぼりがさめたとして聡子に本社への復帰を勧める。

小片 菜緒 (おがた なお)

早見真修が所属するサッカークラブのコーチの娘。真修の小学校時代からの同級生。よく気のつく優しい女の子だが、引っ込み試案で、人目を気にして他者に迎合しがちなところがある。そんな自分とは対照的に、人目を気にせず誰にでも優しくできる真修を見て、彼の事を意識するようになる。中学も真修と同じで、彼といっしょにクラスの学級委員を務めている。

早見 元樹 (はやみ もとき)

早見真修と早見遼一の父親。妻に先立たれ、二人の息子を男手ひとつで育てて来た。家庭の事にほとんど手が回らないため、長男の真修に遼一の世話を一任するなど過剰な責任を負わせ、彼に我慢を強いているが、その事に気づいていない。真修と多和田聡子の関係を知った際、真修の真剣さを見て、二人で会う時は自分に連絡を入れる事を条件に一度は容認する。しかし、聡子が自分にすべてを打ち明けていなかった事を知り、彼女の勤める会社に抗議。聡子が真修と会えないようにした。その後、単身赴任となったため、息子達の世話を義母に任せ、早見元樹自身は赴任先の社員寮で暮らしている。

早見 遼一 (はやみ りょういち)

早見真修の弟。弟ゆえか真修のように父親の早見元樹から過剰な責任は課されておらず、子供らしく奔放な性格をしている。真修が多和田聡子の家で勉強を見てもらった時、友達の家に遊びに行って夜になっても戻らなかったため、真修が元樹に責められる事になった。その後、父親が単身赴任となったため、真修といっしょに母方の祖母に面倒を見てもらっている。

多和田 真友子 (たわだ まゆこ)

多和田聡子の妹。かねてから聡子が誰かを秘かに思っていると感じており、姉の東京での部屋探しに同行した際、早見真修と出会い、その相手が真修だと確信する。かつて母親の浮気問題が起きた時、自分が気づかないように聡子が配慮していた事をのちに知り、今度は自分が姉のためになにかしてあげたいと、かねてから思っていた。そのため、聡子が本社に復帰する事になったのを機に、東京で姉と二人暮らしを始める。

多和田聡子の母 (たわださとこのはは)

多和田聡子と多和田真友子の母親。聡子が仙台支社に異動になった事から、次女の真友子といっしょに母子三人で暮らしていた。かつて浮気をして夫と不和になり、聡子と激しく対立した事がある。聡子に早く結婚してもらいたいと願っている。

八島 (やしま)

多和田聡子の高校時代のクラスメイトの男性。仙台支社に異動となった聡子に街で偶然再会したのを機に、二人で会うようになる。聡子の誕生日に大掛かりなフラッシュモブでプロポーズしようとするが、土壇場で彼女に逃げられてしまう。

その他キーワード

ラムネの玉 (らむねのたま)

多和田聡子と早見真修が公園でいっしょに花火をした時、聡子が真修に贈ったもの。聡子から父親とのラムネの思い出話を聞いた真修が、彼女のためにラムネの瓶から取り出そうとしたが、子供ゆえにうまくいかず、代わりに聡子が取ってあげる事となった。二人にとっての思い出の品であり、真修はこのラムネの玉をLINEのプロフィール画像にしている。

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