概要・あらすじ
長崎県対馬市厳原港。ネズミに似ているが、著しく対称性を逸脱した奇怪な生物が、フェリーから対馬に上陸した。この怪物は、襲ってきた猫を捕食して同化。猫とネズミの合成生物と化した怪物は、さらに「猫おばさん」と呼ばれる、猫好きの女性をも取り込んだ。対馬市長崎県立幾原高校の授業中、行本玄が窓から外に目をやると、猫おばさんが校舎に入っていくのが見えた。その姿は少し奇妙で、おばさんの顔と猫がくっついているようだった。やがて非常ベルが鳴り、学校中に悲鳴が轟く。猫おばさんが教師や生徒を取り込み、さらに巨大でグロテスクな姿に変貌して暴れていたのだ。学校から脱出した玄は、奇怪な怪物により、街中がパニックになっていることを知る。玄は、病弱な妹・美咲と母親のことが心配になり、自宅へと急ぐがすでに手遅れだった。自宅は破壊され、母親は怪物に頭から食われていた。玄は気絶している美咲を救い出し、自宅をあとにした。街には自衛隊が上陸して事態にあたっていたが、あっという間に増殖する怪物たちに歯が立たず、撤退を余儀なくされる。そして政府は対馬を封鎖。玄をはじめとする生き残ったわずかな人々は、対馬に残る砲台跡地に逃げ込み、そこで細々と暮らすことになった。
登場人物・キャラクター
行本 玄 (ゆきもと げん)
長崎県対馬市の男子高校生。数年前に父を亡くし、妹の美咲、母親と三人暮らしだった。父親と同じく漁師になることを決めており、高校に通いながら漁の手伝いをしていた。あり余る元気と野生の勘の持ち主。突如対馬を襲った、侵略的外来種・イアスから逃れ、砲台跡地で一年間を過ごす。その後、砲台跡地にもイアスの魔の手が伸び、窮地に陥る。崖に追い詰められるが、イアスに殺されることを拒否し、海へと身を投げる。長崎県黒島近海で漂流していたところを、自衛隊に救助されて一命を取り留める。イアスにより、胸に裂傷を負ったことから、「G-561無限増殖化因子」に感染。人類の切り札・ジャイガンティス(超巨神)となる。
沙村 輪 (さむら りん)
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)プロダクトマネージャー。車椅子に乗ったショートカットの若い女性。人類の切り札であるジャイガンティスを生み出す「超巨神計画(ジャイガンティスプロジェクト)」を推進する。冷酷な性格で、超巨神計画の被験者には何の感情も持っていない。長崎県対馬市で一年間生き延び、「G-561無限増殖化因子」への感染が推測される行本玄に会うため、来日する。
草香江 達也 (くさがえ たつや)
陸上自衛隊第3水陸機動連隊 中隊長 3佐。プロレスラーにも劣らない体格の男性。約一年前の対馬上陸作戦に参加。多くの仲間を失ったため、その仇を討ちたいと考えている。
その他キーワード
イアス
Invasive Alien Species(侵略的外来種)の頭文字を取った略称。約一年前、同時多発的に世界に現れた生物。上下左右関係なく、複数の融合した生物が、完全なる非対称として存在する。地球古来の在来種は、基本的に対称形をなすため、外宇宙からやって来た未知の外来種と定義された。あらゆる生物を手当たりしだいに捕食して融合し、巨大な異形へと成長する。その姿から、長崎県対馬市では伝説の妖怪「鵺(ぬえ)」とも呼ばれていた。生命力が異常に強く、重火器やミサイルなどでの殲滅(せんめつ)は不可能である。
ジャイガンティス
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)らが、人類の切り札として期待する、コントロール可能なイアス。イアスと接触した者は、本来人間にはない「G-561無限増殖化因子」を保有するようになる。G-561に強い刺激を与えることで、保有者の体は強化され、巨大化してジャイガンティスとなる。ただし、G-561と保有者の適合率が低いと、弱くなったり、死んだりすることもある。
クレジット
- 原作
- 構成
-
山本 隆之
書誌情報
GIGANTIS―ジャイガンティス― 5巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2021-11-19発行、 978-4088921556)
第2巻
(2022-04-19発行、 978-4088922843)
第3巻
(2022-09-16発行、 978-4088924526)
第4巻
(2023-03-17発行、 978-4088926421)
第5巻
(2023-08-18発行、 978-4088928050)