あらすじ
GUN CRISIS.Ⅰ
麻薬の蔓延や、暴力団などの台頭によって治安が脅かされている現代の日本。警視庁でも札付きの厄介者とされている稲垣幸ノ介は、あちこちで問題を起こし、所属していた署をたらいまわしにされていた。流れて来た東部署で、窓際扱いされていた橋本幸四郎とコンビを組むことになる。2人の最初の任務は、死亡した及川正美という女性の調査であった。自室の風呂場でこと切れていた正美は自殺の線が強かったが、幸ノ介は遺体から、極めて危険な薬物であるカーブが関わっている可能性があることを指摘。2人は正美の勤務先であったホテトル派遣会社でカーブの痕跡を見つけるが、突如謎の人物たちから襲撃を受ける。(Attack)
襲撃をやり過ごした幸ノ介と幸太郎は、正美の所属していたホテトルを経営する「竜神興業」の事務所に乗り込み、正美の死と、それを引き起こしたとみられるカーブについての関与について聞き出そうとする。しかし竜神興業の社長である竜魅はその関与を否定したうえ、ホテトルの経営者は既に破門し、女と逃げたとうそぶく。さらに2人は、警察の上層部からも竜神興業に対する捜査を控えるように言い渡されてしまう。これを不服として独自に捜査を始めようとする2人だが、あるルートから襲撃犯の似顔絵を入手することに成功する。思わぬ手掛かりに心躍る幸ノ介だが、その矢先に襲撃犯からの奇襲に遭う。これにより2人は負傷してしまうが、襲撃犯の人相を記憶した幸ノ介はリベンジに燃えるのだった。(Drug)
幸ノ介に薬物中毒から救われた竜魅の愛人が、恩返しとして、薬に関わっている証拠を取るために単身で竜神興業に向かってしまう。竜魅の愛人は父親を幸太郎に逮捕されており、幸太郎にとっても大事な存在であった。そのため2人は彼女が竜魅に口封じされることを危惧し、竜神興業の事務所へ赴き、今までの犯罪に目をつぶる代わりに、竜魅の愛人に手を出さないことと、今後一切一般人へのカーブの流通を止めるように迫る。竜魅はこの取引に応じる素振りを見せるものの、裏では口封じのために竜魅の愛人を殺害し、海へと投棄してしまう。この事実が明るみになると、幸ノ介と幸太郎は自分たちの甘さを痛感するとともに、竜魅と竜神興業に対して激しい怒りを覚える。そして2人は密かに竜魅の愛人が残していた手がかりを頼りに、警察の助けも受けられない孤立無援の状態の中、彼女の敵討ちに向かう。(Redeive to Death)
夜の港で、竜神興業と海外のマフィアが薬物の取引を始めていた。幸ノ介と幸太郎はまずこの現場を押さえ、これを好機に竜魅たちを一網打尽にしようと試みる。さらに協力できずに送り出してしまった署長も2人を放っておくことができず、大隊を率いてその支援に向かう。取引現場にあらかじめ爆発物を仕掛け、襲撃開始と同時に爆破して構成員を分断し、戦況を有利に進める2人。さらに、幸太郎は先んじて竜神興業を率いている組織と直談判し、カーブの裏取引が明るみに出て竜神興業が切り捨てられたことを伝える。後ろ盾がなくなって戦意を失う竜魅だったが、そこに襲撃犯が三度襲い掛かってくる。(Gun Dance)
GUN CRISIS.Ⅱ
訓練に精を出していた特殊武装公安「暁」に、左派系テロリスト「四月の赤」に誘拐された、ある会社の社長の息子を救出せよとの指令が下る。これが初任務となる壱・参は、兵器製造や障害となる人物の射殺許可など、日本という国では考えられない組織の実態への疑問を道中で口にしていたが、テロリストをよく知る零・弐や壱・弐、そして零・参は、罪もない命を平気で奪う輩に、交渉を求めること自体が無駄だと断ずる。果たして作戦は始まり、凄腕の持ち主である「暁」の隊員は、テロリストを始末しつつ、社長の息子を救出することに成功する。壱・参はその帰路においても任務上の殺人に正当性を見いだせないでいたが、その際にかけられた零・参の言葉から、テロの防波堤たる「暁」の在り方について思考を巡らせ始める。(テロリスト)
1991年1月、イラクに対してアメリカを中心とした多国籍軍が空爆を開始。湾岸戦争が幕を開けた。これに伴い、世界中でテロの機運が高まり、国連からも各国に対してより強い警戒を呼び掛けていた。特殊武装公安「暁」は、匿名の密告により、イスラム系過激派組織が日本のアメリカ大使館に襲撃がかけられることを察知。隊員たちにこれの阻止と実行犯の始末を命じる。一方、「暁」の司令官である部長は情報に不自然な穴があることを不審に思い、背後情報を徹底的に洗うことを決める。その結果、アメリカ人であるハロルドこそが、テロリストたちの黒幕だったことが判明する。零・参と壱・参は、なぜ母国であるアメリカへのテロを斡旋したのか、その真意を問いただすため、ハロルドの経営するオフィスビルへと向かう。(湾岸戦争)
特殊武装公安「暁」は、所有する気象衛星独立回線から、富士の樹海にF社の民間輸送機が墜落したという情報を得る。しかしF社に問い合わせたところ、知らぬ存ぜぬの一点張りで、さらに内務大臣からこの件には関わらないように釘を刺されてしまう。これらの対応に不審な雰囲気を感じ取った特殊武装公安「暁」は、富士を舞台とした演習という形でこの問題の調査に乗り出すことを決める。一方、情報部「月光」に所属している佐々木が、突如特殊武装公安「暁」に対して接触を図る。佐々木の元同僚である壱・弐が潜伏先に向かうが、既に佐々木は口を封じられていた。彼の残したメッセージ媒体を入手することに成功。そこには、日本政府と米国国防総省による、F社にまつわる裏取引に関する情報が記録されていた。「漆黒の鷹」と呼ばれるそのプロジェクトを阻止するべく動き出す零・参たちだったが、これに対して米国国防総省はCIAの特殊部隊を投入し、特殊武装公安「暁」の殲滅作戦を展開しようとしていた。(漆黒の鷹・Ⅰ)
富士の樹海で漆黒の鷹を発見する特殊武装公安「暁」。それは、F社で開発されたという空中発射巡航ミサイルだった。これを回収し、日本政府と米国国防総省、F社の密約を暴こうとするが、彼らの前にCIAの特殊部隊が現れる。漆黒の鷹を巡り、特殊武装公安「暁」とCIA特殊部隊が衝突。零・参たちは犠牲になった壱・弐や明、佐々木の弔い合戦として、CIAの精鋭に対して果敢に挑むが、戦局は膠着し、隊長や零・弐も命を落としてしまう。(漆黒の鷹・Ⅱ)
登場人物・キャラクター
稲垣 幸ノ介 (いながき こうのすけ)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。東部署に勤務している警察官の青年。血の気が多く、強盗やヤクザなど、人を殺害した者に対しては決して容赦をせず、被害が広がらないうちに射殺するという方針を取っている。これらはいずれも正当防衛の上での行動ではあるが、当然ながら上層部の印象は悪く、札付きの不良警官として、いくつもの警察署を転々とさせられた。 その挙句、東部署の風紀課で橋本幸四郎と組まされることとなる。銃を持ったチンピラを素手で打ち倒したり、ヤクザの集団を単独で制圧するなど、極めて高い身体能力を誇る。さらに銃の扱いも非常に得意で、人質を取った強盗を、人質を傷つけないまま瞬時に狙い撃つという芸当も見せる。一方で加減がきかない性格をしており、幸四郎からはしばしばそのことで突っ込みを入れられる。 かつて恋人を麻薬に侵されて死なせてしまい、それ以来、麻薬とそれを流通させる存在に強い怒りを抱いている。薬物には詳しく、かつて麻薬課で勤務していたこともある。その時に、危険薬物であるカーブの流通ルートを潰している。
零・参 (ぜろすりー)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」に所属している青年。真面目で正義感が強く、テロの防波堤という「暁」の存在意義に準じた行動を、常に心がけている。その根底には、殺戮や破壊によって主張を押し通すテロリズムそのものを許してはならない、という強い意思が存在している。人間同士は対話で解決する道があると信じている。 しかし、無辜の市民を殺害したり痛めつけたりするなど、越えてはいけない一線を越えるような存在に対しては、決して容赦をすることがない。銃火器の扱いに長けており、さまざまな武器を用いて、数々のテロリストを鎮圧している。任務においては新人の壱・参とともに行動している。彼女の迷いを察しつつも、特殊武装公安「暁」の果たすべき役割を説いて、たびたび「死線を見極めろ」と助言している。
橋本 幸四郎 (はしもと こうしろう)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。東部署に勤務している老年の警察官。飄々とした性格の好々爺で、出世には縁も興味もない様子を見せる。その理由は、警察のしがらみやタブーに触れたり、自らの身に危険が及ぶを厭わない正義感の強さによるものである。その一方で、自分の大切な人間が危機に晒されることは看過できない。橋本幸四郎自らが動いて、そういった状況に陥る可能性がある時は、止むなく身を引くこともある。 こういった性格のため、高齢ながら半ば窓際扱いされており、幸ノ介と組まされたのも、ある意味で厄介払いといった側面があった。札付きの不良警官とされる稲垣幸ノ介に対しても臆することなく気さくに接しており、幸ノ介からもシンパシーを感じられている。 また、歳を重ねているため多少の衰えこそあるものの、ヤクザと真っ向からぶつかって、ねじ伏せるほどの腕力を備えている。かつて竜魅の愛人の父親を逮捕したことにより、彼女の人生を歪めてしまっており、今も気にかけている。
署長 (しょちょう)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。東部署の署長を務めている中年の男性。橋本幸四郎とは長い付き合いで、上司と部下でありながらも友人として接している。長く勤務しているうちに、長いものに巻かれる性質を帯びてしまった。竜神興業などの極道組織から便宜を図ってもらう代わりに、多少の目こぼしをするなど、警察として問題のある行動を取るようになっている。 ただし、その理由は私利私欲のためではなく、部下や家族の安全を優先するためであり、署長自身も、そのことに負い目を感じている。竜神興業の悪行を暴こうとする稲垣幸ノ介や幸四郎を一時は止めようとしたが、彼らの熱意に心を打たれ、秘密裏に情報を提供する。さらには2人を援護するために部下を率いて出動し、竜神興業の主要メンバーを逮捕している。
及川 正美 (おいかわ まさみ)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。20歳の女子大生。竜神興業がスポンサーを務めているホテトルに密かに勤務していた。ある日、自宅の浴室で遺体となって発見されており、状況から自殺であることは間違いなかった。捜査任務に向かった稲垣幸ノ介と橋本幸四郎の調べにより、危険な薬物とされているカーブの常習者であったことが判明する。
竜魅の愛人 (たつみのあいじん)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。ホテルに勤務する女性。幼い頃に父親が犯罪に手を染めて橋本幸四郎に逮捕されている。それが原因で荒れてしまい、そこを竜魅に拾われている。現在は及川正美とともに竜神興業がスポンサーを務めているホテトルに勤務しており、正美同様カーブを使用していた。ホテトルに流れていたカーブを押さえられ、禁断症状に苦しんでいたところを、荒療治として稲垣幸ノ介の自宅のアパートに拘束された。 その際は、自身を呪うような発言を幸ノ介にぶつけるが、逆に彼に諭される。そして、内心では誰かに必要とされたかった、父親を逮捕した幸四郎のことも本当は恨んでいない、と打ち明ける。さらに、禁断症状から救ってくれた恩返しとして、竜神興業がカーブを流している証拠を押さえようとした。 しかし、竜魅に気づかれ、口封じとして殺害されてしまう。竜魅の愛人の死は幸ノ介と幸四郎に強い憤りを感じさせ、彼らに竜神興業との対決を決意させるきっかけとなった。
襲撃犯 (しゅうげきはん)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。竜神興業に所属している殺し屋。カーブに手を出している薬物中毒者。女性を人形とみなして暴行する、という極めて下劣な外道。太めの体型ながら、隣のビルから稲垣幸ノ介と橋本幸四郎を狙撃したり、車の正面から銃で襲撃するなど、並外れた運動能力と銃の腕を持っている。また、殺し屋としてターゲットを襲撃する時には、必ずロックンロールを聞くという、奇妙な癖がある。 その能力を活かして幾度となく幸ノ介たちを苦しめ、2人が竜魅を追い詰めた際も、不意を打って幸四郎の胸に弾丸を打ち込むことに成功する。しかし、幸四郎が防弾チョッキを付けていたため致命傷にはならず、さらに幸ノ介に反撃を受け、悪あがきもむなしく、眉間を撃たれて死亡した。
竜魅 (たつみ)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。竜神興業を取り仕切っている男性。慇懃無礼かつ上昇志向の強い性格をしている。警察の一部の勢力と裏で繋がっており、橋本幸四郎とも面識はあるが、非常に嫌われている。稲垣幸ノ介たちの活躍で一度は流通ルートを潰されたカーブの取引を行っている。海外のマフィアに横流ししているほか、一般市民に売りつけたり、挙句の果てには、部下である襲撃犯や竜魅の愛人、及川正美にも使用させている。 結果として、正美を死に追いやり、さらにカーブと竜神興業の繋がりを示す証拠を探ろうとしていた愛人を殺害するなど、傍若無人の限りを尽くした。そのため、幸ノ介と幸四郎の怒りを買うことになる。また、こういった強引かつ自分勝手なやり方が、暴力団組織内部でも問題視され、幸四郎の働きかけによって孤立無援の状態に陥る。 最後は部下も失った挙句、幸四郎の手によって射殺された。
壱・参 (わんすりー)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」に所属している女性。任務においては零・参のサポートに徹することが多い。元は本庁に勤務していた警察官だったが、その優秀さから特殊武装公安「暁」にスカウトされている。新人ゆえに未熟さが見られるものの身体能力は高く、初任務においても足手まといになることなく、自らの役割を全うしている。 理不尽な暴力で罪のない人が苦しむことに憤りを感じる反面、犯行声明を出したテロリストに対して、まずは説得を試みるべきであると主張したり、任務とはいえテロリストを殺害することを忌避するなど、警察官らしい考えを捨てられずにいる。その度に、司令官である部長や相棒である零・参に「死線を見極めろ」と諭されている。 さらに数々の任務を経た中で、特殊武装公安「暁」の使命の重さを痛感するようになり、テロを止めるためなら武力を行使する覚悟を決めるようになる。
零・弐 (ぜろつー)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」に所属している青年。任務では壱・弐と共同で出撃することが多い。隊長を除いた隊員たちの中では年上。そのために兄貴風を吹かせることがあり、壱・参に対してからかうようなことを言っては嫌がられている。一方で、面倒見がよく仲間想いで、腕も立つため、頼りにされている。 「漆黒の鷹」の事件においては、相棒である壱・弐が事故に見せかけて殺害されてしまい、強い憤りを感じつつCIA特殊部隊と激突。多数の敵兵を打ち倒し、取引の品を確保した零・参と壱・参の退路を確保するが、零・弐自身もマシンガンによる銃撃を受けて戦死した。
壱・弐 (わんつー)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」に所属している青年。任務では零・弐と共同で出撃することが多い。かつて自衛隊に所属しており、銃を用いた直接的な戦闘以上に、諜報戦やトラップなどを仕掛けるのが得意。爆発物の扱いにも長けている。「漆黒の鷹」の事件においては、かつて自衛隊で同僚だった佐々木を訪ねる。 佐々木は既に殺害されていたが、彼の残したメッセージから、日本政府や米国国防総省、F社における取引の情報を入手。さらに、その取引に使用する物を知らずに輸送していた弟の明までが、口封じに殺されてしまった。これに強い憤りを感じ、2人の仇を討つためにも、何としても取引を阻止しようと決意を新たにする。 しかし、その道中でCIA特殊部隊の狙撃手によって狙撃され、壱・弐自らも致命傷を負ってしまう。だが、命がけで持ち帰った情報は部長のもとに届き、特殊武装公安「暁」による反撃のチャンスを生み出すこととなった。
隊長 (たいちょう)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」の隊長を務めている男性。部隊の現場指揮を担当しており、上司である部長からも、部下である零・参らからも厚い信頼を受けている。「漆黒の鷹」の事件で、内務大臣から特殊武装公安「暁」に対して謹慎を言い渡された際には、部下たちが休暇の名目で独自で調査に向かおうとしたため、その志を大いに評価していた。 CIA特殊部隊との戦闘において、「漆黒の鷹」に関する取引の証拠を確保した零・参と壱・参の退路を確保するために、零・弐と共に激戦を繰り広げ、多数の敵兵を道ずれにしながら戦死した。
部長 (ぶちょう)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。特殊武装公安「暁」の司令官を務めている男性。左目に付けられた眼帯が特徴。テロの防波堤という、特殊武装公安「暁」の役割を誰より強く意識している。テロリズムに繋がる行いであれば、たとえ自国である日本政府であっても決して見逃さない。その強い意思は部下たちにも行き届いており、そういった部下たちを部長自身も強く信頼している。 一方で、テロを阻止するという大目的を果たすためなら手段を選ばない一面がある。アメリカの情報局と秘密裏に情報交換を行っていたり、内務大臣から事件に手を出さないよう言い渡された時も、演習という名目で調査に向かわせたりしている。また、身体能力も高く、基本的には指令を下す立場にあるが、非常の際には自ら武装して前線に出ることもある。
社長の息子 (しゃちょうのむすこ)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。「轟重工業」という大手会社の次男。典型的な道楽息子というべき器の小さな青年。行楽帰りをテロ組織「四月の赤」に拉致され、人質に取られている。組織の目的は、アメリカが主導している次期支援戦闘機の開発から手を引かせることだった。社長の息子自身は、身代金目的の誘拐であると思っているのか、金ならいくらでも父親が用意してくれると喚いていた。 さらに、特殊武装公安「暁」の活躍によって解放されると、誘拐グループを殺してやると散々に言い散らし、部長の怒りを買う。
テロリストリーダー
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。テロ組織「四月の赤」のリーダーを務めている男性。自らの行動が正しいと信じて疑わない、テロリストらしい思考の持ち主。「轟重工業」の社長の息子を誘拐し、アメリカが主導している次期支援戦闘機の開発から手を引かせるよう要請する。しかし本当の目的は、自分たちの存在をマスコミにアピールして大衆にその存在を知らしめるとともに、テロの機運を高めるためである。 しかし、秘密裏に行動していた特殊武装公安「暁」の奇襲に遭い、人質を奪還された上に部下たちを失うと、途端に降伏しようとする。そこで、零・参の命令を受けた壱・参の手により射殺される。
アブドラル・ハッセン (あぶどらるはっせん)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。テロリストの男性。湾岸戦争開戦に乗じて、仲間であるマジド・イブラルセム、アハマード・アリ・ハンとともに、アメリカ大使館へのテロを計画していた。しかし、スポンサーであるハロルドが意図的に情報を流したため、計画が特殊武装公安「暁」に知れ渡ってしまい、報復としてハロルドの部下を殺害する。 さらに仲間たちがアジトごと特殊武装公安「暁」によって制圧させられたため、単身でハロルドを暗殺しようと、彼のオフィスに向かう。オフィスビルでは壱・参が待ち構えていたが、ナイフを用いた接近戦を仕掛けて彼女をあと一歩のところまで追いつめる。しかし、援護に現れた零・参の銃撃によって左半身を貫かれ、そのままこと切れた。
ハロルド
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。日本に在住しているアメリカ人の男性。大手貿易会社の支店長を務めている。湾岸戦争が始まると、秘密裏にテロリストであるアブドラル・ハッセンらを雇い、自国であるアメリカの大使館を襲撃するよう依頼。その一方で、ハッセンらの情報を特殊武装公安「暁」にリークする、という不可解な行動を見せる。 当然ながら欺かれたハッセンたちの怒りを買い、襲撃されそうになるが、先んじてオフィスに向かっていた壱・参と零・参の活躍によって事なきを得る。一連の行動の真意は、湾岸戦争においてイラク軍の捕虜となった息子たちの悲惨な現状と、ベトナム戦争を経ても何も変わろうとしない政府への抗議声明のためであった。 しかし、テロリストを利用するという行いに零・参らの怒りを買い、ハロルド本人も罪の意識を感じていたため拳銃自殺を図る。しかし、テロに頼らずにやり直すことを零・参に訴えられ、自殺を思いとどまる。
佐々木 (ささき)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。壱・弐とは自衛隊時代の同僚で、現在は情報部「月光」に所属している。その任務の中で、「漆黒の鷹」と呼ばれる、日本政府や米国国防総省、そしてF社による極秘の合同計画に関する情報の入手に成功する。しかし、情報部「月光」は米国国防総省の息がかかった傭兵によって襲撃された。 佐々木自身は何とか逃れて特殊武装公安「暁」に接触しようとするが、追っ手の攻撃によって致命傷を負ってしまう。落ち合う予定だったホテルで息を引き取るが、最後の力を振り絞って、「漆黒の鷹」に関する情報を壱・弐に残す。この情報は、特殊武装公安「暁」が計画を阻止するきっかけとなった。
明 (あきら)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。壱・弐の弟で、情報部「月光」の連絡員を務めている。ある日、F社のインドネシア支社から検閲なしで通った商品が届いたことを知り、輸送機に乗り込み、そこで得た情報を仲間である佐々木に伝えようとする。しかし、明の行動は米国国防総省に読まれており、彼らが派遣したCIA特殊部隊の攻撃により殺害される。 明の得た情報は佐々木を経由し、兄である壱・弐へと伝わることとなった。
集団・組織
竜神興業 (りゅうじんこうぎょう)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。暴力団組織傘下の企業。ホテトルや情報屋などを営む一方で、秘密裏に危険薬物であるカーブを扱い、海外のマフィアや地元の市民などに密売している。社長である竜魅は、取引によって警察からある程度の黙認を受けていた。カーブによって死者が出る騒ぎとなっても、マフィアとの取引を続けていたため、その証拠をつかんだ橋本幸四郎のリークによって暴力団組織から見切りをつけられた。 竜魅や襲撃犯を含んだ残党も、稲垣幸ノ介と幸四郎の活躍によりほぼ全員が逮捕、あるいは死亡している。
特殊武装公安「暁」 (とくしゅぶそうこうあんあかつき)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。日本国内のテロリズムを根絶するために秘密裏に結成された内務省直属の特殊部隊。テロに対する防波堤としての役割を担っており、その性質上、警察組織はおろか、自衛隊すら凌駕するほどの装備が回されている。部長と呼ばれる司令官が指揮権を有しており、現場では隊長のもとで、漢数字を用いたコードネームを所有する隊員たちが、テロリストの鎮圧にあたる。 なお、構成員はいずれも戸籍が抹消されているが、中には壱・弐のように、兄弟や元同僚から情報を得ている隊員もいる。
情報部「月光」 (じょうほうぶげっこう)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。情報の収集や解析を専門としている特殊機関。壱・弐の弟である明や、自衛隊時代における同僚の佐々木などが在籍している。ある時、日本政府、米国国防総省、F社の密約と、「漆黒の鷹」と呼ばれるプロジェクトに関する情報を入手したため、これらの組織に狙われることになった。 その結果、佐々木以外のメンバーはCIA特殊部隊の攻撃で殲滅され、佐々木もまた凶弾に倒れて、情報部「月光」は全滅してしまう。しかし、情報そのものは命がけで守り抜き、計画は特殊武装公安「暁」の知るところとなる。
F社 (えふしゃ)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。日本に本社を置く大手重工業。インドネシアなどに支社を置いている。表向きは輸送機などを開発していることで知られているが、裏では日本政府および米国国防総省と密約を結んでおり、三社合同で「漆黒の鷹」と呼ばれるプロジェクトの進行を目論んでいる。プロジェクトは秘密裏に行われていたが、情報部「月光」に輸送機に関する情報を握られ、富士樹海に輸送機を墜落させてしまい、特殊武装公安「暁」の介入を招くことになった。
場所
東部署 (とうぶしょ)
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。橋本幸四郎が勤務している警察署。のちにさまざまな署をたらいまわしにされていた稲垣幸ノ介も、この署に所属することとなる。竜神興業に対しては、情報提供を受ける代わりに多少の目こぼしをしていた。ところが、竜魅が密かに取引現場を盗撮しており、これを利用して上層部をゆすり始めたため、検挙に及び腰になっていた。 しかし、幸ノ介と幸四郎が竜神興業の撲滅を宣言すると、署長を始めとした署員もこれに同調。構成員のほぼ全員を確保することに成功した。
その他キーワード
カーブ
「GUN CRISIS.Ⅰ」に登場する。数ある麻薬の中でも特に危険とされている薬物の1つ。即効性が高く、中枢神経の高揚や痛覚の減退などの効果をもたらし、女性にとっては性行為における快感を増幅させる効果もあるという。しかし常習性が高く、女性は快感を求めるあまり接種を止められなくなり、効果が薄れると、すさまじい禁断症状に苦しめられることとなる。 及川正美はこのカーブを使わされた結果、禁断症状に耐えきれずに自ら命を絶っているほど。また、男性が使用した場合は攻撃性や残虐性が激化する作用がある。襲撃犯はこれによって身体能力が向上する代わりに、狂った獣のようなおぞましい攻撃性を見せている。かつて稲垣幸ノ介が麻薬課に在籍していた時に、日本の流通ルートは潰れたはずだったが、竜神興業の手によりルートが復活している。
漆黒の鷹 (しっこくのたか)
「GUN CRISIS.Ⅱ」に登場する。日本政府や米国国防総省、F社が秘密裏に進めている合同プロジェクト。政府が関与しているため、一般市民はもちろん、警察関係者などにも知られていない。情報部「月光」の調査により、「漆黒の鷹」は、三者が取引をするためにF社が作り出したものであることが判明する。その正体は、F社が開発した空中発射巡航ミサイル。 フェライトカーボンで構成されているため、その色は闇のように黒く、この色こそがコードネームの由来となっている。
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