JESUS 砂塵航路

JESUS 砂塵航路

藤原芳秀の『ジーザス』の続編。日本の高校教師となった伝説の傭兵ジーザスが、世界各国に売られてしまった教え子達を救出するために戦う姿を描く、学園ハードボイルドアクション。DOUBLE-Sの『死がふたりを分かつまで』や、衣谷遊の『ALCBANE』とのクロスオーバー企画が行われており、これらの作品のキャラクターも登場する。「モバMAN」2009年2月20日から2012年5月4日にかけて配信された作品。

正式名称
JESUS 砂塵航路
ふりがな
じーざす さじんこうろ
作画
原作
ジャンル
アクション
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊14巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

あらすじ

第1巻

「藤沢真吾」を名乗り、新任教師として藍東学園にこの春から赴任した凄腕の傭兵ジーザスは、ある日、担任を務めるクラスの綾木日奈を襲撃者から助け出した。綾木は、自分の家族が殺害された東久市一家殺人事件の犯人を自身の手で探し出そうとしており、その過程で襲われたのである。後日、久しぶりに登校した綾木は、つまらない男と思っていた担任の藤沢が、自分を救ってくれ、また襲撃者から「ジーザス」と呼ばれていた事に興味を持つ。綾木は藤沢の正体を確かめようと手下に藤沢を襲わせるが、そこに綾木を襲撃した闇組織「24」の真田が、という二人の刺客を従えて襲い掛かる。藤沢と綾木は、巻き添えになったの綾木の友人・小此木あかり一ノ瀬初美と共に真田に捕えられてしまう。真田は藤沢を痛めつける事で、綾木からキングの遺産のありかを訊き出そうとするが、綾木には何の事かさっぱりわからず答えようがなかった。そこで真田は、小此木達に狙いを定め見せしめとして殺そうとするが、そこで藤沢はついに自身の素性を明かし、武装した敵を素手で倒すのだった。

第2巻

ジーザスに追い詰められた真田は、口封じのため闇組織「24」の「令嬢派」である真奈美・アシュフォードに射殺されてしまう。そしてアシュフォードは、綾木日奈と共にいたジーザスに対し「御堂真奈美を思い出せ」と言い残して立ち去る。ジーザスの正体を知った綾木は、彼に家族の仇を討ってほしいと高額の報酬を提示し依頼するが、ジーザスは子供の依頼は受けないと拒否。それでも、真実を知りたいという綾木の要望に応じ、ジーザスは彼女を秘密のカジノへと連れて行く。そこには、かつて「24」の幹部を務め、「ナイト」と呼ばれた神谷周一郎がいた。神谷の口からキングの遺産についての情報を語らせたジーザスは、さらに先日の狙撃手の情報も要求。それに応じ自ら姿を現したアシュフォードは、御堂の仇を討つと宣言する。その後、藍東学園に転校生として現れたアシュフォードは、ジーザスを襲撃するが力及ばず敗北。綾木は、叩き伏せられたアシュフォードの世話を任される事になる。

第3巻

綾木日奈真奈美・アシュフォードと言葉を交わすうち、祖父であり闇組織「24」の創始者にして「キング」と呼ばれていた神崎隆一郎から、貸別荘「三崎の別荘」のオーナー権が相続された事を思い出す。そこで、先日の謝罪という名目で小此木あかり一ノ瀬初美を連れ出し、別荘の調査へと向かう。綾木自身は本来の目的を隠し通すつもりでいたが、小此木にはその目的を知られてしまう。そんな中、三人に闇組織「24」の内部派閥「老人派」所属の黒須らの部隊が襲い掛かる。そこに正体を隠した「通りすがりの殺し屋」を名乗るジーザスが現れ、綾木達に救いの手を差し伸べる。別荘をそれまで守っていた神崎の部下・木下のヒントも得て、隠し通路の先にある金庫を無事に開けた綾木達だったが、金庫内には銃弾が一つ置かれていただけだった。その残された銃弾から、綾木とアシュフォードは遺産が既にジーザスに持ちだされている事を知る。その後、ジーザスとアシュフォードは学園生活に戻るが、老人派所属の狙撃手であるラギから宣戦布告の狙撃を受ける。そして「24」の「令嬢派」の首魁・三崎しずくは狡猾な火野豹次を手下に加える。火野は小此木をさらい、彼女と引き替えに綾木にキングの遺産を要求する。

第4巻

犯罪被害者の自警団組織「エレメンツ・ネットワーク」の中心人物の一人・台場巽は、ジーザスキングの遺産の件から手を引くように警告する。日本の闇組織「24」を二分する派閥「令嬢派」の首魁・三崎しずくは、火野豹二小此木あかりを誘拐させ、綾木日奈に小此木の命と引き換えにキングの遺産を要求する。火野は受け渡しの過程で綾木を不必要に苦しめるために、綾木を東久市一家殺人事件の現場へ誘導するなど、彼女のトラウマを刺激する。火野はしずくが嫌悪感を抱くほどの卑劣な罠を綾木に仕掛け、それと同時に積年のジーザスへの恨みも晴らそうとする。だがジーザスは火野の罠をものともせず、「令嬢派」の傭兵を次々と倒し、しずくを追い詰める。一方、台場は誘拐された小此木の監禁場所を突き止めるが、警察はまだ手がかりをつかめていなかった。そこで台場は小此木の救出に自らが赴く事を決断し、「令嬢派」とジーザスが交戦中のビルに侵入する。そのビルへ「24」内部派閥「老人派」の夜魔部隊も、綾木の身柄とキングの遺産を狙い乱入する。

第5巻

世界情勢を揺るがす力を持つ、国家間の密約を記したキングの遺産。それを狙う日本の闇組織「24」の内部派閥「令嬢派」首魁・三崎しずく。彼女に交渉素材としてさらわれた小此木あかりを助けるために、「藤沢真吾」ことジーザス綾木日奈は協力関係を結ぶ。敵の本拠地に囚われた小此木を救いに向かうジーザスと、綾木は途中ではぐれてしまい、一人で救出に向かう。犯罪被害者の自警団組織「エレメンツ・ネットワーク」の中心人物の一人・台場巽は、ALCBANEをまとってジーザスの前に立ちふさがり、綾木への接触は彼女に悪影響しか与えないと主張し戦いを挑む。だが、しずくの手下・火野豹二が少女達に迫っていると知り戦いを中断する。その頃、綾木はエレメンツ・ネットワークからボール大の「SPARC」端末を貸与され、その誘導に従い交戦中のビル内を危険を回避しながら、小此木と合流するために進んでいた。綾木はエレメンツ・ネットワークの存在を知り参加を望むが、犯罪被害者の自警団組織である性質上、復讐のために犯罪を冒そうとする綾木の事を受け入れられないと、台場は彼女の申し入れを拒む。そして台場はジーザスに対し、エレメンツ・ネットワークにとって危険と判断すれば、また立ちふさがると言い残して去っていく。しずくの目的はキングの遺産とジーザスに兄・三崎かおるを殺された事への復讐だったが、乱入して来た「24」の「老人派」である夜魔部隊によりしずくの部下は皆殺しにされ、しずくは老人派の拠点へと連れ去られる。火野は誘拐犯として警察に突き出されて事態は収束した。しかし「24」の次の一手は、藍東学園の教師を負傷させ教職員に欠員を作り、刺客を送り込むというものだった。「老人派」の夜魔部隊の隊長カイザ、スナイパーのラギが新任教師として赴任し、学園は緊張に包まれる。

第6巻

藍東学園に、教師に扮し刺客として乗り込んで来た闇組織「24」の「老人派」に属する夜魔部隊カイザ、スナイパーのラギジーザスにさっそく決闘を挑む。対価として、ジーザスはキングの遺産、カイザとラギは綾木日奈の仇の名を記したドッグタグ、それに加え互いの命をかける事を承諾する。そこへ「24」の「令嬢派」に所属する真奈美・アシュフォードも、首魁の三崎しずくが捕らわれている状態だったが、参加を表明する。「令嬢派」が小此木あかりを誘拐した時にラギとのスナイパー対決で一度敗れており、その決着を望むアシュフォードはジーザス側につく。決闘の条件は、授業開始の合図と共に、決して校内の無関係な教師や生徒を巻き込まず、気取られずに行う事だった。その決闘の決着間際に、綾木は争いを無効化させようと「復讐の完全放棄」を宣言する。それを受け、ジーザスは過去を語り始める。ジーザスは5年前に存命だった「24」を組織した男「キング」こと神崎隆一郎を探し出し、連れ去られた教え子の情報が意図的にキングによりリークされていた事を知る。神崎が闇社会から表の世界に秩序をもたらすために作った組織が、「キング」が中心となって運営している「24」だったが、今や内部分裂が進み、非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」の手の者が入り込んで、一枚岩ではなくなっていた。「T・P・C」の下部組織として御しやすいよう、復讐心に支配された新たな「クイーン」を作ろうと、孫娘の綾木に復讐心を植えつけた何者かの思惑を阻止するため、神崎は17歳になったら孫を死なせてやってほしいとジーザスに依頼したのだった。対価として、キングの遺産と教え子の所在を提示されたジーザスは、復讐の道を選ばないように遺産ごと綾木を守ると約束していた。

第7巻

藍東学園で午前中に闇組織「24」の「老人派」に属するカイザラギの二人と、「24」の「令嬢派」に属するスナイパーである真奈美・アシュフォードジーザスの二人との決闘が秘密裡に行われた。綾木日奈が復讐を放棄する事で停戦状態を迎えたその昼過ぎ、学園にトラックが突っ込んで来る。非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」の真実に迫った事が原因で「強化兵」に仕立てられたドイツ人ジャーナリストのオットー・モレンツが、解除困難な爆弾を乗せたトラックで藍東学園に刺客として送り込まれたのだ。学園内は混乱を極め、カイザやラギとジーザスは一時共同戦線を張り「T・P・C」の刺客に対抗する。戦いの中で「T・P・C」により封じられていた人格を取り戻したオットーは、ジーザスらに爆弾の解除方法を伝えるが、破壊せねばならないパーツは持っている武器では対応できないものだった。その時、犯罪被害者の自警団組織「エレメンツ・ネットワーク」側から派遣され校内に潜んでいた台場巽の部下・支倉美央の今後の活動継続を条件に協力の申し出が入る。協力者として姿を現したのは、「剣の鬼」の異名を持つ土方護だった。爆発を未然に防いだジーザス達に、オットーは死に際に「ダンテ313」と謎の言葉を言い残す。

第8巻

ジーザスこと「藤沢真吾」と共に4月から藍東学園に赴任していた養護教諭の「伊藤健介」は、中国で多数の殺し屋を抱える龍門幇の若き頭首でもある劉伊健だった。ついに動き出した伊健はジーザスを襲い、その行動を見ていたカイザは、伊健を作戦の障害となり得ると判断し、後日藍東学園内で攻撃を仕掛ける。しかし伊健は、歴戦の傭兵であるカイザをも、卓越した暗殺術で退ける。伊健は、綾木日奈の身柄を狙った際に綾木が決意した「復讐心」への決別の不確定さを指摘し、復讐を可能にする力を持つキングの遺産から離れる事などできないと語る。復讐を放棄したと宣言した綾木に対し、藍東学園に潜入しているカイザ、ラギらもその決意を信用できないと告げる。一度身に宿った復讐者の魂は簡単に忘れられるものではないと告げる二人に対し、綾木は過去に負けないために戦う力を身につけたいとジーザスに教えを請う。

第9巻

夏休みを利用し、ジーザスに戦いのかけひきを教わった綾木日奈は、ジーザスの一番弟子を名乗る元暗殺者の少女・野坂亜紀と共に、ジーザスが3年前にチェチェンで見た人狩り部隊の実態の話を聞く。それは紛争地帯に私兵を送り込み、混乱に乗じて子供をさらう非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」に所属している傭兵オリオンとの対決の最中の出来事だった。そこで、ジーザスは人助けをする私設部隊「正義のボランティア」に同行する日本刀の使い手の青年・土方護と出会う。

第10巻

戦闘を手ほどきしていた綾木日奈に、ジーザスは回りくどい方法で戦う術を伝授せざるを得なかった経緯を語る。3年前、ジーザスはチェチェンで活動していた人狩り部隊に攻撃を仕掛けた。カダス共和国にジーザスが設立した学校からさらわれた教え子の情報を得るための行動だったが、そこでジーザスは、かつて生きる術として戦い方を教えた教え子のタリク・アッザードと再会する。タリクはジーザスから教わった戦闘能力を買われ、非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」所属の暗殺部隊・黒い鳥に組み込まれていたのだ。タリクはジーザスの目の前で、作戦に失敗した人狩り部隊の隊長オリオンを躊躇なく殺し、ジーザスの心臓めがけて銃撃して立ち去る。ジーザス自身も養父のリック・バウマンから戦闘技術を教わり、養父を殺した経歴を持っており、タリクを救う事で負の連鎖を断ちたいと考えていた。そんな中、ジーザス達のもとに「内閣情報調査室」所属の神谷周一郎の部下・合田率いる部隊が現れ、熱赤外線探知可能な攻撃型の無人航空機を駆使しジーザスを追い詰める。そこへ闇組織「24」の「老人派」が、ジーザスが暗殺されキングの遺産が行方不明になる事を阻止する目的で、援軍として夜魔部隊カイザ、スナイパーのラギを派遣する。

第11巻

伝説の傭兵ジーザスが「藤沢真吾」の名で教壇に立つ藍東学園に、わけありの二人の転入生がやって来る。一人は楯雁人の付き人の少女アナ・リドルこと「北神アナ」、もう一人は土方護と行動を共にする少女・遠山遥だった。目前に迫った学園祭の準備に勤しむ綾木日奈小此木あかりらと転入生の二人は打ち解け、共に昼食を囲んだりと和やかな時間を過ごす。その傍らで、カリスマ的存在だったをジーザスと雁人に殺されたテロリスト集団の残党・蝶の亡霊が暗躍していた。そして、さまざまな武器を強奪および斡旋する「強奪者」の一派、デュハナの漆黒部隊も交え、蝶の亡霊は藍東学園の校庭に炎で蝶の図柄を描き宣戦布告する。

第12巻

学園祭の前夜に藍東学園を襲撃した、漆黒部隊とテロリストのカリスマを信奉するテロリスト集団・蝶の亡霊は、綾木日奈の身柄と彼女の持つキングの遺産と引き替えにジーザスの教え子タリク・アッザードの所在を教えるよう取引を持ちかける。だが藍東学園を取り巻く不穏な気配を警戒し、転入生として潜入していた護り屋アナ・リドルは、ジーザスの命を狙うはずのテロリスト集団にしては不自然な申し出だとウソを見破る。襲撃者の背後で糸を引いていたのは、龍門幇劉小剛だった。小剛は弟であり龍門幇の頭首である劉伊健に対し、武装し脅威となり得るものは敵味方の区別なく殺すようにとの後催眠をかけていたのだ。今回の襲撃はキングの遺産と綾木の身柄を獲得する事に加え、その効力を試す事を目的としていた。

第13巻

ジーザス達は漆黒部隊とテロリスト集団・蝶の亡霊らの襲撃を退け、助太刀に来た土方護の協力を得て劉伊健にかけられた後催眠も解除した。だが、すべての戦闘の痕跡を消しに現れた非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」の暗殺部隊・黒い鳥のタリク・アッザードは、漆黒部隊と蝶の亡霊や劉小剛を殺し、ジーザスにも銃弾を撃ち込む。タリクに撃たれたジーザスは、急所は外れたものの絶対安静の重傷を負う。その後タリクは味方も殺し、「T・P・C」へ戻らずに行方知れずとなる。一方、学園祭はつつがなく開催されたが、そこに闇組織「24」の「老人派」の首魁である燐・オールドマンが現れ、綾木日奈に直接キングの遺産を要求する。従わなければ校内に設置された爆弾を作動させると迫るオールドマンのもとに現れたのは、絶対安静状態であるはずのジーザスだった。そこへ綾木の家族を殺した真犯人ジョセフ・T・シズラーも現れ、学園祭で賑わう校内で銃を乱射する。復讐する事ばかりに固執していた綾木の前で、ジョセフは復讐心を再び彼女に植え付けるべく親友の小此木あかりを撃つ。

第14巻

綾木日奈は、家族の仇でもある、非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」に雇われた殺し屋ジョセフ・T・シズラーに、親友・小此木あかりが目の前で撃たれた事で再び激しい復讐心を抱く。「T・P・C」と手を組み、無関係な小此木を傷付けた「24」のやり方に納得できず、真奈美・アシュフォードも「24」と決別し、綾木の復讐に力を貸す。そこにタリク・アッザードが現れ、綾木はアシュフォードの制止を聞かずタリクと組む事を選択し、共にジョセフの待つ24の本拠地に乗り込んでしまう。夜魔部隊は「24」の命令に従い、ジョセフを狙うタリクと綾木、その綾木とタリクを復讐の連鎖から救うべく追いかける真奈美・アシュフォードジーザスを迎え撃つ。

登場人物・キャラクター

ジーザス

東京都藍空市にある私立高校・藍東学園の男性教師。4月から赴任して来て、2年B組の担任を務めている。教師としての評価はいまひとつで、生徒からも冴えない中年男と思われている。教師として名乗っている「藤沢真吾」は仮の名前で、その正体はジーザスの名で知られる闇社会では伝説の傭兵。左肩にかつて所属していた傭兵部隊「砂漠の兎(デザートラビッツ)」の入れ墨がある。 10年ほど前に日本の闇社会を支配しようとした巨大組織「24」をただ一人で壊滅に追い込んだ。当時「24」の首魁はクイーンで、ジーザスは彼女に謀略の駒として見殺しにされた「砂漠の兎」の仇を取ったのだった。敵対する者からは「死神」の名で忌み嫌われ、独裁者ハジムを倒した事でカダス共和国では「戦士」と呼ばれる。 357マグナムや隠しナイフなど、武器を複数携帯している。現在は教師の仕事にやり甲斐を見出し、紛争地域の子供達のために学校を作っている。しかしその生徒をさらわれてしまい、教え子を決して見捨てない事を信条に、彼らを取り戻すための戦いを続けている。孫の綾木日奈が復讐の道を選ぶなら殺してほしいと神崎隆一郎に依頼されているが、ジーザスは綾木に復讐心を捨てさせ、彼女を守ると神崎に約束している。

橿原 (かしはら)

高層ビルの屋上にひっそり佇む小さなバー「雁の巣」のオーナーを務める男性。どの組織もうかつに手を出せないほどの伝説の情報屋でもある。生え際の後退した小柄な人物で、ジーザスの協力者。台場巽からは「オールド・ギース」と呼ばれている。ジーザスが小テストの採点をバーカウンターで行うのを見て、美意識に反すると怒鳴りつけていた。 バーテンダーとして美学を持ってバーを経営しているが、一方では闇社会のいざこざで店を吹き飛ばされても笑い飛ばせるほどの豪快な性格をしている。

綾木 日奈 (あやき ひな)

藍東学園に通う女子高校生。年齢は17歳。ジーザスこと「藤沢真吾」が担任を務める2年B組の生徒だが、学校生活に意義を見いだせず欠席がち。黒のロングヘアで、前髪の左右が外側に跳ねている。3年間で、学資の100万円を元手にして株取引で50億円の資産を築いた。それを元手に、闇社会の中で金貸しをして「クイーン」と呼ばれるようになった。 東久市一家殺人事件で祖母と母親、弟を殺されて、ただ一人生き残った。その仇を討とうと闇社会にパイプを作る目的で資金を増やしている。担任の藤沢が伝説の傭兵ジーザスであると知り、高額の報酬を提示し家族の復讐を依頼したが断られてしまう。強がっているが、クラスメイトの小此木あかり、一ノ瀬初美を巻き込んでしまった時には二人に謝りに行くなど、素直な一面もある。

藤崎 圭吾 (ふじさき けいご)

綾木日奈の運転手兼ボディーガードを務めているサングラスをかけた青年で、元暴力団員。伝説の傭兵ジーザスについて自身の知っている情報を綾木に語って聞かせた。綾木の身辺警護でよく危険な目に遭っているが、ボディーガードの職務に忠実で愚痴一つこぼさず彼女の世話をしている。

小此木 あかり (おこのぎ あかり)

藍東学園に通う女子高校生。ジーザスこと「藤沢真吾」が担任を務める2年B組のクラスの生徒で、クラス委員を務めている。小柄でおかっぱ頭にカチューシャを付けた面倒見のいい性格。友人の一ノ瀬初美には「あかりっち」と呼ばれている。ジーザスの並外れた判断力と身体能力により、車に轢かれそうになったところを助けられた事があり、担任の「藤沢真吾」が助けてくれたのではないかと思っている。 事業に失敗し借金を抱えた父親に睡眠薬を飲まされ、母親と共に乗用車ごと海に転落させられた過去があり、母親をその時に亡くしている。だがその後は立ち直り、つねに明るくをモットーに、人の善意を信じて暮らしている。

一ノ瀬 初美 (いちのせ はつみ)

藍東学園に通う女子高校生。ジーザスこと「藤沢真吾」が担任を務める2年B組の生徒。明るい髪色で、トップにボリュームのある髪型をしている。小此木あかりの友人で、勘が鋭く、綾木日奈が人に言えない思いを抱えていると察していた。友人の小此木は人の善意を信じやすいため、小此木の周囲の人間関係に注意を傾けており、彼女に害が及ばないかどうかをよく気にかけている。

矢神 武明 (やがみ たけあき)

藍東学園に通う高校3年生の男子。綾木日奈とよくつるんでいる。がっしりした体型で、学園内で勢力を誇るグループを統率している好戦的な性格の人物。カイザが新任教師代表で挨拶をした時に高圧的な発言をした事に苛立ち、ボクシング部で指導してほしいと口実を作って誘い出し、大勢で取り囲んだが返り討ちに遭った。

牧山警部補 (まきやまけいぶほ)

警視庁藍空署に所属する中年男性で、口ひげを生やしている。階級は警部補。10数年前は公安に所属しており、闇組織「24」の捜査官だった。8年前の東久市一家殺人事件にも携わっており、闇社会で勢力を伸ばす綾木日奈の身辺に注目している。公安所属の太田忠が、綾木が絡んだ事件にジーザスの気配を感じると情報収集に動き始め、真実を知りたければ協力しろと、太田から誘いを受けている。

(やなぎ)

警視庁藍空署に所属する男性刑事。髪型は左右非対称に分け額を出している。牧山警部補とコンビで管轄の藍空市の事件の捜査にあたっている。闇組織「24」に所属する暗殺者の白と黒が残したむごたらしい現場を見て吐き気を催してしまう。牧山と比べて場数を踏んでおらず、経験も浅い。

真田 (さなだ)

闇組織「24」の手先を務める若い男性。くせ毛で眼鏡をかけており、スーツを着用している。武器を斡旋する仕事をしているが、ヘマをすると貸し付けた武器と共に命も回収にやって来る。綾木日奈の身柄とキングの遺産を狙い、綾木やジーザスこと「藤沢真吾」を白、黒と共に襲ったが、失敗する。上部からは作戦に必要な最低限の情報しか与えられておらず、最期はスナイパーの真奈美・アシュフォードに射殺されてしまう。

(くろ)

闇組織「24」に所属する暗殺者で、兄の白、真田と共に行動している。がっしりした体型の若い男性で、女言葉でよくしゃべる。手で人間を解体するのが何よりも好きな残忍な性格をしている。黒いフルフェイスの面をかぶり、スーツを着用している。ターゲットの綾木日奈に対し、おとなしくしなければ胸をもぎ取ると脅した。 弾丸もはじくアーマーと暗視装置を身につけ、人体をねじ切るほどの力を持ち、接近戦が非常に強い。

(しろ)

闇組織「24」に所属する暗殺者で、弟の黒、真田と共に行動している。がっしりした体型の若い男性で、人間を解体するのを何より好む残忍な性格をしている。白いフルフェイスの面をかぶり、スーツを着用している。弾丸もはじくアーマーと暗視装置を身につけ、人体をねじ切るほどの力を持ち、接近戦に強い。弟に比べ言葉数が少なく、たどたどしくしゃべる。

神崎 隆一郎 (かんざき りゅういちろう)

かつて闇組織「24」を築き上げ、「キング」と呼ばれていた年配の男性で、綾木日奈の祖父。5年前に死んでいる。日本のみならず世界の経済に影響を与えるほどの人物で、アメリカやソ連、中国など各国の首脳陣にも一目置かれる存在だった。彼が残したキングの遺産とは、各国間で交わされた政治の裏取引の密約書類一式であり、世界を覆すほどの力を持っているとされている。 ジーザスに、彼がカダス共和国に作った学校から連れ去れた教え子の所在と引き替えに、孫娘の綾木日奈が闇社会に組み込まれるくらいなら殺してほしいと依頼した。

クイーン

かつて闇組織「24」を優れた指導力で支えていた老齢の女性。各国軍部の諜報機関とつながっており、謀略や工作を立案していた事から「ザ・プランナー」と呼ばれていた。しかし手掛けた作戦の中で、スケープゴートにした傭兵部隊「砂漠の兎(デザートラビッツ)」の生き残りであるジーザスに10数年前に殺された。キングの遺産の目録であるクイーンの遺産を密かに作成し残していた。

神谷 周一郎 (かみや しゅういちろう)

かつて闇組織「24」の幹部を務めていた初老の男性。「ナイト」と呼ばれていた。内閣情報調査室の部長でもある。ジーザスに攻撃され、旧体制の「24」のトップだったクイーンが敗れた際に、自らの助命と引き換えに御堂真奈美を埋葬し、ジーザスを国外に脱出させる事に加担した。新体制の「24」にも幹部待遇で迎え入れられているが、母国の社会秩序を保つためならいつでも首魁の燐・オールドマンを謀殺する覚悟を持っている。 必要であれば生還の可能性の少ない危険な任務を部下に課すが、国民の血税で鍛えた部下達を国家の財産と考え大事に思ってもいる。

真奈美・アシュフォード (まなみあしゅふぉーど)

闇組織「24」を二分する派閥「令嬢派」の首魁・三崎しずくにスナイパーとして雇われた少女。作戦の都合上、藍東学園に編入し、現在は「藤沢真吾」ことジーザスの担任する二年B組に在籍している。銀色のショートカットで、モデルのような容姿をしている。「24」の命令で、キングの遺産と、養い親だった女スナイパー御堂真奈美の仇としてジーザスの命を狙っている。 クラスメイトの小此木あかりから学食の使い方など、丁寧に学園生活の説明を受けた。「24」内での名前は「アッシュ」。養い親の御堂が「虎」と呼ばれるのを嫌っていたため、「24」の「老人派」に所属する黒須に「虎の弟子」と呼ばれて激怒した。「24」の任務を全うし、非情に徹しようと振る舞うが、次第に小此木や綾木日奈とのあいだに友情が芽生え、最終的に自分の心に従い組織より友情を選んだ。

御堂 真奈美 (みどう まなみ)

かつての宿敵ジーザスと戦い、のちに友となる若い女性。凄腕のスナイパーで、10年前に起きたクイーン率いる闇組織「24」とジーザスとの戦いで24から離反し、ジーザスと共に戦い、命を落とした。「虎」と呼ばれる事を嫌っていた。10数年前に南米で取引される商品として扱われていた真奈美・アシュフォードを救い、戦闘技術を伝授した。

黒須 (くろす)

闇組織「24」を二分する派閥「老人派」に所属する中年の男性。顔の半分が火傷の傷跡で変色している。火傷は過去のジーザスとの戦闘で負ったもので、その恨みを忘れないためにそのままにしていた。キングの遺産が隠されている可能性の高い三崎の別荘に、遺産回収のために派遣され、「24」の「令嬢派」に所属する真奈美・アシュフォード、およびジーザスと戦い敗死した。

木下 (きのした)

神崎隆一郎に雇われて三崎の別荘を守っている、体格のいい中年の男性。元殺し屋で、請け負った仕事のミスで無関係の家族連れを爆殺した事を悔いて死のうとしていた。その命を神崎に買われ、それからは忠実に神崎のために働いていた。雅子(綾木日奈の母)の帰還を待ち、別荘を守り続けていた。斧での素早い攻撃を得意としており、軍隊格闘術を身につけている。 綾木にキングの遺産の隠し場所の重要な情報を伝え、「24」の刺客から綾木をかばい死亡した。

ラギ

闇組織「24」を二分する派閥「老人派」の夜魔部隊に所属する女性スナイパー。人目を引く色黒の若い美女。作戦の一環として、「羅木ナオミ」と名乗り英語教師に成りすまして藍東学園に潜入し、2年D組の担任を務める事となった。カイザ、ユラと共同で作戦にあたる。自身のスナイパーとしての力量に自信を持っている。 好戦的な性格で、スナイパーの真奈美・アシュフォードをあからさまに敵視しており、あえて彼女が嫌う「虎の弟子」の通称で呼ぶ。

カイザ

闇組織「24」を二分する派閥「老人派」に所属し、夜魔部隊内のアルファ小隊隊長を務める中年男性。藍東学園に潜入するため教師に成り代わり、「海江田丈二」と名乗った。2年C組の担任を務めており、担当は音楽。がっちりとした体格で、モヒカンの髪型が特徴。ラギ、ユラと共同で作戦にあたっている。ピアノの演奏が上手で、小此木あかりに頼まれ、小此木のクラスの学園祭時の出し物「メイド風喫茶ふじさわ」のBGMに一曲演奏を披露し、好評を博した。 大柄で筋肉質な体躯に似合わない敏捷性を持ち、戦闘時には素早い動きで敵を攻撃する。部下思いで無謀な戦略は立てない。

ユラ

闇組織「24」を二分する派閥「老人派」の夜魔部隊に所属する黒髪の若い女性。メイド服やロリータ調のゴシックな服装を好んでいる。カイザやラギを藍東学園に教師として潜入させるため、学園の教師達を襲って負傷させ、休職に追い込む工作を実行した。気配を殺して人の背後に立ち、首を絞める技で暗殺する。

火野 豹二 (ひの ひょうじ)

闇組織「24」を二分する派閥「令嬢派」の首魁・三崎しずくに雇われた、中年男性。年齢は38歳。世話になった組の事務所の上納金を奪って逃げた。ジーザスも見逃してしまうほどの卑怯で小ずるい性格をしている。

台場 巽 (だいば たつみ)

エレメンツ・ネットワークという、犯罪被害者救済を目的に集まる非営利団体の中心人物。眼鏡をかけた若い男性で、重度の不眠症だった。しかし人助けをしたあとだけは快眠できると知ってからは、犯罪と戦う人生を歩むと決めた。ジーザスがキングの遺産を悪用しようとする動きを見せるようならそれを阻もうと警戒しており、自ら最新技術を盛り込んだ戦闘服ALCBANEを着用し直接対決もしている。 次世代型電算装置の一種であり、自分からデータをもとに提案もできるSPARCを設計し、SPARCからは「マスター」と呼ばれている。

三崎 しずく (みさき しずく)

闇組織「24」を二分する派閥「令嬢派」の首魁として君臨している若い女性。やや小柄で、ウエーブのかかった長い黒髪をセンター分けにして流している。「みさき」と名乗っており、部下からは「みさき様」と呼ばれている。かつてクイーンが統率していた時代の「24」の頂点に上りつめたものの、ジーザスにより倒された兄・三崎かおるの仇を討とうと、ジーザスの命を狙っている。

三崎 かおる (みさき かおる)

かつてクイーンが闇組織「24」を統率していた時代に、「24」の最高幹部にまで上り詰めた若い男性。ロングヘアで、スーツを着こなしていた。組織内で力を得たにもかかわらずジーザスとの勝敗にこだわり、殺された。今の「24」を二分する派閥「令嬢派」の首魁・三崎しずくのただ一人血のつながりのある存在で、しずくからは兄として慕われていた。

太田 忠 (おおた ただし)

警視庁公安一課に所属する中年の男性。右目の上に大きな傷がある。牧山警部補には「本庁公安の鬼」と呼ばれ、警察組織内では「同僚殺し」の異名でも呼ばれ、これまでに八人の同僚を殺しているといわれている。日本の闇組織「24」関連の事案を調査し、捜査線上に浮上した伝説の殺し屋ジーザスを追い詰め逮捕寸前まで行った過去がある。 だが直属の上司と同僚がクイーンが統率する「24」に内通しており、核心に迫り過ぎた太田忠は罠に嵌められ殺されそうになったのを反撃し生き延びた。その後は警察内部まで内通者の力が行き渡っていたため、真実は伏されたままで悪評だけを背負わされた。そのため汚れ仕事ばかりを押し付けられ、出世の道からも外されてしまった。 しかし、それでも今もただ一人で正義を追い求めている。

楯 雁人 (たて かりと)

ジーザスがかつて共に戦った青年で、フリーランスの護り屋をしている。劉伊健から依頼を受け、彼が催眠術によって自分の意志に反し人殺しをしてしまわぬように見守っている。金属の義手を持ち、弾丸も弾き返す事から「イージスの盾」の異名で呼ばれている。決して人を殺さない事を信条にしている。戦闘時の能力は高いが、自身の右手をテロリストの爆撃で奪われた過去を持ち、その事を思い出す炎に強い恐怖を抱いている。 犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークから依頼を受け、また犯罪組織「強奪者」に楯雁人自身のための義手を奪われた事も絡み、ジーザスにかかわる戦いに介入していく。ジーザスと共にテロリスト蝶と戦って倒した過去があり、その時に背中に蝶が認めた者だけに付けるといわれている×印の傷「蝶の紋章」がある。

アナ・リドル (あなりどる)

TEA ROOM「SIREN」に拠点を置いている、黒髪ロングストレートの若い女性。フリーランスの護り屋をしている。犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークに協力し、ジーザスらが潜入している危険な場所と知りながら、藍東学園に転入して来た。謎々が大好きで、よく知り合いに謎かけをしている。目の前に武器を突きつけられても瞬き一つしない度胸の持ち主。

劉 伊健 (りう いーきん)

中国で最も古く、恐れられている暗殺集団・龍門幇の頭首を務める若い男性。4月からジーザスと共に藍東学園に赴任し、養護教諭「伊藤健介」を名乗り、ジーザスの動向を窺っていた。眼鏡をかけ、ストレートの長髪を首の後ろで一つに束ねている。先代の龍門幇の頭首に、病床にあった母親の命を盾に催眠術を施され暗殺者に仕立てられた。 自身の祖父でもあった頭首を自らの手で殺し、自らは長兄の劉小剛に殺される事を望んだが、小剛は劉伊健の下につき、自ら組織のNo.2の立場になる事を選んだ。その後、小剛に後催眠を施され、自らの意志で制御できない暗殺マシーンに豹変させられたが、土方護と戦い催眠の呪縛から解放された。

江戸川 良雄

藍東学園の数学教師で、眼鏡をかけた短髪の中年の男性。難しい問題をわざと出題し、生徒を悩ませるのが好きだとの噂から「サドガワ」と生徒には呼ばれている。夜魔部隊の刺客が学園に潜入する際、成り代わるために教師達を襲い次々に負傷させたが、ジーザスが企みに気づき江戸川を助けたために、彼は無傷で教師生活を継続する事ができた。 その際に、学年主任を任せられ、張り切ってカイザやラギ、宗像涼子、支倉美央ら四人の新任の教師を迎え入れた。

宗像 涼子 (むなかた りょうこ)

藍東学園の教師に欠員が出たため新たに採用され、2年E組の担任になった若い女性。担当の教科は化学。ゆるくウェーブのかかった黒髪に身体のラインがはっきり出るようなセクシーな服装を好んで身につけている。

支倉 美央 (はせくら みお)

藍東学園の教師に欠員が出たため新たに採用され、2年A組の担任になった若い女性。担当の教科は国語。眼鏡をかけて小柄な姿から、生徒達から実習生じゃないかといわれるほど、初々しい雰囲気の持ち主。実は犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークのエージェントで、護身術として合気道を究めている。エージェントとしての通り名は「ニードル」。 遠山遥のような幼い少女が事件に巻き込まれ、危機に晒されるのを防ぎたいとの意志を持ちエレメンツ・ネットワークに参加している。

独裁者ハジム (どくさいしゃはじむ)

カダス共和国の独裁者で、ジーザスが過去に戦って倒した男性。だが残党は幾度も徒党を組み、独裁者ハジムの仇であるジーザスを付け狙っている。

ハサン

カダス共和国でのジーザスの協力者で、かつては武器を売買していた中年の男性。ハサン商会という名の店を構えている。ジーザスが教師に転身した時にもさまざまな学校用品を手配し、それからも物品を卸していた。

サーラ

カダス共和国で、ジーザスの学校で教職に就いていた現地の中年の女性。学校が生徒の誘拐を目論むゲリラに襲撃された時に、機転を利かせ二人の生徒を咄嗟に戸棚の中に隠して助けた。抵抗し撃たれたケガがもとで命を落とす。

サドル中佐 (さどるちゅうさ)

カダス共和国で、ジーザスにより倒された独裁者ハジムを崇め、新政府の転覆を目標に定めている中年の男性。ジーザスの作った学校を襲撃して少年少女をさらい、売り飛ばした金でゲリラ戦に必要な武器などを調達した。小百合をさらい意のままにしようとしたが、油断していたところを小百合に撃たれたケガがもとで命を落とす。

小百合 (さゆり)

カダス共和国で、ジーザスの作った学校で4年のあいだ教師を務めていた若い女性。学校の生徒を軍資金のためさらって売り飛ばそうとしたサドル中佐に生徒と共にさらわれた。服を脱がされるなどの辱めを受け、水も与えられず48時間も拘束されたが、少しもひるまない強い精神力を持つ。ジーザスとは相思相愛の仲で、カダス共和国で彼の帰りを待っている。

オットー・モレンツ (おっとーもれんつ)

ドイツ人の中年ジャーナリストの男性で、離婚歴がある。非合法な臓器移植コネクションT・P・Cを追っていて核心に迫りつつあったが、息子のアルバート・モレンツを人質に取られたために捕まり、強化兵に改造された。改造手術を施されたのち、洗脳され、ジーザスへの刺客に仕立て上げられた。戦いの終盤で洗脳から解放され、ジーザスに「ダンテ313」と謎の言葉を言い残して命を落とす。

アルバート・モレンツ (あるばーともれんつ)

オットー・モレンツの息子。オットーが非合法な臓器移植コネクションT・P・Cを調査し始め、核心に迫りつつあったために人質として「T・P・C」に囚われてしまった。捕らわれた時はまだ5歳の幼さだった。のちにジーザスが連れ去られた教え子達を助け出す活動をしていたのに伴い、助け出される。

土方 護 (ひじかた まもる)

犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークのメンバーの一人で、若い男性。盲目の剣の使い手で、犯罪組織「強奪者」からその首に1億ドルの懸賞金をかけられている。チェチェンの内戦の地で、腕試しをしていた時にジーザスと出会った。ジーザスは土方護の刀を駆使した戦いにかける気迫から「剣の鬼」と呼んでいる。 エレメンツ・ネットワーク内での通り名は「ブレード」で、井川や遠山遥と共に行動している時は「チーム・ブレード」と呼ばれている。橿原は、ジーザスに土方護の情報を提供する際には「サムライ」と呼んでいた。分子1個分の薄さを誇る「ブレード」を振るい、地球上のあらゆるものの分子と分子のあいだを切り裂く事のできる剣技を駆使する。 チェチェンの戦闘で視力を失ったが、井川が超音波の反射波を解析して視神経にデータとして送る事で、視覚を補い実戦の場に立ち続けている。

遠山 遥 (とおやま はるか)

犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークに所属している13歳の少女。長い髪をツーテールにしている。剣の使い手・土方護と行動を共にし、刺客から守って貰っている。予知能力の持ち主で、未来を見る事ができるが、その能力を狙う者に父母を殺され、犯罪組織・強奪者に5億ドルの懸賞金をかけられている。

井川 (いがわ)

犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークに所属している青年。眼鏡をかけ、髪をパイプドレッドにして撫でつけ、後ろに流している。土方護の失った視力を補うサポート役を果たしている。明るい性格で、よくしゃべる。総重量が何トンもある特殊車両を使って、情報収集や妨害電波へのジャミングを行い作戦をサポートしている。

楊夫人

中国の闇社会の武闘派組織「五龍爪」の首魁で、劉小剛と組んでキングの遺産を狙っている若い女性。ベリーショートの髪型に、チャイナドレスを着用している。小剛は最初から楊夫人を使い捨てにするつもりで利用しており、形勢が不利になるやいなや、あっさり殺されてしまう。

羅師父 (るおしーふー)

劉伊健の暗殺術の師匠で、ずっと伊健の味方についていた初老の男性。だがすべての暗殺術を伝授したのち、最後の教えとして自分と全力で戦う事を要求し、親しい者でも殺せる非情さを身につけさせるため、伊健の手で殺された。

劉 小剛 (りう しゃおがん)

龍門幇のNo.2である中年の男性。組織の裏ビジネスを取り仕切る立場にあるため、中国圏で非合法な臓器移植コネクションT・P・Cと深いつながりを持っている。劉伊健の兄で、長い黒髪をオールバックにして後ろで一つに束ねている。先代の龍門幇の頭首は催眠術をかけて跡取りに据えた伊健をあやっていたが、劉小剛も後催眠をかけて伊健を意のままにあやっていた。 組織の中で頂点を極めても使われる側、道具でしかないため、自らが道具を使う側になりたいと強い欲求を抱き、弟で頭首の伊健も意のままにあやつろうとしていた。

燐・オールドマン (りんおーるどまん)

「キング」こと神崎隆一郎が創設した日本の闇組織「24」内で実権を握っていたクイーンの孫。現在の「24」を二分する勢力の一つ、「老人派」の首魁で、伊豆にある「老人の館」と呼ばれる広大な邸宅を拠点として活動している。スーツ姿で車椅子に乗った17歳の少年として現われるが、実は少女で、クイーンの体細胞から作られたクローンだった。 老いた細胞から作られたため寿命は短く、生まれ出た時から既に余命が少ない状態であった事に絶望し、クイーンを深く憎悪していた。だがジーザスにクイーンを殺されてしまったため、憎悪の矛先を失い、ジーザスに執着するようになる。

野坂 亜紀 (のさか あき)

暗殺技術のインストラクターに手ほどきを受けた若い女性。ウェービーで豊かな黒髪を流した髪型をしている。ためらいなく人を殺す事ができると語り、過去に暗殺を仕事としていたが、任務の途中でジーザスに出会い拾われた事で暗殺業から足を洗う。ジーザスへ恋愛面でもあこがれを抱いているが伝わっていない。

合田 (ごうだ)

神谷周一郎の部下で、日本の平和を保つために暗躍し武力行使を重ねてきた「内閣調査室」所属の兵士。額と頬に古傷がある、五分刈りのがっしりとした体格の壮年の男性。危険過ぎるジーザスと、キングの遺産を持つ綾木日奈をすべて闇に葬るため始末するように神谷から指令を受け、無人航空機を用意して作戦を決行した。 しかし土方護がジーザスの援軍として現れ、夜魔部隊もジーザス達の支援命令を受け参戦した事で形勢逆転し敗死する。

ジーニ

各国のハイテク技術を強奪してはブラックマーケットで売りさばく国際的な犯罪組織「強奪者」の一員。アフロヘアの黒人の中年男性。アフリカの準国家であるデュハナの人間だと名乗り、合田に戦地から調達してきた最新鋭の無人航空機を斡旋した。

リック・バウマン (りっくばうまん)

ジーザスに戦い方を教えた養父で、もとCIAの非合法局員。肌の黒いがっしりとした体格で、ジーザスを拾った時には壮年の男性だった。のちに初老になった頃に、傭兵としてジーザスの前に立ちふさがり、戦いに敗れ死んでいる。

オリオン

3年前、チェチェンの人狩り部隊を仕切っていた中年の男性。ユーゴやアフガンで、数多くのゲリラを葬ってきた一流の傭兵として闇社会では名の知れた人物だった。だが、ジーザスと土方護により作戦は失敗し、非合法な臓器移植コネクションT・P・Cの暗殺部隊「黒い鳥」所属のタリク・アッザードに殺された。

カイル

元は非合法な臓器移植コネクションT・P・Cに所属する人狩り部隊にさらわれた被害者の子供で、臓器を抜かれたのちに自身も人狩り部隊に組み込まれた若い白人男性。ジーザスに敗れ、部隊の情報を得るために捕らえられた。依存性の強い薬物「フェッダ―」の投与により、禁断症状の苦しみから逃れるために従う事を余儀なくされており、ジーザスに殺してほしいと訴える。

イサク

元は非合法な臓器移植コネクションT・P・Cに所属する人狩り部隊にさらわれた被害者の子供で、臓器を抜かれたのちに自身も人狩り部隊に組み込まれた若い男性。カイルとは友人だったが、実験により正気を保てなくなった。薬物で痛覚を麻痺させられ、全身にセラミックの装甲を埋め込み強化された強化兵と呼ばれる実験兵士になる。 子供に襲い掛かったところをジーザスに倒された。

タリク・アッサード (たりくあっさーど)

ジーザスが設立した学校に通っていたが、政情不安定なカダス共和国からさらわれ、非合法な臓器移植コネクションT・P・Cに売り渡された、現在の年齢は高校生くらいの少年。カダス南部アジール県のマルーラ村に生まれた。父親はドイツ人技術者で、母親は村長の娘。父親を幼い頃に内戦で亡くしている。外見はドイツ人の父親に似て金髪の巻き毛をしている。 治安の悪い故郷で生きぬくために、さらわれる前にジーザスから銃火器の扱いを教わっていた。さらわれたあとはその力を評価され、兵士として暗殺部隊・黒い鳥に配属され、人狩り部隊の任務失敗時には殲滅し痕跡を消す残党狩りを任命されている。マインドコントロールも施されており、人を殺す事にいっさいためらいがない。

キャスリン・カラス (きゃすりんからす)

アメリカの空軍に所属する若い白人の女性。遠隔操作可能な攻撃型無人航空機の操縦を得意としている。眼鏡をかけて淡々と任務をこなし、同僚からは「氷の女王」と呼ばれている。8か月前、軍の作戦行動中に誤った指示により報道のカメラを武器と見間違え、誤爆してしまった。その事で重度のPTSDを抱える事となり、流産し家庭も失う。しかし彼女がその際に一番恐れたのは、自身が生まれつき抱えている他人に共感できない感情の欠落で、それを事件の対応から身近な人々に悟られてしまう事だった。 無人航空機の操縦士として、「強奪者」の斡旋で合田の指揮下につくが、作戦中に指揮から外れ、味方を巻き込む攻撃をした。

トーマス・ジェファーソン (とーますじぇふぁーそん)

眼鏡をかけた初老の男性。「ワイズマン」の異名で呼ばれており、闇社会に君臨している。元大学教授ながら、闇社会に地位を築いている事にちなみ「現代のモリアーティ教授」とも呼ばれる。

(ばたふらい)

アジア、中東、南米、欧州と各地のテロ組織を渡り歩き、カリスマ視されている男性。破壊工作の教官を務めているが、詳細は謎に包まれた人物。資質を持つ者を探し出す事を目的に活動しており、資質を持つ者の背中に「紋章」と呼ばれる×印の傷を刻んでいた。闇社会で「テロリスト・メイカー」と呼ばれている。1年ほど前に東京で大規模なテロ事件を引き起こし、その際に「紋章」を与えた楯雁人とジーザスに殺された。 蝶を尊敬し意志を継いで活動しているものは世界中に散らばっているが、実際に蝶に出会ったものは数少ない。蝶を殺した楯雁人とジーザスは仇として彼らに狙われている。活動の目的、夢見たものは渾沌とした世界で、渾沌としたもの、人を追い求めていた。

ハインツ・イエーガー (はいんついえーがー)

眼鏡をかけた中年男性で、元FBI行動分析家。調査対象だった蝶にのめり込み過ぎ、自身が「蝶」を名乗って模倣犯として行動を起こした。非合法な臓器移植コネクションT・P・Cからタリク・アッザードの存在を知らされ、殺人が存在意義と同義になったタリクを目にし、蝶の夢見た混沌の結晶そのものだと心酔する。劉小剛の手下と自身が集めた蝶の亡霊を率い、藍東学園で教師をしていたジーザスに戦いを挑んだ。

マザック

ハインツ・イエーガーと組んで活動している中年の男性。蝶が理想としていた、完璧ならざる世界の実現のため、蝶の息子を名乗り2年前にアメリカ中西部で爆破テロを起こした。だが制圧に来たジーザスに実際に蝶に会った事もないと見破られて以降、ジーザスに恨みを抱き彼の命を狙っている。ハインツの誘いに応じ集まった蝶の亡霊のメンバーで、ジーザスが潜伏している藍東学園を攻撃した。

ジョセフ・T・シズラー

フリーランスの殺し屋で、東久市一家殺人事件の実行犯である中年の男性。綾木日奈一人を残し、彼女の家族を殺害した。通称は「鋏」で、非合法な臓器移植コネクション「T・P・C」の末端組織にトラブルがあった際に雇われ、病巣を切除する役割を担っている事に由来している。自身が仕事で親を殺した家庭の子供達の写真を大事に集めており、その写真を壁に貼って視線を感じ、憎しみを受けていると実感する事に生きがいを見出している。 セラミックの防弾内骨格で急所のほとんどをカバーしており、覆えていないのは目だけ。そのため銃弾ではダメージを受けにくい。

(せるぴえんて)

南米最大の麻薬カルテル。7年前に、教え子の行方を探すジーザスの襲撃を受けた。サドル中佐にさらわれた八人の子供達の最初の手がかりとしてジーザスが目標に定め、幹部は顧客リストと売買記録を奪われ殺されている。

集団・組織

24

日本の闇社会を牛耳る組織で、創始者は「キング」こと神崎隆一郎。10数年前まではクイーンが中心となって活動していたがジーザスにより一度解体されている。その当時は政財界と深く結び付き、大物官僚が何人もメンバーに加わっていた。今は「令嬢派」と「老人派」に派閥は別れつつも、再び新生組織として活動をしている。「令嬢派」の首魁である三崎しずくの身柄を燐・オールドマンが確保し、「老人派」がほかの派閥を束ねるに至った。

エレメンツ・ネットワーク (えれめんつねっとわーく)

犯罪者狩りを行う一種の自警団組織で、中心人物は台場巽。犯罪被害者やその遺族、犯罪を憎む者達が所属している。メンバーは互いに顔も名前も知らず、連絡はすべてネットで行われ、犯罪に関する非公開情報を提供し合っている。その情報をもとに多大な資金と最新武器を実装した実働部隊が極秘裏に犯罪者を狩っている。ジーザスにキングの遺産から手を引くようにと忠告した。

強奪者 (ぷらんだー)

各国のハイテク技術を強奪してはブラックマーケットで売買している国際的な犯罪組織。ガルボア共和国がバックについており、新興国で国際社会には正式に認められていない準国家デュハナのジーニが窓口となり、合田に最新鋭の無人航空機を斡旋した。「強奪者」は政情が不安定なカダス共和国内のゲリラに武器を売り、土方護と遠山遥に合計6億ドルの懸賞金をかけ、情報をもとに楯雁人の義手を奪うなど暗躍している。

護り屋 (まもりや)

TEA ROOM「SIREN」という店を拠点にしている集団。フリーランスで不殺を信条にし、犯罪者と分類される人物でも分け隔てなく依頼人を護る仕事を請け負っている。楯雁人とアナ・リドルが所属しており、犯罪被害者自警団組織エレメンツ・ネットワークの台場巽とは時に協力し合う関係でもある。

夜魔部隊 (ないとごーんつ)

「24」を二分する派閥「老人派」に所属する戦闘のプロ集団。アルファ小隊隊長のカイザ、狙撃手のラギ、暗殺や工作活動を担っているユラが所属している。夜魔部隊はかつてジーザスたった一人に壊滅に追い込まれたため、部隊の隊員すべてがジーザスの事を仇として狙っている因縁がある。状況に合わせた戦闘術を多数組み合わせ、ジーザスに戦いを挑む。

T・P・C (とらんすぷらんとこねくしょん)

非合法で、高額な代償と引き替えに臓器提供をしている、臓器移植コネクション。世界各国の闇組織とつながっており、クイーンが統率していた時代の日本の闇組織「24」もこの組織に参入していた。だが綾木日奈の祖父であり、「24」を立ち上げた人物「キング」こと神崎隆一郎は母国のためにT・P・Cを内部から崩壊させ、手を切る事を密かに目論んでいた。

龍門幇 (どらごんげーと)

中国最大にして最古の暗殺結社。前頭首だった劉伊健の祖父は猜疑心が強く、後継者を選ぶ際にも厳しいハードルを設けている。その内容は、14人いた孫を山中に置き去りにして殺し合わせ、さらにその場に、子供を一人でも殺せば減刑すると言い含めた死刑囚100人を放つというもの。最終的に生き残った後継者候補は五人で、その中で最も年齢の低い日本人とのハーフの伊健が素質を見出され、新たな頭首に選ばれる事となった。

人狩り部隊 (ひとかりぶたい)

非合法な臓器移植コネクションT・P・Cの傘下の実働部隊で、紛争国の混乱に付け込み、子供を狩る極秘部隊を指す。「拘束鎖(フェッター)」という名の薬物を投与され、臓器を抜かれた子供達をも新たな兵士として組み込み使役している。薬物が切れると禁断症状に苦しめられるため、兵士達は自身と同じ境遇の子を作ると知りながらも組織にあらがえない。 作戦が失敗すると暗殺部隊・黒い鳥がやって来て証拠隠滅のために人狩り部隊を抹殺する。

黒い鳥 (ぶらっくばーど)

非合法な臓器移植コネクションT・P・Cの傘下の部隊。内乱に乗じて紛争地の子供をさらい臓器移植ビジネスの素材を集める人狩り部隊の作戦が失敗し、人員や設備が回収不能になった時に動く。「T・P・C」の存在を隠し通すために暗殺と破壊を請け負う集団。チェチェンでの作戦時は現地部隊長のオリオンしかその存在は知らなかったため、部下達は黒い鳥を救出部隊と誤解し成すすべなく殺されてしまう。

漆黒部隊 (しっこくぶたい)

南アフリカにある準国家デュハナに拠点を置くテロリスト集団で、学園祭の準備をしていた藍東学園に攻撃を仕掛けた。黒ずくめの服装でさまざまな国籍の構成員がいる。身体能力が高く、夜魔部隊のカイザと互角に戦う実力を備えた女性などをメンバーに抱えていた。テロリストのカリスマ蝶を信奉するものの残党・蝶の亡霊と劉小剛の手下と共同で、蝶を倒したジーザスを倒す事を目標に攻撃を仕掛けた。

蝶の亡霊 (ちょうのぼうれい)

テロリストのカリスマ・蝶を信奉する者達が集まった集団。ハインツ・イエーガーの指揮下に、学園祭の準備期間中の藍東学園を襲った。マザックら漆黒部隊はこの集団の構成員で、背中に蝶の紋章と呼ばれる×印の傷を刻んでいる。だが、そのメンバーは必ずしも蝶と面識のある者ばかりではなく、マザックは蝶と会った事はない。

場所

藍東学園 (あいとうがくえん)

東京都藍空市にある私立高校。男女共学で、ジーザスこと「藤沢真吾」が教鞭をとっている。制服はブレザーで、全校生徒数は378名。一ノ瀬初美のような明るい髪の色の生徒も指導される事のない自由な校風。ちなみにジーザスは全校生徒の顔と名前を把握している。

三崎の別荘 (みさきのべっそう)

綾木日奈の祖父・神崎隆一郎の保有していた三浦半島にある別荘。祖父の財産は遺言により、ほとんどどが政治団体や博物館に寄贈されたが、三崎の別荘のオーナー権だけは綾木の家が遺産として相続した。そこにキングの遺産も隠されていた。地下に長く続く隠し通路があり、入り口側は林、背面は海に面した絶壁の上に建っている。

雁の巣 (ねすとおぶぎーす)

西新宿の高層ビルの屋上にあるバー。屋上の死角に建っており、人目につきにくい場所にある。ジーザスの拠点であり、情報屋の橿原がマスターを務めている。

イベント・出来事

東久市一家殺人事件 (ひがしひさしいっかさつじんじけん)

8年前に起きた事件。一泊旅行に出かけていた綾木日奈が帰宅した時に、弟以外の家族は既にすべて殺されており、弟だけが犯人に抱えられて生かされていた。助けたければ目を閉じて動くなと言われた日奈は、そこで30時間も目を閉じ続けており、周囲の住人が異臭に気づいた事でやっと事件が発覚した。弟は家のすぐ前の用水路で死体となって発見されている。 綾木の祖父の神崎隆一郎が唯一の肉親として保護された彼女を見舞った。だが、既に復讐を心に宿した表情を浮かべていたため、心配していた。神崎は、その復讐心に付け込まれた綾木が闇社会の手先になってしまう事を恐れ、17歳を迎えたら彼女を殺してほしいとジーザスに依頼した。

その他キーワード

キングの遺産 (きんぐのいさん)

綾木日奈の祖父、「キング」こと神崎隆一郎が携わっていた、国交にかかわる機密をまとめた書類。政治のダークサイドが記載されており、世界情勢を混乱に陥れる力を持っている。「キング」のただ一人の後継者である綾木が受け継ぐ予定になっている。キングの遺産を巡る争いに巻き込まれてしまった小此木あかりと一ノ瀬初美に対し、綾木は当初その危険性から存在を隠そうとしていたが、のちに自らその存在を打ち明けた。 現在は「キング」から、孫娘の綾木を復讐者として生かすくらいなら殺してほしいと依頼されたジーザスが、その報酬として譲り受けている。

クイーンの遺産 (くいーんのいさん)

闇組織「24」の「老人派」の首魁である燐・オールドマンが、ジーザスが持つキングの遺産を巡って対立状態にあった「24」内部派閥「令嬢派」の首魁・三崎しずく、中国の秘密結社・龍門幇の劉小剛、かつての「24」内部で「ナイト」と呼ばれ力を持っていた神谷周一郎の三人に休戦の提案をした時に使用された、キングの遺産の目録。 これを目にした事で、目指すキングの遺産が世界を混乱に陥れる力を持つ品だと三崎と小剛、神谷は強い共通認識を持ち、休戦とは名ばかりで争いは激しさを増していった。

SPARC

犯罪被害者の自警団組織エレメンツ・ネットワークが保有する、量子コンピューターと呼ばれる次世代型電算装置の一種。台場巽の問いかけに流暢に答え、また提案をする事も可能な優れたシステムで、設計者は台場。移動中のノートパソコンからも使用可能で、同時にボール型の通信端末を介して利用する事もできる。ボール型の端末は、闇組織「24」に誘拐された小此木あかりを助けに向かった綾木日奈の安全を守るために利用された。 超音波の反響を立体解析するシステムや建物の地図など、必要な情報を提示できる機能が備わっている。まるで人格があるかのように状況に即した対応ができるが、人の感情までは推察できない。対話が可能で、アナ・リドルには「スパーキィ」と呼ばれている。 また、製作者の意図により人を傷つける行動は取れないように設計されている。

ALCBANE (あるくべいん)

犯罪被害者の自警団組織エレメンツネットワークに所属する台場巽が身にまとう強化服。弾道を予測し回避する能力に、弾丸を弾く能力も備えている。エクゾスケルトンを着用しよく訓練された一個小隊を軽く倒す力を備えており、SPARCの戦闘ナビゲーションも同時に利用する事が可能なため、優れた状況判断ができる。アームが長くアンバランスな姿をしているため、「BALANCE」のアナグラムで「ALCBANE」というコードネームで呼ばれるようになった。

エクゾスケルトン

着こむロボットと呼ばれる強化服。米軍が熱心に研究している最新兵器で、夜魔部隊のアルファ小隊隊長カイザやその部隊の隊員らが実戦で着用する。カイザはこれを着てジーザスに挑んだ。装甲車ほどの装甲も機動力もなく、歩兵ほどの小回りも利かないが、銃撃や手りゅう弾の爆発にも耐える頑丈さは備わっており、パワーの増幅力には優れている。

無人航空機

米軍の最新鋭の攻撃型無人航空機。略称は「UAV」。少ない燃料で24時間以上滞空し続ける事が可能で、高空から熱赤外線レーダーと対地ミサイルで狙い撃つ攻撃をする。戦地で落ちていたものを継ぎ合わせて犯罪組織「強奪者」が作り上げた。運用するための衛星リンクシステムと専門のパイロットが必須。

強化兵 (きょうかへい)

あちこちの国で実験中の未来の兵士。全身にセラミックの人工骨を入れて急所をカバーしているため、銃弾が通用しない。また薬物で痛覚を麻痺させてあるため、力に加減がなく、疲労も感じない。兵士の生還を前提にせず使い捨ての兵器扱いにする技術であり、強化兵を初めて目の当たりにした部下思いのカイザは、不快感を露わにする事となった。

書誌情報

JESUS 砂塵航路 14巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2009-09-30発行、 978-4091827135)

第2巻

(2009-10-30発行、 978-4091827173)

第3巻

(2009-11-30発行、 978-4091827234)

第4巻

(2010-02-27発行、 978-4091828736)

第5巻

(2010-06-25発行、 978-4091832498)

第6巻

(2010-09-30発行、 978-4091834546)

第7巻

(2010-11-30発行、 978-4091836069)

第8巻

(2011-04-28発行、 978-4091837752)

第9巻

(2011-07-29発行、 978-4091838766)

第10巻

(2011-10-28発行、 978-4091841001)

第11巻

(2012-01-30発行、 978-4091843395)

第12巻

(2012-04-27発行、 978-4091845382)

第13巻

(2012-06-29発行、 978-4091845696)

第14巻

(2012-07-30発行、 978-4091845733)

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