白いカラス

白いカラス

裏の世界に生きる殺し屋にして、凄腕のスナイパーでもある老人が、依頼を受けることで困難なミッションの数々に挑む。裏社会の闇と、それに伴う命のやり取りを描いたバイオレンスアクション作品。

正式名称
白いカラス
ふりがな
しろいからす
原作者
やまさき 十三
漫画
ジャンル
アクション
関連商品
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概要・あらすじ

ある老人の前に突如現れたのは、20年間刑務所暮らしを送った栗原だった。彼は老人に対し、出所時に殺し屋を差し向け、瀕死の重傷を負わせた黒川の暗殺を依頼する。しかし、栗原は数日後に息を引き取ってしまう。一方で仕事を完遂させるための条件を整えた老人は、狙撃者「白いカラス」に化け、黒川暗殺のために動き出すのだった。

登場人物・キャラクター

白いカラス (しろいからす)

裏社会で殺し屋を生業としている白髪の老年男性。白い衣装を身にまとい、卓越した狙撃の腕でターゲットを始末する手腕から「白いカラス」と呼ばれ、恐れられている。老いることで腕が落ちたと自嘲することがあり、時にはターゲットの身の回りの人物を負傷させるなど非情な手段を取ることもある。また、一度受けた依頼を私情で反故にすることも決してないなど、プロ意識は高い。 しかし、飼い猫であるドラに優しい言葉をかけたり、偶然とはいえ、ターゲットの妻であるデムネス夫人を助けたりと、本来は優しい心の持ち主。

ドラ

白いカラスの家で飼われている、小柄な白猫。白いカラスが心を許している数少ない存在で、ドラ自身もよくなついている。やや人見知りする性格で、主人が殺し屋である関係でいかつい客人と会うことも多く、そのたびに縮こまる様子が見られる。

栗原 (くりはら)

チンピラの男性。博打によって金を失い、同じ境遇だった黒川とともに銀行から大金を盗み出す。しかしその際に顔を知られてしまい、2人分の罪を背負う形で警察に逮捕され、20年もの間服役していた。その際も、黒川の名前を出すことなく仁義を貫き通していたが、出所した彼を待ち受けていたのは黒川の差し向けた殺し屋だった。重傷を負った栗原は黒川の裏切りに激怒し、刑務所内で聞きつけた噂をもとに白いカラスに接触。 黒川の暗殺を依頼し、数日後に息を引き取った。

黒川 (くろかわ)

かつて栗原の仲間だった男性。博打によって金を失い、同じ境遇だった栗原とともに銀行強盗を画策し、大金を奪うことに成功する。その際に栗原の顔が割れてしまうが、栗原が捕まったため、追及を受けずに逃げ切ることに成功した。その後、盗んだ金を元手に、クラブや競馬などのさまざまな商売を成功させ、20年の間で成金の顔役として知られるようになる。 自己中心的なうえに用心深く、20年間黒川のことを隠し通した栗原には恩義を感じるどころか、素性が割れることを恐れて殺し屋を差し向け、致命傷を負わせる。そのことが栗原の怒りを買い、報復として白いカラスを差し向けられた。

黒川の情婦 (くろかわのおんな)

黒川が愛人として囲っている女性で、彼の所有する別荘に住んでいる。黒川の部下から世話をされており、別荘では1人でプールを楽しむなど、悠々自適に過ごしていた。黒川をおびき出すための策略として、白いカラスから狙撃され負傷するが、黒川からは心配されるどころか、見捨てられてしまう。

黒川の替え玉 (くろかわのかえだま)

黒川の部下の1人。黒川と顔が似ているため、白いカラスから身を守るためとして、彼の替え玉として利用された。しかし、白いカラスは長年の勘から替え玉であると見破っており、さらに彼に銃を突き付けられた際には、命惜しさに自分が替え玉であることをあっさりと自白してしまう。

ビッグ・J・ラルゴ

船舶業界のトップに立つ男性で、豪華客船「ローズ一世号」を住処としている。かつてはエーゲ海の貸船屋に甘んじていたが、1隻のタンカーを手に入れると、朝鮮戦争やベトナム戦争など、船舶需要が逼迫するチャンスを逃さず各国に売り込むことで成功を収めていき、現在では80隻もの大船団を誇る船主に成り上がる。この波乱に満ちたサクセスストーリーから、人々からは「海運王」、あるいは「20世紀のシンドバッド」と呼称されている。 しかし一方で、手段を選ばない吸収、合併、乗っ取りなどを繰り返しており、日本を含めた無数の船舶会社がその犠牲になっている。

ジム・ハリスン (じむはりすん)

豪華客船「ローズ一世号」の船長を務める男性。ビッグ・J・ラルゴの腹心でもあり、彼の主催するリリィの誕生日記念パーティーにおいては司会を務めている。その際に、日本から招かれた数々のゲストを紹介しているが、そのうちの1人である「ミズキ・イチロー」の正体が白いカラスであることには気づいていない。

リリィ

ビッグ・J・ラルゴの妻。彼とは親子ほど年齢が離れており、大富豪の美人妻として注目を集めている。元は安酒場で歌を歌うことで生計を立てていたが、その美しさを見初めたラルゴに拾われている。しかし歌唱力は低く、現在でもラルゴの指示により人前で歌を披露することがあるが、内心ではラルゴからも客からも見下されていることを知っている。 そのようなラルゴからの扱いに内心辟易しており、彼のもとから解放される時を望み続けている。

依頼人 (いらいにん)

ビッグ・J・ラルゴの暗殺を白いカラスに依頼した男性。小さな船舶会社を営んでおり、行き詰っていた際にラルゴから融資を受けた。しかしそれはラルゴの罠で、会社の資産と所有していた船をすべてラルゴに奪われてしまう。このため、自分の命を捨ててでもラルゴを葬り去ることを望み、事故に見せかけて自害することでその保険金を依頼料として白いカラスに支払い、ラルゴの始末を託した。

ジェイク

ビッグ・J・ラルゴのボディガードを務めている禿頭の男性。優れた聴力を持ち、遠くからでも銃の安全装置を外す音を聞き逃さない。数多くの部下を率いており、彼らに指令を下す際には、指に2枚のコインをつまんで鳴らすという、風変わりな合図を送る。

暗殺者 (あんさつしゃ)

ビッグ・J・ラルゴを暗殺するため、白いカラスとは別のルートで雇われた男性。コンバットマグナムを所持しており、ラルゴが居座る客席の背後から、窓越しに撃つことで仕留めようとした。しかし、窓ガラスが防弾性を備えていたため射撃を遮られてしまい、その隙に駆けつけたジェイクの部下たちにより射殺された。

エル・デムネス (えるでむねす)

エル・デムネス劇団の座長を務めている男性。監督でありながら役者もこなすなど、才能に恵まれている。かつてF国で演劇を通して革命を訴えており、それを危惧した国の上層部から国外追放の処分が下される。しかしそれで諦めることをせず、同調した劇団のメンバーとともに海外で活動を繰り広げるうちに多くの支持を得て、やがて「革命詩人」と呼ばれ敬われるようになる。 日本においても多くの若者から慕われており、来日の際には劇団の公演を心待ちにするファンが殺到していた。しかし、これによって現在の政権を脅かされることを危惧したF国の差し金により、白いカラスから命を狙われることとなる。

大使 (たいし)

F国の大使。将軍と呼ばれる男の腹心の部下で、現政権の維持を望んでいる。そのため、革命を志しているエル・デムネスを危険視しており、白いカラスに対してデムネスの暗殺を依頼する。さらに、支持者たちの革命の機運を削ぐために演劇中に暗殺することを望むなど、狡猾な面が目立つ。

岡野 (おかの)

警察庁に勤めている男性。来日したエル・デムネスの護衛を任されており、彼が無事公演を終えられるよう、部下を率いて鉄壁の布陣を敷いている。強靭な身体力と指揮力、そして、ボディーガードに求められている用心深さを合わせて持っており、白いカラスがデムネスを暗殺するための障害となって立ちふさがる。

デムネス夫人 (でむねすふじん)

エル・デムネスの妻。デムネスとは歳の離れた若い女性で、彼との子供を妊娠している。しかし、出産予定日より10日も前に陣痛が始まってしまい、道に倒れてしまったところを偶然通りがかった白いカラスによって助けられ、無事に赤子を出産することに成功する。このことから白いカラスを、自分自身と赤子の命の恩人として丁重に礼を言い、さらに白いカラスがデムネスを狙っていると知らないままに、夫婦のお守りであるクルミをデムネスに渡してほしいと頼み込んだ。

集団・組織

エル・デムネス劇団 (えるでむねすげきだん)

エル・デムネスが座長を務めている劇団。当初は母国であるF国で演劇活動をしており、政府上層部によってデムネスが国外追放の処分を受けても解散することなく、フランスやイギリスなどを渡り歩くことでファンを増やしていき、アメリカでは6か月にわたる長期公演を成功させ、その人気を盤石のものとする。日本においても人気は非常に高く、来日を歓迎されていたが、F国は彼らの勢いが増すことで、革命の機運が高まることを危惧している。

場所

ローズ一世号 (ろーずいっせいごう)

ビッグ・J・ラルゴが自らの住処として利用している、大型の豪華客船。ラルゴはこの船を「ローズ城」と呼び、ここから見られる風景こそが至高であると語る。また、窓には防弾ガラスが使用されているなど、襲撃を受けることを前提に造られている。

F国 (えふこく)

アジアの後進国。「将軍」と呼ばれる男性がトップに立ち軍事政権を敷いている。アメリカから技術供与などを受けているものの、情勢は盤石とはいえず、エル・デムネスなど、軍事政権に異を唱えている人物も少なくない。そのため、こういった反抗勢力を抑えることが、現時点における課題の1つとされている。

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