概要・あらすじ
横浜で生徒達の校内暴力に頭を痛める横巾高校に、英語教師として赴任してきた頼近。彼は、革ジャンにジーンズというバイカーファッションに身を包み、アフリカで傭兵経験もある型破りな男だった。ハンフリー・ボガートを敬愛するボギーこと頼近は、不良達から袋叩きにあえば仕返しして半殺しの目に遭わせ、職員室では競馬新聞を広げてテレビのお笑い番組鑑賞に明け暮れ、校外でも揉め事を起こし、女好きが高じて自分の生徒にまで手を出すといった絵に描いたような素行不良の教師。
しかし、独自の教育方針に基づき信念だけは曲げない会津の男。暴走族や他校とのトラブルや暴力団絡みの麻薬売買、野球部スター選手の不祥事隠しなど、生徒を蝕むさまざまな問題に体当たりでぶつかっていく。
登場人物・キャラクター
頼近 (よりちか)
横巾高校の一年西組、別名・死組に赴任してきた英語教師。せせらぎのような耳触りの良いクイーンズ・イングリッシュを話すが、日本語はクセのある会津訛り。アフロヘアーで革ジャンにジーンズというバイカーファッションに身を包み、愛車はヤマハXV750 Special。腰からぶら下げた手ぬぐいに石を包み、振り回して武器にする。 履歴書には外国留学、無線技士のアルバイトと書いていたが、アフリカで半年間の傭兵経験があり、そこで通信兵をしながら命懸けで英語を覚えた。特技は剣道で五段の腕前。天然理心流道場の女師範の家で下宿している。気晴らしに生徒をぶん殴り、生徒達に喧嘩を仕掛け、袋叩きに遭えば一人になった所を待ち伏せして半殺しの目に遭わせる。 職員会議中の同僚教師をくどき、プールで英語の授業と称して外国人女性をナンパし、婦人警官とは駐車違反の取り締まりの合間に寝る上に、教え子や母親にまで平気で手を出す女好きで肉欲の塊。ハンフリー・ボガートを敬愛し、自宅の仏壇の中に写真が飾ってある。
榊原 (さかきばら)
会津出身で頼近とは幼馴染の親友。横巾高校の教員で、頼近に就職の世話をしようと、自分の学校は横浜の丘の上にある明治時代に建てられた伝統ある校舎のアメリカンスクールで、足の長い青い目のハーフの若い娘達に囲まれる環境だと都合よく紹介し、半ば騙す形で赴任させた。 気が弱く、毎回頼近の常識外れの行動に振り回され、父兄からの苦情を心配する教頭との板挟みに遭っている。非力で頼りにはならないが、岡本に追い込まれ支離滅裂な行動を取る頼近の事を、一人心配し続けた。フィアンセにしたいと思っていた女性・寺倉セツ子を頼近に紹介するが、嫁の代わりはいくらでもいるが親友はただ一人と言われ、収入や見てくれを気にする女性は向かないと追い返されてしまう。
光 (ひかる)
頼近の受け持つ一年死組の生徒。池田やシゲ達を従えて全校生徒を陰でまとめる番長の黒幕。表向きは優等生で頼近に服従しているように見せかけながら、自分たちの勢力拡大に利用する。力で押さえつける頼近のやり方に反感を持ち、クラブ四谷怪談で暴力団相手に喧嘩を仕掛けながら、頼近を置きざりにして自分達だけ逃げ帰ってしまったり、クラスの島村に麻薬取引に関わったため顔面組に脅されているという嘘の相談を持ちかけさせて、頼近を殴り込みに行かせるといった窮地に陥れている。 頭が切れる。教師には反発するが、生徒同士は連帯意識を持つ事が必要と、面倒な野球部の横暴には口を挟まない。
岡本 (おかもと)
横巾高校野球部のスター選手。10試合連続でホームランを打ち、神奈川では原辰徳以来の大物と言われ、成績も優秀な模範生として脚光を浴びている。校内暴力で評判が悪かった横巾高校の人気回復のため、学校側はマネージャーやプロデューサーを用意して全面バックアップを行い、教師も答案の書き直しを行い不祥事にも目をつぶっている。 特別扱いされる事で横暴な性格が助長され、理科教師の息子である部員のマモルに父親の前で見せしめのしごきを行い大怪我を負わせたり、生徒達の前でラブレターを読み上げる事をネタに金を要求した生徒を、自殺に追い込んだりしている。頼近が心から愛した美香が自分に惚れている事を利用し、生徒達の見ている前で頼近を縛りつけ、自分を求めてくる美香を抱く姿を無理やり見せつけて、教師としての自尊心を崩し、精神的に致命傷を与えた。 しかし、それまでのツケが回って借金返済のために毎日アバラを1本ずつ折られるようになると、自分を愛して付いてきた美香をソープランドに売り飛ばそうとした。
美香 (みか)
横巾高校3年2組に転校してきた美少女。頼近に一目惚れされ、人が変わったようになった頼近は、バイク通勤を止めて同じ電車で通い必死で気を引こうとする。肉体関係を持つ他の女性達とは違い、真実の愛に目覚めたという頼近に果敢にアタックされている。その弱みに目を付けた他校の不良達に捕えられ、手を出せない頼近は襲われてしまう。 野球部の岡本を愛し、後を追って転校までしてきたものの、ぞんざいな扱いを受け続ける。さらに何も知らずに好意を持って近寄ってきた頼近を打ちのめすために岡本に利用され、部員達のいる前で頼近に無理やり見せつけるようにして岡本に抱かれる。岡本が2000万円の借金を背負った後も心配し続け、負い目のある頼近の所にまで相談に行った。 金を用意するためにソープランドに身を売る覚悟をする。
池田 (いけだ)
横巾高校で頼近が受け持つ死組の生徒。赴任初日にペナルティのシゲ、角橋の佐野、無差別攻撃の村瀬と4人で頼近を袋叩きする。別名バカ蹴りの池田。その後、住所を調べた頼近に帰り道で一人になった所を待ち伏せられ、反撃を食らいアバラを折られてしまう。光の指示で、卒業式に他校の生徒達に襲われ身動きの取れない状態の頼近の左手を踏みつけ骨折させた。 父親が癌になり、母親と交替で泊りの看護を続けた結果、元々良くなかった成績がさらに落ち込み、父親が亡くなるとかさんだ入院費の返済をするために退学する。高校最後の日、学校中にお礼参りをする中で、職員室の頼近に自分が初めて喧嘩で負けた記録を大事にしろと挨拶をしていく。 厄介払いができたと胸を撫で下ろす教頭達を尻目に、頼近をはじめ光達バイク仲間達からは、船出を祝う盛大な警笛で見送られる。
島村 (しまむら)
横巾高校の頼近の教え子。父親は市の教育委員で、息子が頼近の体罰により鼓膜が破られたと学校に苦情を言いに来た。島村は頼近に、アルバイトで麻薬の売人をしていた事がばれて退学になる事を恐れ、足を洗いたいと顔面組幹部に申し入れたために殴られて、が聞こえなくなったと相談し、敵を討ちに行かせた。
教頭 (きょうとう)
不良生徒達に手を焼き、輪を掛けて素行不良の頼近に頭を痛め続ける横巾高校の教頭。父兄やマスコミ、教育委員会からの苦情を何よりも気にする事なかれ主義で、都合の悪い事はあからさまに耳を塞いで聞かないようにしている。信条は、くさったリンゴはまとめて別の箱に移す。いじめ被害で自殺した生徒を迷惑と切り捨て、ソープランドに売られそうになった美香には最初の客になると持ちかける無責任な性格。 卒業式後に恒例となった生徒達のお礼参りの標的を頼近一人に向けさせるため、それまでクビを引き延ばすよう校長に進言する。教員の女性と付き合っているが、頼近に口説かれ恍惚としている姿を見て、怒りを露わにした。 将来性のある野球部の岡本には煙草の火をつけるほどあからさまに肩入れをしていたが、再起不能になった後は手の平を返して冷たい態度を取った。
山口 陽子 (やまぐち ようこ)
横巾高校の国語教師で、バトンフラワー部の顧問。頼近曰く、学園では稀な美形。冷静を装っているが、頼近に声を掛けられると頭が真っ白になり支離滅裂な言葉を発するため、生徒達に指摘されムキになっている。乗せられると勢いで思わず本音を曝け出し、余計な事まで口走ってしまう。教育熱心で、生徒を暴力で制圧する学園の方針に強く反発している。 長年貯めた結婚資金が700万円あり、肉体派のフィアンセがいる。
ヒデ
頼近やバラがよく顔を出す喫茶店ジュースインのマスター。女に夢中になって我を忘れる頼近の態度を男の恥と呆れるバラに対して、好きな女性のために気を引こうと命を懸ける行動には男らしさがあるとする。頼近のファンで、反対派には水も出さない。野球部の岡本の借金返済のために、頼近に声を掛けられ仲間とカンパをする。
ホモ野郎 (ほもやろう)
暴力団組員。頼近のクラスの生徒・中村が隠れてバイトをしていたクラブ四谷怪談に客として訪れ、店に因縁をつける。光にけしかけられ加勢に出た頼近を、仲間と4人でビール瓶の欠片で背中を大の字に斬りつけ、傷口に塩を擦り込む皮ハギ大文字と名付けたやり方で暴行した。有楽町の寺院・今何寺で麻薬取引をしていた現場を頼近に邪魔された上、仲間が全滅させられると、刺し違えに出る。 好みのタイプはマーロン・ブランド。
刑事 (けいじ)
頼近の身辺をうろつき、他校とのいざこざを仲間と共に観察する。何度か煙草の火をもらいに近寄ってきて、命を狙われているので気を付けた方がいいと頼近に忠告した。懐に忍ばせた拳銃や古い型の背広、流行おくれのネクタイに安物の時計から、あっさり刑事だと見破られてしまう。
用心棒 (ようじんぼう)
横巾高校野球部の岡本のボディーガードとして雇われた、野球帽を被った3人組。バットが仕込み杖になっている。頼近が傭兵時代に会った、短剣一本で領事館に忍び込みアメリカ海兵隊17人を1分足らずで皆殺しにしたゲリラ3人組と同じ殺気を放つ殺しのプロ。その殺気には頼近も指の震えが止まらなくなるほどの恐怖を感じ、手を出す事ができなくなった。 雇い主は岡本の後援者で、議員の肩書を持つ全国規模の宅配業者の社長。他にも各派から破門になった者を大勢雇っている。
新田の花子 (しんでんのはなこ)
女だけの暴走族で、残酷なリンチで名の知れる女ZONES(アマゾネス)50人を束ねるボス。17歳。会津出身で頼近の事をお兄ちゃんと呼び慕っている。3年前にワル仲間から足を洗う約束をして集団就職で上京したが、3日でクビになっていた。同じように甘い言葉で東京に誘われ、約束と違う劣悪な労働条件で働かされていた仲間たちとチームを作る。 頼近と共に暴走族で培ったテクニックを活かせる雇い先を探す。
舎古丹高校ボス (しゃこたんこうこうぼす)
舎古丹高校は北海道S市の高校。大手自動車メーカー牧売自動車の所長の息子。市民の8割が従業員で、市の税金の8割を牧売自動車が収めているため、父親の威光を笠にやりたい放題をしている。サッカーの試合に来た横巾高校で乱闘騒ぎを起こし、敵討ちに向かった頼近と50人のスケ番達を待ち受けた。 仲間を引き連れて前の駅で待ち伏せし、不意打ちを食らわせ、列車の連結を外して雪の中に立ち往生させた。さらに捕らえたスケ番達を見せしめのために張り付けにしたり窓から吊るし、その側で酒盛りをして挑発。市は企業が進出してくる前は自衛隊の街であり、赤字にさせられた国鉄職員など、積年の恨みを持つ者も多い。