概要・あらすじ
元プロボクサーラビット坂口(現里山八五郎)の息子里山活樹は、実は八五郎との対戦後志望した天才ボクサー赤松隆介の子供だった。赤松の血を引き、八五郎のテクニックを受け継いだ里山活樹は、同級生水谷香月に惹かれてボクシングを始める。一方、水谷香月は母親が離婚して別居中の父親に幼少時から鍛えられ、並のボクサーでは相手にならないほどの実力者。
男子と戦いたいのに制度上戦えないことに鬱屈していた。最初はボクシングに深い思い入れがなかった里山活樹だったが、ボクシング嫌いを公言しながら、ボクシングにこだわり続ける水谷香月、彼女の幼なじみで彼女に勝つをことを目標としていた紀本高道らと触れ合い、拳を交わす内に徐々に才能を開花させていく。
インターハイ優勝を目指す里山活樹の前にはライバルたちが現れるが、その中でも夏の甲子園の優勝投手でありながらボクシングに転向した異色の天才ボクサー岬新一とは恋とボクシングの両面で激しい火花を散らすことになる。
登場人物・キャラクター
里山 活樹 (さとやま かつき)
15歳。光陽高等学校1年B組(進級後は2年A組)。4年前に母親里山佐知子を亡くし、現在は母親の再婚相手(婿養子)である義父八五郎と義妹茶紀との三人暮らし。水谷香月に近づくため水谷ボクシングジムに入門したが、いつの間にか辞めてしまう。その後、水谷香月のトレーニングに付き合ったり、パンチと走り込んだりしているうちに徐々に才能が開花する。 八五郎が顧問となった新ボクシング部に入部させられ、本格的にボクシングにのめり込んでいく。実父赤松隆介は八五郎との試合でKO負けを喫した後、里山活樹が生まれる前に急逝している。八五郎の逃げに徹したボクシングスタイルと赤松の天才的なボクシングセンスとパンチ力を受け継ぎ、高校時代は公式戦無敗で、大学浪人中にプロライセンスを獲得。
水谷 香月 (みずたに かつき)
15歳。光陽高等学校1年B組。水谷剛史の娘。ボクシングが強いにもかかわらず、男子と戦えない反動と父親嫌いが重なってボクシング嫌いだが、里山活樹との出会いによって、本当はボクシングが好きだったことが表に出てくる。父母は離婚しており、現在は母春音と暮らしている。月に一度、水谷ボクシングジムに養育費を受け取りにくる。 里山活樹には名前の読みが同じで、クラスも同じという共通点から、高校入学以来、気にはなっていたが、ボクシングを通じて徐々に恋愛感情が育っていく。校則で禁止されているバイトが校長にバレて、強引に新ボクシング部に入部させられてしまう。
里山 八五郎 (さとやま はちごろう)
48歳。里山活樹の父。旧姓坂口。ウエルター級の元プロボクサー。リングネームはラビット坂口。逃げに徹したボクシングスタイルで22戦12勝無敗10引き分け(1KO)。赤松隆介の死に責任を感じ、赤松の婚約者で妊娠していた佐知子と「できちゃった婚」の形で婿養子となる。 勤務先の会社が倒産し、校長の策略もあって、新ボクシング部の顧問を引き受ける。
赤松 隆介 (あかまつ りゅうすけ)
里山活樹の実父。デビュー以来9戦全焼(9KO)のウェルター級の天才ボクサー。故人。八五郎をKOで倒し、それを手土産に佐知子の両親の元に挨拶にいく予定だったが逆に八五郎のカウンターを受けてKO負けを喫し、一ヶ月後に死去する。
紀本 高道 (きもとたかみち)
浅倉高校1年。ボクシング部]所属。水谷香月の母が経営するお好み焼き春音の近所にあるコンビニ11/1000の息子。昔はいじめられっ子で、水谷香月に助けてもらっていたことがあり、水谷香月より強くなることを目標にボクシングを始めた。岬とのスパーリングで敗北。 網膜剥離により退部。里山活樹のブレーンとなる。
岬 新一 (みさき しんいち)
港星高校1年生。夏の高校野球全国大会で優勝した同校野球部のエースで4番。2年生ではボクシングのインターハイ優勝を目指すと宣言し、日本中を驚愕させる。練習のため光陽高等学校を訪れ、スパーリングで紀本を倒し、水谷香月に惚れる。インターハイに出場するが、樹準決勝前夜、水谷香月を騙ったファンを事故から守ってケガしてしまい里山活樹との決着は先延ばしになる。 祖父の影響でボクシング好きになり、赤松のビデオでボクシングを学んだ。その後水谷ボクシングジムに入会し、プロを目指す。水谷香月にストーカー気味のアタックを続けたり、内田仁のアパートに住み着いたりと、端正な顔立ちに似合わず、図々しい性格の持ち主。 内田の父親に騙されて倒産寸前となった父親の会社を救うためプロ野球への道を選ぶ。
南条 理子 (なんじょう りこ)
かつて赤松隆介が所属した翔拳ジム元会長の孫娘。赤松とジムの二枚看板だった父はロードワーク中に交通事故で死去。その後、母と外国に渡る。デザイナーとして成功した母の資産でジムを再建しようともくろみ、あの手この手で里山活樹を引き入れようとする。
川上 京太 (かわかみ きょうた)
15歳。里山活樹の親友。光陽高等学校に通う。水谷ボクシングジム所属。里山活樹と同じく、水谷香月に近づこうと水谷ボクシングジムに入会したおっちょこちょい。マメで、しつこく、ボクサーとしての成長は早い。ライト級。
水谷 剛史 (みずた につよし)
50歳。水谷ボクシングジム会長。元東洋ウェルター級チャンピオン。44戦36勝(24KO)6敗2分。八五郎とは2戦2敗。いずれも八五郎の逃げのボクシングにキレての反則負け。自分を嫌っている娘水谷香月を溺愛している。
水谷 春音 (みずたに はるね)
水谷香月の母親。お好み焼き春音を経営。
里山 茶紀 (さとやま ちゃき)
9歳。里山活樹の異父妹。つまづいて、持っていた物(ゲーム機、玉子など)を投げ出す癖があり、それを巧みに受け止める里山活樹や八五郎の身体反応がボクサーの素質を暗示する伏線になっている。
大友 力也 (おおとも りきや)
浅倉高校ボクシング部所属の2年生。インターハイ、ライトミドル級準優勝。親が谷の父親が経営する会社に勤めている。谷とはよく一緒にいるが、子分というわけではない。
谷 正人 (たにまさと)
浅倉高校ボクシング部]所属の2年生。インターハイ、フェザー級3位のダーティファイター。スパーリングで紀本に簡単にKOされてしまう。その恨みを晴らすため、仲間を集めて紀本を袋叩きにしようとする。
内田 仁 (うちだ じん)
光栄ジム所属のボクサー。岬新一の親友。高校入学後、すぐに3年生10人を倒し退学処分を受ける。父親とは義絶状態。17歳でプロライセンスを取得。スーパーに務め、アパートで自活中だったが、入会した水谷ボクシングジムが近いという理由で岬が強引に住み込んでしまう。将来を嘱望されていたが、悪辣な手段で岬の父の会社を倒産寸前に追い込んだ自分の父権造を暴行して重傷を負わせ、逮捕される。
二階堂 周作 (にかいどう しゅうさく)
水谷ボクシングジム所属。里山活樹の幼なじみの乱暴者。里山活樹が2年生になった時、17歳の1年生として光陽高等学校に入学。
宮川 光 (みやがわ ひかる)
坂野台高校2年。里山活樹のインターハイ東京都予選決勝の相手。逃げのボクシングで里山活樹を苦しめる。
加納 健志郎 (かのう けんしろう)
里山活樹のインターハイ第一回戦の対戦相手。富山県代表、赤岡商業。長身でリーチが長い。1ラウンド36秒RSCで敗退。
鬼島 銀次 (きじま ぎんじ)
里山活樹のインターハイ第二回戦の対戦相手。埼玉県代表、豪南学園。
鬼島 金造 (きじま きんぞう)
銀次の父親。黒服、サングラスの部下を引き連れている。ヤクザの親分のような風体と言動の持ち主。
戸田 純平 (とだ じゅんぺい)
里山活樹のインターハイ第三回戦の対戦相手。大阪府代表、能天寺高校。前年の優勝者で連覇を狙う。
大島 幸男 (おおしま ゆきお)
光葉高等学校校長。教育方針は「明日があるさ」。ボクシングファン。策略を使って八五郎を新ボクシング部の顧問に迎え入れる。
堂島 (どうじま)
水谷ボクシングジム所属のボクサー。パンチパーマと口ヒゲが特徴。ジムに入門した会員を逃がさないため、スパーリングでワザとダウンされる係。
里山 きく (さとやま きく)
里山活樹、茶紀兄妹の母方の祖母。里山活樹の実父が赤松であることを知らずにいる。
境 (さかい)
水谷ボクシングジムのマネージャー。
船田 銀二郎 (ふなだ ぎんじろう)
光陽高等学校、旧ボクシング部の元キャプテン。喧嘩のためにボクシングを始めたがトレーニングに飽きて顧問を暴行し、旧ボクシング部を廃部(実は休部)に追い込んでしまった張本人。
田代 (たしろ)
不良。船田の取り巻きの一人。
佐久良 正 (さくら ただし)
水谷ボクシングジム所属のプロボクサー。八五郎のファンでボクシングスタイルも似ている。
半沢 みのり (はんざわ みのり)
浅倉高校新聞部所属。里山活樹、京太とは小中学校を通じての同級生。里山活樹を巡って水谷香月とライバル関係になるが、里山活樹は幼なじみ以上の感情を持っていない。情報通で、噂の震源地。
鶴田 (つるた)
光栄ジム会長。
南条 伝助 (なんじょう でんすけ)
かつて赤松隆介が所属した翔拳ジム元会長。
山野辺 正人 (やまのべ まさと)
売れない俳優。水谷香月の初恋の人。
内田 権造 (うちだ ごんぞう)
内田仁の父親。仁とは絶縁状態。詐欺寸前の手口で岬の父が経営する会社を窮地に陥れる。これに怒った仁に暴行され、重傷を負うが反省の色はない。
パンチ
『KATSU!』に登場する里山家の愛犬。犬種はボクサー。八五郎が務めていた会社の社長が、家族旅行のため、預けていったのだが、実は旅行ではなく夜逃げで、会社は倒産。パンチはそのまま取り残され、里山家で飼われることになった。夜逃げした社長は犬の名前を伝えていなかったので、茶紀がパンチと命名した。 散歩に出ると必ず全力疾走するため、里山活樹は否応なく走り込むことになってしまう。
集団・組織
光葉高等学校 (こうようこうとうがっこう)
『KATSU!』の里山活樹たちが通う高校。部活は盛んだがスポーツ名門校でもなく、学力もそこそこという普通の高校。
場所
11/1000 (せんぶんのいれぶん)
『KATSU!』に登場するするコンビニ。紀本の親が経営している。
その他キーワード
水谷ボクシングジム (みずたにぼくしんぐじむ)
『KATSU!』に登場するボクシングジム。水谷香月の父水谷剛史が経営している。
翔拳ジム (しょうけんじむ)
『KATSU!』に登場するボクシングジム。赤松隆介が所属していたが、赤松と会長の息子という二枚看板を相次いで事故で失ったために廃業を余儀なくなされる。会長の南条伝助は現在、そば屋を経営。孫娘理子がジムを再建。
光栄ジム (こうえいじむ)
『KATSU!』に登場するボクシングジム。内田仁が所属している。
書誌情報
KATSU! 9巻 小学館〈コミック文庫(青年)〉
第1巻
(2015-06-13発行、 978-4091930194)
第2巻
(2015-06-13発行、 978-4091930200)
第3巻
(2015-07-15発行、 978-4091930309)
第4巻
(2015-08-12発行、 978-4091930453)
第5巻
(2015-09-15発行、 978-4091930804)
第6巻
(2015-10-15発行、 978-4091930897)
第7巻
(2015-11-13発行、 978-4091930903)
第8巻
(2015-12-15発行、 978-4091931474)
第9巻
(2016-01-15発行、 978-4091931481)