LAND LOCK

LAND LOCK

刑法と少年法が改正され、未成年でも死刑判決が下されるようになった世界が舞台。死刑囚を移送する飛行機が外国の雪山で墜落したあと、事故で生き残った者たちが生き延びるためのサバイバル生活を描くサスペンス。全話フルカラーで、連載時は縦スクロールでの掲載となっていたが、単行本は横開きのページ構成となっている。「少年ジャンプ+」で2018年8月3日から2019年6月28日にかけて配信された作品。

正式名称
LAND LOCK
ふりがな
らんど ろっく
作者
ジャンル
サバイバル
関連商品
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あらすじ

堕ちた者たち

どこにでもいるふつうの高校生の雪村猟は、刑法と少年法が改正され、未成年でも死刑判決が下ることをニュースで知るが、自分には無関係のものだと両親や妹と平和に暮らしていた。しかしある日、何者かが雪村家に押し入って両親は殺害され、辛うじて一命を取り留めた妹も意識不明で病院に搬送された。その後、DNA鑑定や下足痕から、猟が犯人として逮捕され死刑判決が下される。その後、死刑囚たちは飛行機に乗せられ、地方の処刑場へ移送される途中でトラブルに見舞われ、雪山に墜落してしまう。突然の事態に混乱する猟だったが、足をケガした伊藤仁を発見し、まずは体温を確保するためにブランケットや毛布を探すことにする。足のケガで動けない仁は死を覚悟するも、二人分のブランケットを持って戻って来た猟に助けられる。吹雪を防ぐことのできる場所に避難しようとした二人は、錦豪が死刑囚を率いて占拠している機体にたどり着く。猟は機体に入れてくれるよう頼むが、錦からは満席だと拒否され、鏡ユキチからはここは日本ではない外国で、航路を外れた飛行機が発見されるのは困難であるため救助も来ないと告げられる。絶望する猟に対して錦は「力ずくで席を奪えばいい」と提案する。死刑囚の一人が、老いた囚人を機体の外に追い出した瞬間、仁がその空いた席に素早く座る。さらに、岬はるかが囚人の一人にレイプされそうになり、止めに入った猟は定春から殴り飛ばされ追い出されてしまう。一方、猟の担当刑事だった源藤は法務省からのメールの確認に手間取っていた。やっと受信したメールを確認すると、「移送は無事完了」と表示されていた。

雪村猟サイド

機体から追い出された雪村猟は、同じく追い出された老いた死刑囚をおぶってあてもなくさまよっていた。そんな中、おぶっていた老人が目を覚まし、猟から毛布を奪おうとする。もみあっているうちに二人は滑落し、老人は死んでしまう。猟も負傷して意識を取り戻した時、自分の目の前に男が立っていることに気づく。その男はなんと猟自身で、猟は「もう一人の自分」に攻撃され負傷する。命からがら近くの洞窟に逃げ込むが、先に避難していた三津井律に、背後から羽交い締めにされナイフを突きつけられる。なんとか振りほどくと、負傷していた三津井は力尽き意識を失う。応急処置が施された三津井は意識を取り戻すが、猟が死刑囚であることで警戒する。三津井は飛行機が墜落した混乱に乗じて錦豪定春が、自分以外の刑務官を皆殺しにしたと語る。その後、洞窟の奥に白骨化した遺体を発見し、壁に刻まれた地図と単語から、この場所が島であることを知る。猟は途方に暮れるものの、とりあえず食料を探すために洞窟の外を探索する。そこで、巨大な生物が狼と鹿を一瞬で殺す場面に遭遇する。見たこともない生物に動揺する猟だったが、その生物が残していった狼の死体を持ち帰り食料とする。当面はこの食料で凌(しの)げてもジリ貧である状況は変わらなかった。そんな中、雪山にいるはずのない緑色の蝶を見かける。そして蕾(つぼみ)をつけた枯れ草を見て、花が咲き蝶が生息する温かい場所があると希望を見出す。

錦豪サイド

風よけとして機体を占拠した死刑囚たちは錦豪定春が抑止力となり、集団はまとまりかけていた。そんな中、定春が錦を呼び出し、自分たちが殺した刑務官の死体が一つ多いことを伝える。しかもその死体はかなり以前に殺された様子で、服を脱がせてみると腹に地図らしきものが描かれていた。鏡ユキチが指摘したとおり、この雪山が外国であることも含め、相当危険な場所であると危機感を募らせる。そんな中、食料もない極限状態で錯乱した男の一人が機体から逃げ出し、錦は定春に殺すよう命令する。逃げた男を追う定春は、不自然に傷つけられた自分が殺した刑務官の死体を発見する。そこに巨大な狼が現れ、逃げた男を襲う。定春にも襲い掛かってきた狼を、右腕を犠牲にしながらも喉をガラス片で刺し殺して危機を脱する。定春はこの狼を食料にするため、逃げた男に運ぶのを手伝わせ機体へ戻ると、錦は逃げた男の首をへし折り殺害する。錦は「ここから逃げないこと」がルールだと宣言し、従うなら狼の肉を食わせてやると死刑囚たちに告げる。伊藤仁をはじめ、囚人たちは次々と肉に手を伸ばし、錦の支配構造が絶対なものとなる。吹雪が止んで見晴らしがよくなると、山に囲まれ何もないこの場所から逃げることはできないと、全員が覚悟する。ここで生きると心を決めた死刑囚たちは、殺した刑務官の持ち物や飛行機の残骸から使えそうなものを積極的に集めるようになる。ユキチが壊れたスマホから火を起こし、漏れ出た燃料を雪から抽出し、当面は寒さの問題は解決する。しかし、食料事情は深刻で交代でチームを組み、森で狩猟を行うことにする。まず定春のチームが森に入り、同行した仁は森で「もう一人の自分」に遭遇し、足を攻撃される。一方の定春は、機体で待機しているはずの錦と遭遇し腕を攻撃される。そして、その場には緑色の蝶が飛んでいた。

源藤サイド

自分が逮捕したとはいえ、雪村猟が一家殺害の犯人だとはどうしても思えず、源藤は捜査資料を見直していた。科学捜査班にも確認するが、DNA鑑定や下足痕、血痕、傷口の組織を再鑑定しても猟が犯人で間違いないという結論だった。新たな証拠を探し出すために訪れた保管庫で、蝶のマークがプリントされた封筒を見つける。その封筒は複数あり、中には診断書だと思われる書類が入っていた。しかもそれは、猟を含めた鏡ユキチ錦豪伊藤仁のもので、同じ日に飛行機で移送された死刑囚たちだった。生活環境も罪状も違う彼らの診断書が、いっしょに保管されていることに源藤は疑問を抱く。また、刑務官として同乗した三津井律は事故死していたことになっており、情報操作の疑念がますます深まる。件(くだん)の飛行機に搭乗した死刑囚の調書を調べていくうちに、ユキチが毒殺に使用した薬を調達した病院に仁が入院していたり、錦の母親が経営するキャバクラで岬はるかが働いていたりと共通点が見つかり、間接的につながりを持つことに気づく。そして、全員の調書に記されている「杜の蝶」という医療施設にたどり着く。また、1年前に諸刃東二を筆頭に移送された死刑囚たちにも蝶のマークが記された封筒の診断書が見つかり、意図的に死刑囚を同じ飛行機に集められるほどの強大な力を持った組織の関与が疑われる。そして資金源を辿ると、1年前と今回の死刑囚たちに縁のある施設や、企業すべてに資金を提供していたのは、「NIVA」という人物であることを知る。

仕組まれた事故

錦豪の説得に失敗した雪村猟三津井律は、錦側から離脱した岬はるかと共に島の熱帯部で焚火を発見する。ほかに人間がいることに、生きていく希望を見出す猟だったが、諸刃東二たちに捕獲されてしまう。捕らえられた猟たちは、二人を集落の捕虜として生かすために殺すべき一人を選ぶよう要求されるが、「生きる」という目的がいっしょなら協力すべきだと主張し、猟たちの処遇は一旦保留となる。諸刃たちは1年前に移送中の飛行機事故で、この島にたどり着いたと語る。1年で2度も死刑囚ばかりが飛行機事故でこの島に連れて来られたのは、何者かによって集められたのではないかと、疑念を抱く。数日が経ち、諸刃の仲間の一人が高熱を出し倒れる。病状を見た猟はマラリアだと判断し、薬となる木を諸刃と共に採取しに向かう。崖の端に生えている木を見つけ、崖が崩れながらも木を離さない猟を見た諸刃は次第に猟を信用するようになる。帰りに獣に襲われるも、諸刃が所持していた銃で撃退するが、銃の存在を明かしたのも信頼によるものだった。一方で、猟を締め上げた時に落とした果物から、錦たちも熱帯地域の存在に気づく。熱帯地域に足を踏み込れ、珍しい植物や虫に鏡ユキチのテンションが上がる中、死刑囚たちはこれで食糧難も解決すると安堵(あんど)する。しかし、さらに絶対的な力を欲している錦は、スパイとして送り込んでいたはるかを使い、集落に火を放ち、銃を盗むよう命じる。この言動に定春からやりすぎだと進言されるも、錦は暴力でみんなを黙らせ、生残った者を殺せと命令し、定春や伊藤仁、ユキチらが集落に送られる。しかし諸刃たちと対峙(たいじ)した定春は、武器を捨てて投降する。そして定春は、錦と自分のしたことの償いをさせて欲しいと諸刃たちに申し出る。そんな中、諸刃が持っていた「ニーバの祈り」のトレーディングカードを見つけ、定春は自分がいた児童養護施設で同じカードをもらったと話す。ユキチも父親が経営する病院で、NIVAがこのカードを配っていたことを思い出す。また、錦の母親が経営するキャバクラも、NIVAに出資してもらっていたと定春は話す。そして移送任務前に、三津井のもとにもこのカードが送られてきていた。さらに精神状態を確認するテストとしてみんなが同じテストを受けており、最後の問いには全員が「蝶」と回答したことが明らかになる。「特定の条件のもと、刑務官を含む全員がこの島に連れて来られた」という事実が諸刃から告げられると、猟たちは、この島で起こった事実を世間に公表するため、島にある四つの無線塔を同時に作動させる作戦を開始する。その頃、NIVAの存在を認識した源藤や、銃を手にした錦も動き出していた。

登場人物・キャラクター

雪村 猟 (ゆきむら りょう)

無実の罪で死刑を宣告された男子高校生。黒髪ミディアムヘアのごくふつうの外見をしている。何者かによって自宅で両親を殺害され、その犯人として逮捕された。「小春」という妹もいるが、その事件で重症を負い、現在は意識不明で入院している。根がまじめな善人で、飛行機が墜落して雪山で絶体絶命の状況にあっても、生き残った全員で無事に帰るという希望を捨てなかった。その性格から、雪村猟自身に危害を加えようとする人間でさえも助けてしまう。自分の意見をはっきり言うタイプだが、戦闘力は凡人並で錦豪など喧嘩(けんか)慣れした相手からは暴力を振るわれている。また、死刑を宣告されているにもかかわらず、いまだに猟自身の無実を証明することをあきらめていない。また、幼い頃から猟師の祖父にサバイバル知識を教えこまれていた。山で罹(かか)る病気に詳しく、ケガの応急処置を行うことができ、動物の解体もこなすため、三津井律を助けた際にはそのスキルと性格により信頼を得た。両親殺害事件の担当刑事だった源藤からは猟の逮捕に疑問を持たれており、死刑判決が出たあとも気にかけられている。

錦 豪 (にしき ごう)

日本最大の暴走族「菊壱連合」の総長を務めていた男性。グレーの髪をオールバックにし、大柄ながっしりした体型で、全身に虎柄のような刺青(いれずみ)が入っている。母親は歌舞伎町でキャバクラを経営している。弟分の定春からは非常に慕われている。自由であることにこだわりを持ち、刑務所など自分を拘束するものはどんなことであっても排除しようとし、そのためには人を殺すことも厭(いと)わない。暴力を振るって錦豪自身の要求を通すスタイルではあるが、怒りに任せた暴力でなく、非常に冷静に物事を見極め冷徹に判断を下す。暴走族を率いていた時は、薬物をはじめとした違法な犯罪行為を禁止していたが、ルールを破った者は錦が壮絶なリンチを加えるため、もし一度でも捕まっていれば確実に刑務所送りとなっていた。長年警察にマークされており、錦の担当となった刑務官は特別手当が出るほどである。自分たち死刑囚を移送する飛行機が墜落したのをチャンスととらえ、自由を得るために囚人たちをまとめ上げ、日本に帰らず生き抜くことを決める。

伊藤 仁 (いとう じん)

長髪をうしろで束ねた死刑囚の男性。高校生の雪村猟と同年代。気が弱く強い者に流されるタイプで、自分勝手な性格をしている。自分に対して言い訳ばかりで、他人よりも自分を優先する。罪状は強盗致死と放火。幼少期に父親から保険金目当てで殺されかけた過去を持つ。死刑囚を輸送する飛行機の墜落事故で足をケガして猟に助けられるが、錦豪の力に屈し、猟とは別行動を取ることになる。意外と情報通で、死刑囚たちのことを何も知らない猟に、錦や鏡ユキチの危険性を説いた。

鏡 ユキチ (かがみ ゆきち)

少年法改正後に初めて死刑判決を受けた男子高校生。水色の髪のオカッパ頭で、華奢(きゃしゃ)な体型の中性的な外見をしている。父親は大病院の院長を務めている。全国模試でトップの常連になるほどの学力を誇り、学校では成績優秀者で編成される特進クラスに在籍している。好奇心が非常に旺盛で、自分の衝動に素直に従い行動する。鏡ユキチ自身が通っていた学校の生徒を100人も毒殺し、自首して死刑判決を受けた。気圧と気温から飛行機が墜落した場所が日本ではないと推測。また化学知識が豊富で、壊れたスマホの電池から火を起こしたり、飛行機の断熱材を体にまとい寒さを凌いだり、燃料が漏れ出た部分の雪を水と燃料に分離させたりと、集団において非常に役立つスキルを身につけている。しかし性格に難があり、ユキチ自身の知識を他人に教えようとはせず、それどころか言葉巧みに分離させた燃料を人に飲ませるなど、他人を馬鹿にした態度を見せる。その知識量から錦豪からも使える奴だと判断され、自由に振る舞っている。

岬 はるか (みさき はるか)

飛行機事故で生き残った女子大学生。母親を滅多刺しにして殺害し、殺人と死体損壊で死刑判決を受けた。過去のトラウマから解離性同一障害を患っており、主人格である「ミサキ」は心の弱いふつうの女の子だが、もう一人の人格である「ハルカ」は残忍な性格で、生き残るためなら人を殺すことも厭わない。母親を殺したのもハルカの人格時である。逮捕されるまでは錦豪の母親が経営するキャバクラでバイトしていた。飛行機の墜落事故により解放された死刑囚の一人にレイプされそうになったことで、ハルカと人格が入れ替わる。生きるために錦側につき、雪村猟と三津井律の動向を伝え、諸刃東二の集落に火を放って燃やし尽くした。

定春 (さだはる)

日本最大の暴走族「菊壱連合」のNo.2を務めていた青年。金髪で顔に大きな傷痕がある。ふつうの体型ながら相手に暴力を振るうことに慣れており、飛行機の墜落の混乱に乗じて錦豪と共に刑務官数人を殺害した。暴走族時代はルールに背いた者に対して容赦なく制裁を加えていた。施設の出身で、子供の頃は顔の傷痕のせいで里親が決まらず、親という存在を知らずに育った。施設を出てからは知り合いの家を転々とし、さまざまな不良と連むうちに不良の世界で名を知られるようになった。圧倒的な力で恐れられている錦にあこがれ、タイマンでの喧嘩を挑み続けるが全敗し、舎弟となる。錦の命令に絶対服従しているが、飛行機が墜落してからのやり方に疑問を抱き、錦の暴走を止めるべきかを思い悩んでいる。

源藤 (げんどう)

雪村猟を担当した男性刑事。定年退職を目前にして、一家殺害事件の犯人が猟だとはどうしても思えず、死刑判決が出たあとも独自で捜査を開始した。肺癌を患っているが、かなりのヘビースモーカーである。パソコンなどのデジタル機器に弱く、メールの確認や情報の収集は部下に任せている。足を使った聞き込みで捜査を進めるスタイルを長年続けており、まず現場に出向くことを第一としている。猟たち死刑囚を移送する飛行機からの信号が途絶え、同乗している刑務官の三津井律が搭乗前に事故死したことになっていたことに疑念を持ち、調査の結果、ついにNIVAの正体にたどり着く。

諸刃 東二 (もろは とうじ)

雪村猟たち死刑囚が飛行機で墜落した島の集落でリーダーを務める青年。過去に右眼を失っており、現在は左眼のみで見ている。実はその集落の人間は全員元死刑囚で、猟たちと同様に飛行機事故で島にたどり着いた。島の亜熱帯のエリアで、狩猟と採取の生活を営んでいる。自分たちと同乗していた刑務官から銃を奪い武装しているが、銃がなくても武道の心得があり、素人なら相手にならない。もともとはNIVAが出資していた刑法改正を反対する極左組織でリーダーを務めており、デモ活動の際に部下を銃殺されている。過去も現在も部下からの信頼は厚く慕われている。猟たちから話を聞くことで、飛行機事故に作為的なものを感じ、黒幕の存在を感じ取る。

三津井 律 (みつい りつ)

雪村猟たちが移送された飛行機に同乗していた若い女性刑務官。赤い髪色のショートヘアで、巨乳の持ち主。飛行機が墜落した際、錦豪と定春が刑務官を殺害する中で逃げ出したが、その時に左眼を負傷。瀕死(ひんし)のところを猟に助けられた。過去に、近所に住んでいた元犯罪者に妹を殺されたことから、犯罪者が更生することを信じていない。それが死刑囚ならなおさらで、一度犯罪を犯した者はクズであると認識して厳しく接する。しかし、献身的に自分を介抱する猟には次第に心を開いていく。格闘技に精通し、投げ技を得意としている。通常の絞首刑は執行ボタンを五人の刑務官が押し、誰が殺したかわからなくして心の負担を軽くするシステムを取っているが、三津井律は人員の無駄を省くため、一人ですべてのボタンを押すと提案するほどメンタルが強い。

NIVA (にーば)

SNSで話題になっている謎の人物。オンラインで講演会を催しており、参加者は秘密保持契約を締結させられ、内容を口外することはできない。NIVAの60分の講演は書籍一万冊にも値するとされ、講演会のチケットは発売から1分で完売するほど人気がある。数々の事業に投資し、総資産は100億円以上とも言われ、一般的には「偉大な投資家」と形容されている。ちなみに「NIVA」の名は、「ニーバの祈り」というグリーティングカードから引用して名乗っている。ビッグデータにアクセス可能なシステムを使い、機密情報を改ざんし、人間を意のままにあやつる。死刑囚を移送する飛行機事故では裏で手を引いていると噂されており、過去に諸刃東二が率いていた極左組織に資金援助もしていた。また、鏡ユキチの父親の病院や、錦豪の母親が経営するキャバクラ、定春がいた児童養護施設にも出資している。死刑囚と刑務官にテストを受けさせ、意図的に集めた人間を気象システムのある島へ「飛行機事故」として送り、極限状態での行動を観察している。メインシステムサーバーは、受刑者矯正施設「杜の蝶」の地下にある。空木空がNIVAのアンチとして自費で告発本を出版したが、ネットでNIVA信者に叩(たた)かれて炎上し、情報操作の末に「杜の蝶」に収容され表舞台から姿を消した。しかし、NIVAは空木空の体を使って、源藤と画面越しで面会している。

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