JKども、荒野をゆけ

JKども、荒野をゆけ

宇宙に浮かぶ「学園艦ハイヤーセルフ」から過酷な環境の死の惑星「死刑星」へ追放された少年カシコが、そこでたくましく暮らす女子高校生たちと協力し、苦難を乗り越えていく姿を描いたSFコメディ。「月刊ヤングキングアワーズ」2018年4月号から2019年11月号にかけて掲載の作品。

正式名称
JKども、荒野をゆけ
ふりがな
じぇいけーどもこうやをゆけ
作者
ジャンル
サバイバル
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あらすじ

JKと死刑星

宇宙に浮かぶ「学園艦ハイヤーセルフ」で書記を務める執行委員の少年「α20451」は、学園長が提案する議題に疑問を示したことを咎められて放校処分となり、生徒会長の手で「死刑星」へと放逐されてしまう。不毛な大地が広がる死刑星は到底人間が生きていける環境ではなかったが、α20451は現地で三人の女子高校生のエルモなびこらぐどーると出会う。α20451はエルモから「カシコ」という新しい名前をつけられ、彼女らと協力して死刑星でサバイバル生活を送るようになる。地中に埋まっているさまざまな道具を活用して砂漠を徘徊する砂虫を狩り、過酷な環境を生き抜いていく一行。そんな生活をする中で、カシコは道具から出題される問題を解けば、道具本来の力を100%引き出せることに気づく。その力を利用し、カシコはさまざまな場所から人を集めてJK村を作ろうとしていた矢先、エルモたちと対立する女子高校生のグループ「チョベリバの人たち」に襲撃され、カシコたちは彼女たちの本拠地である村「428」へと連行されてしまう。交渉の末、チョベリバの人たちと和解したカシコは428に放置されていたロケットを修理して、みんなで学園艦ハイヤーセルフへ乗り込むことを決意。修理完了後、死刑星へ残ることを決めたエルモ以外はロケットに乗り込むが、打ち上げ後にロケットの管理ロボが起動し、カシコたちに問題が出題される。そしてこの問題に全問正解できなかったため、ロケットの機能が停止してしまう。ロケットが地上へと落下する中、カシコは数に限りのある脱出用ロッカーにほかの仲間を乗せ、一人ロケットへと残るが、そのまま座して死ぬことをよしとしなかったカシコは、ロケットに搭載されていた自動車に乗り込み、地上へと落下。地上で待機していたエルモたちの死に物狂いの救出作業によって、カシコは無事に地上に降り立つのだった。

新たな未来

再び「死刑星」に落ちたカシコは、ロケットを壊した罪でチョベリバの人たちの襲撃を受けるが、チョベリバのリーダーの計らいで国語教師を連れて逃亡に成功する。そんなカシコたちの行動を「学園艦ハイヤーセルフ」から観察していた生徒会長は危機感を感じ、自ら死刑星へと降り立って彼らを処分することを決断。国語教師のアドバイスを聞き入れ、南極へ向かっていたカシコ一行を追跡しようとする生徒会長だったが、生徒会長が放校処分を受けたとカンちがいしたカシコたちに招き入れられ、なかなか目的を果たすことができないでいた。そんな中、カシコ一行は崩壊した謎の建造物を発見する。そこは学園艦ハイヤーセルフと同じ素材で作られた学校で、中に入ったなびこらぐどーるは催眠状態になり、かつて学園艦ハイヤーセルフで行われていた授業での風景を繰り返すようになる。一人はぐれたエルモは、学園艦ハイヤーセルフを追放された教師のゆめかわと遭遇。ゆめかわはエルモに対し、死刑星は「地球」の環境を再現した星で、学園艦の生徒が授業で使うための教習所にすぎないということを知らされるのだった。一方、なびこたちと合流したカシコは、物理教師の調査によって、女子高校生を含む自分たちが人間ではないことを悟ってしまう。砂虫の力を借りて、校舎から脱出したカシコ一行は近くの洞窟で電車を発見。電車に乗って南極点へと到達する。南極点には多数の生徒の墓場があり、学園長から分離した存在である墓場の学園長がいた。墓場の学園長から、学園艦ハイヤーセルフは滅びた人間が残した遺産であり、ハイヤーセルフに住む生徒は完全児と呼ばれる人工的に作られた人類であることを知る。自分たちが完全児を教育するための「知育玩具」にすぎない事実を知ってもなお前を向き、希望をつなごうとするカシコたちの姿を見た墓場の学園長は、南極点と学園艦ハイヤーセルフをつなぐ通路を構築。それを利用して学園艦ハイヤーセルフへと戻ったカシコとエルモは学園長と対峙するが、そこでエルモが学園艦ハイヤーセルフから宇宙へと放逐されてしまう。カシコは自らが出題した問題を生徒会長に解いてもらい、知育玩具としての能力を100%解放。宇宙へと飛び出してエルモを救うのだった。

登場人物・キャラクター

カシコ

宇宙に浮かぶ「学園艦ハイヤーセルフ」で暮らしていた執行委員の少年。眼鏡を掛けており、役職は書記を務める。柔和な性格で、他者との協調性を大切にしており、生まじめで知的な雰囲気を漂わせている。学園艦ハイヤーセルフの中では「アルファ」と呼ばれる上級階層の人物で、「α20451」という名前だった。だが、学園長の出す議題に疑問を抱いた罪により、生徒会長によって身一つで荒野が広がる「死刑星」へと落とされてしまう。そこで三人の女子高校生のエルモ、なびこ、らぐどーると出会い、不毛の大地でサバイバル生活を送ることとなる。女子高校生よりも格段に賢いことからエルモに「カシコ」という名前をつけられ、本人もその名を受け入れている。死刑星での生活では自由奔放な三人の女子高校生に振り回されているが、彼女たちのサバイバル能力を頼りにしている。しかし、地中に埋まっている道具の本来の使い方に気づき、死刑星での暮らしに新たな発見をもたらす。自らの存在意義を認識したあとは、みんなと協力して死刑星の脱出を目指すようになる。過酷なサバイバル生活の中で、純粋で他人を思いやる優しさを持つエルモに強く惹かれていく。実は人間ではなく、学園艦ハイヤーセルフに住んでいる生徒、完全児を教育するために高度な技術で作られた道具の一種。カシコには自覚はなく、ただの人間だと思っていたが、冒険の途中で自分が人間ではないことに気づいてしまう。

エルモ

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女子高校生。腰まであるボリューミーなロングヘアが特徴の美少女。明るくて面倒見がよく、度胸があって腕っぷしも強いため、みんなから頼られるリーダー的な存在。「バイブス」「まじ卍」など、2010年代のJKの言葉を多用し、友達のことを「アモーレ」と呼び、勝手に適当な名前をつけている。なびこ、らぐどーるといっしょに死刑星でサバイバーな暮らしをしている。もともとは学園艦ハイヤーセルフで暮らす、「イプシロン」という下級階層の生徒で、そこでの名称は「ε20108」。学園のテスト用紙に「なぜうちのアモーレは死刑になったのか?」と書いたため、懲罰として死刑星へと落とされた。のちに「学園艦ハイヤーセルフ」から落とされた少年「α2045」に「カシコ」と名づけ、いっしょにサバイバル生活を送るようになる。カシコの加入で死刑星に散らばる道具の力を100%引き出せるようになったことをきっかけに、みんなで協力して学園艦ハイヤーセルフへの帰還を試みるようになる。非力ながら懸命にみんなを守ろうとするカシコの姿を見続けたことで、カシコに惹かれていく。実は人間ではなく、学園艦ハイヤーセルフに住んでいる完全児を教育するために高度な技術で作られた道具で、知育玩具の一種。しかしエルモには、その自覚がいっさいない。

なびこ

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女子高校生。ショートヘアの小柄な美少女だが、口うるさい皮肉屋。エルモ、らぐどーるといっしょに死刑星でサバイバル生活を送っていた。もともとは学園艦ハイヤーセルフで暮らしていた「イプシロン」という下級階層の生徒で、そこでの名称は「ε21092」。上級階級「ベータ」への昇級試験を受けたが落第し、生活態度が荒れたために懲罰として死刑星へと落とされた。男性に警戒心が強く、男女の色事も大嫌い。新たに仲間となったカシコに対しては「ハーレムになると思うなよ」と、出会って早々に釘を刺していた。表向きは強気に振る舞っていたが内面は繊細で、死刑星へ落とされたことがトラウマになっており、「学園艦ハイヤーセルフ」に帰りたいと思っている。就寝中にうなされ、らぐどーるに慰められることもあった。当初はカシコをどうでもいい存在と思っていたが、仲間を守る気概にあふれるカシコのことが、異性として気になっていく。実は人間ではなく、学園艦ハイヤーセルフに住んでいる完全児を教育するために高度な技術で作られた道具の一種。しかしなびこには、その自覚がいっさいない。

らぐどーる

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女子高校生。ツインテールの髪型をした瞳の大きな美少女。おっとりとした性格で、アクシデントをものともしない肝の据わった不思議ちゃん。エルモ、なびこといっしょに死刑星でサバイバルな暮らしをしている。もともとは学園艦ハイヤーセルフで暮らしていた「デルタ」と呼ばれる下層階級の人物で、そこでの名称は「Δ20000」。口外できないさまざまな問題を起こしたことで、死刑星へと落とされた。男好きなサークルクラッシャー体質で、新たに仲間に加わったカシコに強い興味を抱き、JKたちを一掃するために死刑星までやって来た生徒会長にも色仕掛けでせまっていた。実は人間ではなく、学園艦ハイヤーセルフに住んでいる完全児を教育するために高度な技術で作られた道具の一種。しかしらぐどーるには、その自覚がいっさいない。

生徒会長 (せいとかいちょう)

宇宙に浮かぶ「学園艦ハイヤーセルフ」で暮らしている執行委員の少年で、完全児の一人。役職は生徒会長を務めており、端正な顔立ちをしたリーダー然とした少年。厳格な性格で、学園長に逆らう者を容赦なく死刑星送りにしている。学園長に疑問を持つ書記のカシコを死刑星送りにするが、彼らが団結して学園艦ハイヤーセルフへ戻ろうとしていることに危機感を抱き、自ら単独で死刑星に降り立ち、カシコたちを処分しようとする。冷徹な人物に見えるが、内面は繊細で気が弱く、生徒を死刑星送りにするとしばらくは食事もできないほど落ち込んでしまう。そのため、カシコたちを追跡している際も、手を下すことができなかった。学園艦ハイヤーセルフが、完全児のために旧人類によって作られたことを知っている数少ない人物。学園艦ハイヤーセルフがディストピアであることは理解しているが立場上、学園長に逆らうことができずにいる。エルモからは「ロココ」というあだ名で呼ばれていた。

チョベリバのリーダー

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女子高校生。仮面で素顔を隠している茶髪の少女で、チョベリバの人たちと呼ばれる女子高生の集団を率いているリーダー的な存在。エルモたちとは以前から対立しており、たびたび抗争を繰り返している。ほかのメンバーと異なり、寡黙で自らはしゃべることはないが、ナップサックに入れた携帯電話で通話してくる国語教師の声をスピーカーで流し、つねにその指示を仰いでいる。カシコたちを襲い、自分たちの本拠地である「428」に連行した。粗暴だが義理堅い性格で、のちにロケットでカシコたちに助けてもらった借りを、カシコたちを逃がすことで返していた。

物理教師 (ぶつりきょうし)

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女性型の教師ロボット。もともとは「学園艦ハイヤーセルフ」で教師をしていたロボットで、かつては生徒に物理を教えていた。現在は半分壊れており、チョベリバの人たちの本拠地「428」にある牢屋に入れられている。経年劣化のせいで、言動がおかしくなっており、たびたび頭部を外して不気味な内部を他人に見せていた。自らの脳が人間と違うことを気に病み、人間の脳と同じにするために、カシコたちの脳をサンプルとして提供させようとする。

音楽教師 (おんがくきょうし)

荒野が広がる「死刑星」で暮らしている女性型の教師ロボット。もともとは学園艦ハイヤーセルフで教師をしていたロボットで、かつては生徒に音楽を教えていた。半分壊れかけており、チョベリバの人たちの本拠地「428」にある牢屋に入れられている。右目が外に飛び出すというグロテスクな姿で、言動のほとんどがおかしい。のちに廃墟となった学校に生徒たちを集め、無理やり音楽の授業をしようとしていた。

ロケットの管理ロボ (ろけっとのかんりろぼ)

チョベリバの人たちが暮らす本拠地「428」に置かれていたロケットの組み込まれた管理ロボット。カシコたちが学園艦ハイヤーセルフに乗り込むため、修理したロケットを打ち上げた際に起動し、カシコたちに問題を出題していた。カシコたちが問題に全問正解できなかったため、宣言どおりロケットを墜落させてしまう。

副生徒会長 (ふくせいとかいちょう)

宇宙に浮かぶ「学園艦ハイヤーセルフ」で暮らしている執行委員の少年。役職は副生徒会長を務めている。非常に生まじめな性格で、眼鏡を掛けている。激務で忙しい生徒会長を影ながらサポートしている。女性が大好きで、カシコたちを処分するために「死刑星」に降り立った生徒会長をうらやましがっていた。生徒会長には従順だが、彼の内面が気弱なことをよく理解しており、生徒会長がカシコらに手を下せないことを正確に予見していた。

学園長 (がくえんちょう)

「学園艦ハイヤーセルフ」を統べている絶対的な存在。声だけで執行委員に指示を出しており、その姿を生徒たちに見せることはない。学園長自身の意向に逆らう者に対してはいっさい容赦せず、懲罰として生徒会長に命じて「死刑星」送りにしている。その正体は滅びた人間によって作られた脳の模造品。もともとは人間の脳と同じだったが、理性を司る人の脳と感情を司る犬の脳の二つが分離し、最も原始的なトカゲの脳の部分だけが残った。学園艦ハイヤーセルフを維持することのみに腐心しており、環境を変えようとする者は不穏分子として徹底的に排除する。学園の年少組からは「ママ」というあだ名で呼ばれていた。

国語教師 (こくごきょうし)

チョベリバのリーダーのナップサックに入った携帯電話に連絡を入れ、スピーカーで他者と会話をしている謎の存在。「学園艦ハイヤーセルフ」で教師をしていたロボット教師であると名乗っていたがそれは虚偽の情報で、実際は学園長から分かれた精神体のような存在で、感情を司る犬の脳の部分。カシコたちにさまざまなアドバイスを送っていた。

墓場の学園長 (はかばのがくえんちょう)

「死刑星」の南極にある墓場に住んでいる、精神体のようなもの。学園長から分かれた存在で、理性を司る人の脳の部分。墓場に訪れたカシコたちに「学園艦ハイヤーセルフ」の真実を語っていた。カシコたちの希望を捨てない前向きな姿勢に感じ入り、学園艦ハイヤーセルフへ戻る道を開いた。

ゆめかわ

「死刑星」に打ち捨てられた廃墟の学校に住んでいた教師を務めるロボット。見た目は幼い少女だが、口調は大人っぽく、あらゆる知識に精通している。穏やかな性格でエルモと出会った際は、「学園艦ハイヤーセルフ」の真実を教えていた。少々さみしがり屋なところがある。

集団・組織

チョベリバの人たち (ちょべりばのひとたち)

「死刑星」に住んでいる女子高生の一団。チョベリバのリーダーを頂点とする共同体で、「428」と呼ばれる村を拠点にして、みんなと協力して暮らしている。難解なギャル語を使うためにコミュニケーションを取るのが難しく、エルモたちとは対立し、抗争を繰り返している。

場所

学園艦ハイヤーセルフ (がくえんかんはいやーせるふ)

宇宙に浮かぶ巨大な宇宙船。学園長が支配しており、多くの完全児を教育し、滅びた人類の生活を再現している。幼児から高校生までが暮らしている。館内での教育に使用される人間を模した「知育玩具」には「アルファ」「ベータ」「デルタ」「イプシロン」といったランク付けがされている。知育玩具には道具の自覚がなく、単なる人間だと思っている。艦内で粗相をした者や成績不良な者、学園長のやることに異議を唱えた者は容赦なく放校処分となり「死刑星」へと放逐されて事実上死刑になる。

死刑星 (しけいせい)

不毛の大地が広がる死の惑星。「学園艦ハイヤーセルフ」を放校処分になった者が、身一つで放逐される流刑の地。砂虫が跋扈(ばっこ)する非常に危険な空間で、多くの者はなすすべなく息絶えてしまう。本来は地球の環境を模して造られた教育用の星で、地中には無数の道具が埋まっており、自由に使うことができる。

その他キーワード

砂虫 (すなむし)

「死刑星」に生息しているムカデのような姿をした巨大な生命体。砂に潜み、砂を掘り進むことから「砂虫」の名で呼ばれている。戦闘能力が高く、エルモたちは道具を駆使したコンビネーション攻撃で砂虫を狩り、食料としていた。見た目とは裏腹に肉は非常に美味で、死刑星に生きる者たちの貴重なタンパク源になっている。粘着汚れをふき取るために体液が使われるなど、無駄な部分がない。本来は人間によって作られた農耕動物の一種で、生徒の非常食でもある。そのため、人間が命令すれば従順に従う。

完全児 (かんぜんじ)

かつて人類が滅びる前に遺した新たな人類。頭脳明晰で長寿を誇り、見た目が美しいのが特徴。「学園艦ハイヤーセルフ」をはじめ、宇宙全体に散らばって暮らしており、それぞれのエリアでかつての人類の生活を再現している。

道具 (どうぐ)

完全児のために人類が作り、「死刑星」に遺した知育用の実用品。農耕用のクワや火炎放射器、ロケットなど、さまざまな道具が存在している。そのままでも使うことができるが、道具から出題される問題に正解すると100%の力が発揮されるようになる。カシコたちもその道具の一種で、「学園艦ハイヤーセルフ」に住む完全児を教育するための「知育玩具」だった。

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