概要・あらすじ
中学生活最後の夏休み。聡は、友人の守宏、柊美香、真一たちと船で雉島に旅行に出かけた。しかし、突然発生した巨大な津波に船は飲みこまれ、聡は気が付くと1人島に流れ着いていた。放浪の末に乗っていた船を発見するが、船内は凄惨な状態だった。息絶える寸前の男性から託された鍵で船室を開けると、そこには柊美香がいた。
2人は生き延びる事を決意し、島を歩き回る中で暁源三と出会う。星を観察する学者だという彼に連れられた先で真一とも再会。喜ぶ3人の傍らで、暁源三は、東京の恐るべき現状を知っていた。さらに、生き延びた人々の一部にも異変が生じ始めていた。
登場人物・キャラクター
聡 (さとし)
中学3年生の男子。聡は、友人の守宏、柊美香、真一たちと船で雉島に旅行に出かけた。しかし、突然発生した巨大な津波に船は飲みこまれ、気が付くと1人島に流れ着いていた。7日間の放浪の末、乗っていた船が漂着しているのを見つけ、中に閉じ込められていた柊美香と再会する。2人で放浪を続ける中で暁源三と出会い、彼が保護していた真一とも再会。 流れ着いた島が目的地としていた雉島であることを知る。暴徒と化した大人たちや、一馬秋彦によって何度も危機に陥るが必死に生き延び、その後出会った大和香奈、貴理子、大和香奈、大和耕太、白川由加利、大島夏たちと協力しながら生活する。 次第に自分たちが置かれた想像を絶する状況を理解し、逞しさを身に付け、希望を探して生き続けようとする。
柊 美香 (ひいらぎ みか)
ボブへアーの女子。中学3年生。中学生最後の夏休みに、聡、守宏、真一、友坂たちと船で雉島に旅行に出かけた。しかし突然発生した巨大な津波に船は飲みこまれてしまう。乗り合わせていた医師の赤谷と共に船内の怪我人たちの治療をして回るが、赤く溶けていくような太陽が現れた後に人々がおかしくなり、デブに襲われそうになる。 赤谷によって1室に隔離されていたところを、聡に助け出され再会。その後、聡と行動を共にし、暁源三の保護の下で真一、大和香奈、貴理子、大和香奈、大和耕太、白川由加利、大島夏たちと生き延びていく。聡に好意を持っている。
真一 (しんいち)
逞しい身体の男子。中学3年生。中学生最後の夏休みに、聡、柊美香、守宏、友坂たちと船で雉島に旅行に出かけた。津波に巻き込まれるが、暁源三に保護されていたところを聡、柊美香と再会し、共に生き延びる。その後に出会った大和香奈とは度々反発し合っているものの、お互い意識し始めている。 喧嘩が強く、デブなどの敵との戦いでは主力として活躍する。
守宏 (もりひろ)
眼鏡をかけた男子。中学3年生。中学生最後の夏休みに、聡、柊美香、真一、友坂たちと船で雉島に旅行に出かけた。真面目で大人しく、聡とは親友同士。津波に巻き込まれた際に、聡の手を掴んでいたが海に飲み込まれた。聡、真一、大和香奈、貴理子、大和香奈、大和耕太、白川由加利、大島夏が生活していた学校に現れるが、その顔は聡への復讐に燃える恐ろしい形相だった。
友坂 (ともさか)
中学3年生の女子。中学生最後の夏休みに、聡、柊美香、真一、守宏たちと船で雉島に旅行に出かけた。柊美香の親友だが、喫煙をするなど他の友人たちより大人びている。船が津波に飲み込まれた際に腹部に大怪我を負い、同じ船に乗り合わせていた医師の赤谷から治療を受けていたが、デブに襲われる。
赤谷 (あかたに)
頭頂部が禿げ、口髭を生やした男性。横浜に勤務していた医師。免疫を専門としている。乗っていた船が津波に飲み込まれ、柊美香と共に怪我をした乗客たちの治療をする。その後、赤く溶けていくような太陽が現れた後で船内の人々の様子がおかしくなるが、その原因を見破り、1人変化の無い柊美香に対して生きろと言い残して去っていく。 1人島に漂着した聡に瀕死の状態で発見され、彼に鍵を渡した。
デブ
太った男性。聡たちが乗船した船の新人船員。仕事ができる方ではなく、他の船員たちに迷惑をかけていた様子。船が津波に飲み込まれた後、食料を余計に食べてしまい苛められていた。見かねた赤谷に助けられ、柊美香から治療を受ける。船内から赤く溶けていくような太陽を見て様子がおかしくなり、他の人々を襲い出す。 雉島の天文台に、全身を包帯で巻かれた姿で一馬秋彦と共に現れる。一馬秋彦 の言いなりになって、柊美香、真一を襲う。
暁 源三 (あかつき げんぞう)
無精髭を生やした男性。雉島の天文台で星を観測している。初登場時26歳。雉島に漂着した聡、柊美香、真一たちを助け、彼らと共に生き延びるために戦う。後に共に暮らすようになる貴理子、大和香奈、大和耕太、白川由加利、大島夏も含め、子どもたちの保護者的存在。 科学知識に長け、津波の発生や、人々が暴徒と化した原因を推測していく。やがて自らの身体にも異変が起きつつあることを察知しながらも、子どもたちを守るために必死で戦い続ける。
貴理子 (きりこ)
髪が長く日に焼けた少女。小学校4年生。雉島にある神社の神主の娘。倒れていたところを聡と暁源三に発見された。2人を網元の住む家に案内する。父を亡くした事を知るが、気丈に振舞っている。大和耕太と同じ学校に通っていた。
網元 (あみもと)
角刈りの白髪に浅黒い肌の老人。雉島の漁師の元締めで、犬のアサヒと暮らしている。島で調査をする暁源三とは顔見知り。島が津波に襲われ、赤く溶けるような太陽が昇った後、猟師たちがおかしくなる中で1人平静を保っていた。しかし実際は既に身体に異変が起き始めており、精神力で抑えていたものの、やがて暁源三や聡たちに敵意を向ける。 以前から、島が移住者や観光客により汚されていくことに密かに怒りを覚えていた。
一馬 秋彦 (かずま あきひこ)
長い髪を後ろで結んだ少年。雉島に住む中学2年生。津波に襲われた後、混乱する雉島の人々の中で、デブを引き連れ暁源三、聡、柊美香、真一の前に現れる。津波の後、欲望を剥き出しにする大人たちをゲームのコマのように操って殺戮や破壊を繰り返し楽しんでいる。
大和 香奈 (やまと かな)
ショートヘアーで眼鏡をかけた少女。中学3年生。雉島に住み、津波の後で、暴徒と化した大人たちから逃れ、弟の大和耕太、白川由加利、大島夏と学校に避難した。後から逃げ込んできた聡、柊美香、真一、貴理子、暁源三たちと生活を共にするようになる。理系で機器の扱いなどに詳しいが、泳ぎが苦手。
大和 耕太 (やまと こうた)
逆立った髪に浅黒い肌の少年。鼻に大きな傷がある。大和香奈の弟。小学4年生で貴理子の同級生。雉島に住み、津波の後で、暴徒と化した大人たちから逃れ、姉の大和香奈、白川由加利、大島夏と学校に逃げ込んだ。襲われた恐怖から、後から逃げ込んできた聡たちを当初は全く信用しなかったが、後に聡を「アニキ」と呼ぶようになる。
三田 (みた)
左目の下に泣きぼくろがある男。一馬秋彦と共謀し、聡たちが暮らしている学校を襲い、子どもたちを支配しようと企んでいる。暁源三とは大学の研究所で同期だった。休暇で雉島を訪れた際に津波に襲われたが、その後、島で診療していた赤谷の弟である医師から、人々の身体に起きている異変の原因や、その異変が何故大人のみに起こるのかを聞いていた。