概要・あらすじ
21世紀初頭、地球規模の災害によって文明社会は崩壊した。その数百年後、戦乱の後に統一された日本国では、人々が王家の圧政に苦しんでいたが、山陰の白虎の村に生まれた少女更紗は、運命の子と予言された双子の兄タタラが死に、自分こそが真の運命の子である事を知る。
登場人物・キャラクター
更紗 (さらさ)
文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある白虎の村に生まれた少女。生まれた時に、村の予言者ナギから圧政を敷く王家から人々を解放する運命の子と告げられた双子の兄タタラと共に成長する。 しかし、常に兄の影で生きる事を余儀なくされ、その境遇に鬱屈したものを感じていた。十五歳になった時、日本西部を支配する王家の末子赤の王の軍勢に殺された兄の身替りになってタタラを名乗り、反乱に立ち上がる。 心優しい性格で、兄の身替りとなって過酷な戦いに身を投じて苦しんでいたが、様々な経験を通じて指導者として成長していく。互いの素性を知らずに出会った朱里を敵である赤の王とは知らずに、心惹かれていく。
揚羽 (あげは)
文明が崩壊した未来の日本国の遊牧民風の民の末裔である男。少女時代の更紗を庇って、日本西部の支配者である赤の王に左眼を斬られた。赤の王配下の武将四道とは奴隷だった少年時代以来、愛憎半ばする関係を持ち続けている。 日頃は、旅芸人一座マダム・バタフライ一座で女装して踊り子帰蝶となり、世間の眼から隠れている。不思議な因縁に結び付けられた更紗をしばしば助ける。
朱里 (しゅり)
文明が崩壊した未来の日本国を支配する王家の末の王子。首都である京都以西を領土とし、赤の王と呼ばれている。生まれた時に、「王に災いをもたらす」と予言され、疎まれて成長した。共に育った従兄の四道とは厚い信頼関係がある。 腐敗した王家の中にあって、開明的な思想を持ち、卓越した指導力で錵山など配下の武将達にも信奉されている。少年時代に、馬前を横切った更紗を無礼討ちしようとしたが、成長してから互いに素性を知らずに再会。 敵同士とも知らずに惹かれ合っていく。
千手姫 (せんじゅひめ)
文明が崩壊した未来の日本国の西部を支配する赤の王配下の武将四道の婚約者。王家に連なる姫であり、淑やかで聡明な女性。
夜刀 (やと)
更紗の愛馬。元々は双子の兄のタタラの愛馬であり、同じ乳で育った乳兄弟だった。タタラの死後、身替りとなった更紗と共に行動する。
座木 (ざき)
文明が崩壊した未来の日本国の九州南部で活動する海賊の副頭領。女頭領である茶々の恋人であり、常にその身を案じている。寡黙で頼りがいのある漢。
藍良 (あいら)
文明が崩壊した未来の日本国の関東を支配する王。日本西部の支配者赤の王の兄だが、残忍な性格。奴隷達を殺し合いさせて見物するのを楽しんでいたが、親衛隊長の浅葱に背後から操られている傀儡に過ぎない。
千草 (ちぐさ)
文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある白虎の村に住む更紗の母。運命の子と呼ばれた息子のタタラを殺すために、赤の王の軍勢が村を襲ってきた時に囚われた。
角じい (かくじい)
文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある白虎の村に住む無骨な老人。更紗とその兄タタラのお目付け役を務め、その成長を見守ってきた。更紗がタタラの身替りになって以後は、常に付き従い、その戦いを助ける。 その逞しい外見によらず、下戸である。
タタラ
文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある白虎の村に生まれた少年であり、更紗の双子の兄。誕生時に村の予言者ナギから、日本国を王家の圧政から解放する運命の子と予言され、周囲の期待を集めて成長する。 十五歳の時、白虎の村が運命の子を殺そうと来た錵山に殺される。
ナギ
文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある白虎の村に住む盲目の予言者。白い長髪と女性のような美しい容姿をした男性。村では医師であり、教師でもある。更紗とタタラが生まれた時、運命の子と告げた。 更紗の教育係であり、真の運命の子である事は隠していた。
茶々 (ちゃちゃ)
文明が崩壊した未来の日本国の九州南部で活動する海賊の頭領。額に独特の刺青がある、美しき女傑。副頭領の座木は恋人である。九州南部の朱雀の村へとやってきた更紗を捕え、売り飛ばそうとするが、一騎打ちを挑まれて破れ、仲間として認めた。
マダム・バタフライ一座 (まだむばたふらいいちざ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する劇団。文明が崩壊した未来の日本国の西部各地を巡業する旅芸人の一座。気風のいい女性座長に率いられ、団員の多くが戦災孤児出身者。女装した揚羽が、帰蝶と名乗り踊り子として紛れ込んでいる。 赤の王の軍勢に追われる更紗も、蘇芳の都で身を隠した。
王家 (おうけ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する一族。21世紀初頭に地球規模の災害によって崩壊した日本を戦乱の時代を経て統一した一族。首都の京に君臨する国王の下、四人の息子が国土を分割して統治している。 東北は黒の王、関東と中部は青の王、近畿は白の王、近畿以西の西部日本は赤の王がそれぞれ封じられている。
浅葱 (あさぎ)
文明が崩壊した未来の日本国の関東を支配する蒼の王の親衛隊長である美青年。傀儡に過ぎない蒼の王を影から操っていた。関東へ持ち去られた白虎の刀を探して関東へ向う更紗を、逃亡奴隷と誤解して捕えた。
錵山 (かざん)
文明が崩壊した未来の日本国の西部を支配する赤の王の家臣である武将。 赤の王である朱里に信服している、無骨で実直な武人。更紗の故郷である白虎の村を襲って滅ぼし、その母の千草を捕えた。
新橋 (しんばし)
更紗のペットであるフクロウの子供。遊牧民風の民である揚羽が飼っているフクロウ蜻蛉の子供だが、病弱で見放されようとしていたところを、双子の兄の影で育った自分の境遇と重ねた更紗が育てることを決めた。 灰色の毛並と円らな瞳、丸い体型が特徴。
四道 (しどう)
文明が崩壊した未来の日本国の西部を支配する赤の王の下で九州を統治する武将。赤の王である朱里とは、従兄であり親友の関係。遊牧民風の民である揚羽が奴隷だった少年時代からの縁がある。 普段は穏やかだが戦になると装甲騎馬軍団赤の雷神を率いて、鬼神の如く戦い、屍(仏)の山を築くために「仏の四道」と呼ばれる。親同士が決めた婚約者である千寿姫がいる。
蜻蛉 (かげろう)
更紗のペットであるフクロウの子供新橋の親。いつも遊牧民風の民である揚羽と傍らにある。揚羽と更紗の間の連絡を取ることもある。
ハヤト
文明が崩壊した未来の日本国の九州南部にある朱雀の村の長の末裔である少年。祖先が王家への反乱に立ち上がった事で、一族は奴隷の身分で落とされ、苦しい生活をしてきた。九州北部の都市大宰府で更紗と出会い、その仲間になった。 朱雀の村の長の証である朱雀の刀を受継ぐ。
赤の雷神 (あかのらいじん)
『LEGEND OF BASARA』に登場する集団。文明が崩壊した未来の日本国の西部を支配する赤の王が編成した装甲騎馬部隊。日本西部に封じられた赤の王が各地を平定する際に、圧倒的な戦力を発揮した。 九州南部にやってきた更紗を追撃するために、赤の王配下の武将四道が指揮した。
風の民 (かぜのたみ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する部族。文明が崩壊した未来の日本国の西部に居住していた遊牧民。数十年前に奴隷狩りの対象になって、ほぼ絶滅した。ただ一人の生き残りが、揚羽である。
場所
日本国 (にほんこく)
『LEGEND OF BASARA』に登場する国。21世紀初頭に地球規模の災害によって崩壊した日本に、戦乱の時代を経て成立した王家が支配する統一国家。京に首都を置き、三百年に渡って日本を支配している。 西部日本は砂漠化し、東京は水没、東北は服属しない勢力との戦闘が継続している。赤の王が統治する西日本以外では奴隷制も存続している。周辺海域には異国の船が出没しているが、対外政策に無頓着な王家のために何の対処も出来ない。
白虎の村 (びゃっこのむら)
『LEGEND OF BASARA』に登場する村。文明が崩壊した未来の日本国の山陰地方にある小さな村。更紗が生まれた故郷でもあるが、その十五年後に赤の王の軍勢に襲われて滅びた。
朱雀の村 (すざくのむら)
『LEGEND OF BASARA』に登場する村。文明が崩壊した未来の日本国の九州南部の村。かつて王家への反乱に立ち上がった者の子孫が暮らす村であり、その長には朱雀の刀を受継ぐ。更紗が大宰府で出会った少年ハヤトは、その長の末裔である。
蘇芳の都 (すおうのみやこ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する都市。文明が崩壊した未来の日本国の山陽地方西部にある都市。赤の王が支配する、西日本の首都。赤の王の開明的な政策によって繁栄している。
大宰府 (だざいふ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する都市。文明が崩壊した未来の日本国の九州北部に位置し、日本西部の支配者である赤の王配下の武将四道がここから九州全土を統治している。九州南部の朱雀の村へ向う更紗が、その長の末裔ハヤトと出会った。
その他キーワード
朱雀の刀 (すざくのかたな)
『LEGEND OF BASARA』に登場する武器。文明が崩壊した未来の日本国の王家の圧政に立ち上がった反乱者達が持っていた四本の刀の一つ。九州南部の朱雀の村の長の一族に受継がれていた。
白虎の刀 (びゃっこのかたな)
『LEGEND OF BASARA』に登場する武器。文明が崩壊した未来の日本国の王家の圧政に立ち上がった反乱者達が持っていた四本の刀の一つ。山陰地方にある白虎の村の長の家に代々受継がれていたが、運命の子を自覚した更紗が手にする。
運命の子 (うんめいのこ)
『LEGEND OF BASARA』に登場する言葉。文明が崩壊した未来の日本国で、王家の圧政から人々を解放するものと白虎の村の予言者ナギが告げた双子。兄のタタラが運命の子だと周囲に信じられていたが、それは真の運命の子である妹の更紗を守るための身替りだった。
クレジット
原作
BASARA (ばさら)
20世紀末、地球は滅亡の危機を迎える。そして300年後に運命の子、タタラが誕生する。荒廃した日本を救い新しい国をつくるためタタラは戦う。第38回小学館漫画賞。 関連ページ:BASARA