LUNA LUNA

LUNA LUNA

新米の魔法少女との出会いをきっかけに、1人の平凡な男子高校生が自身の過去と決着をつけるまでの過程を描くバトルファンタジー。数多く登場する魔法や技術が見所。「マガジンSPECIAL」2003年第8号から2004年第6号にかけて連載された。

正式名称
LUNA LUNA
ふりがな
るな るな
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

車椅子で生活している男子高校生・飛月裕慈は、ある日渋谷のクラブで、魔法使いを自称する少女キャス・ミンミンと出会う。キャスに魔法使いの王であるユージィン・オジオンだと誤解され、混乱する裕慈だったが、突如として襲撃して来たレブナントから逃げるため、彼女と行動をともにせざるを得なくなる。しかしその逃走劇の最中、キャスが裕慈をかばって致命傷を負ってしまう。

瀕死の状態にあるキャスに、傷を回復させるためには合体術を行うしかないと告げられた裕慈は、覚悟を決めてその準備を始める。

登場人物・キャラクター

飛月 裕慈 (ひづき ゆうじ)

聖ベケット学園に通っている黒いパーマの髪型をした男子高校生。1年前の航空機空中爆発事故で脚に障害を負ったため、現在は車椅子を利用している。信仰心は薄いが、真面目で勉強熱心な性格で、学園長であるマーガレットからの信頼は厚い。キャス・ミンミンとの出会いをきっかけに、法と闇の争いに強引に巻き込まれるが、その戦いを通して事故のトラウマと向き合う勇気を得る。 実はその身体に闇の王の心臓の破片を宿しており、事故の記憶がフラッシュバックして感情が昂ると、一種の暴走状態となってしまう。

キャス・ミンミン (きゃすみんみん)

整った外見と、床につくほどの長いツインテールの髪型をした新人魔法使いの女性。感情がすぐに顔に出るタイプで、思い込みが激しい性格。白鳥とデートの待ち合わせをしていた飛月裕慈を、逃亡中のユージィン・オジオンと勘違いして、一方的に護衛を始めた。魔法使いとしての腕前は未熟だが、それでも魔法換装を用いた戦闘や変身で、裕慈の危機をたびたび救う。 魔力を増幅させるための装置として、杖を携行している。

ユージィン・オジオン (ゆーじぃんおじおん)

光と闇の七日間戦争において闇の王と戦った法側の統率者。長身に筋肉質な体躯、浅黒い肌に長髪の魔法使いの壮年男性。闇の王との最終決戦で、竜眼と呼ばれる心臓部を破壊されてしまい、存在が不安定になってしまったため、姿を隠している。ヨハン・クライフの師匠であり、友人でもある。

ヨハン・クライフ (よはんくらいふ)

聖ベケット学園に勤務している神父。眼鏡をかけた金髪の壮年男性。学園では宗教学の担当をしているが、本当の仕事は闇狩人としてレブナントを駆逐することにある。十字架に神霊力と呼ばれる光を付与し、巨大な剣として扱う技を得意とする。ユージィン・オジオンの弟子であり、友人でもある。

武藤 亨 (むとう とおる)

聖ベケット学園に通う男子高校生で、飛月裕慈の友人。筋骨隆々の逞しい身体をしており、運動が得意。またその一方で、UMAや都市伝説といった話にも目がなく、UFOの目撃情報や呪いのメールの調査を熱心に行っている。車椅子であることを気にして白鳥とのデートに消極的だった裕慈の背中を押したり、キャス・ミンミンと寮に帰って来た裕慈の便宜を図ったりと、なにかと気にかけている。

マーガレット

聖ベケット学園の学園長を務めている眼鏡をかけた中年女性。学生の生活を管理し、風紀の乱れには厳格に対処する生真面目な性格。飛月裕慈が外出先からキャス・ミンミンと一緒に帰って来たことで、一時は裕慈への処分を検討していたが、ヨハン・クライフの説得もあって、一時的にキャスを学園で預かることで落ち着いた。

白鳥 (しらとり)

飛月裕慈のメール友達である女性。たまたま拾った携帯電話を裕慈が警察に届けたことをきっかけに、連絡を取り合うようになった。子どもの頃に鑑賞した『白鳥の湖』に感銘を受け、現在はバレエのレッスンにも通っている。裕慈が車椅子であることを知らなかったため、ダンスイベントのパートナーに誘ったが、当日は足首の捻挫で来られなかった。

ダンテス

黒い丸眼鏡をかけたスキンヘッドの男性。闇の王に仕えている使徒の1人。電気を操る魔法に長けている。レブナント換装を行うと、巨大な角と長髪を持った鬼のような姿になり、行使できる電気量が爆発的に増加する。街中の電気を利用し、原子力発電所並みのエネルギーを一度に打ち出そうとしたが、突如として暴走状態になった飛月裕慈によって両断された。

ベアトリーチェ

長い黒髪と派手な顔立ちをした女性。闇の王に仕えている使徒の1人。新宿のホテル街で占い師に変装し、近寄って来る人間を襲っていた。他人を操作する精神系の魔法に長けており、電車に乗り込んで来た飛月裕慈とキャス・ミンミンを襲うが、突如として暴走状態になった裕慈の魔力によって分解された。

闇の王 (えんぺらー)

歴史上、人類にとって暗黒の時代とされる期間に君臨していた闇の救世主で、恐怖・無法・不信・無知・迷信・混沌を是とする存在。光と闇の七日間戦争で、ユージィン・オジオンによって動力炉である漆黒の心臓を破壊されており、現在は封印状態にある。レブナントを指揮して心臓の欠片を集めることで、完全復活を目論む。

トト

耳と足の先が黒い雑種犬で、1か月前に行き倒れていたところを飛月裕慈に拾われた。マーガレットには内緒で寮の部屋で世話されており、裕慈が外出する際には必ず行動をともにしている。人語を解するような動きを見せたり、キャス・ミンミンの魔法に一切動じなかったりと、どこか謎めいた存在でもある。

集団・組織

(しゃいん)

ユージィン・オジオンを王に掲げる勢力で、魔法使いや闇狩人が属している。古来より闇と敵対し、戦いを繰り広げてきた。光と闇の七日間戦争でユージィンが消息を絶ったため、その捜索に全力を挙げるとともに、各地で頻発する闇の勢力による凶行から人々を守っている。

(だーくさいど)

闇の王が率いる勢力で、法の陣営と敵対している。その構成員の多くはレブナントで、光と闇の七日間戦争後、消息を絶ったユージィン・オジオンに確実にとどめを刺すために暗躍している。ダンテスやベアトリーチェのように使徒と呼称される幹部が存在している。

魔法使い (まほうつかい)

月光から魔力を取り出す能力者で、法の陣営に属している。魔法素子と呼ばれる魔力の器を有しており、その容量が大きければ大きいほど強力な魔法が行使できる。魔法学校を卒業し、技能試験に合格することで一人前とされる。

闇狩人 (えくそしすつ)

中世ヨーロッパの暗黒時代、勢力を拡大する闇に対抗して教会に組織された十字軍の呼称。神霊力という神の力を代行する技術を使い、闇と渡り合ってきた。一般的な歴史書には記載されていないが、魔法使いの学校では授業で扱われるほどメジャーな存在で、キャス・ミンミンもその存在を知っていた。

場所

聖ベケット学園 (せんとべけっとがくえん)

都内に建てられた全寮制のミッションスクール。主な施設としては講義や礼拝を行うための聖堂、ビュッフェ形式の学生食堂、男子寮であるガブリエル寮、女子寮であるミカエル寮などがある。敷地内から温泉が湧いており、各寮の温泉はちょっとした名物でもある。敷地の境界は壁で囲まれており、外出には許可が必要。

イベント・出来事

光と闇の七日間戦争 (ひかりとやみのなのかかんせんそう)

法と闇の陣営による総力戦の呼称。ユージィン・オジオンが闇の王を倒したことで決着が着いたかに思われたが、その戦いでユージィンは消息不明となり、死亡説も流れた。夜空に月が2つ浮かぶ時に再び開戦するとされており、ヨハン・クライフやダンテス、ベアトリーチェなど事情をよく知る者は、その前兆を感じ取って行動を開始していた。

航空機空中爆発事故 (こうくうきくうちゅうばくはつじこ)

1年前に起きた飛行機事故で、300人以上の犠牲者を出した。詳細不明とされているが、光と闇の七日間戦争においてユージィン・オジオンと闇の王が互いの心臓を砕いたことによる衝撃が原因。飛月裕慈はこの事故で家族を失っており、自身も両足に障害を負った。

その他キーワード

魔法換装 (まほうかんそう)

魔法使いが使用する魔法の1つで、術者の肉体や武装を強化することができる。その強化率は術者のレベルに応じるため、キャス・ミンミンのような新人魔法使いの場合、全身を強化することができず、生身の部分が残ってしまう。

合体変身換装WMODE (がったいへんしんかんそうだぶるもーど)

飛月裕慈とキャス・ミンミンが合体術によって、1つの肉体に同居した状態。人格の交代によって肉体も変化し、表に出ていない人格は装備している腕時計型の装置に収納される。この形態を用いることで、キャスは失われた魔力を効率的に回復し、普段よりも高威力な魔法を行使できる。

杖飛行形態 (ふらいんぐめたもるふぉーぜ)

愛用の杖を変形し、半重力エンジンを搭載させることで飛行を可能にするキャス・ミンミンの魔法。エネルギー源は月の光で、最高速度は140キロに達し、同時に複数人を運ぶことも可能。変形した杖には、「ハレルヤ・ハリケーン号」という名前が付いている。

合体術 (こねくと)

魔法使いたちの倫理において禁忌とされ、技術的にも非常に難しい魔法の1つ。2人の術者の肉体および遺伝情報を合成し、一時的に1つの肉体に同居することで、能力を譲渡したり、傷を回復させることが可能。キャス・ミンミンが使用する際には成功率が5%以下と非常に低かったため、術の行使に満月と十字架、ベケット水を必要とした。

レブナント換装 (れぶなんとかんそう)

レブナントが肉体を強化、武装する際に使用する能力。特定の波長を持つ月光を浴びることによって、細胞を構成する原子を励起させ、肉体を高次の状態へと移行させる。魔法換装と似た技術ではあるが、そのエネルギーの入手経路に違いがある。また換装後の強化率も並外れて高い。

レブナント

月光から魔力を取り出す能力者で、闇の陣営に属している。魔法使いとは異なり、その力を維持するために人間の血液を必要とするため、たびたび人間を襲っている。武藤亨が調査していた怪奇事件のいくつかは、レブナントが効果的に人間を集めるための罠であった。

ベケット水 (べけっとうぉーたー)

12世紀の聖人であるトマス・ベケットの血液を薄めて作られた聖水で、古来よりさまざまな奇跡を起こしたとされる聖遺物。聖ベケット学園の名前の由来ともなった霊験あらたかな代物で、学園の聖堂にあるマリア像に安置されていたが、合体術を成功させるため、飛月裕慈によって持ち出された。

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