概要・あらすじ
魔法少女「プリティ☆ベル」の後継者を探すためやってきた天使ミルク&ココア。しかし、2人が持ってきた魔法の杖リィン・ロッドに反応したのは、ボディビルダーの高田厚志だった。彼はその正義感ゆえに、魔法少女に変身。持ち前の筋肉で戦うこととなる。また、本来リィン・ロッドを持つべきだった小学生の女の子、美咲エリもプリティ☆ベルに変身。
2人が交互に変身する体制となる。ところが、エリの力はあまりに強すぎ、危険極まりないものだったため、東西南北を統べる4大魔王軍の間のパワーバランスが崩れる不安が生まれた。そこに目をつけた謎の少女ルラは、エリの親友の夜元綾香を引き込んで、彼女を魔法少女化。
海魔軍と手を組みつつ、厚志に襲いかかり、国家関係を崩そうと企む。海魔軍に攻めこまれた南軍は、ルラの正体ナイアルラトホテップの存在を「世界全体の脅威」とし、4大魔王軍合意の下で制圧する決意を固める。次に西軍に踏み込んだルラと綾香は、魔王ベルベリオンを攻撃。魔王たちの均衡に、崩壊の兆しが見えはじめる。
一方、綾香の魔力は自らの才能でどんどんと伸びていき、最悪の事態を予想させるまでに膨れ上がる。さらに、天界も動き始め、魔王軍の領域に踏み込み始める。
登場人物・キャラクター
高田 厚志 (たかだ あつし)
『魔法少女プリティ☆ベル』の主人公のひとり。35歳。ボディビルダー。角刈りで、もみあげからあごに繋がるヒゲを伸ばしている。普段から筋トレと栄養管理を徹底しており、自らの筋肉には自信を持っている。「高田ジム」を経営。五代目プリティ☆ベルで、はじめての男性適合者。もう一人の適合者、小学生の美咲エリが戦わなければいけないと知り、彼女を守るため、自ら魔法少女になることを決意する。 かつては「狂犬」と呼ばれるほど攻撃的な人物だった。現在ではとても温厚な性格で、皆に優しい。できるだけ戦闘は避けとうと考えているが、必要と判断した場合、完膚なきまでに叩き潰す戦い方をする。代々プリティ☆ベルは神威召喚ができるが、彼は使用できない。 代わりにサイドチェスト、ダブル・バイセップスなど、ボディビルのポージングによる強力な魔法で戦闘する。交渉にも長けており、相手の理不尽な要求や高慢な態度は決して許さず、論破する頭脳を持っている。
美咲 エリ (みさき えり)
『魔法少女プリティ☆ベル』の主人公のひとり。高田厚志と並ぶ、もう一人の五代目魔法少女プリティ☆ベル。本来は彼女が正統なプリティ☆ベルだったが、高田厚志が少女に戦闘はさせられないと感じ、先に五代目になった。後にリィン・ロッドが同調し「真・魔法少女プリティ☆ベル」となる。普段の性格は穏やかで優しく、真面目。 特に親友の夜元綾香が魔法少女になった時は、なんとか止めようとした。高田厚志の10万倍に相当する魔力を持っており、神威召喚で呼び出した召喚獣は魔王クラス。ただし召喚に際して使う魔力量が桁外れに大きいため、補給に時間がかかるのがネック。高田厚志の家に通って勉強をしており、中でも経済学を好み、小学生とは思えない専門用語を使った会話をする知性の持ち主。
ミルク&ココア
2人で歴代のプリティ☆ベルをサポートしてきた天使。リィン・ロッドの守護をしてきた。見た目は子供っぽいが、33歳。リィン・ロッドには「ロリババア」と呼ばれる。ロングヘアがミルクで、褐色ショートカットがココア。「双索敵手(ツイン・レーダー)」と呼ばれる、超広範囲索敵能力を持っている。 ミルクは右側、ココアは左側に羽を持っており、2人で空を飛ぶ。天界の部隊「レギオン」に所属し、魔族から人類を守るために活動していたものの、天界が魔族の殲滅を開始。彼女らは堕天使扱いされるようになり、高田厚志らと行動をともにすることになる。
ドゥール・ヴァリオン (どぅーるゔぁりおん)
北の魔王。「黒龍(シュヴァルツ・ドラツェ)」と呼ばれる。12枚の翼と7つの眼をもつ暗黒龍が、人間の姿をまとったまったくの人外。そのため人間社会や世事にはうとい。厳格で恐ろしい王だが、公平で頼れる面もある。すべての面において能力が高い。
ダッチ・アイス (だっちあいす)
露出度の高い姿で戦闘をする、北軍の斥候部隊リーダー。容姿は幼い少女。亜空間移動能力を持つ。性格も非常に幼く、最初はドゥール・ヴァリオンの命令でリィン・ロッドを奪おうとしたものの、奪う任務を失い、高田厚志の家に来ては美咲エリやミルク&ココアと一緒に遊んでいる。
モカ
北の魔王軍の一人。左目に眼帯をしている。リィン・ロッド奪還のため、ミルク&ココアを攻撃するも、高田厚志の乱入によってその任務がなくなり、ドゥール・ヴァリオンの命で高田厚志の護衛兼家政婦として住み込みで働くことになる。相手を麻痺させる「邪眼」や、病気にさせる「ガンド」など強力な能力を持つ。 筋肉フェチで高田厚志に好意を寄せている。
桜 (さくら)
「狂犬」と呼ばれていた青年。喧嘩が大好きで、敵味方問わずただ喧嘩ができればいいという、攻撃的な性格。基本男性だけを喧嘩の相手とみなしており、五代目プリティ☆ベルである高田厚志に対して、勝負を挑む。本来は強力な魔力を持った魔族だが、「ハンディキャップ」という自分の魔力を制限する能力で人間に潜み、「楽しい喧嘩がしたい」という望みを叶えていた。 普段はまっすぐで律儀な青年で、心根は強い。格闘で強くなることだけに興味を持っている。元の姿は、6本腕の異形の存在。
マイヤー
海魔王ダゴンの12王子の1人。「深き者ども(ディープワンズ)」。ずる賢い性格で、桜をけしかけてプリティ☆ベルを始末、リィン・ロッドを奪おうとするも、美咲エリの圧倒的な魔力の前に計画は頓挫。高田厚志に、もう悪さはしないと約束をして釈放されるも、モカのガンドで病気になり、死亡。 実は、死亡したのは分身で、海中に居る本体によって復活。ルラと出会い、彼女の手先として暗躍をはじめる。指示を受けて使われるときには有能だが、自らが計画する裏切りや画策はほぼすべて失敗している。
シャルエル
南の魔王。4人の魔王では最古。「女」を象徴している。「霧の女王」と呼ばれ、あらゆる感覚を狂わせる霧を生み出す能力がある。本人には戦闘力はほとんどなく、世の中の全てを受け入れ飲み込む、強弱を超越した悟りの境地に達している。霧に包まれた味方ではない存在は、霧の中のモンスターに一方的に虐殺されてしまう。 膨大な魔力は男性との性行為から吸い取っており、暴行をうけても快楽にしてしまう。
ベルベリオン
西の魔王。「騎士王」、「金色の獅子」と呼ばれる。中世ヨーロッパの騎士の格好をしている。国のためにあらゆる手段を講じる一方で、他の魔王を全員激しく嫌っており、会談を行うと一触即発の事態になることがある。特に南の魔王シャルエルを激しく嫌っている。死んだ後も自分に従う英霊を使役することができ、一人で軍勢を率いる能力を持つ。 初代プリティ☆ベルの桃地美雪に敬意を払っている。
ジロウ・スズキ (じろうすずき)
東の魔王。「白刃」と呼ばれる。秘書の女性イタカと共に行動しており、初老の中年男性の姿をしている。「平和主義者」で、平和のためであれば、皆殺しにすることも躊躇しない。刀の間合いでは誰も勝てない剣客で、相手の血しぶきすら浴びない防御力を誇っている。効率よく攻撃する方法を身に着けているため、「永遠に惨殺し続ける誰も勝てない殺戮永久機関」とも呼ばれている。 東西南北4人の魔王が均衡するシステムを考え、平和を作り上げた。交渉術に長けた知略家。高田厚志とは協力関係をとることもある。
ルラ
謎の少女だが、その正体はナイアルラトホテップ。混乱を招くことを至上の喜びとしている。死んだはずの初代プリティ☆ベル、桃地美雪の姿をしている。4すくみになっている東西南北の魔王軍、天界、プリティ☆ベルの均衡を崩そうと、マイヤーを用いて行動。また五代目プリティ☆ベルの美咲エリの友達、夜元綾香を魔法少女として契約し、「ヨグ=ソトースの鎌」を持たせて、彼女とともに事件を起こし続けた。 かつては男性の姿をしており、初代プリティ☆ベルが命と共に放った「無慈悲な灼熱(クトゥグア)」の巨大な爆発で、死んだと思われていた。強力な力を持ちながらも、南の魔王シャルエルに怯えたり、ミスで窮地に陥ってしまうこともある。
ノワール
「無形奴隷(スライムスレイブ)」と称される。元々は「ショゴス」と呼ばれていたが、種族名であったため、夜元綾香に「ノワール」と名づけられた。不定形のため、どんな攻撃を受けても死なず戦うことができる。またミルク&ココアのレーダーに引っかかることもない。夜元綾香を虐待していた男を食い殺したことがある。 普段からルラのそばにいて、忠実に働いている。夜元綾香と合体して、彼女を魔法少女に変身させる。
夜元 綾香 (やもと あやか)
美咲エリの親友。小学4年生。おとなしく優しい性格。母親が家に連れてきた男に虐待されており、家庭の問題解決のためにルラと魔法少女になる契約を交わす。ノワールと合体して、魔法少女に変身する。常に「ヨグ=ソトースの鎌」を持っており、空間を切り裂いて魔界を開くことができる。 魔物の群れを呼び出す魔法「不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)」や、結界に閉じ込め魔物に攻撃させる「悪夢の国のアリス(アリス・イン・ナイトメア)」で魔王軍を取り込み、攻撃する。さらに、弱点を補った「鏡の国のアリス(アリス・イン・ミラーワールド)」を独自に開発するなど、天才的発想の持ち主。