概要・あらすじ
主人公庵藤厚は父親の転勤で6年ぶりに故郷に戻ってきた。そこにはなんと6年前に事故死した兄のキューちゃんが地縛霊となって待っていた。姿も中身も亡くなった小学生当時そのままのキューちゃんは、自分に勝てなかった恨みの矛先を弟に向けるライバル陣野力にイタズラを仕掛けたり、厚を陸上部に入部させたりと現実界にちょっかいを出しながら幽霊生活を満喫し始める。
一方、兄弟の幼なじみの前沢遊歩はキューちゃんに比べて不甲斐ない厚が、何故か気になって仕方がない。厚はキューちゃんのイタズラに手を焼きながらも、兄弟の絆を改めて実感し、少しずつ学校と故郷に馴染んでいくのだった。
登場人物・キャラクター
庵藤 厚 (あんどう あつし)
父親の転勤の関係で、6年ぶりに故郷に帰ってきた明華高校1年生。事故死した兄のキューちゃんこと安藤久に比べると存在感の薄い平凡な少年だったが幽霊となって現れたキューちゃんのイタズラで陸上部に入部させられてしまう。どんなスポーツも長続きしなかった庵藤厚だが、新任の監督兼コーチにランナーとしての才能を見いだされ、インターハイ優勝を目指すようになる。
庵藤 久 (あんどう ひさし)
6年前11歳で事故死した庵藤厚の兄。小学生の姿のまま厚の前に出現。イタズラ好きで弟想いで、スポーツ万能で喧嘩も強く、誰からも愛されていた。厚以外には霊感少女の黒隅京子にしかその姿が見えないが、現世に影響を与えることは可能。かつてのライバル陣野力にイタズラを仕掛けたり、厚の名前で陸上部に入部届を出したり、飲み食いすらもできる。 時には厚の身体に乗り移って身体を操ることもある。弱点は蚊取り線香の煙。
前沢 遊歩 (まえざわ ゆうほ)
明華高校1年の女子。前沢薬局の娘で陸上部所属。キューちゃんの影響で陸上を始めた。庵藤厚とは幼なじみなのに、ほとんど記憶していない。幼い頃、町内子供会の海水浴で溺れた彼女は厚とキューちゃんのリレーで救助されたのだが、意識を喪っていたため、キューちゃんに救われたとしか憶えていなかった。 子供会のアルバムに「危機一髪! 庵堂兄弟の救命リレー」と題された写真を発見し、命の恩人がキューちゃんだけではなかったこと知る。
前沢 耕世 (まえざわ こうせい)
前沢薬局の長男で、遊歩の兄。作品開始当初は、ホラー作家を目指す25歳の無職青年だった。後に、キューちゃんの働きで「新人ホラー大賞」に入選し、人気作家となる。担当編集者の芦川さゆりに恋をする。
大内 忍 (おおうち しのぶ)
明華高校の柔道部の紅一点。黒帯の男子、陣野力を倒すほどの実力の持ち主。男子の間では前沢遊歩と並ぶ人気者。小学5年生の時、親の転勤先で柔道場に通っていた庵藤厚と出会っている。稽古でケガをして、厚に背負われ、励まされたことがあり、これが彼女にとっての初恋だった。 しかし、厚には男の子だと勘違いされていたことが判明し、思わず厚を投げ飛ばしてしまう。その後、厚を守ることを陣野に宣言する。小笠原一郎とはマンション、タワー上鷹の隣同士。父親は『月刊ホラーサンデー』編集長。
陣野 力 (じんの りき)
明華高校3年。ガキ大将がそのまま高校生になったような乱暴者だが、小学生時代は一度もキューちゃんに勝てずに終わり、その恨みに利子を付けて、陸上部の後背となった厚に返そうとしている。柔道の黒帯保持者。
陣野 勝五郎 (じんの かつごろう)
陣野力の父親。不動産屋陣野土地建物を経営している。黒服の部下を従え、暴漢に襲われることもあり、裏稼業と無縁ではなさそうなところがある。前沢遊歩を力の嫁に欲しがっているが、半ばあきらめている。
小笠原 一郎 (おがさわら いちろう)
明華高校1年。陸上部の入部テストで好成績を記録した爽やかスポーツ少年。キューちゃんの力で自分と同タイムを出した庵藤厚をライバル認定する。大内忍とは同じマンション、タワー上鷹の隣同士で、忍に惚れている。
鬼島 銀治郎 (おにしま ぎんじろう)
明華高校陸上部の新任監督兼コーチ。向こう傷ありのコワモテタイプ。庵藤厚の隠れた才能を見抜き、凄まじいシゴキを行う。
黒隅 京子 (くろずみ きょうこ)
明華高校1年の霊感少女。庵藤厚以外では唯一、幽霊となったキューちゃんの姿を見ることができるが、最初は霊と気づかず、本物の小学生だと思っていた。耕世の小説のアドバイザー。忍と小笠原の同じマンション、タワー上鷹の一階下に住んでいる。
芦川 小百合 (あしかわ さゆり)
少額館『月刊ホラーサンデー』編集部所属。耕世の担当編集者。
ケン
庵藤厚の幼なじみだが、本名は不明。家の表札も「ケンちゃん家」となっている。
前橋 (まえばし)
明華高校2年。陣野の子分。
高崎 (たかさき)
明華高校2年。陣野の子分。
大内 巴 (おおうち ともえ)
忍の妹。事情通。
谷山 三郎 (たにやま さぶろう)
明華高校2年。美術部所属。イチとは、お調子者コンビ。キューちゃんの幼なじみで、いつも助けてもらっていた。
菅谷 一郎 (すがや いちろう)
明華高校2年。美術部所属。サブとは、お調子者コンビ。キューちゃんの幼なじみで、いつも助けてもらっていた。二人合わせて「サブとイチ」と呼ばれる。あだ名は、石ノ森章太郎の『佐武と市』のもじりと思われる。
三日出 三歩 (みっかで さんぽ)
病院の階段から転がり落ちたところを、同じく入院中であった庵藤厚に救われる。『月刊ホラーサンデー』の看板作家 。
市原 (いちはら)
明華高校の教師。庵藤厚の担任。
デロ
『QあんどA』に登場するペット。安藤家の愛犬。幽霊となったキューちゃんの姿がちゃんと見えていて、彼に甘える。
集団・組織
明華高校 (めいかこうこう)
庵藤厚たちが通う高校。
陣野土地建物 (じんのとちたてもの)
『QあんどA』に登場する不動産屋。陣野の父勝五郎が経営している。
場所
前沢薬局 (まえざわやっきょく)
『QあんどA』に登場する前沢兄妹の母親が経営している薬局で二階が住居になっている。追い出された父親が、時々遊歩と会っている。
いかりや
『QあんどA』に登場するダンゴ屋。隣のすもも銀行とまぎらわしく、ダンゴ屋に入ったつもりで銀行に入ってしまう人がいるほど。たまたまダンゴ屋で遊歩と父がお茶しているところに、ダンゴを買いに来た庵藤厚が遭遇し、さらに銀行と間違えて侵入した強盗一味に全員人質になるという事件も起きる。
民宿いっぽん (みんしゅくいっぽん)
『QあんどA』に登場する千葉県外房浦見海岸の民宿。大内忍の双子の祖母が経営しており、夏休みの間は忍が手伝っている。たまたま陸上部の合宿所に選ばれた。
校了島 (こうりょうじま)
『QあんどA』に登場する千葉県外房浦見海岸に近い小島。
呂須島 (ろすとう)
『QあんどA』に登場する千葉県外房浦見海岸に近い小島。船頭が校了島と間違えて庵藤厚と大内忍を渡してしまう。二人は洞窟で一夜をすごすことになった。
町はずれの森
『QあんどA』に登場する子供会の肝試し会場。
肉のイチハラ (にくのいちはら)
『QあんどA』に登場する精肉店。6年前、庵藤厚がよくコロッケを買っていたのだが、今ではすっかり忘れられている。
ペットショップやまだ
『QあんどA』に登場するペットショップ。庵藤家の愛犬になるデロは、この店の前で捨てられており、これをキューちゃんが救った。庵藤厚はそのことを、高校生になってから知った。
書誌情報
QあんどA 3巻 小学館〈コミック文庫(青年)〉
第1巻
(2019-07-12発行、 978-4091934208)
第2巻
(2019-08-09発行、 978-4091934376)
第3巻
(2019-09-13発行、 978-4091934383)