ファイナル・ミッション

ファイナル・ミッション

作画:道原かつみ、原作:麻城ゆうによる「ジョーカー・シリーズ」の第8弾にして完結編。人間と合成人間という立場の違う者たちが、ともにさまざまな事件に挑む。本作『ファイナル・ミッション』では、日本州で合成人間損壊事件が相次ぐなか、ジョーカーが解体される危機に直面することとなる。『本気の恋はいらない』『運命の恋人』を同時収録。「ウィングス」2000年1月号から2004年4月号にかけて不定期に掲載された作品。

正式名称
ファイナル・ミッション
ふりがな
ふぁいなる みっしょん
原作者
麻城 ゆう
作画
ジャンル
サスペンス
関連商品
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概要・あらすじ

特捜司法官であるジョーカーは、好きな人間と恋をしたいと考えていたが、同時に本気の恋はいらないとも考え、恋人であった六道リィンを振ってしまう。これにより酷く落ち込むリィンの前に、特捜司法局に拘束されているはずの飛彈ジェンクスが現れた。ジェンクスは、ジョーカーに残された時間が残り僅かしかないことをリィンに告げる。

その頃、日本州では合成人間損壊事件が相次いでいた。損壊された合成人間は、特捜司法官に見せかけた銀色の人工眼球をはめ込まれて殺されていた。捜査を続けるうちに、合成人間にまつわる数々の事件に、巨大テロ集団である赤のキャラバンの影が見え始め、リィンたちは事件の深層部に迫っていく。

登場人物・キャラクター

六道 リィン (りくどう りぃん)

日本州警の警部補で金髪の好青年。特捜司法官であるジョーカーとは恋人同士であり、日本州警と特捜司法官の立場からタッグを組んで事件を解決している。今作でも事件現場でジョーカーと遭遇した六道リィンは、恋人としてジョーカーの身を心配しながら、ともに潜入捜査を進めていく。リィンは女性姿のジョーカーと恋に落ち、愛を深めた。 しかし、ジョーカーには変身能力があり、女や男、まったく別人にもなれるため、ジョーカーが女性の姿以外で現れるたびに動揺し、翻弄されている。リィンがジョーカーを思う時は、必ず女性姿のジョーカーを思い浮かべている。ジョーカーの寿命が短いことを知りながらも、一途にジョーカーのことを想っており、ジョーカーから別れを切り出されても、ジョーカーへの想いを断ち切れずにいた。 お人好しで人に騙されることもあるが、刑事としてのカンは鋭い。真面目で仕事熱心な性格で、ジョーカーに振られた後、酷く落ち込みながらもデスクワークをテキパキとこなしていた。ニュー・トーキョーの1DKのマンションに住んでいる。

ジョーカー

六道リィンの恋人。銀の瞳に長い黒髪を持つ美女。人工的に作られた合成人間であり、変身能力を持つ特殊な特捜司法官である。男の姿にも女の姿にも、また自身とは似ても似つかない、まったくの別人に変身することもできる。人間のために造られた合成人間であるため、人間を好きになる傾向があり、恋というものに興味を持ってリィンと付き合っていた。 しかし自身が人間でないという理由から、本気の恋をすることをためらってリィンに別れを告げた。合成人間としての番号はLB=2150-JOKER-1。合成人間の耐用年数は短く、自身がもうじき廃棄処分されることを知っている。

S-A (すぺーど えーす)

特捜司法官の青年。スペードは地球配属を表す。男性の時のジョーカーと同じ顔を持っており、ジョーカーとは機能と役割は違うが、本来同じものである。ただし、S-Aに変身能力はなく、女性の姿にはなれない。ジョーカーとは仕事上のパートナー的存在で、任務遂行のために協力し合っている。ジョーカーが六道リィンを好ましく思う気持ちもわかる、と一定の理解を示してはいるものの、ジョーカーがリィンと恋をしたいという気持ちまでは理解していない。

飛騨 ジェンクス (ひだ じぇんくす)

日本州警の資料管理室の元室長。遺留品から高確率で犯人像を推測する高いプロファイリング能力の持ち主。「シャーロック・ホームズ・ジェンクス」の異名を持っている。特捜司法局を変えるという思想の危険性を危惧され、特捜司法局に身柄を拘束されている。非常に頭が良く、本来は書き変えることなど不可能な合成人間の基本倫理回路のプログラムを、書き変えてしまうような特殊なウィルス・プログラムを作ることもできる。 妻と娘がいたが、特捜司法官と「赤のキャラバン」の銃撃戦に巻き込まれて死亡している。赤のキャラバンも特捜司法局も、どちらも潰したいと思っている。

バーリー

日本州警の警部。サングラスとタンクトップが特徴的な肉体派で、六道リィンの先輩にあたる。一見軽い外見だが、捜査中は優秀な刑事であり、リィンの仕事上のパートナーでもある。後輩であるリィンに仕事を押し付けることもあるが、基本的には仲が良く、2人で映画を見に行くこともある。

ナイル・ネガ (ないるねが)

日本州警の刑事。殉職したキャルの後任としてやって来た女性で、六道リィンの同僚。短いスカートにジャケットというスタイルと童顔のため、10代にしか見えない。リィンが失恋で落ち込んでいる時、なぐさめるためにキスをするなど、自由奔放な性格をしている。言葉巧みにリィンを誘導し、それとなく潜入捜査に協力させるなど、同僚の扱いが上手い。

キャル

六道リィンやバーリーの同僚だった女性刑事。テロ集団である「赤のキャラバン」がらみの事件で死亡した。キャルが殉職した場所では、今も工事が中断したままとなっている。キャルを殺した犯人は、特捜司法局に連れて行かれた。

狩 カルスト (かり かるすと)

テロ集団「赤のキャラバン」の幹部クラスの人物。組織のために暗躍している。赤のキャラバンの総帥であるマムのことを、ハハオヤと呼んでいる。特捜司法官と関わりの深い六道リィンの部屋に盗聴器を仕掛け、情報を集めていた。リィンの目の前で、頭を撃ち抜かれて死んだはずだったが、後日、リィンを人質にするため、リィンの部屋に現れた。

サディム

黒い肌に白い長髪の謎の青年。常に無表情で、感情を表に表すことがなく、どこか人間離れした雰囲気を持つ。「赤のキャラバン」の一員で狩カルストの護衛をしている。狩カルストが六道リィンを自宅から拉致する際も、リィンが逃走しないよう狩カルストをサポートしていた。

マム

テロ集団である「赤のキャラバン」の総帥。外見は幼い少女の姿をしているが、見た目通りの歳ではない。狩カルストにはハハオヤと呼ばれている。卓越した頭脳を持ち、女性でありながら赤のキャラバンを統率している。存在自体がトップシークレットであり、その人物像は闇に包まれていた。

ジョーカー2

変身能力を持った特捜司法官。火星を中心に活動するダイヤのAと対の存在。合成人間としての番号はLB=2154-JOKER-2。飛騨ジェンクスの提案により、飛騨ジェンクスの姿で六道リィンに接触し、リィンを赤のキャラバン絡みの任務に巻き込んだ。

ヘビ様 (へびさま)

「エデンのリンゴ」という店の占い師の女性。特殊な仮面を付け、大きく胸の開いたドレスの上にマントを羽織った格好をしている。少女たちの間で、年上の運命の恋人と出会わせてくれると話題になり、顧客から絶大な信頼を得ている。この店に通う少女たちが中年の男性と交際しているため、日本州警のナイル・ネガから少女に売春を斡旋しているのではないか、と疑われている。 六道リィンが「山田太郎」という偽名で客としてやって来た際、好きなタイプを聞きだしたうえで、ジョーカーとめぐり合わせるなど、客の好みに合わせたマッチングをしている。

山菱社長 (やまびししゃちょう)

海底トンネル工事等に関わっている大きな会社の社長。「エデンのリンゴ」に通っており、占い師の導きにより、少女と出会って結婚した中年の男性。火星北極自治区の地底開発局の副局長の肩書きで近づいて来た男性姿のジョーカーと親しくなり、ジョーカーにヘビ様を紹介した。

山菱 亜美 (やまびし あみ)

山菱社長の妻。「エデンのリンゴ」に通っており、占い師の導きにより、山菱社長と結婚した少女。工事現場でヘルメットをかぶったのは初めてだと、はしゃぐようなあどけない少女である。夫のことをマサたんと呼んでいる。

レックス・金井 (れっくすかない)

貿易商をしている中年の男性。「赤のキャラバン」の一員として暗躍していた。自身が赤のキャラバンであることは誰にも知られていないと思っていたが、特捜司法官には知られており、しばらくの間、泳がされていた。レックス・金井になりすまして赤のキャラバンの中枢に食い込もう、と目論んだ特捜司法官に始末されてしまう。

集団・組織

赤のキャラバン (あかのきゃらばん)

世界で暗躍しているテロ集団。特捜司法官とはイタチごっこを繰り返している。合成人間の補助脳を乗っ取って、テロに利用するためのウイルスソフトを開発していたが、特捜司法官によって阻止された。惑星間法整備会議のため、各国の要人が日本州の富士樹海自然パークの世界会議場に集まったタイミングで、大規模なテロを仕掛けようと目論んでいる。

その他キーワード

特捜司法官 (とくそうしほうかん)

司法コンピューターと同等の判断能力を有する特殊な合成人間。刑事、検事、裁判官、そして死刑執行人としての役割を1人で遂行できる。あらゆる種類の電磁波を認識し、天体望遠鏡なみの照準機能をそなえた銀色の人工眼球を持っている。四大惑星系にそれぞれ13人いると言われている。高度な能力を有しているが、その分、細胞機能の低下も早く、寿命は45年程度しかない。 そのうえ、能力劣化防止のため、寿命をまたずに解体処分されてしまうので、彼らが活動できる時間はさらに短い。特捜司法官には極秘事項も多く、一般にはその存在をあまり知られていない。特捜司法官の中には、遺伝子操作によって男の姿にも女の姿にも、またまったくの別人にもなれる変身能力を持つ者も存在しており、その変身能力は極秘となっている。

クレジット

原作

麻城 ゆう

前作

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