T.R.A.P.

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大和屋エコの代表作の一つ。静岡県にある誘波学院高校サッカー部を舞台に、記憶を失った特殊能力者の天草海音が、かつて事故で亡くなったエース、真崎秀臣の後を継ぎ活躍しながら、自らに封じられた記憶の謎にせまる姿を描いたフットボールサスペンス。小学館「週刊少年サンデー」2010年16号から2011年15号にかけて掲載後、小学館「クラブサンデー」で2011年3月から2011年6月にかけて配信の作品。

正式名称
T.R.A.P.
ふりがな
とらっぷ
作者
ジャンル
サッカー
 
サスペンス
レーベル
少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
全6巻完結
関連商品
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心の声を聞く少年がエースストライカーとして活躍

本作は、サッカー漫画とサスペンス漫画という二つの要素を兼ね備えている。主人公の海音は、他人の心の声を聞き取る特殊な能力を持ち、その力を無意識のうちにサッカーに活かして、エースストライカーとして活躍すると共に、空中分解状態だった誘波学院高校サッカー部を立て直していく。しかし、海音の強大な能力をめぐり、アメリカ政府とマフィア組織「フロリスタ」が暗闘を繰り広げる中、その争いに巻き込まれていく。

誘波学院高校サッカー部の再生

誘波学院高校サッカー部は、中心選手だった真崎秀臣の事故死をきっかけに、内部の対立が絶えなかった。特にキャプテンの五十嵐朗は、絶望から大会への意欲を失い、部内で問題を引き起こしていた。そんなある日、サッカー部の練習グラウンドに海音が現れ、入部を希望する。彼を快く思わない五十嵐は、「DF陣全員を一人で抜けたら認める」と無謀な条件を突きつけるが、海音は部員の心を読む能力を駆使し、難なくその条件をクリアする。入部を認められた海音は、五十嵐が心に秘める深い悲しみに共感し、彼と無念の死を遂げた真崎のために戦うことを誓う。

失われた記憶と新たなる戦い

海音が加わった誘波学院高校サッカー部は、かつての強さとチームワークを取り戻し、静岡県予選で優勝候補の天照寺学園を4対2で破った。しかしその直後、海音の前にアントニオ・メレンデスとアナ・ディアスが現れる。二人は海音のかつての知人であり、彼とは異なる超能力を持っていることを明かす。彼らとの再会をきっかけに記憶を取り戻した海音は、かつて因縁のあったマフィア組織「フロリスタ」の首領、リオ・アルメイダ、そして能力者の国家管理を目論むアメリカ大統領のロバート・J・ラウスマンと対決する決意を固める。こうして海音は誘波学院高校を離れ、アメリカへと旅立つのだった。

登場人物・キャラクター

天草 海音 (あまくさ かいん)

誘波学院高校サッカー部に所属する1年生の男子。他人の心の声を感じ取る超能力を持っている。本来は中学生の年齢だが、保護者であり同校の教師でもある天草詩音の意向により、誘波学院高校に入学している。見た目が幼く素直な性格ながら、いざフィールドに立つと驚異的なサッカーセンスを発揮し、周囲の注目を集める。記憶を失っているため「自分が空虚である」という不安に苛(さいな)まれており、真崎を失って落ち込むサッカー部員たちを救うことで、自らの存在意義を見出そうとしていた。その結果、インターハイ静岡県予選で八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せ、優勝候補の天照寺学園を破ることに成功する。そんな中、自分の正体がブラジル人の「ルシオ・メレンデス」であること、そして実の兄、アントニオによって自分を守るために記憶を封じられていたことを思い出す。過去を清算するため、両親の命を奪ったマフィア組織「フロリスタ」や、能力者を道具として利用しようとするアメリカ政府との対決に挑むのだった。

五十嵐 朗 (いがらし あきら)

誘波学院高校サッカー部に所属する2年生の男子。もともとは生真面目で努力家だったが、親友でありライバルでもあった真崎が事故で亡くなったことをきっかけに自暴自棄になり、練習を怠るようになってしまう。さらに、先輩たちとトラブルを起こしたことで彼らの退部を招き、チームに悪影響を及ぼしていた。そんな中、突然現れた海音に真崎と似た雰囲気を感じ取り、強い期待と苛立ちを同時に抱く。やがて海音の実力を認め、サッカー部に迎え入れると共に、自らもキャプテンに就任。その後、先輩たちとも和解し、サッカー部の立て直しに尽力する。海音のことは「真崎の代わり」ではなく、一人のプレーヤーとして信頼するようになる。

書誌情報

T.R.A.P. 全6巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2010-08-18発行、978-4091225146)

第6巻

(2011-09-16発行、978-4091232700)

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