概要・あらすじ
インターハイ予選の千葉県大会で、ベスト4という好成績を残した新設の総海高校サッカー部。彼らの活躍に憧れ、総海高校への入学を果たした長身の少年・松戸拓は、挨拶をするためにサッカー部を訪問する。ところが、小学生のような主将や粗暴なヤンキーといった、あまりにも個性豊かな部員の姿に面食らってしまう。主将である新岸頼歩の提案で、拓を交えたミニゲームを始めるが、苦手のヘディングを外しまくり、中学生の頃のようにウドの大木扱いをされてしまう拓。
しかし、頼歩からのアドバイスで、フォワード以外のポジションを勧められた拓は、フィジカルとパスのセンスを活かしたパサー役を任され、見事に頼歩の得点をアシストすることに成功。この活躍で部員からの信頼を勝ち取り、「サッカーを楽しむ」感覚を思い出す。
そして拓は、頼歩を中心とした「自由」なチームの一員となり、高校サッカー界に旋風を巻き起こすべく、一心不乱に練習へと励むようになるのだった。
登場人物・キャラクター
新岸 頼歩 (あらがき らいほ)
総海高校サッカー部で主将を務めている男子高校生。年齢は16歳。ポジションはフォワード。身長が151cmと低く、まるで小学生にしか見えない。明るく能天気な性格をしており、街中でドリブルの練習をしては、部員の甲斐範宣からどやされていた。サッカー選手としては貧弱な体格だが、俊敏性に優れており、巧みなドリブルとフェイントを駆使して、対面の相手を華麗に抜き去ったり、ディフェンスラインの裏にすばやく抜け出せる。 どんな位置にあるボールにも食らいついて、ゴールを決めてしまう天性のストライカー。選手の資質を見極める能力にも長けており、松戸拓のパサーとしての才能も、一目で見抜くことに成功する。「楽しんで勝つ」ことをモットーとしており、部員に対しても自主的なトレーニングを課していた。 自分のことを「かわいい主将」と呼んだり、「おはようドスサントス」などという独特の挨拶を交わすなど、若干変わった感覚の持ち主でもある。牛乳が嫌いな菜食主義者。
松戸 拓] (まつど たく)
総海高校サッカー部に所属する男子高校生。192cmの高身長を誇る。年齢は15歳。ポジションはオフェンシブミッドフィルダー。中学生の頃からサッカー部に所属していたが、急激に伸びた身長を活かすために、中盤からフォワードにコンバートされた。しかし、ヘディングが苦手なため試合ではヘマを繰り返し、他の部員から疎まれて居場所がなくなってしまった苦い過去を持つ。 そんな時に新聞で見かけた総海高校サッカー部の活躍に憧れ、総海高校に入学することになった。フィジカルとパスのセンスに長けており、高校入学後は新岸頼歩のアドバイスを受けて、トップ下にポジションを変更する。
錦 弘夢 (にしき ひろむ)
総海高校サッカー部に所属する男子高校生。もともとはプロサッカーチームである千葉ジャスユナイテッドのJr.ユースに所属していた天才少年。一度ペナルティエリア内でボールを受けると、複数のディフェンダーと競り合いながら強引に得点を決めてしまう、生まれながらのストライカー。足を削られ続け、怪我を繰り返したためにユースに昇格できず、総海高校サッカー部へと入部した。 入部後のミニゲームでも才能の片鱗を見せ付ける。しかし、強引な突破を繰り返して膝をボロボロにするプレイスタイルを新岸頼歩にとがめられ、周りの選手を使うことをアドバイスされる。
岩国 喜壱 (いわくに きいち)
総海高校サッカー部に所属する男子高校生。年齢は16歳。ポジションはサイドミッドフィルダー。元ヤンキーで、金髪のリーゼントをした強面の少年。非常に喧嘩っ早く、口も悪いが、サッカー選手としての実力は高く、難しいボールでも、柔らかいトラップで足元に収めてしまう、高い技術を持ち主。中盤で指示を出し、攻守のバランスを取る選手として活躍していた。 小織平とはいつも口喧嘩しているが、仲そのものは悪くない。
小織 平 (こおり たいら)
総海高校サッカー部に所属する男子高校生。年齢は16歳。ポジションはセンターバック。元引きこもりで、ボサボサの長髪をして、不気味な雰囲気を漂わせる少年。聞き取りにくい小さな声でボソボソとしゃべるのが特徴。一見すると、スポーツが得意なタイプには見えない。ところが、的確な判断能力でオフサイドトラップをかけたり、他の選手の位置取りをメートル単位で指示して統率する守備の要。 何かとやかましい岩国喜壱とは、いつも口喧嘩している。
甲斐 範宣 (かい のりのぶ)
総海高校サッカー部に所属する男子高校生。年齢は16歳。ポジションはセンターバック。その風貌から「房総のライオン」の異名を取る長髪の選手。規律には厳しいしっかり者で、街でドリブルの練習をする新岸頼歩を厳しく叱責していた。
須藤 薫 (すどう かおる)
黒峰高校サッカー部で主将を務めている長髪の男子高校生。ポジションはセンターバック。寸分の狂いもなくディフェンスラインを統率する守備陣の要。苦境にあっても冷静に的確な指示を出し、チームメイトを鼓舞する優れたキャプテンシーを備えている。
城井 舞雄
黒峰高校サッカー部に所属する男子高校生。ポジションはセンターバック。筋骨隆々の体格を活かした対人戦の強さを特徴としている。黒峰の練習に潜入した松戸拓を、マッチアップ時に軽く吹き飛ばし、拓に「ほとんど大型トラックとの衝突事故」とまで言わせていた。
阿田 結輔 (あだ ゆうすけ)
黒峰高校サッカー部に所属する男子高校生。ポジションはフォワード。かなりの快速で、カウンターサッカーを標榜する黒峰の貴重な得点源となっていた。実力はあるが性格が弱気で、いつもオドオドしている。総海高校サッカー部との試合中に、その性格のスキを小織平に見透かされ、思い通りのプレイができなくなってしまった。
金張 梢 (かなはり こずえ)
総海高校サッカー部のマネージャーをしている女子高生。サッカー雑誌を持ち歩くほどのサッカーマニア。料理がやや不得意で、ミニゲームのビリになったチームに、彼女の特製クッキーを出すことを提案されてしまうほど。
清則 (せいそく)
大和スポーツ企画出版社に勤めている男性。現在は千葉県の高校サッカーを取材しており、総海高校サッカー部にも詳しい。総海高校サッカー部を、一芸に秀でた職人的選手の集団で、博打的な試合をするチームと評していた。
集団・組織
総海高校サッカー部 (さとみこうこうさっかーぶ)
新設高校のサッカー部。非常に若いチームながら、千葉県大会のインターハイでベスト4に入った実績を持つ。主将の新岸頼歩の方針により、自由闊達な明るい雰囲気の部活で、選手それぞれが自分の弱点を克服するために自主的な練習をしていた。千葉県の強豪チームよりも完成度は劣ると考えられている。
陸王高校サッカー部 (りくおうこうこうさっかーぶ)
千葉の四強と目される高校のサッカー部。高校サッカーで3冠を獲った実績に加え、天皇杯でJ2のプロチームを倒した経験もある強豪。攻守走のいずれもが、高校サッカーのレベルを超越した王者のチーム。中心選手は、U-18日本代表でも司令塔の役割を担っている真久保。
天洋大付属高校サッカー部 (てんようだいふぞくこうこうさっかーぶ)
千葉の四強と目される高校のサッカー部。豊富な資金力をバックに、最先端のトレーニングを積んでおり、すべての部員が3つ以上のポジションをこなすことができる。中心選手は、10年に1人の逸材と称される本城美惟。
十ノ宮高校サッカー部 (とうのみやこうこうさっかーぶ)
千葉の四強と目される高校のサッカー部。ゴールキーパーを除く、フィールドプレイヤーの10人全員が、攻めの意識を持っている超攻撃的布陣を特徴としている。特に、猛獣3トップといわれる前線の選手と、荒鷲と称される両サイドバックの攻撃力は抜群。
黒峰高校サッカー部 (くろみねこうこうさっかーぶ)
千葉の四強と目される高校のサッカー部。「鉄壁(カテナチオ)」と呼ばれる強固な守備を特徴とするチーム。平均身長が186cmを超える力強いディフェンダー陣が、相手のアタッカーをはじき返す。鋭いカウンターでゴールを決めた後は全力で守りきり、最小得点差での勝利を得意とする。