ZOO KEEPER

ZOO KEEPER

体温をはじめとする温度の変化が目に見えるという特殊能力を持った新米飼育員が、その能力をどう使うかに頭を悩ませつつ、動物園で起こる数々の問題に立ち向かっていく物語。「イブニング」2006年8号から2009年14号にかけて掲載された。

正式名称
ZOO KEEPER
ふりがな
ずぅきーぱー
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

生まれつき温度が視認できる特殊能力を持った楠野香也は、そのことを周囲に隠しながらコマ動物園で新米の飼育員として働くことになった。チンパンジーの担当になった香也は、チンパンジーたちにバカにされ、無視されながらも日々奮闘していたが、ある日大雨によって発生した土砂崩れの影響でチンパンジーのカノンが逃げ出してしまう。

逃げたカノンが子供に怪我をさせたとの連絡を受けた香也はカノンの捜索に参加し、秘められた特殊能力を発揮するのだった。

登場人物・キャラクター

楠野 香也 (くすの かや)

コマ動物園で新米飼育員として働いている女性。ローテーションで向かった仕事先で必ず問題が起きてしまうことから「トラブル体質」というあだ名で呼ばれている。体温や感情の変化による体表面の温度などが視認できるという特殊能力を持っているが、温度を真剣に見続けると激しい頭痛に見舞われてしまうため、物を見つめない癖がついている。 その能力のことは周囲に隠しており、園内で知っているのは園長である熊田大地のみ。大地に赤外線を遮断できる眼鏡を作ってもらってからは、ようやく普通に生活できるようになり、寝る時以外は常に眼鏡をかけている。なお、故意に能力を使う場合は眼鏡を外す。

熊田 大地 (くまだ だいち)

コマ動物園で園長を務めており、市の役員などに太いパイプを持っている中年男性。楠野香也の特殊能力に気付き、香也に赤外線を遮断する眼鏡を作った。口ひげを蓄えた小太りな容姿をしており、常に白いスーツを着用している。CMやクイズ番組、ワイドショーなどにも出演する半分タレントのような名物園長だが、園内では「人食い熊」と呼ばれるほどに嫌味かつ横暴で、たびたび飼育員たちに無理難題を吹っ掛けている。 しかし、それらはすべて理想の動物園を作るための熱意の表れである。

(はやし)

コマ動物園で、チンパンジーをメインに担当している飼育員の中年男性。短髪に細身の外見で、現在の楠野香也の直属の上司にあたる。口が悪く短気な面はあるが、チンパンジーからは一目置かれており、彼らの生態にも非常に詳しい。

西 (にし)

コマ動物園でチンパンジーをメインに担当する飼育員の中年女性。ショートヘアで、現在の楠野香也の直属の上司にあたる。ミーティングでは進行役を務めており、園内では情報通といわれている。熊田大地のことは正直鬱陶しい相手だと思っている。

カノン

他の動物園から引き取られ、コマ動物園で飼育されているオスのチンパンジー。幼い頃から人間に育てられ、かつてはショーに出ていたほどの人気者だった。しかし人に慣れすぎてしまったことから他のチンパンジーと馴染めなくなり、今は隔離して飼育されている。人懐っこいが、寂しくなると檻を蹴って大騒ぎしてしまう。

小田 征士 (おだ まさし)

コマ動物園でコアラをメインに担当する飼育員の男性。痩せ型で三白眼をしており、目の下に常にクマを作っている。データの収集と明快な文書化によるノウハウの共有を信念としている。非常に研究熱心で、世界各国のコアラ飼育員と情報交換をしていた。他にマタコミツオビアルマジロも担当している。

ユカリ

コマ動物園で飼育されているメスのコアラ。1年年ほど前に繁殖のためにコマ動物園に受け入れられた。おっとりしており、ユーカリの好き嫌いもない扱いやすい性格。睡眠時間が短く、20時間ほど寝ているコアラがいる中、10時間ほどしか寝ないのが特徴。健康面は何の問題もない。

園川 典之 (そのかわ のりゆき)

コマ動物園の爬虫類館で責任者を務める飼育員の男性。獣医師免許も取得しており、医療班の責任者である辰未直轄の衛生責任者も受け持っている。爬虫類の扱いに慣れているため、ワニが不法投棄された際には警察に協力し、捕獲に一役買った。

篠束 東吾 (しのづか とうご)

富士野建設の会長を務める65歳の男性。ワニ愛好家の中では有名な人物で、大きな日本庭園がある自宅にも、許可を取って複数頭のワニを飼育している。熊田大地とは旧知の仲で、不法投棄されたワニも引き取った。園川典之のワニの優れた扱いを認めており、自身のワニ番としてスカウトしたが断られていた。

辰未 (たつみ)

コマ動物園で副園長と医療班の責任者を務める男性。獣医師の他に医師免許も持っており、動物以外に飼育員の健康面も診ている。博識で優しそうな雰囲気の人物ながら、熱血な面を持っており、ストレスが溜まると車の中で大声を出して発散している。叔父は高名な漢方医で、親戚にも医者が多い。

田代 裕司 (たしろ ゆうじ)

東独楽中学の男子生徒。家庭環境が悪く、日々家族から無視されているため、感情表現が希薄。表情もあまり変わらず、話しかけても反応がないため、学校では気味悪がられている。学校の実習で職場体験をするためにコマ動物園に来たが、そこで爆竹を鳴らしココロに怪我をさせてしまう。

ココロ

コマ動物園で飼育されているマレーグマ。胸にある白い毛がハートの形をしており、一般公募によって「ココロ」と名付けられた。母グマに育児放棄され、担当の飼育員が親代わりとなって育てたためか、少々神経質なところがある。学校の実習で職場体験に来ていた田代裕司の投げた爆竹に驚き、壁に激突して怪我を負ってしまう。

赤根 柚美 (あかね ゆうみ)

コマ動物園で動物と触れ合えるフレンドパークを担当する飼育員の女性。ショートボブにえくぼが特徴で、人懐っこく明るい性格。フレンドパークでは常に着ぐるみを着用し、巧みなダンスやおしゃべりで来園者を楽しませている。反面、動物にはドライな対応をしているように見える。

秦野 孝明 (はたの たかあき)

北未動物公園の園長である秦野の息子で、飼育員の男性。猛禽類が好きで獣医師の免許も持つ。資金難にあえぐ動物公園のために、他人の土地に無断で侵入し、動物の餌にする雑草を刈っていた。その際に絶滅危惧種であるオオタカを発見し、匿名で雑誌や新聞、市役所に封書を送った。しかし、その後に名乗り出て、オオタカの調査に加わることになる。

秦野 (はたの)

北未動物公園の園長で秦野孝明の母親。熊田大地とは古くからの知り合いで、かつては大地も認める優秀な飼育員だった。傾きかけた動物公園の経営を、息子の孝明と数名の飼育員で懸命に支えている。

桑崎 鉱一郎 (くわさき こういちろう)

コマ動物園でチーターを担当する飼育員の男性。動物が好きで飼育員になったが、一方でいくつもの実業団から誘いが来るほどの優れたマラソンランナーでもある。園の宣伝を兼ねて大会に出場していた。働き者で細かいことにも気を配れる飼育員だが、極端に無口なうえに必要最低限の単語でしか話さない。

丹波 訪法 (たんば ほうほう)

コマ動物園でアジアゾウのジャングラを担当する飼育員の男性。大雑把な性格をしているが、ゾウの飼育に関しての知識は広く、ゾウ使いの研修でインドに行っていたこともある。ジャングラの繁殖を成功させるため、楠野香也と奔走する。ジャングラの他にはライオンも担当している。

ジャングラ

コマ動物園で飼育されているオスのアジアゾウ。名前はヒンドゥー語で「森」という意味。インド生まれの14才で、体重は3.2トン。ヒマつぶしで電柵を壊したり、いたずらのために檻を揺らしたり、砂を吐きかける頭のいいゾウ。オスにしてはおとなしい性格をしているが、やや神経質な面もある。

一戸 (いちのへ)

動物専門のドキュメンタリーを撮るテレビマンの男性。山歩きの際にニホンオオカミと思しき動物の死骸を発見し、交流のあったコマ動物園の辰未のもとに死骸を持ち込んだ。その後、辰未と楠野香也とともにニホンオオカミが現存するかを確かめるため、調査に繰り出す。

園川 (そのかわ)

園川典之の父親。先代から続く腎臓専門のクリニックの院長を務める優秀な医師だが、腎不全に悩まされており、典之が母親から報告を受けた時には腎臓移植をするしか手立てがないほどだった。クリニックを継がずに飼育員の道を選んだ典之を勘当していたが、唯一の臓器ドナーとして数年ぶりに再会する。

杉原 未来 (すぎはら みく)

小田征士の幼なじみの女性。結婚して子供も居るが、育児に疲れて悩んだ挙句、征士を頼ってコマ動物園に娘の瑠璃を置き去りにしてしまった。語尾を伸ばして話す癖があり、わがままなうえに頼りない性格。へこんだり悩み事があると征士に会いたがる。征士のことは「まぁちゃん」と呼んでいる。

瑠璃 (るり)

杉原未来の娘で1歳にも満たない乳児。育児に疲れ果てた未来によってコマ動物園のベンチに置き去りにされ、小田征士に発見された。征士には懐いていたが、他の人物が抱っこすると泣き出してしまう。その後、コマ動物園の近くにある乳児園に一時的に預けられた。

田中 茂 (たなか しげる)

コマ動物園でアフリカゾウの大を担当する男性。長年、アフリカゾウのメイン飼育員として働いており、一度は定年退職をしたものの、大が次々と担当飼育員に怪我を負わせたことに責任を感じ、嘱託飼育員として戻って来た。

(だい)

コマ動物園で飼育されているオスのアフリカゾウ。高齢で気が荒く、オス象の中でも特に気難しい。定期的に行う削蹄も田中茂以外の人間がすることを許さない。折れた右の牙に外科手術を施された後、牙で壁を削るなど攻撃的な行動を取るようになり、食が細って衰弱してしまう。

(はた)

コマ動物園でシマウマを担当する飼育員の女性。オセロが産まれた時から面倒を見ているが、哺乳時に噛みつくなど飼育員にも懐かないことに頭を悩ませ、園川典之に相談した。色んな対応を試していたが、哺乳中のオセロに蹴られ鎖骨を骨折してしまう。

オセロ

コマ動物園で飼育されているメスの子シマウマ。コマ動物園で生まれてすぐ仮死状態になったが、飼育員たちの必死の処置により蘇生した。気性が荒く、すぐに噛みついたり蹴ったりするため、母馬を含めたすべてのシマウマから嫌われている。

トガレ

ラスベガスで活躍するトップサーカス「シルク・T」で猛獣使いをしている男性。オセロをシマウマの群れに戻すために熊田大地によってコマ動物園に呼ばれた。園川典之とは初対面から険悪な仲となり、お互いに反発しあっている。

葛西 修一 (かさい しゅういち)

西港水族館で館長を務める男性。常に笑顔で優しげな雰囲気をしているが、人を茶化すジョークを連発する、ユニークな性格をしている。自他ともに認めるペンギンマニアで、職員は自由に出入りできるペンギン関連の資料室を作っている。コマ動物園にフンボルトペンギンを導入するため、ペンギンの研修員として楠野香也と赤根柚美を迎え入れた。

高橋 (たかはし)

西港水族館でペンギンを担当する飼育員の男性。「極地ペンギン」と呼ばれるアデリーペンギンやエンペラーペンギンを主に担当している。担当ペンギンが換羽と呼ばれる羽の生え代わりと繁殖時期が重なったことから、フンボルトペンギンに関しては楠野香也と赤根柚美に任せっきりになっている。

福田 (ふくだ)

西港水族館でペンギンを担当する飼育員の女性。普段は「温帯ペンギン」と呼ばれるフンボルトペンギンを主に担当しており、アデリーペンギンなどの極地ペンギンに関してはもろもろのデータ打ち込みを担当している。極地ペンギンが換羽と繁殖時期となったため、フンボルトペンギンのことは楠野香也と赤根柚美に任せっきりにしている。

ファースト

西港水族館で飼育されているフンボルトペンギンのオス。何事にも一番に行動を起こすことから、群れの中で真っ先に行動を起こす勇気のある者、という意味合いを込めて名付けられた。オス同士ながらチャンプとは熱烈なカップルとなっている。

チャンプ

西港水族館で飼育されているフンボルトペンギンのオス。高い場所がお気に入りで、態度が偉そうなことからチャンプと名付けられた。オス同士ながらファーストに求愛表現をしており、常に行動をともにしている。西港水族館のフンボルトペンギンの中では一番の熱烈カップルと呼ばれている。

ゴロー

コマ動物園で飼育されているオスのチンパンジー。圧倒的に強く、群れでは最優位のオスだが、高齢により最近では群れの隅々まで目が行き届かなくなっている。幼い頃に他のチンパンジーに襲われかけた際、当時のトップのメスに助けられた経験を持つことから、今でもメスにはとても優しい。

タケシ

コマ動物園で飼育されているオスのチンパンジー。群れの上位グループに属する若いオスで、腕っぷしは強いが人気は低い。普段から仲の悪いツヨシにケンカを仕掛け、勝利したことでボスであるゴローにも牙をむいてしまう。

ツヨシ

コマ動物園で飼育されているオスのチンパンジー。群れの上位グループに属する若いオスでタケシの下に位置するが、他のチンパンジーからの支持はタケシより高い。普段から仲の悪いタケシにケンカを仕掛けられた際に怪我を負ってしまう。

モモ

テレビ番組「動物ランランランド」に出演しているタレントの女性。コマ動物園で撮影を行う際は常に熊田大地と一緒に出演している。取材対象の動物を模した被り物やマイクを使用することが多く、リアクションが大きい。大地いわく、アホそうに見えて賢いところが好きとのこと。

葉月 (はづき)

楠野香也と同居しているいとこの女性。赴任している香也の両親に代わり、料理や風呂をはじめとする彼女の面倒を見ていた。動物嫌いを公言しているが、香也の仕事は応援しており、なにかと気にかけてくれている。

場所

コマ動物園 (こまどうぶつえん)

楠野香也が飼育員として務める動物園。正式には「独楽市立コマ動物園」。1958年に約35ヘクタールの丘陵地を活かした立地に建てられ、現在は新興住宅地と大学に囲まれた、街中の動物園。作中で創立50周年を迎える。

北未動物公園 (きたみどうぶつこうえん)

秦野が園長を務め、秦野孝明が獣医兼飼育員を務める動物公園。もとは鉄道会社が路線を伸ばし住宅地を造成した際に、都市開発事業の目玉として作られた動物公園だったが、現在では一帯は開発しつくされ、住民も高齢化したことから集客は伸び悩み、経営は苦しい。

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