白浜鴎の代表作。魔法が日常に溶け込む世界を舞台に、魔法使いにあこがれる少女、ココの成長を描いた物語。この世界では魔法は生まれながらの才能と考えられていたが、実際には魔法のインク「魔の墨」で特定の「魔法陣」を描くことで、誰でも使える技術だった。魔法使いのキーフリーは、その事実を知ってしまったココの記憶を消さずに弟子として受け入れ、ほかの弟子たちと共に魔法を学ばせる。一方、魔法の秘密を世間に広めようとしている「つばあり帽」と呼ばれる一派が存在し、魔法使いたちとの対立構造が描かれる。本作は、魔法を「描く」技術として表現している点が特徴のファンタジー作品。魔法使いの世界の仕組みや魔法陣のデザインが詳細に設定され、魔法陣を描く過程、インクの調合や筆の扱い方など職人的な技術が強調されている。また、「魔警騎士団」や「魔材屋」といった独自の組織や、「フデムシ」と呼ばれる魔の墨の匂いに集まる小動物など、独自の世界観が構築されている。講談社「月刊モーニングtwo」2016年9月号から連載。2022年8月、同誌がWebマンガサイトとして再創刊され、本作の連載も引き継がれた。2018年に「全国書店員が選んだおすすめコミック2018」で第1位、「マンガ大賞2018」で第7位に選出。2020年に英語版(タイトルは『Witch Hat Atelier』)が第32回「ウィル・アイズナー コミック・インダストリー・アワード」最優秀アジア作品賞、「ハーヴェイ賞」Best Manga賞を獲得。