魔法使いに弟子入りした少女の絶望と希望を描いた王道ファンタジー。主人公のココは小さな村で暮らす少女。ココは魔法使いに憧れを抱いていたのだが、自身が魔法使いになることは諦めていた。生まれながらに魔法が使えない人間は魔法使いにはなれないと母に言われたからだ。また、魔法使いが魔法をかける瞬間を見てはいけないという掟があるにもかかわらず、ある日、ココは村にやってきた魔法使いが魔法を使うところを見てしまい、それがきっかけでとんでもない出来事が起こってしまう。
ココが魔法使いに憧れるのは、幼い頃にお祭りで謎の人物から魔法を見せてもらい、その人物から「魔法の絵本」とおまけのペン、インクを購入したことがきっかけだった。以来、魔法使いという存在に強烈に惹かれ続けたココ。そんな彼女の前に魔法使い・キーフリーが現れ、ココは彼が魔法を使う瞬間を覗き見てしまう。キーフリーの魔法を見て、魔法は魔法陣を描くことによって発動するものであると知ったココは、本とペンとインクを使って、魔法の発動を試みた。すると魔法は発動したものの、ココの家と母が石化。ココは母を元に戻すため、キーフリーの弟子となって魔法使いになるための修業をすることになる。ココが数々の困難を乗り越えて成長していく様と独特な世界観に心奪われる作品だ。
世界で最も強い魔力を持った魔女とその弟子の日常を描いたファンタジー。アイリス・バーベナーは、ファフニウス魔法学校魔法科に所属する魔女見習いの少女。彼女が実地訓練で赴いたのは、辺境の森で暮らす世界最強の魔女・ニーナの元だった。魔女としての力は一級品だが、性格はズボラでだらしないニーナ。生真面目な都会っ子のアイリスはそんなニーナに振り回されながらも、彼女との生活を通して少しずつ成長していく。
真面目な秀才である魔女見習いのアイリスは、世界最強の魔女であるニーナの元で修業をすれば早く一人前になれると思っていた。しかしニーナと一緒に暮らし始めて1ヵ月、アイリスはその考えが誤りであったことを悟る。確かにニーナは高度な魔法を難なく使いこなせる卓越した力を持っていたが、本来魔法を使う者たちが知っていて然るべき魔法の初歩的な理論すら知らず、全ての魔法を自分の感覚のみで行っていたのだ。これでは他人に魔法を教えられるはずもない。しかもニーナはかなりズボラでだらしなく、非常にマイペースな人物だった。自由なニーナと、そんなニーナに度々苛立ちながらも彼女を嫌いになれないアイリス。デコボコな師弟関係の日常が、繊細なタッチで描かれている。
魔女の女子高生と某古武術の使い手である女子高生が老舗旅館で仲居として働く日々を描いた、温泉アクションコメディ。老舗旅館「風雲閣」は一見普通の旅館だが、実は極東随一の魔術拠点だ。極東魔術学院女子高等部3年生の見習い魔女・如月綺紗羅(きさらぎきさら)は、そんな風雲閣に職業研修でやってきた。綺紗羅はそこで某古武術道場の跡取りである少女・三荊浅葱(さんばらあさぎ)と出会い、共に仲居として風雲閣で巻き起こる様々な事件に遭遇していくことになる。
風雲閣の女将は「口縄の魔女」という通り名で知られ、かつては世界を相手に戦ったこともある悪名高き大魔女だ。綺紗羅は女将に憧れ、彼女を倒して世界征服するという野望を抱いて風雲閣にやってきた。綺紗羅はプライドが高く、自信家の少女だ。しかしその一方で鼻の粘膜が弱く、魔素に反応してすぐに鼻血を出したり、自分の不得手を認められる素直な面を持っていたりする。そんな綺紗羅と関わっていくことになるのが浅葱だ。浅葱は綺紗羅と同い年だが、仲居としては彼女より先輩。魔力はないが霊体を素手で殴れる浅葱は、綺紗羅とは当初こそ喧嘩が絶えないものの、徐々に良いコンビになっていく。旅館を舞台に繰り広げられる友情あり、バトルありのドタバタな日常を堪能しよう。
身寄りのない少女と異形の魔法使いが心を通わせる異類婚姻幻想譚。生まれつき人外の者を見ることができる不思議な力を持った少女・羽鳥智世(はとりちせ)は、家族にも疎まれ、孤独な人生を送ってきた。自棄になった彼女は、謎の男に言われるがまま闇オークションの商品となることを決意。オークション会場で、骨の頭を持つ異形の存在、エリアス・エインズワースに高値で落札される。エリアスは魔法使いで、チセを自分の弟子に、そして伴侶にするつもりだった。2017年テレビアニメ化。
チセの力は、普通の人間からは忌み嫌われるもの。しかし人ならざる者にとっては特別なものであり、また魔法使いとしての素質に他ならなかった。エリアスに落札されたチセは、イングランドにあるエリアスの家で生活しながら、彼の弟子として魔法使いの修業をすることになる。修業の過程で様々な場所に赴き、様々な人外の者たちと交流するチセ。いくつもの出会いと別れは孤独に塞ぎ込んでいたチセの世界を拓き、彼女を魔法使いとしても人としても大きく成長させる。チセは一人前の魔法使いになれるのか。そして謎に包まれたエリアスを理解し、彼の真の伴侶になれるのか。作り込まれた世界観、美しい魔法の描写、チセとエリアスの関係など、見所が満載の幻想的な物語だ。
魔女の少女が慣れない田舎町で仕事を探して奮闘する青春ストーリー。15歳の少女、玉城禰子(たましろねこ)の正体は魔女。彼女は修業のため、東京を離れて1人で見知らぬ田舎町へとやってきた。魔女は義務教育を終えると、人の役に立つために自分の仕事を見つけるのが掟。そのため禰子は町で自分にできる仕事を探すことになるのだが、慣れない土地での生活は苦難の連続だった。禰子は仕事を見つけ、町の人たちに受け入れられるのか。半人前魔女の奮闘の日々が始まる。
舞台は魔女の存在を世間が認知している現代日本。しかし認知しているとはいえ、近代科学が発達した現代において、魔女は時代遅れの怪しい存在になっていた。そのため禰子も、辿り着いた田舎町で奇異の目に晒されることになる。元々、魔女修業に乗り気ではなかった禰子。一年修業に耐えれば普通の高校生になる道が拓けるため見知らぬ町へやって来たものの、想像以上の世間の厳しさに禰子の心は折れかけていた。そんな禰子に声をかけたのが、同年代の少女・中嶋菊花(きっか)だった。禰子は菊花との交流を経て少しだけ修業に対し前向きになり、自分が魔女として何ができるのかを真剣に模索するようになる。時には厳しい現実とも向き合い少しずつ成長していく禰子の姿から、多くのことを学べる作品だ。