時名きういの代表作。家と職を同時に失った29歳の派遣OL、八重と、一級建築士として成功を収めたイケメンの幼なじみ、匠の「偽装結婚」を描いた物語。匠は仕事上の理由から、手を広げすぎた女性関係を整理するべく、困窮する八重に「嘘の結婚相手」を演じるよう要求し、その見返りとして、自宅である都心のタワーマンションへの無償居住と生活費の補助を提案する。物語は二人の契約から始まり、匠の建築事務所の仕事関係者との交流や、社交行事で「夫婦」としての関係性を周囲に見せつけることを通じて展開される。幼なじみという関係性から、異性として扱われるはずがないと考えていた八重だったが、匠からの突然のキスや、彼の元カノの登場など予想外の出来事を経て心境に変化が生じ、次第に匠に対して契約を超えた感情が芽生えていく。本作は、契約結婚というモチーフを現代的に再解釈したラブコメディ。職を失ったOLと成功した建築家という社会的立場の対比が物語の基盤となっており、現代日本の都市部における建築業界と、その社交界が舞台として細密に描写されている。講談社「姉フレンド」10号(2017年9月1日)から102号(2025年4月1日)まで連載。テレビドラマが2023年7月から放送された。