頭の中で考えたことが周囲に伝わる奇病・サトラレに罹った人間と、サトラレを守る「サトラレ対策委員」を描いた青春漫画。脳内の思考が周囲の人間に筒抜けになってしまうという奇病「先天性R型脳梁変性症」、通称サトラレ。16歳の少女・海崎千景(うめざきちかげ)はサトラレなのだが、千景自身は自分の思考が周囲に筒抜けであるとは知らずに日々を過ごしている。彼女がサトラレであることを自覚せずに生きていられるのは、密かに彼女を守る「サトラレ対策委員」のおかげだった。
自分の思考が他人に筒抜けというのは、苦痛以外の何物でもない。自分がサトラレであると自覚してしまえば、精神崩壊を招く恐れがある。そのため、サトラレに症状を自覚させる行為は法律で禁止されている。サトラレが国の法律で守られているのは、サトラレがIQ160以上の天才で、様々な分野での活躍が予想されているからだ。そして、サトラレが症状を自覚することなく生活し能力を発揮でるようフォローするために存在するのが「サトラレ対策委員会」。その中でも未成年のサトラレを保護するために、対象のサトラレの同級生として生活するのが未成年の対策委員だ。サトラレに真実を悟らせないよう優しい嘘で守ろうとする未成年の対策委員と千景の関係性に注目しよう。
自由な恋愛が許されない世界の少年少女たちの禁断の恋を描く恋愛漫画。舞台となるのは、超・少子化対策基本法によって満16歳以上の人間の自由恋愛が禁止となり、政府が決めた相手と結婚しなければならなくなった未来の世界。16歳になった主人公の少年・根島由佳吏(ねじまゆかり)のもとにも、政府から将来の結婚相手に関する通知がきた。由佳吏は通知された相手・真田莉々奈(りりな)と付き合うことになるのだが、実は由佳吏には両想いの相手が別にいた。2017年7月にテレビアニメ化。
超・少子化対策基本法、通称ゆかり法。この法律は物語の世界において絶対だ。もし通知を拒否すると、それだけで社会不適合者の烙印を押され、その後の人生に大きな影響が出る。そんな法律によって、由佳吏にも結婚相手があてがわれたのだが、実は誕生日を迎える直前、由佳吏は初恋の少女・高崎美咲と両想いになっていた。禁断の恋を貫くべきなのか。それとも自分の心に嘘をついて法に従うべきなのか。そもそも人を突き動かす恋とは何なのか。由佳吏と美咲、そして莉々奈。さらには由佳吏に友人以上の気持ちを抱く男子高校生・仁坂悠介が加わって、その恋愛模様は複雑さを増していく。斬新な設定と各キャラクターの丁寧な心理描写が高い評価を得ている魅力的な作品だ。
言葉を操る「ロマンサー」の少年の活躍を描いたバトル・アクション漫画。「ロマンサー」とは、架空物語作者・伝奇小説家・空想家・とんでもない作り事を言う者を指す言葉。この世界にはロマンサーと呼ばれる超能力者がいる。ロマンサーは特定のワードを入れた願望を口に出すことで、その願望を実現させる力を持つ。主人公の男子中学生・汀宝良(みぎわたから)は「嘘」という単語をキーワードに力を使うロマンサーだ。宝良は自らの能力を使い、警察の手に負えない難事件を解決していく。
ロマンサーはそれぞれWOP(ワード・オブ・パワー)を使って能力を発揮する。WOPはいわばキーワード。キーワードはロマンサーによって違う。宝良のWOPは「嘘」で、宝良が能力を使おうと思った場合、言葉のどこかに「嘘」というキーワードを入れ込まなくてはいけない。例えばボールを手に「これが悪人に当たらないなんて“嘘”」と言うと、宝良が思った悪人の頭にボールは確実に当たる。何でもできるがもちろん制限はあり、第1に能力は対象に触れなければ発揮できない。第2に能力の効果は長くは続かない。保護者兼仕事上のパートナーである刑事の脇坂純一と共に、宝良はこの力を使って様々な事件に関わっていく。宝良が力を使うシーンは迫力満点で見応えがある。
狼少年の子孫たちが送る日常を描いた、ケモ耳男子ラブコメディ。イソップ物語で有名な嘘つきな少年・狼少年。彼は「もう嘘はつきません」と約束したのだが、その後罰として呪いをかけられた。その呪いとは「嘘をつくと狼になる呪い」。その呪いは、東京に住む狼少年の子孫・森兄弟にも受け継がれていた。ちょっとした嘘でもケモ耳が出て尻尾が生え、最終的には完全な狼になってしまうため、嘘がつけない末弟の満四郎は日常生活から苦労することになる。
嘘をつくと、ついた嘘の大きさによって体が狼化してしまうという面倒な体質を持つ森4兄弟。末っ子の満四郎(みつしろう)は、東京で兄2人と一緒に暮らしている。兄弟とはいえども、彼らの体質との付き合い方はそれぞれ異なっている。狼化しないために真実だけを口にする非情な社長になった次男の繊二郎(せんじろう)。常に耳を出した状態で周囲から変態扱いされている大学助手の三男・弦三郎。主人公である末弟の満四郎は、狼化することを恐れて嘘をつけず、かといって本当のことも口にできないコミュ障の引きこもり大学生になっていた。満四郎はこれから社会に出ていかなくてはいけないのだが、嘘をつけないというのは大きなハンデだ。兄や周囲の人たちと関わりながら、満四郎は自分の将来を模索していく。
女子大生が女子高生に扮し義理の弟と恋に落ちる奇妙なラブストーリー。主人公は20歳の女子大生・高槻湊(みなと)。彼女には親の再婚でできた同い年の義弟・透がいる。透は中学の頃から幾人もの女性と関係を持ってきたモテ男。湊はトラブルを避けるため、家族でありながら彼とは距離を置いていた。そんなある日、ひょんなことから友人の高校時代の制服を着て街を歩いていた湊は透に遭遇。彼に湊とは別人であると嘘をついた結果、熱烈なアプローチを受けることになる。
友人の高校時代の制服に袖を通した湊は、ギャル風のメイクをしてノリで街を歩くことになり、そこで義弟の透に遭遇。咄嗟に湊に顔が似ているだけの架空の人物を演じ、その場を乗り切ろうとする。しかし、みなが義姉の湊とは別人であると信じた透は、湊に自分の連絡先を渡してきた。つまりはナンパである。当初はスルーしようとしていた湊であったが、いっそのこと偽りの姿を利用して、彼の女関係を整理させようと決意。「野口みな」として透と度々会うようになり、やがてみなに向けられる透の好意に複雑な気持ちを抱き始める。みなを一途に想うようになる透と、そんな透が気になる湊。2人の間で繰り広げられる不思議な三角関係の行方から目が離せない。