緻密なSF設定のアニメ『ゼーガペイン』の魅力に迫る!304 Pt.

出典：[ZEGAPAIN]ゼーガペイン

千葉県立舞浜南高校の一年生「ソゴル・キョウ」は、幼馴染の「カミナギ・リョーコ」の頼みで、自主映画に出演していた。
撮影中、「キョウ」はプールの飛び込み台に立つ謎の美少女「シズノ」を目撃し、自身が立ち上げた水泳部への入部希望者だと思い、勧誘しようとする。しかし、「シズノ」は「キョウ」に何かを言い残し、プールへと飛び込んだまま、忽然と姿を消してしまう。「シズノ」は「キョウ」にこう言っていたのだ。「この世界を救って」 と。
「キョウ」は「シズノ」と共に人型兵器「ゼーガペイン･アルティール」に乗り、人類の敵「ガルズオルム」と戦いながら、やがて世界の真実の姿と直面することになる。

出典：[ZEGAPAIN] ゼーガペイン

普通の高校生だった「ソゴル･キョウ」が、転校生の「ミサキ・シズノ」と出会って仮想世界の戦いに巻き込まれていく、という形でストーリーは進むのだが、物語が進んでいく内に「キョウ」はだんだん疑問を抱いていく。〝自分が住んでいるこの世界は本当に現実の世界なんだろうか？″と。
やがて日常の世界で抱いていた違和感はどんどん大きくなっていき、ついに六話のラストで衝撃の事実が明かされる。その仕掛けの為に、物語の冒頭ではあえて詳しい世界観の説明はなされない。なので、初めの頃は世界観がわかりにくくもやもやしてしまうかもしれない。それでも世界の真実が明かされる六話までは、是非、見続けて欲しい。
なお本作には、物語冒頭から特に解説されることなく、難しく感じる固有の用語が出てくる。しかし公式サイトの用語解説を見ると、がっつりネタバレになってしまうので極力閲覧しないことをお勧めする。

出典：Amazon.co.jp

本作のもう一つの魅力は、思春期の高校生らしい青春群像劇であることだ。
主人公の「キョウ」は自分で立ち上げた水泳部のたった一人の部員で、なんとか廃部に追い込まれないように、PRビデオを作ったりして懸命に奔走する。
「キョウ」は過去自身が起こした暴力事件で、かつての水泳仲間と険悪な関係になっており、事あるごとに絡まれ殴り合いになったりするのだが、殴りかかってくるかつての仲間達が抱える想いも、怒りだけでなく複雑だ。また、幼馴染の「カミナギ･リョーコ」との関係、ミステリアスな「シズノ」の意味深なセリフなども気になるところ。恋愛、友情。様々な人物の想いが、複雑に絡み合う。

出典：「ゼーガペイン ADP」イベント上映：[ZEGAPAIN]ゼーガペイン10周年プロジェクト

『ゼーガペイン』は繰り返し視聴することで、〝この時のこのキャラクターの表情や言葉は、こういうことだったのか″と気付かされる作品だ。
OPとEDも、その世界観の構成に欠かせない。世界の真実の姿と、キャラクターたちの葛藤や苦悩は、この作品の重要なキーワードである「消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み」という言葉に象徴されている。
2006年の放送から10周年のアニバーサリー企画で、『ゼーガペインADP』が2週間限定で全国8館で上映された。