美麗なイラスト×あやかしファンタジー!!『もっけの箱庭』の「草川為」特集22 Pt.

本作では、「箱庭」を巡って人間の女性と植物のモノノケの絆が描かれる。作中に登場する「勿怪の箱庭」は、植物のモノノケで「庭魂」と呼ばれる主が宿る特殊なもの。江戸から明治にかけて数多く作られたものの、製法は伝わっておらず、現代では貴重な文化財。メンテナンスを怠ると主は機嫌を損ね、箱庭の中が荒れてしまう。そのため、持ち主は愛情をもって世話を行い、時には勿怪の箱庭専門の庭師である箱庭修造師が中の様子を見てメンテナンスを行う必要があるのだ。主人公のれんが祖父から受け継いだ勿怪の箱庭に宿っていたのは、藤の庭魂・吉祥。彼に気に入られたれんは、まだ見習いではあるものの、様々な経験を積みながら少しずつ箱庭修造師として成長していく。

本作で主軸となる「九生の猫」は、その名の通り普通の猫とは異なり、9つの命を持つ変種の猫。彼らには命数を表す「命名」（みことな）があり、命を落とすたびに縄張りのボスに報告し、名を更新することが義務付けられている。何らかの事情によりその更新を怠っている者に更新を促しにいくのが「取り立て屋」の仕事だ。恩返しをするために三雲は取り立て屋の仕事を手伝うことになるが、名を更新しない猫はやがて化け猫となり狂ってしまうため、仕事には危険がつきまとう。しかし、三雲がピンチの際には格好良く助けてくれる八潮の優しさに、三雲は惹かれていくばかり。ある時、三雲の家が全壊したためにしばらく八潮の家で居候生活することに。それをきっかけに両者の距離が縮まっていく。

本作の舞台となるのは、龍の一族が統べる砂漠の町。シャクヤの手には婚約者への想いが数に反映される刺青の花が咲いており、右手にはルシンの薔薇（そうび）が、左手にはクワンの竜胆（りんどう）の花が咲いている。想いの差は手を見れば一目瞭然であり、竜胆の花の数が多いことからもシャクヤの想いはクワンに傾いていることは明らかだ。しかし、花数の差を知ってもつれない態度を取られても、ポジティブ志向のルシンは変わらずにシャクヤに愛を伝え続ける。クールで真面目なクワンと、記憶喪失でありながらも軽い性格のルシン。果たして正式な結婚相手に選ばれるのはどちらなのか。展開が進むにつれてクワンの正体や目的も明らかになっていき、シャクヤの心は乱されていくことになる。

本作は『今日の恋のダイヤ』の続編。『今日の恋のダイヤ』ではサブキャラクターとして登場していたのぞみが本作では主人公。のぞみは美人で仕事ができ、愛敬を振りまくのが上手いが、なかなか理想に当てはまる結婚相手を見つけられずにいた。そんな彼女が出会ったのは、冴えない男性の「クジ男」こと久慈。彼がデートに選ぶ場所は、見事な銀杏並木のある公園など、理想とは違っても心を動かされるものばかりだった。のぞみは、自分の「理想」とは違っても誠実な久慈との結婚を決意する。しかし、結婚は終着駅ではなく、むしろ二人で共に生きる人生のスタート地点。少しずつ夫婦の絆を強めていく二人の新婚生活に心が温かくなることだろう。

本作の主人公の悪魔・ガートルードは綺麗な少年のような見た目だが、性格は挑戦的でやんちゃな子供のような存在だ。「ツギハギの悪魔」と他者から呼ばれているように、様々な悪魔のパーツで出来上がっており、材料に使われた他の悪魔から狙われることは日常茶飯事。そんな争いが絶えない日々を送っていたが、世話好きの人間の少女・佐原との出会いによって、心に温かいものを感じるようになる。展開が進むにつれて人造悪魔の創造者クロードの時を超えた陰謀が明らかになっていき、ガートルードと佐原はその陰謀に巻き込まれていくことになる。