あの星が目標だ！「～の星」漫画オススメ５選75 Pt.

まりあはクラスの人気者になるために、担任にキスをしたり全力で目立とうと元気いっぱいに振る舞ったりするが、却って空回りしてしまう。クラスには全てが完璧な美少女ヒロイン・三好すなおがいたからだ。すなおは可憐で育ちが良く、持ち前の上品さでたちまち取り巻きを作りまりあと敵対する。民子は心の中では自由闊達なまりあに憧れを抱くも、すなおとの間で心が揺れ動いていく。たとえ小学1年生であっても、クラスにはヒエラルキーが存在し、人間関係も大人のそれと変わりないことが描かれているのが本作の特徴だ。どんなにクラスメイトに嫌われても全力で好かれようとガッツで食らいつくまりあには、どことなく哀愁すら感じさせ、憎めないキャラクターになっているのも面白い。

一徹は、類稀なる野球センスを持ちながら戦争での怪我により退団を余儀なくされ、酒浸りの生活を送っていた。自分の夢を飛雄馬に託すべく「巨人軍という星座のど真ん中で光り輝け」と、幼い頃から野球の英才教育をしてきた。部屋の中から壁穴を通してボールを投げ、外にある木の幹に当て続ける飛雄馬に、長島はそのボールを打ち返すことで激励のサインを送る。甲子園での活躍もあって晴れて巨人軍の一員となった飛雄馬は、魔球「大リーグボール」を武器に宿命のライバル・花形満（はながたみつる）などを次々となぎ倒す。暴力的なスパルタ指導が刺激的だが、当時のステータスである巨人軍のエースになるには血の滲むような努力が必要であることをうかがい知れることはできる。ボロボロになるまで投げ続ける飛雄馬の、一本気なまでの生き様もまた美しく感じられる。

はるかは、実は引きこもりで部屋から一歩も出なかったため、ゾンビの襲撃を免れることができた。窓を開けると視界には街をうろつくゾンビ達がいるが、はるかは臆することなく激辛スナック菓子をばら撒き、辛さに顔を歪ませる様子を見てメモを取るなどどこまでもマイペースだ。両親もゾンビの襲撃を受け死んでしまったが、独りの時間の過ごし方を熟知しているため悲壮感は全くない。むしろ暇つぶしに母親の持っていたエクササイズDVDを見ながらダイエットに励み、初めてメイクをするなどお一人様生活を満喫するさまが面白い。終始ギャグ満載ではあるが、グロテスクな要素もバランスよく描かれており、ギャグ漫画としてもゾンビ漫画としても楽しめる作品だ。

富の結婚の目的はズバリ「来孫（きしゃご）」を産むことだった。山川家は、ひいひいおばあちゃん（曽々祖母）である山川トヨが健在であり、来孫の顔を見せることができれば日本初の快挙だという。西太は見合い中の富の態度に「本気ではない」と不信感をおぼえ、その場を立ち去る。しかし、自分の本気度を見てほしいと単身、西太の家に乗り込む富の熱意を受け入れ、同居生活が始まった。当初はジェネレーションギャップに戸惑うこともあったが、必死に家庭を守ろうとする富の姿に西太は結婚を決意する。彼女は16歳の若さであるが、愛する者と家庭を築き命を繋ごうとするその姿がさまざまなことを教えてくれる。想像以上の感動を与えてくれる作品だ。

高市が出会った女性は「みどり」と名乗り、元はこの星の「上の世界」にいた人型のカエル星人であった。特別美人というわけではないが、どことなく素朴な風貌と性格の良さに、高市はたちまち恋に落ちる。住人のカエル星人達もおしなべてのん気で人懐っこく、高市を慕いすぐにうち解けていく。当初はカエル星人達と距離を置いていた山本も、なぜかラーメン屋を開くことになりいよいよこの星でのスローライフが継続するかに思われたが、「上の世界」との諍いが彼らに暗い影を落とす。それまでのんべんだらりと暮らしていた高市は、みどりを守ることができるのか。物語は激しいバトルへと展開し最後まで目が離せない。みどりとの愛を取るか、地球への帰還を選ぶか、高市の究極の選択に心からハッピーになれる冒険譚だ。