人間のスタンクを筆頭に、エルフや獣人などあらゆる種族の「レビュアー」が風俗店のサービスをクロスレビューで評価するエロコメディー。エルフの風俗店を愛用するスタンクは、同じエルフ族のゼルに「500歳超えなんか抱けるわけない」と難癖をつけられる。そこで「500歳エルフ」と「50歳人間」、2種類の風俗嬢について獣人などを交えてクロスレビューしたところ、スタンク以外の全員が人間の方に高得点をつける結果となった。2020年冬テレビアニメ化。
スタンクは、あらゆる種族とエッチなことをするために日々危険な冒険をするという、清々しいくらいの俗っぽさが魅力。エルフの風俗嬢を「みんな若くて綺麗」と評するスタンクに対し、他種族のレビュアーは「ババア」「腐葉土みたいな臭い」と酷評するなど、種族別の価値観の違いがとてもコミカルに描かれている。風俗店への出入りや風俗嬢へのレビューが物語の主軸である一方、それぞれのレビュアーが冒険者としての顔も持っており、話数によっては冒険や戦闘がメインの王道ファンタジーとしても楽しむことができる。異種族とエロ要素が合わさる本作はあらすじからして色物感が漂うものの、少年誌に連載しているゆえ性的な描写は控えめなので、シュールな笑いを求めている人は気軽に手にとっていただきたい。
異種族言語学を学んでいるハカバが、腰を悪くした教授の代わりに魔界の調査へ向かうファンタジー漫画。魔界調査の続きを教授に託されたハカバは身の安全に不安を感じつつ、ワーウルフというモンスターが暮らす村へ赴くが、いざ現地についてみるとワーウルフ達は非常に礼儀正しく友好的であった。ハカバは現地ガイドが教授とワーウルフの子供という事実に唖然としつつも、つたない獣人語と愛情表現を駆使して彼らとコミュニケーションをとっていく。
つたない現地語でも誠意を持って話したり、ワーウルフ達の行動から「親愛を表すボディランゲージ」を理解するなどのハカバの仕事ぶりは、実際に海外を訪れるとき参考にできるものが多々ある。異種族の習性や村長の逸話にハカバがひたすら驚くコミカルな展開が多いものの、「ワーウルフの村にはかつて人間が住んでいた」「人間はワーウルフをモンスターと呼び剣を向けてきた」など暗い過去を想起させる伏線もあり、動物や異国の民族とどのように共生していくべきか深く考えさせられる。このように相互理解をテーマにした王道の異種族系作品である一方、ワーウルフをはじめとした異種族の描き方が非常にリアルかつかわいらしく、動物好きなら間違いなく楽しめる一冊だろう。
主人公・緋佐子(ひさこ)が、月の光で人間に変身するオオカミ・夜斗(やと)と日夜情事を繰り広げる女性向け漫画。ある日、緋佐子は酔っぱらいに絡まれていたところをオオカミ姿の夜斗に救われ、お礼に彼を自宅へ連れ帰る。すると月の光によって人の姿となった夜斗が緋佐子に己の正体を明かすとともに求愛し、彼の瞳に一目惚れした緋佐子もそれを受け入れる。こうして人間とオオカミによる「禁断の恋」が幕を開けるのだった。
肉食系男子に強引に迫られ、なし崩し的に関係を持ってしまう、という展開は女性向け漫画では珍しくないが、肉食系男子が正真正銘の肉食獣という設定は中々お目にかかれないだろう。出会いから恋愛関係に至るまでの流れがスピーディーな一方、その後は互いの境遇を理解し合うなどして丁寧に仲を深めていく。また禁断というほど後ろめたい関係にもなっておらず、緋佐子の勤め先の店長や夜斗がかつて世話になった獣医師など理解者が多いので、「いつか破滅するのでは」などの不安を抱えることなく読み進められる。夜斗がファンタスティックな存在であるがゆえ、かなり壮大な恋愛をしている気分になれるので、学園モノや上司系といった王道の恋愛ストーリー以外にも興味がある女性にオススメだ。
非モテに悩む人間のダンナが、「異種婚活」という召喚術を用いた儀式によって呼び出した悪魔のヨメと新婚生活を始めるラブコメディー。人間女性との婚活に失敗したダンナが異種婚活を試したら、魔法陣から出てきたのは武骨で大柄、だが言葉遣いはフランクという謎多き悪魔・ヨメだった。異種族が多く住むアパートにて隣人にドン引きされながらも新婚生活をスタートさせると、部屋の狭さに困ったヨメはあっさり人間の姿に変身し、そのかわいさに歓喜したダンナは改めて彼女に求婚する。
ダンナはヨメの元の姿に合わせた結婚指輪を作り出すなど、異種族との付き合いを真面目に考えている一方で、ヨメが処女であることに歓喜するなど欲望に忠実な部分を併せ持っているのが魅力。ヨメもレシピ通りに料理を作ったり家計の足しにバイトを始めたりと、元の姿からは想像できない家庭的な性格なため、異種族系特有の色物感もなく純粋なイチャラブ夫婦生活を楽しめる。とはいえ舞台は異種族が多く住むアパートであり、蜘蛛やナメクジなど様々なタイプの嫁が登場するので、人外萌えを求めるようなコアな異種族系ファンも満足できることだろう。また魔力を瓶に入れて冷蔵保存できる設定などのシュールな要素も多く、各キャラクターの濃さもあいまってギャグ漫画としての完成度も高い。
かつて魔王軍の尖兵として恐れられたオークが、悪が滅んだ後の世界をAV男優として生き抜くエロコメディ。魔王が亡くなって以降オークはことごとく駆逐されるてしまい、今や世界に60匹ほどの希少種と成り果ててしまう。かつて光の種族が人々の戦意昂揚に利用していた「姫や女騎士がオークに襲われる姿」に根強い需要があることから、魔王軍の「黒猪」軍団の戦士だったラドスラフは戦友のドラホスラフと共にAV男優となり、日々「人やエルフを襲うモンスター」を演じていく。
異種族間で性行為に発展する作品はここまでいくつか紹介してきたが、「異種族間のAV撮影がテーマの作品」として紹介できる漫画は本作以外では類を見ない。ファンタジー世界なのにテレビが普及しているなど設定もかなりシュールであり、同族の異性と巡り会えないことに悩みつつ日々異種族と性交するラドスラフ達の姿は同情と笑いを同時に誘う。女騎士が軍縮によりクビとなった末にAV女優へ転職するなど世知辛い要素は少なくないものの、基本的には日々の仕事や戦争の余波を一致団結して乗り切るハートフルな話である。登場人物も総じて個性の強いキャラばかりであるため、女優のメイクを担当する少女・イネスの存在は作中における唯一無二の癒やしだ。萌え要素を求める人も彼女のかわいらしさに満足できることだろう。