あぶないところを救ってくれた狼と種族を超えた恋に落ちてしまうラブストーリー。都会で一人暮らしをしている緋佐子は、夜道で男に絡まれていたところを金の瞳を持つ狼に助けられる。緋佐子が狼を家に連れて帰ると、狼は人間の男に変身。「夜斗(ヤト)」と名乗るその男は、月の力で人間に変身するという。狼の時と同じ金色の瞳をした夜斗が放つ魔性の魅力に緋佐子は抗えずに惹かれていってしまう。続編として『続・禁断の恋をしよう』『禁断の恋でいこう』がある。
狼男というと、月を見ると狼に変身してしまうパターンを想像するが、夜斗はその逆だ。月の力で狼から人間へと変身するのだ。緋佐子と夜斗の出会いは、夜斗が狼の姿の時のこと。いつかペットを飼いたいと思っていた緋佐子は、自分を助けてくれた黒い狼を一人暮らしの部屋に連れて帰った。しかし、狼は全裸の若い男に変身してしまう。だが、夜斗の人間としての姿は、知人の男が突然部屋に押しかけてきた際に、その男を追い返すのに一役買うことがある。そして緋佐子は、傲慢なそぶりなのにどこか憎めないところのある夜斗の誘惑に抗えず、関係を持ってしまう。一夜限りと割り切ろうとするが、その後も夜斗の本能に忠実な求愛を前に緋佐子は惹かれる気持ちをとめることができない。夜斗と緋佐子は種族を超えて結ばれ、甘く情熱的な同棲生活が始まることになる。
人間関係につまずいてしまった女子高生と人外男子の出会いと成長を描く青春ラブストーリー。都内の高校に入学して5カ月、人間関係がうまくいかず悩んでいた楠木こむぎは、離婚した父が住む北海道に移り住むことを決意。転入した円山高校で、隣の席になったイケメンの男子生徒・大神結(おおがみゆう)から突然「君……なんかいい匂いすんね?」と声をかけられ困惑する。あまり関わらないようにしようと思った矢先、居眠りをしている結に耳と尻尾が生えているのを見てしまう。
イケメンで誰にでも優しい結は、円山高校のアイドル的な存在。結を囲む仲間たちもイケメン揃いで女子から絶大な人気を集めている。そして、彼らには共通の秘密があった。みんな本来の姿は動物で、結は狼、切れ長な釣り目をした伏見燐は狐、たれ目がかわいい淡路青芝(あおし)は狸、クールな深山千里(みやませんり)は猫。彼らは人間に変身して高校に通っていたのだ。もちろん、彼らが人外男子であることはトップシークレット。秘密を知ってしまった人間は、彼らが持つ催眠の力でその記憶を消してごまかしてきたのだった。しかし、こむぎには、どうしてかその力は効かず、秘密を共有することになる。人外の存在でありながらとある理由から高校生活を送る彼らと、心に傷を負ったこむぎの心の交流が描かれていく。
天涯孤独の少女と狼の一族を率いる公爵との身分違いの恋を描くロマンチックラブコメディ。天涯孤独の少女シスター・ニナは、村人に頼まれて魔物と噂されている公爵が住まう屋敷へ、生贄としてやってきた。しかし、そこで出会ったのは、人を食べる魔物ではなく気品あふれるハンサムな青年貴公子エドガー・ヴィルヘルム・フェルディナンドだった。山深い場所にある屋敷に住んでいて、広大な領地をおさめる公爵家の嫡男である彼には、人には言えない秘密があった。
ヒロインのニナは、父を亡くし身寄りのない少女だ。生来生真面目で、お人よしの彼女は、「嵐を操る魔物で、姿を見たものを一人のこらず頭からバリバリと食べてしまう」という公爵の生贄になるべく、単身で山深い場所にある屋敷にやってきた。不作の続く村を救うためだと村人から頼まれたのだ。しかし、対面したエドガーは美しい青年領主で、帰るところのないニナを使用人として雇ってくれることになる。そしてエドガーは、ある誤解のせいで村人たちから疎まれていたニナが、厄介払いとして生贄にされたことに気づく。ニナの健気さや、真っ直ぐさに惹かれていたエドガーは、彼女と一緒にいるために、自分の一番大事な秘密を彼女に明かす決意をする。ニナの目の前で、彼は巨大な狼に変身してみせるのだった。
人の声は聞こえにくいが動物の声が聞こえる少女と、人間になってしまった狼の出会いと絆を描くファンタスティックラブコメディ。森村のばらは、小学校6年の時の事故の後遺症で人の声が聞こえにくくなったかわりに、動物の声が聞こえるようになってしまう。高校1年の現在は、後遺症には慣れたものの同級生たちとは一歩ひいた付き合いをするようになっていた。そんなある日、のばらと同じ事故にまきこまれて狼から人間になってしまったと訴える男子に出会う。
ペットを飼う多くの人が、一度は欲しいと思う「動物の言葉がわかる」能力が、期せずして手に入ってしまったのが主人公・のばらだ。そんな彼女が町で偶然出会ったのが謎の男子。人の声が聞こえにくいはずなのに、なぜか彼の声だけははっきりと聞こえたのだ。謎の男子は、自分はのばらの事故にまきこまれた山犬、いわゆる狼だという。事故以来、本来の姿に戻ろうとしても、力が足りずに狼とは程遠い可愛らしい小型犬にしかなれないというのだ。仕方なくのばらは彼を「狼(ろー)」と名付けて飼うことにする。「元に戻る」ために、一緒に行動するうちに、犬系で人懐っこい狼のおかげで、のばらは閉ざしていた心を少しずつ開き、クラスメイトとも関係を築き始めるのだった。
魔界人と人間の恋を描くファンタスティックラブコメディ。主人公の江藤蘭世(ランゼ)は、吸血鬼の父と狼女の母を持つ魔界人の女の子。転校してきた人間界の学校でクラスメイトの真壁俊に片思いしているが、両親は人間との恋愛には大反対。しかしそんな声はどこ吹く風、蘭世は恋のライバル・神谷曜子の妨害にあいつつも、果敢に俊にアタックする日々を送っている。そんなある日、蘭世は噛みつくことで、その相手に変身できる魔力に目覚めてしまう。1982年にテレビアニメ化されている。
本作で、狼男として登場するのは蘭世の弟・鈴世(リンゼ)だ。ボブヘアをした美少年で、小学生ながら狼女である母譲りの狼男。もちろん、狼に変身することはできるが、元に戻る際「ここほれわんわん」と呪文を唱えるのがおかしい。他にも魔法使いや死神といったファンタジー世界の住人が活躍する本作は、蘭世の恋と冒険を描く第1部、蘭世の弟・鈴世のガールフレンドで超能力を持つ人間・市橋なるみをヒロインとして描く第2部、蘭世と俊の娘・真壁愛良(あいら)が主人公として活躍する第3部からなる。鈴世は第1部で出会ったなるみとの恋を実らせ、ふりかかる困難を共に乗り越えていく。