謎のプロジェクトに参加したアキラの最初のバトル。プロジェクトの1stプログラムでは1on1の戦闘が行われ、アキラはそこで「木の枝を剣に変える能力」の持ち主である霧崎円(きりさき まどか)と戦った。この戦いでアキラは初めて異能力を使い、彼の能力の実戦における効果的な使い方やタイミングなどを把握。アキラのチュートリアル的なバトルともなった一戦といえる。
バトル開始後、アキラは黒板や背後の壁まで斬り裂く霧崎の能力に押されて防戦一方。余裕の霧崎はアキラを侮って降伏を勧告するが、実はアキラは、自身の能力が対戦相手によって公表されるタイミングを待ち構えていた。1stプログラムの開始前、組織の監視人(オブザーバー)である魅音(みおん)が参加者全員に「手を大砲にする」という強力な能力を見せており、アキラは「相手があなたの能力だと思った能力」の特性を生かし、霧崎に自身の能力を魅音と同じ「手を大砲に変える能力」だと思い込ませようとする。その思惑は見事成功し、アキラは至近距離からの砲撃で霧崎を吹き飛ばして逆転勝利を飾る。さらにアキラはこの戦いで、ほかの参加者に自分の能力が「手を大砲にする能力」だという偽のイメージを植えつけることにも成功。その後のバトルでも、この大砲の力は随所で活用されていく。
3rdプログラムで行われた、緑チームと赤チームによる戦争ゲーム「王様狩り」で、アキラと霧崎円がタッグを組んだバトル。ゲーム開始後、アキラは中立の立場の青チームに参加していた霧崎と再会するが、これはパートナーだった天翔優利(あまがけ ゆうり)と別れたアキラが霧崎を臨時パートナーにするための策略だった。アキラへのライバル心をむき出しにする霧崎と一時バトルになるが、赤チームの竜胆将門(りんどう まさかど)が姿を現したことで、2人は一時停戦。タッグを組んで戦うことになる。
竜胆は竜胆流剣術という道場の本家筋に生まれ、殺人術を叩き込まれて育った剣の達人。アキラは竜胆の能力が霧崎と同じ「木の枝を何でも切れる剣に変える能力」であると見抜くが、竜胆はさらに「離れた場所へも攻撃できる」というもう一つの力も見せ、アキラと霧崎は防戦一方となる。逆転の一手として霧崎が計画した、死角から大砲で狙う攻撃も見抜かれてしまうが、実はこれはアキラの策略。アキラの真の狙いは、大砲による攻撃で木をバラバラに吹き飛ばし、その破片が周囲に散らばる状態をつくり出すことだった。霧崎は目まぐるしい激闘の中で瞬時にアキラの狙いを読み取り、木の破片を武器に変えて攻撃することで竜胆の撃破に成功する。
「王様狩り」で緑チームの「王様」となったアキラと、赤チーム副リーダーの黒岩雅也(くろいわ まさや)が繰り広げた激しい頭脳戦。緑チームにスパイを潜入させていた黒岩は、緑チームのリーダーと目されていた白鷺勇人(しらさぎ ゆうと)を殺したと連絡を受けるが、実は目立っていた白鷺が王でなかったことに気付く。そこに緑チームの本当の王であるアキラが姿を現し、2人のバトルがスタートする。
黒岩が持つ力は「自分への貸しを取り立てることができる能力」で、彼に「命を救われる」レベルの借りをつくった者は、「命がけの恩返し」を強制される奴隷になってしまうというものだった。身を挺してでも黒岩を守ろうとする奴隷たちに囲まれ、アキラは大苦戦。さらに戦いの中で自身も黒岩に「貸し」をつくられてしまい、足を封じられる。起死回生の「瞬間移動」の能力で黒岩の背後を取ろうとしたアキラだが、これも黒岩の誘導であらかじめ配置された奴隷たちに動きを封じられ、黒岩のナイフの餌食になってしまう。だが、この流れはすべてアキラの計画どおりで、彼は黒岩と正面から向かい合うチャンスを得るべく立ち回っていた。自分の能力を、白鷺の能力である「相手と平和的に交渉を行える能力」だと黒岩に思い込ませたアキラは、辛くも勝利を収める。アキラの知略が際立った一戦だ。
「王様狩り」のクライマックスで行われた、「身体能力が5倍になる能力」を持つ赤チームの王、大神一(おおがみ はじめ)とのバトル。赤チームの副リーダーで統率役だった黒岩を倒したアキラは、同じ緑チームの優利らを圧倒していた大神に王同士での最後の戦いを提案し、1対1の勝負に挑んだ。
大神は、黒岩からアキラの真の能力が「手を大砲にする能力」ではないことを聞いていたものの、それを意に介さず圧倒的な力でアキラをねじ伏せようと突進する。だが、アキラは大神との戦いを見越して、戦いの前に大神と同じ「身体能力が5倍になる能力」を持つ優利と特訓を重ね、対大神戦限定で「身体能力が10倍になる能力」を使えるようになる策略を進めていた。読みどおりに大神との一撃勝負に持ち込んだアキラは、そのタイミングで優利に自身の能力が「身体能力が10倍になる能力」だとイメージさせることに成功。見事に「身体能力10倍の一撃」を繰り出したアキラは大神を一撃で倒し、戦争ゲーム「王様狩り」に決着をつけた。
4thプログラムで行われた、アキラと組織の第4監視人(オブザーバー)、レオンハルトとのバトル。4thプログラムの進行中に、参加者と監視人が戦う変則的なゲーム“厄災”に巻き込まれたアキラは、ゲームマスターのレオンハルトを倒して“厄災”を終わらせるために一人ゲーム内に残り、レオンハルトと対峙した。
「細菌を操る能力」を持つレオンハルトは、アキラを葬るために元の姿に戻れないのを覚悟のうえで手下に使っていた変異細菌を自らに投与し、最期の姿「堕天形態(エンドタイム)」と化してバトルに臨む。「糖分を形状変化させる能力」を持つ甘村千歳(あめむら ちとせ)の協力で砂糖を操る力をあらかじめ手に入れていたアキラは、結晶化した砂糖で瓦礫(がれき)をコーティングして作った即席の投石機で攻撃。さらに砂糖を高温のカラメルに変化させ、それを炎上させる奇策でレオンハルトを追い詰めるが、レオンハルトは自らの心臓を犠牲に、血液で火を消して反撃。アキラは、彼を利用しようとする謎の参加者・万年青伊織(おもと いおり)に協力を仰ぐかどうか、決断を迫られるところまで追い詰められる。万年青を拒み、自分の意思を信じる道を選んだアキラだったが、そこに“厄災”で死亡したと思われていた熊切真(くまぎり しん)が登場。2秒の間、無敵状態になる能力を持つ熊切の協力で、アキラはレオンハルトに零距離から大砲を当て、倒すことに成功。恐るべき“厄災”からの脱出を果たす。